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奴隷竜とSランク冒険者26

藍染は元勇者であり、現在は魔王である。

「うーんうーん」

その藍染は、傍若無人ぶりから前の魔王の側近に去られてしまい、藍染には配下の者がいなかった。

それを侍女にやつ当たりするものだから、侍女は魔王の財宝をくすねて、1個白金貨3枚もするモレ草という強力な下剤を、藍染に盛った。

10枚分。

普通は死ぬ。

「うーんうーん」

藍染はうなっていた。

でも藍染は死ななかった。ただ、金のおまるに1週間すわり、トイレにこもろうにも漏らすので、べッドの傍に金のおまるを置いて、緊急時に備えた。



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「っていう、現在の魔王の状態なんだそうだが、どう思う?」

「うーん、ガセじゃないの?あの藍染だよ。この前、中央大図書館に侵入して、いくつかの禁忌の魔法書を盗んでいたっていうよ。そんな者が、モレ草もられて激ピーピーになる?」

「それもそうだな。とりあえず、お前は中央大図書館に今すぐ行きたそうな顔してるし、盗まれた魔法書を確認しに、ユハール大陸の俺たちのところにいこうか」

浮竹と京楽は、ゲートを使い今いる大陸からワープして、ユハール陸に到着する。

空間転移魔法は、古代魔法都市文明の遺産で、今は残っているゲートを修復して使っている状態だった。

ハイエルフの浮竹にならば、ゲートを作って違う場所に飛べそうだが、空を飛べたりするし、そうそう遠くには行かないので、今のところは新しいゲートは必要なかった。

「おーい、いるかー?」

中央大図書館に続く遺跡を進み、ドアをノックすると、ハイエルフの浮竹が出てきた。

『あれ、どうしたの』

「いや、藍染の襲撃を受けたと聞いてな。何か役に立つことはないだろうかと、やってきただけだ」

『ありがたい。魔法書が乱雑にされて、整理に困っていたんだ』

『何、ムーンホワイトドラゴンの浮竹と、冒険者のボク?』

ダークネスドラゴンの京楽は、浮竹を見るときは柔らかな表情になるが、京楽を見る時はどこか威嚇したような目で見た。

「僕、何もしてないんだけど」

『ここの魔法書が本当は目当てなんでしょ。バレバレだよ』

「そんな言い方って・・・」

「京楽、おちつけ。ダークネスドラゴンの京楽も、煽るようなことはするな」

『魔法書は、浮竹に聞いてよ。浮竹なら、君たちに甘いから、いくつか魔法書くれるだろうさ』

ダークネスドラゴンの京楽は、そう言って藍染の手で砕かれてしまった本棚を新しいものと交換していた。

「ハイエルフの俺何をすればいい?」

『んー、何だ?』

「藍染に襲撃されたそうだな。手伝えることはあるか?」

『あ、助かる。魔法書がばさばさになって、あるべき場所に戻すのに苦労してるんだ。人手は多いほうがいいけど、この中央大図書館に通せる相手はそうそういないからな』

「ハイエルフの浮竹、新しい魔法覚えたいんだけど、何かいいのない?」

『んーそうだなぁ。このヘルジャッジメントとエクスカリバーの魔法なんてどうだ?』

「おお、いいね!」

効果を聞いて、京楽は早速魔法書に目を通して、覚えてしまった。

「浮竹も覚えたら?中央大図書館にある魔法を覚えれるなんて、そうそうないから」

「ああ」

浮竹は、魔法書に一瞬目を通した。

「覚えたぞ」

「ええ。一瞬見ただけじゃない!」

「俺は魔法を覚えるのは得意だからな。一瞬目を通すだけで覚えれる。「魔法を行使する者」というユニークスキルを持っている」

「ええ、まじで。はじめて聞いた・・・・・」

京楽は、浮竹のことで知らないことがあったのが哀しいようで、違う魔法書はないかとハイエルフの浮竹に聞く。

『サンシャインレイはどうだ?サンシャインレイドラゴンしか、普通は覚えられない魔法だ』

「お、いいね!」

『浮竹、そっちの京楽に魔法を覚えさすの、ほどほどにね。世に出回ることになるから』

「いや、浮竹と二人きりでダンジョンもぐった時にしか使わないよ」

京楽は、そう言う。

『どうだか』

「俺が保証する」

『君が言うなら、うん、まぁ・・・・・』

ダークネスドラゴンの京楽は、浮竹の言葉を信用することにした。

「なんでも僕はだめで、浮竹ならいいの」

『信頼度の差だね。君はボクの大嫌いな人間だけど、ムーンホワイトドラゴンの浮竹は数少ない同族だから』

結局、京楽と浮竹は、サンシャインレイの魔法の他に数種類の魔法を覚えた。

ハイエルフの浮竹が、ほいほいと教えるものだから、ダークネスドラゴンの京楽にそこまでとストップがかかる。

『これ以上覚えさせたら、世界を破壊できる者になるよ』

『大丈夫だ。この二人なら、その心配はない。だが、さすがに禁忌ばかり教えすぎたな。このエターナルフレイムエンドの魔法で、終わろうか』

「うわー、凄い魔法だね。一夜で幻の古代都市を滅ぼした魔法か」

「なるべく使わないようにしよう。使ったとしても、魔力で制限をつけるべきだ」

「うん、そうだね」

浮竹と京楽は、魔法書を丁寧に片づけていくご褒美とばかりに、魔法書の魔法をいろいろ見せてもらった。

『ふう、大分片付いたな。後は俺と京楽で十分だ』

「そうか。じゃあ、俺たちは覚えた魔法をぶっぱしに、Sランクダンジョンにでもいく」

「浮竹、ぶっぱって、魔力制御するんでしょ?」

「当たり前だろう。禁忌を魔力の全てで放つと、Sランクダンジョンそのものが崩壊する」

「うわー、怖い」

「お前は、そんな魔法を覚えたがったんだろうが」

「覚えるだけでよかったんだけどね。別に使わなくてもいいよ」

「使わずも覚えてるだけを宝の持ち腐れというんだ」

浮竹は他にもくどくどと京楽に説教した。

「ねぇ、それより今度の満月の夜に・・・・・」

「んっ」

ハイエルフの浮竹とダークネスドラゴンの京楽の目の前で、ディープキスをする。

『う、浮竹は見ちゃダメ!』

『えー』

「ちょ、お前、こんな場所で・・・・んんんっ、んあっ」

「ということで、僕らは帰るねー。僕の浮竹から僕の匂いがするのはこういうことなんで」

京楽は、ダークネスドラゴンの京楽にバイバイと手を振った。

『人間ってやっぱり・・・でも、ボクも相手が浮竹なら・・・・』

『ちょ、京楽、どこ触ってるんだ!』

京楽に触発されて、ダークネスドラゴンの京楽も浮竹にいらぬちょっかいをかけはじめるのであった。



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