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堕天使と天使21

天使の浮竹は、フェンリルの浮竹と一緒に行動していた。

フェンリルの浮竹は狼の耳をぴこぴこさせて、尻尾をぶんぶん振っていて、喜んでいた。

2人は、いわゆるデートなるものをしていた。

ただし、すぐ近くに堕天使の京楽とヴァンパイアの京楽という保護者つきだが。

『次、あれを食おう。あれ、甘くて俺は好きだ』

天使の浮竹のいる世界でデートしているため、クレープ屋さんがあった。

「そんなに急がなくてもいいぞ。違う味を2つ買って、お互い半分に分け合おう」

『お、それはいいな。よし、俺はバナナ味で!』

「じゃあ、俺はチョコ味で頼もう」


仲睦まじく、デート(?)を楽しむ二人を、ヴァンパイアの京楽は二人ともかわいいなぁと思いながら、一方で堕天使の京楽はムキーーーと苛立っていた。

「ちょっと、ヴァンパイアの僕!あの二人、間接キスになるようなことしてるよ!」

『実際にキスしたことあるんだから、その程度で目くじらはたてないよ』

「ムキーーーー!!!ちょっと、僕、行ってくる!」

『だーめ。ボクの浮竹が心から楽しんでるんだから、邪魔はさせないよ』

「君はどっちの味方なんだい!」

『もちろん、ボクの浮竹の味方さ』

2人の浮竹は、ウィンドウショッピングを楽しみ、ゲームセンターで1時間ほどゲームをしてクレーンゲームからでかいぬいぐるみをゲットしていた。

最後に、夕飯にファミリーレストランに入り、夕食を食べていろんな話に花を咲かせていた。

「じゃあ、今日はここで。楽しかったぞ」

『お、俺も楽しかった!また、で、デートしてくれ!』

「デートっていうか、ただ遊んでるだけな気がするが・・・・まぁ、いいぞ」

『やったぁ!あ、京楽!』

同じファミリーレストランで夕食をとっていた京楽たちに気づいて、フェンリルの浮竹はヴァンパイアの京楽に、でかい熊のぬいぐるみを押し付けた。

『ゲームセンターなる場所のクレーンゲームでとれたんだ。やる』

『かわいいね。洋館の寝室にでも飾ろうか。今日は楽しかったかい?』

『うん、すごい楽しかった。臭い堕天使の京楽のパンツを洗っていない匂いがたまにしてたのだけが嫌だったけど、楽しめた』

2人の京楽が、こっそり後をつけていたことには2人の浮竹も気づいていた。

「ちょっと待ってよ。僕が臭いってなってしまうの分かるとして、なんでパンツを洗ってない匂い!?そんなのかいだことあるの!?」

『ない』

「じゃあ、そんなこと言わないでよ!」

『お前は絶対洗ってないパンツの匂いだ!ラフレシアでも可』

「まぁ、京楽、ついてくるなと言ってったのについてきていたお前も悪いんだぞ」

天使の浮竹が、堕天使の京楽に助け舟を出すどころか、一緒に非難した。

「酷い!僕はフローラルないい匂いしかしないよ!」

「まぁ、フェンリルの俺もヴァンアイアの京楽も、今日はこれでお開きにしよう。楽しかった。また、機会があれば遊ぼう」

『ああ、またデートしてくれ!』

『浮竹がすごく楽しそうだから、ボクからも頼むよ』

「僕の浮竹は僕のものですぅ。デートなんてもうさせない!」

『カラミティファイア』

怒ったフェンリルの浮竹に尻を燃やされて、堕天使の京楽は飛び上がった。

「あちちちちちち!」

急いで魔法で水を出すと、火を消したがけつの部分の服がこげて、尻が丸見えになっていた。

『う、汚いものを見てしまった・・・・・・』

『何かで隠しなよ。同じ顔してるだけあって、地味に恥ずかしい』

堕天使の京楽は、アイテムポケットからバスタオルをとりだして、それを腰にまいて一時的なしのぎとすることにした。

「まったく、狂暴なんだから・・・・・」

『何か言ったか?』

「なんでもありません」

フェンリルの浮竹とヴァンパイアの京楽は、自分の世界にクマのでかいぬいぐるみと一緒に帰ってしまった。


「悠長に遊んどる暇あるんかいな。自分が狙われてるって自覚、もったほうがええで」

現れたのは、市丸ギンだった。

ざっと臨戦態勢になる浮竹と京楽だったが、ギンは楽しそうに笑った。

「そないに構えなくても、今日はなんもせぇへん。藍染は大天使長ミカエルの力を取り込んだ反動か、眠りについているし、しばらくの間は平和や。でも警戒を怠るのは感心せんな」

「藍染が眠り・・・・・父様は無事だったが、大天使長の力を奪うからそうなるんだ」

「藍染・・・・昔から、力を求めてたからねぇ」

藍染もギンも、そして京楽も世界で始めの天使といわれる、神の12使徒であった。

長くを生き、堕天したのは京楽だけではない。

ギンと藍染も堕天使に堕ちていた。

「藍染は、しばらくしたら動きだすで。そん時は、ボクも敵にまわるさかい、気ぃつけや」

「市丸!なぜ君ほどの人物が藍染なんかに従う!」

「さぁ、なんでやろな。ボクにもよう分からんわ。ただ、守りたいものがあって、それを守ってくれた。その恩返しかもなぁ」

市丸ギンには、松本乱菊という守りたい存在の女性がいた。

同じ堕天使で、悪魔に堕ちそうになったところを、藍染が助けてくれた過去があった。

悪魔は、完全に天使や神の敵だ。

容赦なく殺される。

その分堕天使はあいまいで、天使も神も扱いに困っていた。

「守りたい者がいるなら、守り通しや。ボクから言えるのはそれだけや」

「市丸!」

京楽が名を呼ぶが、市丸ギンは空気に溶けるようにいなくなってしまった。



「神の12使徒・・・・なぜ、同胞だった者たちで争わないとけないんだろう」

「京楽・・・」

浮竹が、京楽の背をなでた。

京楽は、浮竹を抱きしめる。

「浮竹、僕は君を守る。守り通してみせる」

「俺は、守られてばかりいるほどやわじゃないぞ」

「知ってる。でも、藍染は神の12使徒の中でも一番の強者だった。神に堕天使にされたことに怒り狂い、神を殺そうとして逆に殺された。なのに、転生を繰り返して悪魔やら堕天使として生まれてくる。もしも戦うことになったら、もう転生しないように呪いをかけるしかないね」

「呪いか・・・・」

天使である浮竹には呪詛は専門外だったが、堕天使である京楽には使えるようだった。

「藍染・・・・居場所が分かれば、眠りについている間に叩きたいところだけど、市丸がついてるし、居場所も分からないから、とりあえず次の襲撃に備えよう」

「ああ、そうだな」

いつ、どこで襲ってくるかも分からない。

そんな存在は、今は眠りについている。

その眠りが長いのか短いのかは、誰にも分らなかった。

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