奴隷竜とSランク冒険者37
その日は、新月の日だった。
浮竹は元のドラゴン姿に戻るのだが、先月は大人ドラゴンであったが今月はちびドラゴンであった。
卵の時に誘拐されて、売るために成長促進の魔法をかけられていた浮竹は、本来ならドラゴンは100年かけて成人するのに、20年で成人してしまった。
「ぴーぴー」
「はいはい、茹で卵つぶしたサンドイッチ食べたいんだね?」
「ぴー♪」
ハイエルフの浮竹のお陰で、リカイスルモノのユニークスキルを獲得した京楽は、ドラゴン語が分かった。
浮竹も無理をすれば人語をしゃべれるが、魔力を半端啼く消費するので、いつも「ぴーぴー」という言葉で会話をしていた。
「ぴーぴー」
「暇?散歩にでもいくかい?」
「ぴー」
「え、ハイエルの浮竹のところに行きたいって?だめだめ、あっちも新月でドラゴン化してるし、浮竹と違って大きすぎるからだめだよ」
「ぴー」
寂しそうにする浮竹に、京楽はバナナケーキを作ってやった。
「ぴー♪♪」
「おいしいって?おかわりあるから、たくさん食べていいよ」
もう日暮れだが、浮竹のちびドラゴンの姿のままバナナケーキを食べて、浮竹が少し目を離したすきに外に出てしまった。
「浮竹!!どこ!?」
京楽は慌てた。
いつもの大きなドラゴン姿なら大丈夫だが、ちびドラゴンの姿の上に、魔力も小さくなっている。
「へっへっへ、こりゃラッキーだ。子ドラゴンが街を徘徊してるなんて、捕まえて売ってくださいって言ってるようなもんだろ」
浮竹は、王都に住んでいるのだが、治安は良いとはいいがたく、ならず者にとらえられて、檻の中に放り込まれていた。
「ぴーぴーぴー」
浮竹は、檻の中で泣いていた。
涙をたくさん零す。それは真珠となって、ころころと檻の中から転がり出た。
「うわ、なんだこのドラゴン。泣くと涙が真珠になりやがる。ますます希少価値が高いな。いい値段で売れそうだぜ」
「ぴーーー!!」
浮竹は京楽の名を呼んだ。
「浮竹?」
「てめえ、誰だ」
浮竹の魔力をたどってやってきた京楽は、浮竹が檻の中に閉じ込められているのを見て、顔色を変えた。
「その子、ボクのだから、返してもらうね?」
魔剣ドラゴンスレイヤーで、檻を切ってしまった。
「ちょ、やばいですよ、ボス。こいつ、巷で噂のSランク冒険者の京楽じゃあ・・・じゃあ、このちびドラゴンはそいつのパートナーのムーンホワイトドラゴン!」
「へっ、何がSランク冒険者だ。ムーンホワイトドラゴンが本当なら、オークションにかけようぜ」
「ボス、俺は命がおしいのでこの件から逃げます」
「俺も」
「俺もだ」
残ったのは、5人ほど。
冒険者は、人を傷つけてはいけないという法律があった。
「へっ、Sランク冒険者とはいえ、人は害せないだろ。このムーンホワイトドラゴンはオークションに出すから、お前は消えろ」
短剣でさしにかかるが、京楽は無表情でその男の右腕を切り飛ばした。
「ぎゃあああああああ」
「ぴぴ?」
「浮竹、すぐに終わるからね?」
「ぴーーー」
「ヘルフレイム・・・・」
京楽は、その場にいたボスを含める6人の男を剣で右腕を切り飛ばし、いかに自分が無力であるかを痛感させてから、地獄の炎で骨も残らず焼いた。
「足枷までされて・・・・・ごめんね、浮竹。助けにくるのが遅くなちゃった」
「ぴぴーー」
「え?またバナナケーキが食べたい?さっきまで泣いてたのに、食いしん坊だね?」
「ぴーーーーー」
京楽がすぐに助けにきてくれると思っていた。ちょっと外に散歩に出ようとしたら、捕まった。
奴隷時代を思い出して怖かった。
そんな言葉を聞きながら、京楽は浮竹の姿だけ透明にする魔法をかけて、高級宿に戻った。
「もう、新月の夜でちびどらごんの時は、勝手に出歩いちゃだめだよ。出歩く時は、ボクも一緒に行動するから」
「ぴーぴー」
「え、それよりバナナケーキ?ほんと、よく食べるねぇ。いっぱい作っておいて正解だったね」
京楽は、冷蔵庫からバナナケーキを出すと、浮竹の前に置いた。
「ぴ」
浮竹は、ぱくぱくと食べていく。
「ふふ、おいしい?」
