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奴隷竜とSランク冒険者3

京楽と一緒に生活しだすようになって、1カ月が過ぎていた。

Sランク冒険者として、難易度の高いダンジョンに挑んだり、高レベルのモンスター退治をしたりしていた。

ある日、舞いこんできたのは京楽が拠点としている王国の、姫君の護衛だった。

京楽は断ろうとしたのだが、ギルドマスターの山じいに言いくるめられて、結局受けることを承諾した。

「浮竹十四郎さんというのですね。素敵ですわ」

姫君は、護衛の乗った馬車の中で、京楽のいらついた視線も省みず、浮竹にちょっかいをかけてくる。

「ドラゴンなんて嘘のよう。でも、真竜であられるのですね。なんでも、ムーンホワイトドラゴンだとか」

山じいが、姫君に口を滑らしたのだ。

京楽のパートナーはムーンホワイトドラゴンの、真竜であると。

「ムーンホワイトドラゴンは羽毛に覆われているのでしょう?姿を拝見したいわ」

「む、今は姫君の護衛中だ。変身はできない」

「あら、残念ですわ。でも、城に戻った時には変身してくださいましね?」

姫君は、浮竹の手をとって、自分の頬に当てた。

「本当に綺麗。白くて、瞳は翡翠色。こんな殿方、たとえモンスターでもあったことありませんわ」

「ちょっとね、君、浮竹は僕のものだよ」

ついに耐えかねた京楽が、姫君と浮竹をべりっと引っぺがす。

「あら、あなたのような野蛮な冒険者なんて、お呼びでないですわ。私、決めましたの。この浮竹十四郎というムーンホワイトドラゴンを私のものにしますわ」

「何言ってるの!」

「元々、奴隷だったのでしょう?白金貨50万枚さしあげますから、売ってください」

「お金の問題じゃないよ!」

ガタン。

馬のいななきが聞こえ、先頭をいく馬車がグリフォンに襲撃されていた。

「グリフォンか。このあたりに巣はなかったはずだけど・・・・浮竹、出るよ!」

「きゃあ、怖い!どうか、浮竹さん、私の傍で私を守ってくださいまし」

「俺は、お前を依頼人としてしか見ていない。京楽、俺も出る」

馬車の扉をあけ放ち、飛び降りて数匹のグリフォンの群れに向かって、浮竹はアイシクルブレスを吐いた。

「ぎぎゃああああ」

もろに攻撃を受けた一匹が、体を半分氷にしながらこっちにつっこんでくる。

姫君の護衛が今回の任務なので、京楽はいけすかないとはいえ、姫を守るためにグリフォンを切り殺す。

「しゃああああ」

グリフォンの群れは、浮竹と京楽が強敵とうつり、一斉に攻撃してきた。

「ダークストーム!」

「エアバレット!」

京楽は闇の魔法を、浮竹は風の魔法でグリフォンを迎え撃つ。

翼をまずはやぶき、飛べなくなったところを京楽がドラゴンスレイヤーの魔剣でとどめをさしていく。

「きゃあああああ!!」

姫君の悲鳴が聞こえた。

なんと、愚かなことに馬車から降りていたのだ。

「危ない!」

生き残ったグリフォンに襲われそうになったところを、浮竹が庇う。

「ぐ・・・・・」

背中に鋭い爪の傷跡ができる。

「浮竹!」

「大丈夫だ、これくらい・・・・」

「きますわ!」

「まったく、とんだ姫君だな」

愚痴を呟きつつも、生き残ったグリフォンを切り殺して、京楽はまずは浮竹の背中の傷に、回復魔法をかけた。

「回復魔法なら、私にも使えるんですのよ。邪魔をしないでちょうだい。あなたは、負傷した兵たちを見なさい」

依頼者の命令は、王族なので絶対。

京楽は舌打ちをしながらも、浮竹を姫君に預けて、グリフォンに襲われて傷ついた兵士たちの傷を癒していった。

「終わったよ。浮竹、こっちにおいで」

「嫌だ。俺は、この姫君のものになる」

「浮竹?」

「姫君を愛している。京楽、パートナーも主従の契りも、なかったことにする」

うつろな瞳で、たんたんと告げる浮竹は、何かの魔法にかかっているらしかった。

「チャームか。めんどうだな」

京楽は、浮竹の腕にしがみついていた姫君を放りなげた。

「きゃあああああ!狼藉者!」

「僕の浮竹に何をしたの」

「ひっ」

今にも殺しそうな瞳で、姫君の首元にドラゴンスレイヤーの魔剣の切っ先を向ける。

「さぁ、白状してもらおうか」

「王家、伝来の秘薬を・・・・使いました」

「愚かな・・・・そんなに浮竹が欲しいのかい」

「欲しいわ!だってムーンホワイトドラゴンよ!私がもっていてこそ、意味があるというもの!」

「本気で言ってるの?」

京楽は、魔剣で姫君の足を切った。

「いやああああ、痛い!」

護衛の衛兵たちは、スリープの呪文で眠らせていた。

「君を殺して、王国からとんずらすることもできるんだよ。浮竹を元に戻して」

「ああああ・・・・・キスを。愛しい相手のキスなら、解けます・・・・」

「浮竹、おいで」

「嫌だ。俺は姫君のものだ。姫君を傷つけた京楽は許さない!」

殴りかかってくる体をやんわりと受け止めて、京楽は浮竹に深い口づけをした。

「京楽・・・・・俺は?」

「姫君の悪だくみで、ちょっとおかしくなっていたんだよ。もう解けたから、大丈夫」

「なんだか、姫君がすごく愛おしくなって・・・・そこから先にことは、覚えてない」

「護衛依頼は破棄する。衛兵たちはすぐに意識を取り戻すだろうから、後は城までモンスターもいそうにないし、帰ることだね」

「ひっ」

怒り、姫君を今まさに切り殺さんという眼差しの京楽の視線に、姫君は失禁していた。

「あああ、浮竹さん、あなた、こんな男のものでいいのですか!?」

「ああ。俺はかまわない。今で会ってきた人間の中で一番優しいし、一番強い。ドラゴンは強者に従う。だから、俺は京楽のものとして生きる」

「狂ってる・・・・・」

「そうかもな」

浮竹は白い羽毛が生えたドラゴンの姿になると、京楽を乗せて王都まで飛んでいく。

「よかったのか、京楽。姫君にあんな真似をして放置して」

「別にいいよ。王家伝来の秘薬を勝手に使ったんだ。怒られるだろうし、傷は一応癒しておいたし、残りの近衛兵だけで城まで戻れるでしょ」

「そうか・・・・・」

浮竹は、自分のために怒ってくれた京楽を嬉しく思いながら、京楽を乗せて王都まで戻った。

冒険者ギルドで、姫君の護衛の任務失を伝えると、山じいは卒倒した。

「山じい、ごめんねぇ。浮竹に手を出すものだから、ちょっと怒りが向いちゃった」

「ひ、姫君は無事なのかのお?」

「ああ、傷つけた足は治癒しておいた」

「怪我を負わせたのか。下手すると、王国反逆罪になるぞい」

「大丈夫。そんなことになったら、この王国捨てるし。Sランクの冒険者を欲しがるギルドなんて、外の国にいくつでもある」

「ふううううう」

山じいは、深いため息をついた。

結局、姫君の護衛の件で任務達成失敗になったのだが、あの姫君が浮竹に近づいてくることも、京楽をとがめることもなかったので、浮竹と京楽は任務失敗の罰則金を払って、まだSランクダンジョンにこもるのであった。

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