始祖なる者、ヴァンパイアハンター14
「にゃああああ」
京楽は、白猫にキスをした。
白猫はぺろぺろと応えてくれた。
白いオッドアイの猫を見て、浮竹は眉を顰めた。
「どうしたの浮竹。猫、嫌い?」
「いや、嫌いじゃない。でも、猫は寿命が短いから、飼うのはちょっと・・・・」
「じゃあ、始祖の血をあげたら?」
「猫に始祖の血が効くのか?」
「分かんない。試してみれば?」
浮竹は、指を噛み切って、血をにじませるとそれを猫の口元に持ってきた。
「にゃあん」
猫は、浮竹の怪我をした傷口を舐めるように、血を口にした。
そして、京楽の肩に乗った。
「やったー!始祖の血よ!」
ドロン。
音がして、京楽を下敷きにして、肌も露わな神々の谷間を持つ、金髪の美女がいた。
「胸が重い・・・・」
「えー。あたしの胸は、楽園よ?」
「と、とにかくどいてくれないかな」
「やーん。あたしとキスした仲じゃない?」
「京楽・・・浮気は・・・・」
怒りに震える浮竹に、京楽が首を振る。
「うわー、違う、浮竹、これは違う!」
「あら。いい男だと思ってたら、奥さんいたの」
「奥さん?誰がだ」
「だって、あなたからこの男の匂いがする」
浮竹は、真っ赤になって、美女をどかそうとした。すると、美女は神々の谷間にその手を誘導した。
「いやん、エッチ♪」
「お前は誰だ。魔女だろう」
「あら、ばれてるの?」
「魔女の使う、香の匂いがする。何より、その身に宿す魔力が尋常じゃない。人ではないのがすぐに分かる」
浮竹は、美女と距離をとる。
「あたしは、猫の魔女、松本乱菊。始祖のローデン・ファルストルを封印した始祖のヴァンパイアがいるって聞いて、魔女の代表として会いにきたの。よろしくね?」
「敵でも打とうというつもりか?」
「ううん。あたし、あの始祖嫌いだから。ちょっとあたしより見た目が若いからって、あたしのことおばさんっていうのよ、あの始祖!ほんと許せない!」
「おば・・・・」
「何か言おうとした?」
「な、なんでもない」
浮竹は、猫のように爪を尖らせた乱菊を見て、顔を青くさせた。
乱菊は猫の時のように、オッドアイだった。
銀と金の、綺麗なオッドアイだった。
「魔女の中には、瞳に力を持つ者がいる。オッドアイはその傾向が強い。乱菊、お前もそうだろう?」
「そうよ。あたしは、あたしの目で見つめた者を、自分の虜にできる。でも、あなたたち二人は、できてるみたいだから、あたしの目を見てもなんにもならないみたい」
「それはよかった」
「とりあえず、どいてくれないかな、乱菊ちゃん」
「あら、ごめんなさい。まだ名前を聞いていなかったわね?」
「俺は浮竹十四郎。お前の下にいるのが京楽春水。俺の血族だ」
「あら、お熱いのねv」
また、浮竹は真っ赤になった。
「お前のその瞳は、過去も見れるのか!?」
「そうよ。未来はほとんど見えないけど、過去はよく見るわ。あら、ホントに熱い。あなた、華奢なのにこの京楽さんって人と最後まで睦み合えるのね?」
浮竹は、ゆでダコのように真っ赤になって、乱菊の下から這い出してきた京楽を、拳で殴った。
「痛い!なんで僕を殴るの!何もしてないよ!」
「この魔女は過去を見る力がある。俺とお前がセックスしてるシーンを、見られ放題なんだ」
乱菊は、浮竹と京楽の睦み合う過去を見つめた。
浮竹の、そのけしからん色っぽさに、乱菊も鼻血を噴き出した。
「ああ、いいもの見せてもらったわ」
「勝手に過去を見るな!」
「僕は別に構わないよ?」
「俺が、嫌なんだ!」
浮竹は、乱菊に命令した。
「しばらくの間この古城にいてもいいが、過去をむやみに見ないこと!分かったな?」
