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奴隷竜とSランク冒険者24

ハイエルフの浮竹とダークネスドラゴンの京楽のいる大陸で、迷いの森があるSランクダンジョンを踏破した。

4人での攻略が楽しくて、浮竹はダークネスドラゴンの京楽に、下手な字で手紙を書いた。

いわく、こっちの大陸でSランクダンジョンにいかないかというものだった。

『はぁ・・・・断るのもなんだしねぇ』

『転送陣があるからな、向こうの大陸まではすぐにつける』

ハイエルフの浮竹は、荷物をアイテムポケットに収納して、行く気満々であった。

『ボクは、人間のボクに会いたくないんだよね。ムーンホワイトドラゴンの浮竹には興味あるけど、彼ってば人間の匂いが染みついてて、それが嫌なんだよね』

『そういうえば、京楽は人間の自分が嫌いなんだな』

『人間はみんな嫌いだよ』

そう言いながらも、ダークネスドラゴンの京楽は、ダンジョンに挑む準備をしっかりとしていた。



「やあ、ダークネスドラゴンの京楽と、ハイエルフの俺。この前ぶりだな」

『やあ』

ハイエルフの浮竹は気軽に返事をするが、ダークネスドラゴンの京楽は、浮竹の隣にいる人間の京楽に眉をしかめた。

「僕、何かした?」

『人間くさい。ボクは人間が嫌いなんだ。できるだけ放っておいて』

「そ、そうか」

『ごめんね、冒険者の京楽。うちの京楽はああなんだ。まぁ、そのうち慣れるかもしれないから、それまで我慢してくれないか』

「いや、別に好かれたいわけじゃないから。僕は、僕の浮竹がいればそれでいいし」

『こっちの京楽も、言ってることお前と同じだな』

ハイエルフの浮竹は、クスクスと笑った。

『な、全然違う』

『はいはい。そう言うことにしておく』



「ダークネスドラゴンの京楽、今日行くダンジョンは火属性のモンスターが多いから、俺が前衛になる」

「僕も前衛するよ?」

「京楽は、アイシクルブレス吐けないだろう。ブレスは魔力を使わないから、使い勝手がいいんだ。だから、俺が前衛になる」

「じゃあ、僕は君を守るよ」

「守ると言われても、俺は強いぞ。俺に背を預けて、いつものように一緒に戦ってくれ」

「分かったよ」

『さすがSランク冒険者をずっとしているだけあるね。息がぴったりだ』

炎のSランクダンジョンの到着しての、二人の活躍ぶりは目を見張るものがあった。

ファイアマンティコアを、浮竹がアイシクルブレスで纏っている炎を消して体を氷つかせ、そこを京楽がドラゴンスレイヤーの魔剣できっていく。

氷漬けで切られた魔物の素材は新鮮で、京楽はアイテムポケットに収納していく。

『京楽、こっちにも来るぞ!』

『ダークブレス!』

ハイエルフの浮竹に襲い掛かってきたファイアイーグルは、ダークネスドラゴンの京楽の闇のブレスにやられて地におちて、ばたついていることろをハイエルフの浮竹の魔法がとどめをさす。

