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告死天使アズラエルの贈り物(前編)

君の瞳は百万ボルト。
君のつぶらな瞳に僕はメロメロ。
君のその愛らしい瞳で、一目で虜になった。
君の瞳はなんて美しく、つぶらなのだろうか。
ああ。
なんて素敵。
今日も、あなたはこんなにも美しい。

「今日も、あなたはこんなにも美しい・・・・・ジャボテンダーさん」
うっとり。
恍惚の表情で、ティエリアはジャボテンダー抱き枕と見つめ合っている。
ジャボテンダーの瞳は黒のボタン。
なんてつぶらな瞳。
かわいい。

刹那の持っているジャボテンダーの「ジャボ美」さんも美しいけれど、この「ジャボ子さん」の美しさにはかなわないだろう。
世界中の宝石よりも美しい。
「美しすぎます、ジャボテンダーさん」
最近のティエリアのジャボテンダー中毒は以前にも増して強くなっている。

「ティエリア。戦闘訓練の時間だぞ。先にバーチャル装置のところにいってるな」
「あ、待ってください!ジャボテンダーさん、行って来ます」
ペコリとジャボテンダーにお辞儀をして、ロックオンの後を追う。
そのまま、バーチャル装置にロックオンとアレルヤ、刹那、ティエリアで入り、装置を連結させる。
(マスター、おはようございます。今日はご機嫌がよろしいようですね)
「AIマリア。グランジェ1での戦闘に入る。空間に転送してくれ」
(かしこまりました。空間転送しています、しばしお待ち下さい。データーの転送が完了しました)
警報が鳴り響く。
トレミーの格納庫だ。着ている服はノーマルスーツに変わっている。
(敵、モビルアーマー25、母艦1、戦闘戦艦3です)
「了解した」

ティエリアが瞳を金色に輝かせる。
それぞれ、刹那、アレルヤ、ロックオン、ティエリアがガンダムに乗り込んで発進する。

(マスター。今日もかわいいな)

宇宙空間に、大きな大きな漆黒の六枚の翼を持った美しい青年が現れる。
新しくティエリアが開発したAI、攻撃専門のオフェンシングガーディアン、アズラエルだ。
告死天使の名前をつけた青年の姿をした天使は、堕天使のイメージのデータだ。敵に死を告げる天使。ハッカーに死を告げ、退路を塞いで背の漆黒の闇で塗りつぶす。逆ハッキングをしかけ、相手のコンピューターを復旧できないほどのボロボロにする破壊能力を備えたガーディアンだ。同じガーディアンタイプの獄炎天使イフリールは、ディフェンシングガーディアンでもあるため、ハッカーに攻撃はしかけない。ばらまかれたウィルスを炎の翼と炎の剣で燃やしつくし、そしてあたしくティエリアが与えた炎の槍で改竄されたデータ、つまりはバグを貫く。アズラエルの武器は、イフリールと同じような黒い翼の他に、肩にとまった鷹と護符だ。イースタンマジック・・・・日本の陰陽師をイメージしている。鷹はアズラエルの式神だ。あえてアズラエルに相応しいであろう死の鎌は与えず、護符というこれまた変わった武器をティエリアはプログラミングした。アズラエルのAIを開発した時に、アズラエルが陰陽師がいいと言ったのだ。その言葉通りに、式神と護符という能力を与えた。護符でいろんな式神を召還する。衣装は、陰陽師のようなものではない。黒一色の服装。長い黒のコートをまとう姿は、死神ともいわれる告死天使に相応しいだろう。

(さっき、愚かにもハッキングしてきた相手のコンピューターを破壊した。相手は私を改竄しようと攻撃をしかけてきた・・・・愚かにもほどがある。私はオフェンシングガーディアンのAIアズラエルなのに、相手はただの纏まっただけのデータと思ったらしい。白虎で喉を噛み切ってやった)
「そうか。ご苦労だ。後ほど、詳細を教えてくれ」
(ねぇ、マスター・・・・私作ってくれてありがとう。私はAIマリアに恋をしてしまった。イフリールにも)
「イフリールは少女の姿をしているが、少年だぞ?」
(そんなのAIである私には関係ない。AIに性別なんて関係ない)
「まぁそうだが。仲良くやってくれ。AI同士で仲良くなるのはいいことだ」
(残念。イフリールにキスしたら、イフリールの炎の翼で燃やされてしまったよ。お陰で、コートがぼろぼろになって、新しくデータとして新調してしまった)
「無駄に、マザーコンピューターの容量を食うような真似は止めなさい」
(いいじゃないか、マスター。マザーコンピューターには私がついている。私が守っている。ちっぽけな容量だ、コート一枚分だなんて。それより、イフリールはかわいいね。キスしたら、真っ赤になって怒って空間に溶けてしまったよ)
「イフリールは、あれでも男性としてプログラミングしている。同じ男性であるアズラエルにキスされて喜ぶはずがないだろう」
(イフリールはマスターに似ているね。照れ屋さんだ。少女のように美しいのに、少年だ)
「アズラエル、会話はまた後で・・・・・」

ティエリアはガンダムを発進させた。
敵のモビルアーマーは襲い掛かってくる・・・・・とたん、刹那、アレルヤ、ロックオンがふきだした。
「ぶばっ!」
「ぎゃははははは!!!」
「あははははははは!!!」
敵は手と足をシャカシャカ動かしている。緑の体。黒のしましま・・・・・巨大なサボテンダーの形をした敵が、25匹遅いかかってきた。
「針万本」
ドガガガガガガガ!!!!
「ぎゃーっはっはははは」
攻撃をガンダムで受けながら、ロックオンは笑い転げてデュナメスごと大破した。
「ぶはっ・・・・ぐううううう。。。ぶっ!!」
刹那は、なんとかエクシアでジャボテンダーに切りかかるが、粒子ビームサーベルを、ジャボテンダーが白羽どりした。
「ぶっ!」
シャカシャカ。
足は高速で動いている。
「針万本!」
咄嗟に交わす。
「針万本!!!」
他のジャボテンダーに背後から攻撃をくらい、エクシアも大破した。
「あはっははははは・・・・・・キュリオシュ、援護攻撃にはいりゅ」
アレルヤは涙を流して笑いながら、言葉を噛んだ。
キュリオスは、機体を変形させて宇宙空間を翔けるが、ジャボテンダーに囲まれてしまった。
「針万本!」
「針万本!!」
「針万本!」
いくつのものサボテンの棘の攻撃を受け、キュリオスも大破した。

「ジャボテンダーだけに、ジャンボてんだー」
ロックオンの通信は全員にはいる。
「ぶほっ!」
大破したエクシアに乗った刹那は、笑いすぎて頭のヘルメットごと、操縦桿に頭をゴンゴン打ち付けている。
「ひゃっはっははっは!!!」
涙を流して、アレルヤはバンバンと、キュリオスの中で両膝を叩いていた。
シャカシャカシャカ。
高速で手足を動かす25匹のジャボテンダー。

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