「あら~。話が分かる人で助かったわ。始祖の浮竹さん?あなたの血、確かにいただいたわよ」
そういう乱菊の舌の上には、凝固された浮竹の血の結晶があった。
「この血があれば、いろんなポーションが作れそう」
魔女は、薬を作ることが多く、大半は錬金術士の資格を有している。
「あ、それはエリクサー!」
浮竹は、わざとエリクサーを乱菊に見せた。
「これが欲しいか?」
乱菊の前で、ゆらゆらとエリクサーの中身を振ってみせる。
猫の魔女だけあって、じゃれついたように反応した。
「もらい!」
口で、エリクサーをくわえて、乱菊はエリクサーを大事そうに神々の谷間に入れた。
「売れば大金持ちよ!」
「ちなみに、そのエリクサーは俺が作った。大人しくしているなら、このミスリルランクの錬金術士としての腕を、見せてやらんでもない」
「ええ、マジなのそれ!みたい、みたいわ!ミスリルランクなんて、この世界で五人もいないじゃないの!」
「ふふふふ・・・・・・」
浮竹は、乱菊の懐柔に成功した。
「浮竹さん、約束よ?ちゃんと、エリクサー作る場面見せてね?」
乱菊は、猫の姿になると、浮竹の肩に乗って、浮竹にキスをした。
「あ、浮竹、浮気は許さないよ」
「ただのあいさつだろう」
「そうよ。魔女の世界では、キスはただの挨拶。まぁ、唇には普通しないんだけど」
「やっぱり浮気だ!」
食ってかかる京楽を、スリッパではたいて、浮竹は寝るために寝室に戻っていった。
「しくしく・・・・(ノД`)・゜・。」
一人取り残された京楽は、涙するのであった。
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まだ、魔女の乱菊が来る前の、浮竹と京楽が睦み合っていた頃。
「うふふふ。兄様素敵。兄様、兄様・・・・・・」
血の帝国の宮殿にある後宮で、千里眼をもつ寵姫に、浮竹と京楽が睦み合っている姿をイメージで分けてもらって、ブラッディ・ネイはもだえていた。
本棚には、京楽×浮竹とかいう同人誌が、置かれていた。
ブラッディ・ネイは実の兄、浮竹に固執している。
変態的な意味でも。
実の兄の情事を盗み見て、興奮していた。
「キュリア、もういいよ。ボクは、君を抱きたい」
「ブラッディ・ネイ様・・・・」
寵姫キュリアは、頬を染めて、体をブラッディ・ネイに任せた。
「兄様って呼んでいい?」
「ブラッディ・ネイ様のお好きなように・・・この身はブラッディ・ネイ様のもの。あなたが望まれるのなら、この千里眼をいくらでもお使いください」
キュリアの肩に噛みついて、吸血する。
キュリアは、その快感に頬を薔薇色に染めた。
「あああ、ブラッディ・ネイ様」
「兄様、兄様・・・ああ、愛してるよ兄様。たとえ京楽が相手でも、許してあげる。兄様が愛しているなら・・・。兄様、愛してる」
寵姫キュリアに接吻する。
甘い血の味を、キュリアにも味合わせた。
「ボクの血を飲んで、キュリア」
「はい、ブラッディ・ネイ様」
キュリアは、ブラッディ・ネイの肩に噛みついて、吸血した。
セックスの時の吸血行為は快感でしかなく、ブラッディ・ネイもキュリアも、どちらもお互いを吸血しあいながら、乱れていった。
「ああ、愛してるよ兄様。もっと、もっと乱れて?もっとボクを求めて?ああ、いいね、兄様・・・・」
「ああん」
甘い声をあげる寵姫を抱きながら、脳内では浮竹を犯していた。
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「ここでこうだ」
ボン!