『アイスジャベリン!』

「やるな、ハイエルフの俺!」

「ただのアイスジャベリンなのに、大地まで凍りついてるね」

「ハイエルフの俺の魔力はかなり高いからな。俺もそっちの京楽も、神竜クラスの力をもっているが、それに近い」

「神竜か・・・・・本当に、実在するの?」

「実在する神竜は今のところマザードラゴンだけだな。全てのドラゴンの母であり、守護者でもある」

『ボクたちは希少種の上に力があるからね。そのせいで、人に狙われる』

「まぁ、それもそうだが、俺は人間は好きだ。自由を与えてくれたのは京楽という人間だ」

ムーンホワイトドラゴンの浮竹と、ダークネスドラゴンの京楽は、ダンジョン攻略期間中に満月の日が訪れるのを失念していた。

ダンジョンにもぐって3日目、満月の日になった。

「どうしよう、京楽。半竜人化してしまった」

「いつものように振舞えばいいよ。あっちの僕も半竜人化してるみたいだし」

見ると、白い天使のような翼をもった浮竹とは正反対の、悪魔のような皮膜翼をもつダークネスドラゴンの京楽がいた。

『君は、半竜人化すると天使の翼になるんだね。綺麗でいいね』

「そ、そうか?でも、お前もかっこいいぞ」

『京楽が、半竜人化した姿を見せるってことは、少しは心を開いた証かな』

ハイエルフの浮竹は、そう言って夕飯のシチューを作っていた。

「あ、僕も手伝うよ」

ハイエルフの浮竹の料理の腕はからっきしで、危ない手つきでじゃがいもの皮をむいているのを放置できず、京楽が手伝うといってほぼ全て、一人で作ってしまった。

『ご飯はおいしいんだけどね・・・人間が作ったって思うと、ちょっとね』

「食べながら文句を言うんじゃない。おい、ダークネスドラゴンの京楽、せめて俺の京楽の前では人間嫌いをあまり見せないでくれ。俺が哀しくなる」

『ごめん』

『すまんな、ムーンホワイトドラゴンの俺。京楽は極度に人間が嫌いだから』

「ハイエルフの俺も、人間嫌いを治すようにしないのか」

『こればかりは、本人の意思だしな』

「はいはい。僕が人間で悪かったね。でも、ダークネスドラゴンの半竜人化した姿ははじめて見るけど、ドラゴンっぽい感じがしていいね。浮竹はなんか尻尾と角の生えた天使に見えるから。まぁ、中身も天使なんだけど」

「こら、何を言ってるんだ京楽!」

浮竹は真っ赤になった。

『ムーンホワイトドラゴンは羽毛が鱗のかわりに生えてるから、天使の翼になるんだな。でも、京楽みたいに皮膚が鱗にならないのはいいな。皮膚が羽毛になってたら、ちょっとヤダ』

「ふふ、お前たちだけだぞ?半竜人化した姿を見せるのは」

『それは僕もだよ』

ドラゴンの二人は、尻尾を揺らした。

「ちなみに、浮竹は尻尾が弱いよ」

『俺の京楽は角だな』

「おい、何を言い合っているんだ!」

『浮竹、秘密にしておいてよ!』

「へー。角に弱いの~」

京楽は、意地の悪い笑みを見せた。

『ほう、尻尾に弱いのか』

ハイエルフの浮竹も、意地の悪い笑みを見せる。

二人そろって、ドラゴンの二人の弱点を攻めると、ドラゴンの二人は呼吸を荒くして、赤くなった。

「京楽・・・・・体が熱い。抱きしめてくれ。すぐに治まるから」

『浮竹、抱きしめさせて。この火照り、すぐに静まらないけど、なんとかするから』

それぞれお互いのパートナーを抱きしめて、夜は更けていく。



炎のSランクダンジョンのボスは、炎のヒュドラだった。

「アイシクルブレス」

「エターナルアイシクルワールド!」

『アイスジャベリン』

『アイシクルエッジ』

4人で氷の魔法を叩きこみ、袋叩きにすると、炎のヒュドラは炎を凍り付かされて、最後のおたけびをあげる。

「「「「エターナルアイシクルワールド!!!!」」」」

4人分の氷の禁忌に近い魔法を受けて、炎のヒュドラはは氷像と化して息絶えた。

財宝の間が開く。

中に会った魔法書に、ハイエルフの浮竹がため息をつく。

『俺が書いた魔法書だ』

「お、新しい魔法か。何々・・・・・グラビディゼロ。重力の魔法か。なかなかに使い勝手がよさそうだ。京楽」

「なんだい?」

「グラビディゼロ」

「ぬおおおおおおおおおお」

京楽にすごい重力がかかり、京楽の体は地面にめりこんだ。

「ふむ、すごいな」

「ちょっと浮竹、僕を実験台にしないでよ!」

「お前は魔法抵抗力がずば抜けて高いから、モンスターよりお前を実験台にしたほうが早い」

「だからって・・・・うがががが・・・ええい、マジックキャンセル!」

京楽は、浮竹の魔法を無理やり消滅させた。

「つまらん」

「僕を使っていじめてない!?」

「たまにはいいだろう。夜は散々俺を弄ぶくせに」

『『やっぱり』』

ハイエルフの浮竹とダークネスドラゴンの京楽は、浮竹に京楽の匂いが染みついている理由が分かった気がした。

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