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奴隷竜とSランク冒険者39

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽の体長は、20メートルはある。

あまり浮竹と京楽には、ドラゴンの姿を見せないので、珍しくドラゴン化したダークネスインフェルノドラゴンの京楽をみて、浮竹は一言。

「かっこいい・・・・・・」

「むきいいいい」

京楽は、確かにかっこいいドラゴン姿に、嫉妬していた。

『なんなら、ボクの背中に乗って、空を飛んでみるかい?』

「え、いいのか!?」

浮竹の顔がぱぁぁぁと明るくなる。それを、ハイエルフの浮竹とダークネスインフェルノドラゴンの京楽は、かわいいなぁと見ていた。

『同じ同胞である君ならいいよ。人間のボクは頼まれても乗せないけどね』

「いいですぅ、ボクにはスカイウォークとスカイウィンドの魔法があるんですぅ。空を歩けるし空を飛べますぅ」

「じゃあ、京楽、そういうことで。先に帰っててくれ。ダークネスインフェルノドラゴンの京楽の背中に乗って、大陸軽く周ってくる」

「きいいいい。浮竹、自分で飛べるでしょ!」

「自分で飛ぶのと、人型でドラゴンに乗って飛ぶのじゃ爽快感が違う」

『まぁ、冒険者の京楽は、今日は大人しく帰ったらどうだ?』

ハイエルフの浮竹にまでそう言われて、京楽はやけを起こして、メリアナ王国に戻り冒険者ギルドに行くと、Fランクの初心者用の、薬草摘みを受けまくり、Fランクの依頼を引き受けまくって、非情に初心者冒険者の邪魔をしていた。

「薬草摘みまくってやるうううう!ストレス解消だああああ」

逆にストレスがたまりそうなことを、ストレス解消にする京楽だった。



「うわぁ、高いなぁ」

浮竹は、黒い鱗に覆われたダークネスインフェルノドラゴンの京楽の背中に乗って、空の旅を楽しんでいた。

ハイエルフの浮竹を放置しておくのは嫌なので、ハイエルフの浮竹も一緒にドラゴンの背に乗り、浮竹に自慢する。

『かっこいいだろう、俺の京楽は。俺だけの特権だ』

ハイエルフの浮竹はドヤ顔だ。

「ああ。俺のところのスケベでへっぽこな京楽とは大違いだ」

浮竹も浮竹で、パートナーである京楽のことを褒めないで、スケベでへっぽこと言う。

『ふふ、それを聞いたらお前の京楽が嘆くぞ』

「あいつは、そんな繊細な部分はないに等しい。「そんなぁ」と言って、がっくりするだけで、俺が普通に話しかけたらけろりと忘れる」

『あ、なんか想像できるな』

「だろう?」

二人の浮竹は、ドラゴンの背に乗りながら、おしゃべりを続けた。

『まぁ、この前嫉妬されてえらい目にあったんでしょ?ほどほどにね』

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽とハイエルフの浮竹は、浮竹の身に起こった出来事を知り、冒険者の京楽の頭をそれぞれ2回ずつ殴った。

『まぁ、嫉妬されてまた何かされそうになったら俺たちの元にくるといい』

「うん、そうする。俺も久しぶりにドラゴン化するかな」

空中で、月の光が煌めいた。

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽ほどの大きさではないが、15メートルほどの白く輝く巨体が空に現れる。

真っ白な羽毛に覆われた、とても珍しい特殊なそのドラゴンは、名をムーンホワイトドラゴン、別名、月竜であった。

羽毛は煌めき、月のような輝きを帯びている。

『ムーンホワイトドラゴンの俺は、いつ見ても美しいな』

「ほめても、乗せてあげることくらいしかできないぞ」

『じゃあ、今度はそっちに乗るか』

ハイエルフの浮竹は、浮竹の背中に飛び乗った。

普通のドラゴンなら硬い鱗で覆われていて、痛いところなのだが、ムーンホワイトドラゴンの浮竹は羽毛でふかふかなので、柔らかな感触がした。

『ああ、この羽毛いいなぁ。月のように綺麗だし・・・・』

「ハイエルフの俺、俺の羽毛何枚かもっていくか?」

『え、いいのか』

「ああ」

『それを知ったら、またお前の京楽が嫉妬しそうだな』

ハイエルフの浮竹が苦笑する。

「嫉妬したあいつは、Sランクダンジョンで暴れるか、初心者の薬草摘みをしまくるかのどっちかだ」

『待ってよ。Sランクダンジョンで暴れるのは分かるけど、冒険の初心者向けの薬草を積みまくるの?薬草摘みって、Fランクの依頼でしょ?それをSランクで?』

ダークネスインフェルノドラゴンの京楽が聞いてくるが、浮竹は頷いた。

「ああ。俺にも理解できないんだが、ストレス解消になるそうだ」

『ほんとに謎だね』

『謎だな。お前のところの京楽は、なんだかおもしろい人間だな』

『でも、人間だ。ボクは嫌いだね』

「まぁ、そう言わないでやってくれ、ダークネスインフェルノドラゴンの京楽」



その頃、京楽は薬草を摘みまくり、森の薬草を全て取り尽していた。

「ふふふふ・・・・ああ、薬草の匂いが気持ちを新鮮にしてくれる。やっぱり薬草摘みはいいなぁ」

アイテムポケットには、大量の薬草が入っている。

それを冒険者ギルドに提出すると、森の薬草を摘みまくってなくしてしまったことで、報酬をもらえるどころか、ギルドマスターの山じいにこっぴどく怒られて、夕方には帰宅した浮竹にも怒られて、散々な目にあうのだった。


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