錬金術士の館で、浮竹は魔女の姿に戻った乱菊の前で、エリクサーを調合していたのだが、失敗して黒こげになっていた。
せっかくの白い髪も、焦げてしまっていた。
金髪の乱菊の髪はアフロになっていた。
「神の涙というだけあって、調合が難しいわね」
「そうなんだ。成功率は5%以下。材料費が高いから、元をとるためにどうしても高くなる」
「おまけに、エリクサーを調合できる、ミスリルランクの錬金術士は世界に5人しかいないわ。浮竹さんを入れて、6人かしら」
「まぁ、俺は正式に錬金術士ギルドに登録してないからな。一応金クラスってことにはなってるらしいが」
「あら、もったいない。ミスリルクラスなら、依頼がいっぱいきてうはうはじゃないの。まぁ、金クラスでも依頼はたくさんくるでしょうけど」
錬金術士は、銅、鉄、鋼鉄、銀、金、プラチナ、ミスリルの順でランクが高くなっていく。
浮竹が装っている金クラスは、上から3つ目で、かなりの上位であるが、昔人間社会の錬金術士ギルドに登録した頃から、金クラスのままだ。
ミスリルクラスになったことを、報告していなかった。
ミスリルクラスになっていれば、ガイア王国から王宮への徴収がかかる。
そんなの、死んでもごめんだった。
おまけに始祖ヴァンパイアだと分かると、退治されそうだ。死なないけど。
「今日はこのへんにしとこう。エリクサーの材料が切れた。町に、買い出しにいってくる」
浮竹は、自分の焦げた髪を再生させて、アフロになった乱菊の髪にも血を少しだけわけてあげて、普通の髪型に戻してやった。
「あら、あたしもついていくわ」
「だめだ。お前の美貌は目につくから、認識阻害の魔法をかけなきゃいけない」
「浮竹さんは、自分にもいつも認識阻害の魔法をかけてるの?」
「ああ。京楽と冒険者ギルドに行く時とかなんかにかけてる」
「あたしも、これでも魔女よ。自分に認識阻害の魔法くらい、かけれるわ」
「じゃあ、この材料を買ってくるか?」
「うーん」
ずらりと書かれた材料に、果たしてお金はどれくらいかかるのだろうかと計算していた。
「浮竹、乱菊ちゃん、昼食の用意ができたよ」
「あら、京楽さんのビーフシチュー、おいしくて私好きなのよね」
「今日はカレーだよ」
「それもおいしそう」
「乱菊、あまり京楽を調子づかせるな。また明日もカレーになるぞ」
「あら、おいしいならいいじゃない」
「3日間、3食カレーとか体験してみろ。絶対、嫌になる」
「それはさすがに嫌ね」
「酷い!」
泣いたふりをする京楽を無視して、食堂に移動した。
テーブルの上では、おいしそうなシーフードカレーが、海鮮サラダと一緒に三人分用意されてあった。
飲み物は、最高級クラスのワインだった。
「あら、このワイン、やだ、年代ものじゃない。金貨10枚はするわよ」
「金は腐るほどある。金がなくなったら、ドラゴンを退治して素材を売りさばいて、住処にためこんだ金銀財宝もいただく」
「やだ、鬼畜だわ」
「まぁ、性格の穏やかなドラゴンは倒せないから、金銀財宝を奪うだけになる時が多いが」
「やだ、ドロボーだわ」
「乱菊ちゃん、それ浮竹には全然ダメージにならないよ。浮竹、楽しんでるから」
浮竹は、くつくつと笑った。
「反応が新鮮で面白い。魔女の友人なんてできるとは思わなかった」
「あら、あたしもヴァンパイアに友人ができるとは思わなかったわ」
「僕も、その中に入ってるよね?」
「あら、京楽さんはただの知り合いよ」
「酷い!僕とのことは遊びだったのね!」
泣きだす京楽を無視して、二人はカレーを食べだした。