「ぴー」
浮竹は上機嫌で、捕まっていたことなど嘘のようであった。
「ぴ・・・・・」
「冒険者が人を殺して大丈夫かって?ばれなきゃいいんだよ。骨も残ってんないから、手下の者たちは騒ぐだろうけど。ボクだって犯人をつきとめても、ごろつきとSランク冒険者の言葉じゃあ、Sランク冒険者の言葉が圧倒的に強いしね」
「ぴーーー」
「え、お主も悪よのう?どこで覚えたの、そんな台詞・・・・・」
浮竹はバナナケーキを満足するまで食べて、京楽に抱っこされて、その頬を舐めるのだった。
その後、ハイエルフの浮竹とダークネスインフェルノドラゴンの京楽に、ちびどらごんのまま新月の日に街を徘徊したことがばれて、1時間あまりお説教されるのであった。
『ほんとに、君は危機感が薄いね』
「ちびどらごんの時は、気分も子供なんだ」
『だからって、攫われて売られそうなるなんて』
「京楽が助けてくれたから・・・・・」
『冒険者の京楽が助けにこなかったら、どうするつもりだったんだ』
ハイエルフの浮竹につっこまれて、浮竹は目を泳がせる。
『新月が終わったら大きなドラゴンサイズになって逃げるつもりだったんだろう。目立ちすぎるからだめだ』
「う・・・・・・」
図星をさされて、浮竹は京楽を盾にする。
「京楽、代わりに怒られろ」
『そもそも、パートナーの君の教育が悪い』
ダークネスインフェルノドラゴンの京楽にそう言われて、京楽はかちんとくる。
「はいはい、どうせボクの教育方針はだめだめですよ」
真面目に話を聞かない京楽に、ハイエルフの浮竹のげんこつが飛んでくる。
『本当に売られていたなら、大変なんだぞ』
「浮竹にはもう言って聞かせてあるから」
『本当に、君たちはもっと危機感を持つべきだよ』
『京楽の言う通りだぞ?』
お説教が更に続いて、浮竹と京楽はこってりとしぼられて、その日は高級宿に帰らず、ハイエルフの浮竹の家(神殿)に泊まり、ちびどらごんの時の身の守り方とかまで教えてもらうのだった。
浮竹は元のドラゴン姿に戻るのだが、先月は大人ドラゴンであったが今月はちびドラゴンであった。
卵の時に誘拐されて、売るために成長促進の魔法をかけられていた浮竹は、本来ならドラゴンは100年かけて成人するのに、20年で成人してしまった。
「ぴーぴー」
「はいはい、茹で卵つぶしたサンドイッチ食べたいんだね?」
「ぴー♪」
ハイエルフの浮竹のお陰で、リカイスルモノのユニークスキルを獲得した京楽は、ドラゴン語が分かった。
浮竹も無理をすれば人語をしゃべれるが、魔力を半端啼く消費するので、いつも「ぴーぴー」という言葉で会話をしていた。
「ぴーぴー」
「暇?散歩にでもいくかい?」
「ぴー」
「え、ハイエルの浮竹のところに行きたいって?だめだめ、あっちも新月でドラゴン化してるし、浮竹と違って大きすぎるからだめだよ」
「ぴー」
寂しそうにする浮竹に、京楽はバナナケーキを作ってやった。
「ぴー♪♪」
「おいしいって?おかわりあるから、たくさん食べていいよ」
もう日暮れだが、浮竹のちびドラゴンの姿のままバナナケーキを食べて、浮竹が少し目を離したすきに外に出てしまった。
「浮竹!!どこ!?」
京楽は慌てた。
いつもの大きなドラゴン姿なら大丈夫だが、ちびドラゴンの姿の上に、魔力も小さくなっている。
「へっへっへ、こりゃラッキーだ。子ドラゴンが街を徘徊してるなんて、捕まえて売ってくださいって言ってるようなもんだろ」
浮竹は、王都に住んでいるのだが、治安は良いとはいいがたく、ならず者にとらえられて、檻の中に放り込まれていた。
「ぴーぴーぴー」
浮竹は、檻の中で泣いていた。
涙をたくさん零す。それは真珠となって、ころころと檻の中から転がり出た。
「うわ、なんだこのドラゴン。泣くと涙が真珠になりやがる。ますます希少価値が高いな。いい値段で売れそうだぜ」
「ぴーーー!!」
浮竹は京楽の名を呼んだ。
「浮竹?」
「てめえ、誰だ」
浮竹の魔力をたどってやってきた京楽は、浮竹が檻の中に閉じ込められているのを見て、顔色を変えた。
