忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
05 2025/061 2 3 9 10 11 12 13 1415 16 17 18 19 20 2122 23 24 25 26 27 2829 30 07

隊長

隊長が好きだった。

はじめは、純粋な憧れだった。その強さに。その潔さに。

ルキアの処刑が決まり、心は揺れ動く。

やがてその騒動も終わり、ルキアと隊長は雪解け水のように仲が深まっていく。

ルキアと一緒にいる隊長は、すごく優しい目をしていた。

ああ、隊長でもこんな顔をするんだなと思った。

「隊長。隊長が好き、です‥‥‥」

ある日、一緒に月を見ながら酒を飲んでいた日に、ついに告白してしまった。

隊長は、はじめ驚いた顔をしていたが、すんなりと受け入れてくれた。

「私も恋次が好きだ」

「まじっすか」

「こんなことで冗談を言うほど、器用ではない」

隊長は、ぐいっと酒をあおると、俺の頬に手で触れた。

「ずっと、私のあとを追ってきたのであろう。憧れが、気づけば恋慕になっていたのであろう?」

「そ、その通りっす」

なんで分かるんだと思った。

ずっと、隊長の後姿を見てきた。

憧れが恋慕に変わり、いつしか欲を抱くようになった。

「私の全ては、まだやらぬぞ?」

「あ、はい。その、ちゃんとお付き合いをしたうえでなら‥‥‥‥?」

「考えておく」

隊長は、見事な満月を見上げながら、酒を飲む。

俺もそれを真似して、盃の中身を胃に流し込む。

隊長が好きだ。

告白を受け入れてくれたと思ったら、どきどきしてきた。

手を重ねるくらいは、許してくれるだろうか?

そう思い、隊長の白い手に手を重ねる。

「恋次」

触れるだけのキスをされて、俺は真っ赤になった。

「今はまだ、これだけだ」

「十分です」

隊長は、俺の心臓を止めるつもりだろうか?

ドキドキが止まらない。

ああ、無性に叫びたい。

隊長が好きだと。

でもそんなことをしたら、千本桜を抜かれそうだ。

俺は真っ赤になっているのは酒のせいだと、言い訳をしながら酒をさらに飲む。

やがて眠気がきて、俺は眠ってしまった。



「のあああああああああ!!」

「うるさい」

起きたら、隣に隊長がいた。

一緒の布団で眠っていたらしかった。

ああ、睫毛長いとか思いつつ、起き上がって隊長に謝る。

「酒のせいで眠ってしまいました。すんませんでした」

「よい。肌寒い季節なので、湯たんぽ代わりにした」

「はぁ」

隊長、俺のこと好きなんだよな?

俺と一緒にいて、隊長はドキドキしないのだろうか。

いや、隊長のことだからきっと落ち着いているのだろう。

俺はその日、隊長の家から執務室に一緒に出掛けた。

やっぱり、ドキドキは止まらなかった。

隊長と二人きりでいることは、執務室では当たり前なのに、ちょっと気恥ずかしい。

隊長は黙々と仕事をこなす。

俺も見習って仕事をする。

休憩時間に茶を入れると、隊長はうまいといって飲んでくれた。

まぁ、隊長がもってきた茶葉なんだが。

仕事が終わり、家に帰ろうとすると、隊長に誘われる。

「泊まっていけ」

ああ、隊長。

殺し文句ですか?

隊長は俺を殺したいんですか?

俺の精神がもちません。

隊長、ちょっとは自覚して!

俺は、飢えた狼なんす。

隊長!



拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(06/08)
(06/08)
(06/07)
(06/07)
(06/06)
"ココはカウンター設置場所"