「あら、おいしい。隠し味に、人間の血を使ってるでしょ?」
「なんでわかったんだい?」
「あなたの過去を少し見たの。浮浪児の少女から、注射器で血を抜いて、金貨を10枚握らせているシーンが浮かんだわ」
「京楽、カレーにまた人間の血を混ぜたのか」
「ごめん、いつもの癖で」
「魔女には、口に合わないだろう?」
「別に大丈夫よ。魔女の中には、処女の血が長生きの否決になるって、ヴァンパイアみたいに襲って血をぬいたりするバカもいるくらいだし。人間の血を好むはずのヴァンパイアと一緒にいれば、自然と血を口にするときもあるでしょうし」
「なんていうか、心が広いな。嫌いじゃない」
「あら、嬉しいわ。あたし、浮竹さんのこと、けっこう好きよ?」
「俺も乱菊のことは、けっこう好きだ」
「浮気はだめだよ!」
二人は、顔を見合ってクスリと笑った。
「あくまで、友人としてだ」
「そうよ。血族のいる始祖ヴァンパイアに惚れるほど、愚かじゃないわ」
カレーとサラダを食べ終えて、浮竹と京楽と乱菊の三人で、町に買い出しに出かけた。
食材は戦闘人形が買ってきてくれていたので、主に錬金術の材料になるものを買い漁った。
魔法屋で、浮竹はわけのわからない古代の魔法書を、金貨4枚で購入していた。
「水虫が早く治る魔法だそうだ。民間魔法の一つだな」
浮竹は、宝箱のミミックに齧られて倒して魔法書を手にする以外にも、魔法や呪術を集めている。民間魔法は生活の中にある魔法であって、普通の攻撃魔法などのように、伝えられていかない。
呪術も同じで、同じ呪いをしないようにと、呪術を記した古文書がたまに発見されるくらいだ。
浮竹は、大金をはたいて古文書や古代の魔法書を買い漁る。
長い時間を生きていると、趣味も変な形になってくる。
「あ、これもいい」
「浮竹、それ水虫を感染させる魔法だよ。誰にかけるの」
「京楽に」
「酷い!僕ってモルモット?」
京楽は、浮竹から水虫を感染させる魔法書をとりあげて、浮竹の背では届かない棚の上に置いた。
「まったく、浮竹は変な魔法ばかり欲しがるんだから」
「むー」
浮竹は、ふてくされた。
でも、他に4つ魔法書を買い、古代の魔道具を3つほど買って、魔法屋を後にした。
「浮竹、いつまですねてるのさ」
「ふん」
「帰ったら、プリン作ってあげるから」
「プリン!約束だぞ?」
浮竹の機嫌はすでに直っていた。
戦闘人形はある程度のデザートは作れるが、プリンやらアイスクリームは作れなかった。
浮竹はスイーツが大好きだ。
以前、レストランで生まれて初めてプリンを食べて、感動していた。
京楽は、浮竹を喜ばせるためにレシピを取り寄せ、最近ようやく納得のできる代物が作れるようになったのだ。
結局、魔法屋で金貨40枚を使った。
「浮竹さんって、金銭感覚ずれてると思うの。金貨5枚あれば、一家四人が一カ月は楽に生活できる値段だわ」
浮竹は、もっていた魔法書やらをアイテムポケットに収納した。
「そのアイテムポケット、いいわね」
「魔法道具屋で、金貨100枚で売ってるぞ」
「高すぎるわよ」
「そうか?」
「まぁ、浮竹は収集物に金をかけるの好きだから。金持ちだし。僕も浮竹にいつも買ってもらって・・・・・・はっ、僕って、ヒモ?」
「ヒモね」
「ヒモだな」
京楽は、二人の反応にズーンと落ち込んだ。
「ヒモでもいいじゃないか、京楽。俺は、ヒモでもお前を愛してるぞ」
「こんな往来でラブシーンかますの?」
「はっ、ここは古城の外だったな」
「認識阻害の魔法がかかっているとはいえ、目立つから駄目だね」