「その子、ボクのだから、返してもらうね?」
魔剣ドラゴンスレイヤーで、檻を切ってしまった。
「ちょ、やばいですよ、ボス。こいつ、巷で噂のSランク冒険者の京楽じゃあ・・・じゃあ、このちびドラゴンはそいつのパートナーのムーンホワイトドラゴン!」
「へっ、何がSランク冒険者だ。ムーンホワイトドラゴンが本当なら、オークションにかけようぜ」
「ボス、俺は命がおしいのでこの件から逃げます」
「俺も」
「俺もだ」
残ったのは、5人ほど。
冒険者は、人を傷つけてはいけないという法律があった。
「へっ、Sランク冒険者とはいえ、人は害せないだろ。このムーンホワイトドラゴンはオークションに出すから、お前は消えろ」
短剣でさしにかかるが、京楽は無表情でその男の右腕を切り飛ばした。
「ぎゃあああああああ」
「ぴぴ?」
「浮竹、すぐに終わるからね?」
「ぴーーー」
「ヘルフレイム・・・・」
京楽は、その場にいたボスを含める6人の男を剣で右腕を切り飛ばし、いかに自分が無力であるかを痛感させてから、地獄の炎で骨も残らず焼いた。
「足枷までされて・・・・・ごめんね、浮竹。助けにくるのが遅くなちゃった」
「ぴぴーー」
「え?またバナナケーキが食べたい?さっきまで泣いてたのに、食いしん坊だね?」
「ぴーーーーー」
京楽がすぐに助けにきてくれると思っていた。ちょっと外に散歩に出ようとしたら、捕まった。
奴隷時代を思い出して怖かった。
そんな言葉を聞きながら、京楽は浮竹の姿だけ透明にする魔法をかけて、高級宿に戻った。
「もう、新月の夜でちびどらごんの時は、勝手に出歩いちゃだめだよ。出歩く時は、ボクも一緒に行動するから」
「ぴーぴー」
「え、それよりバナナケーキ?ほんと、よく食べるねぇ。いっぱい作っておいて正解だったね」
京楽は、冷蔵庫からバナナケーキを出すと、浮竹の前に置いた。
「ぴ」
浮竹は、ぱくぱくと食べていく。
「ふふ、おいしい?」
「ぴー」
浮竹は上機嫌で、捕まっていたことなど嘘のようであった。
「ぴ・・・・・」
「冒険者が人を殺して大丈夫かって?ばれなきゃいいんだよ。骨も残ってんないから、手下の者たちは騒ぐだろうけど。ボクだって犯人をつきとめても、ごろつきとSランク冒険者の言葉じゃあ、Sランク冒険者の言葉が圧倒的に強いしね」
「ぴーーー」
「え、お主も悪よのう?どこで覚えたの、そんな台詞・・・・・」
浮竹はバナナケーキを満足するまで食べて、京楽に抱っこされて、その頬を舐めるのだった。
その後、ハイエルフの浮竹とダークネスインフェルノドラゴンの京楽に、ちびどらごんのまま新月の日に街を徘徊したことがばれて、1時間あまりお説教されるのであった。
『ほんとに、君は危機感が薄いね』
「ちびどらごんの時は、気分も子供なんだ」
『だからって、攫われて売られそうなるなんて』
「京楽が助けてくれたから・・・・・」
『冒険者の京楽が助けにこなかったら、どうするつもりだったんだ』
ハイエルフの浮竹につっこまれて、浮竹は目を泳がせる。
『新月が終わったら大きなドラゴンサイズになって逃げるつもりだったんだろう。目立ちすぎるからだめだ』
「う・・・・・・」
図星をさされて、浮竹は京楽を盾にする。
「京楽、代わりに怒られろ」
『そもそも、パートナーの君の教育が悪い』
ダークネスインフェルノドラゴンの京楽にそう言われて、京楽はかちんとくる。
「はいはい、どうせボクの教育方針はだめだめですよ」
真面目に話を聞かない京楽に、ハイエルフの浮竹のげんこつが飛んでくる。
『本当に売られていたなら、大変なんだぞ』
「浮竹にはもう言って聞かせてあるから」
『本当に、君たちはもっと危機感を持つべきだよ』
『京楽の言う通りだぞ?』
お説教が更に続いて、浮竹と京楽はこってりとしぼられて、その日は高級宿に帰らず、ハイエルフの浮竹の家(神殿)に泊まり、ちびどらごんの時の身の守り方とかまで教えてもらうのだった。
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