忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
05 2025/061 2 3 8 9 10 11 12 13 1415 16 17 18 19 20 2122 23 24 25 26 27 2829 30 07

好きなのか?

その日、考えれば白哉はおかしかった。

酒を飲まないかと誘われて、恋次は高めの居酒屋に来ていた。

一護とルキアも誘われていて、久しぶりに一護と話す機会があって、飯も酒も進む。ルキアは義兄である白哉があまり食がすすまないようなので、心配していた。

「兄様、ここの居酒屋の食事は口にあいませんでしたか?」

「いや、そうではない。少し、食欲がないだけだ」

白哉は、そう言って高級酒を飲む。

一護はもう大学生なので、酒は飲めた。

「高い店だけあって、酒も料理もうまいよな」

「そうだろ、一護。ここは、たまに隊長と飲みにくる店なんだ」

「へぇ。白哉でも、外にこんな風に飲みに行くこともあるんだな」

「兄は、私が飲みに行くのがおかしいか」

「いや、そんなことねーぜ?ただ、もっと個室の部屋で静かに飲んでそうだなと思っただけだ」

「昔はそうだった。最近は、普通に外でも飲む」

「この店は兄様のお気に入りなのだ。酒も飯もうまいであろう、一護」

なぜかルキアが威張る。

「会計は兄様が出してくれる。思う存分飲んで食うがいい」

ルキアも、遠慮せずに食べて飲んでいた。

恋次も、普段は飲まないような高級酒を飲み、高めのつまみを頼んだりする。

「‥‥‥好きだ、恋次」

「は?」

「え?」

「兄様?」

突然の白哉の告白に、三人とも固まる。

「好きなのだ、恋次」

「た、隊長!?酒の飲みすぎですか!?」

「兄様が好きだと言われておるのだ!ちゃんと返事を‥‥」

「ルキア、朽木家に戻るぞ」

「へあ、一護!?」

一護はルキアを連れて、居酒屋から出る。

「がんばれよ、恋次」

「おいこら、一護おおおおお」

白哉は、白い頬をうっすら紅色に染めて、恋次を見つめる。

「隊長、俺は」

「私のことが好きなのであろう?」

「え、ばれてた!?」

「日々の言動を見れば分かる」

「え、あ、はい、すんません」

「私は好きなのだ、恋次」

白哉は、絹のような黒髪をさらさらと零して、恋次を見つめる。

「隊長、俺も隊長のこと好きです。愛してます」

「私は‥‥だから、辛い酒が好きなのだ」

「はぁ」

「椿も好きなのだ」

「はぁ」

「梅の花も好きなのだ」

「はぁ」

「桜の花も好きなのだ」

「はぁ‥‥隊長、熱でもあるんすか?」

恋次は、白哉の額に手を当てると、とんでもない高熱だった。

「わああああ、隊長、熱高すぎです!自分が何いってるのかあんまり分かってませんね!?」

「恋次は、私のことが好きなのであろう」

「そうですけど、帰りますよ!いや、救護詰所に行ったほうがいいか」

「私は辛いものが好きなのだ、恋次」

「はい、わかりましたから、瞬歩で移動します!」

代金を白哉のもっていた財布から勝手に支払い、恋次は白哉をおぶって瞬歩で4番隊ヘ向かう。

隊長である虎徹勇音が、まだいた。

診てもらい、インフルエンザだと判明する。

「薬処方しておきますので、くれぐれも安静に」

「ありがとうございました」

「私は辛いものが好きなのだ」

「ああもう、隊長同じこと10回は繰り返してますよ!?」

朽木家に戻り、白哉を寝室に寝かせて、薬を飲ませると白哉はあっという間に眠ってしまった。

体温は41度もあって、へろへろだろうに、言動はおかしいが、見た目は普通だった。

一護とルキアに、白哉がインフルエンザであることを告げ、念のために検査キットをもらってきていたので、検査するが一護もルキアも恋次も陰性だった。

白哉はそれから一週間は寝込んだ。

インフルエンザが完治して、白哉が執務室に顔を出すようになると、恋次は顔が合わせづらかった。

熱のせいだとはいえ、恋次が白哉を好きなことがばれてしまったのだ。

一方の白哉は、恋次が好きだと言っていたが、他にもいろんなものを好きだと言っていたので、恋愛感情で好きと言ってくれたのかどうか怪しい。

恋次は、勇気を振り絞って白哉に言う。

「隊長、俺は隊長のことが好きです。恋愛感情で」

「そうか」

白哉は黙々と仕事を続ける。

「隊長、俺はピクミンです」

「そうか」

はぁと、恋次はため息をつく。

「隊長、俺の顔ちゃんと見て、俺の言葉聞いてください」

「恋次?」

白哉の手をとって、恋次は手を重ねた。

「俺のこと、嫌いですか」

「それはない」

「じゃあ、俺のこと好きですか」

「‥‥‥‥‥‥分からぬ。ただ、傍にいてほしいとは思うのだ」

「それ、きっと俺のこと好きなんすよ」

「そうなのであろうか」

奥手な白哉を、言い聞かせるように何度も好きだからと言っていると、白哉もだんだんそう思えてきた。

「恋次」

「はい」

「駄犬」

「酷い!」

「ふふ‥‥‥」

白哉はうっすら微笑する。その白い顔があまりにも綺麗で、恋次は見惚れてしまう。

「きっと、私は恋次が好きなのであろうな。恋次」

「はい」

白哉は、恋次の目を手で覆って口づけた。

「た、隊長!?」

「嫌ではない。私と付き合ってみるか、恋次」

「はい!」

恋次は自分の中の欲に気づいてしまっていた。いつか、白哉の全てを手に入れたいと。

「隊長、俺本気で落としにかかりますからね!」

「ふふ、構わぬぞ。私の全てを手に入れたいなら、励むことだ」

恋次は、白哉に口づける。

「今は、キスまでだ。それ以上は、まだだめだ」

「隊長の全てが欲しいです。いつか、全てを手に入れてみせます」

「恋次」

「はい」

「お前のそういう前向きなところ、嫌いではない」

「隊長、覚悟しておいてくださいね」

「ふ‥‥‥」

白哉は小さく笑うと、仕事に戻る。恋次も、仕事をする。

その日から、恋次と白哉は交際しだした。

ルキアはその話を聞いて、卒倒するのだった。

拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(06/07)
(06/07)
(06/06)
(06/06)
(06/05)
"ココはカウンター設置場所"