そのまま、3人は錬金術士ギルドでエリクサーの材料をいくつか買い、市場でプリンの材料をかって、古城に戻った。
「見てくれ。新しく習得した暖かい空気を出せる魔法なんだが、髪を乾かす時なんかにいいと思わないか?」
浮竹が魔法を使うと、熱風とまではいかなかったが、温かい風がでてきた。
「お、その魔法いいね。寒い時なんかでも使えそうだ」
「あらほんと。髪を乾かすのに便利そうね」
「買って正解だった。民間魔法の中には、こんな風に役立つ魔法もあるから、魔法収集は止まらない」
浮竹は、古今東西の魔法書を買いあさり、ほとんどを会得していた。
火属性の魔法が得意だが、全属性の魔法を使える。聖属性の魔法は苦手であるが。
禁呪といわれる魔法にも、手を出していた。
禁呪の魔法は、威力がけた違いなので、いつもは封印している。
ちなみに、始祖魔女ローデン・ファルストルを封印した魔法は禁呪の魔法の一つであった。
浮竹がその気になって、禁呪を使えば、こんな古城は跡形もなく消しとぶだろう。
今日の夕食のメニューは、ピザにポテトフライ、唐揚げ、プリンだった。
「うーん美味しい!カロリーめちゃ高そうだけど、止まらない!」
戦闘人形に、人間世界のジャンクの食べ物のレシピを渡して、作らせたものだった。
「ピザは、チーズがうまいな。それにプリンもある」
「約束だからね」
夕飯ができるまでの間、浮竹は乱菊と錬金術について語っていた。
魔女と錬金術は切っても切れない仲だ。
乱菊自身、鋼鉄クラスの錬金術士だった。
夕食を食べ終わり、風呂に入って三人が今後のことについて話していた。
「エリクサーの材料に、世界樹の雫がいる。S級ダンジョンの深層部でしか手に入らない。まず今市場には出回ってないな」
「じゃあ、とりにいく?」
「とにりにいこうよ」
乱菊がまずとりにいくといって、次に京楽がとりにいくことを承諾した。
それから数日がすぎた。
浮竹の元で、乱菊は錬金術の腕を磨いていた。銀クラスまで腕があがっていた。
「ふう、今日はここまでにしよう」
「ありがとう浮竹さん。もう、師匠ね。浮竹師匠って呼ぼうかしら」
「普通に浮竹でいい」
その日の夜。
「乱菊、S級ダンジョンのモンスターは倒せるか?」
「力不足だったら、後ろからついていくでいいわよ?」
「乱菊ちゃんの身は、僕が守ろう」
「あら、嬉しい」
「乱菊・・・・その、今夜はその」
「あー、そういうことね。あたしは3階のゲストルームで寝るし、二人についての過去は覗かないって約束したから、早めに休むわ」
「すまん」
「もうあたしがここにきて半月ですもんね。そりゃ、我慢も限界になるでしょ」
京楽と浮竹は顔を見合わせあって、赤くなるのであった。
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「ああっ!」
浮竹は、乱れた。
数日に1回は必ず睦み合うのだが、乱菊が来てから一度も肌を重ねていなかった。
「浮竹のここ、きゅうきゅう絞めつけてくる」
「やっ」
最奥を抉られて、浮竹は啼く。
「あああ、あ!」
京楽の熱は、やや乱暴に浮竹の中を出入りした。
「気持ちいいかい?」
「あ、気持ちいい・・・血を、血を吸ってくれ」
吸血もされていなかった。
京楽は、肩にもちあげた浮竹の太ももに噛みついて、吸血した。
「ああああ!」
びくんと浮竹の背がしなり、浮竹は精を吐き出していた。
「乱菊ちゃんが同じ古城にいると思うと、燃えるね」
「やあああ、あ、あ!」
「十四郎は、燃えない?」
「あああ、背徳感が、する、ああ!」
ずちゅりと中を犯していく熱に、思考まで侵されていく。
「乱菊ちゃんもかわいいけど、やっぱり浮竹が一番かわいくて美人だよ」
「やあっ」
「僕の精子、たっぷり受け止めてね?」
「ああああ!!!」
京楽は、猛った己のもので、浮竹を貫いた。
最奥までくると、びゅるびゅると、最近溜まっていたので濃い精子を吐き出していた。
「ああ、うあああ」
浮竹も、京楽の手の中に白い液体を吐き出していた。
「んん・・・・」
何度も口づけを交わし合い、お互いに吸血を繰り返した。
そんな夜も更けていく。
京楽は、白猫にキスをした。
白猫はぺろぺろと応えてくれた。
白いオッドアイの猫を見て、浮竹は眉を顰めた。
「どうしたの浮竹。猫、嫌い?」
「いや、嫌いじゃない。でも、猫は寿命が短いから、飼うのはちょっと・・・・」
「じゃあ、始祖の血をあげたら?」
「猫に始祖の血が効くのか?」
「分かんない。試してみれば?」
浮竹は、指を噛み切って、血をにじませるとそれを猫の口元に持ってきた。
「にゃあん」
猫は、浮竹の怪我をした傷口を舐めるように、血を口にした。
そして、京楽の肩に乗った。
「やったー!始祖の血よ!」
ドロン。
音がして、京楽を下敷きにして、肌も露わな神々の谷間を持つ、金髪の美女がいた。
「胸が重い・・・・」
「えー。あたしの胸は、楽園よ?」
「と、とにかくどいてくれないかな」
「やーん。あたしとキスした仲じゃない?」
「京楽・・・浮気は・・・・」
怒りに震える浮竹に、京楽が首を振る。
「うわー、違う、浮竹、これは違う!」
「あら。いい男だと思ってたら、奥さんいたの」
「奥さん?誰がだ」
「だって、あなたからこの男の匂いがする」
浮竹は、真っ赤になって、美女をどかそうとした。すると、美女は神々の谷間にその手を誘導した。
「いやん、エッチ♪」
「お前は誰だ。魔女だろう」
「あら、ばれてるの?」
「魔女の使う、香の匂いがする。何より、その身に宿す魔力が尋常じゃない。人ではないのがすぐに分かる」
浮竹は、美女と距離をとる。
「あたしは、猫の魔女、松本乱菊。始祖のローデン・ファルストルを封印した始祖のヴァンパイアがいるって聞いて、魔女の代表として会いにきたの。よろしくね?」
「敵でも打とうというつもりか?」
「ううん。あたし、あの始祖嫌いだから。ちょっとあたしより見た目が若いからって、あたしのことおばさんっていうのよ、あの始祖!ほんと許せない!」
「おば・・・・」
「何か言おうとした?」
「な、なんでもない」
浮竹は、猫のように爪を尖らせた乱菊を見て、顔を青くさせた。
乱菊は猫の時のように、オッドアイだった。
銀と金の、綺麗なオッドアイだった。
「魔女の中には、瞳に力を持つ者がいる。オッドアイはその傾向が強い。乱菊、お前もそうだろう?」
「そうよ。あたしは、あたしの目で見つめた者を、自分の虜にできる。でも、あなたたち二人は、できてるみたいだから、あたしの目を見てもなんにもならないみたい」
「それはよかった」
「とりあえず、どいてくれないかな、乱菊ちゃん」
「あら、ごめんなさい。まだ名前を聞いていなかったわね?」
「俺は浮竹十四郎。お前の下にいるのが京楽春水。俺の血族だ」
「あら、お熱いのねv」
また、浮竹は真っ赤になった。
「お前のその瞳は、過去も見れるのか!?」
「そうよ。未来はほとんど見えないけど、過去はよく見るわ。あら、ホントに熱い。あなた、華奢なのにこの京楽さんって人と最後まで睦み合えるのね?」
浮竹は、ゆでダコのように真っ赤になって、乱菊の下から這い出してきた京楽を、拳で殴った。
「痛い!なんで僕を殴るの!何もしてないよ!」
「この魔女は過去を見る力がある。俺とお前がセックスしてるシーンを、見られ放題なんだ」
乱菊は、浮竹と京楽の睦み合う過去を見つめた。
浮竹の、そのけしからん色っぽさに、乱菊も鼻血を噴き出した。
「ああ、いいもの見せてもらったわ」
「勝手に過去を見るな!」
「僕は別に構わないよ?」
「俺が、嫌なんだ!」
浮竹は、乱菊に命令した。
「しばらくの間この古城にいてもいいが、過去をむやみに見ないこと!分かったな?」
「あら~。話が分かる人で助かったわ。始祖の浮竹さん?あなたの血、確かにいただいたわよ」
そういう乱菊の舌の上には、凝固された浮竹の血の結晶があった。
「この血があれば、いろんなポーションが作れそう」
魔女は、薬を作ることが多く、大半は錬金術士の資格を有している。
「あ、それはエリクサー!」
浮竹は、わざとエリクサーを乱菊に見せた。
「これが欲しいか?」
乱菊の前で、ゆらゆらとエリクサーの中身を振ってみせる。
猫の魔女だけあって、じゃれついたように反応した。
「もらい!」
口で、エリクサーをくわえて、乱菊はエリクサーを大事そうに神々の谷間に入れた。
「売れば大金持ちよ!」
「ちなみに、そのエリクサーは俺が作った。大人しくしているなら、このミスリルランクの錬金術士としての腕を、見せてやらんでもない」
「ええ、マジなのそれ!みたい、みたいわ!ミスリルランクなんて、この世界で五人もいないじゃないの!」
「ふふふふ・・・・・・」
浮竹は、乱菊の懐柔に成功した。
「浮竹さん、約束よ?ちゃんと、エリクサー作る場面見せてね?」
乱菊は、猫の姿になると、浮竹の肩に乗って、浮竹にキスをした。
「あ、浮竹、浮気は許さないよ」
「ただのあいさつだろう」
「そうよ。魔女の世界では、キスはただの挨拶。まぁ、唇には普通しないんだけど」
「やっぱり浮気だ!」
食ってかかる京楽を、スリッパではたいて、浮竹は寝るために寝室に戻っていった。
「しくしく・・・・(ノД`)・゜・。」
一人取り残された京楽は、涙するのであった。
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まだ、魔女の乱菊が来る前の、浮竹と京楽が睦み合っていた頃。
「うふふふ。兄様素敵。兄様、兄様・・・・・・」
血の帝国の宮殿にある後宮で、千里眼をもつ寵姫に、浮竹と京楽が睦み合っている姿をイメージで分けてもらって、ブラッディ・ネイはもだえていた。
本棚には、京楽×浮竹とかいう同人誌が、置かれていた。
ブラッディ・ネイは実の兄、浮竹に固執している。
変態的な意味でも。
実の兄の情事を盗み見て、興奮していた。
「キュリア、もういいよ。ボクは、君を抱きたい」
「ブラッディ・ネイ様・・・・」
寵姫キュリアは、頬を染めて、体をブラッディ・ネイに任せた。
「兄様って呼んでいい?」
「ブラッディ・ネイ様のお好きなように・・・この身はブラッディ・ネイ様のもの。あなたが望まれるのなら、この千里眼をいくらでもお使いください」
キュリアの肩に噛みついて、吸血する。
キュリアは、その快感に頬を薔薇色に染めた。
「あああ、ブラッディ・ネイ様」
「兄様、兄様・・・ああ、愛してるよ兄様。たとえ京楽が相手でも、許してあげる。兄様が愛しているなら・・・。兄様、愛してる」
寵姫キュリアに接吻する。
甘い血の味を、キュリアにも味合わせた。
「ボクの血を飲んで、キュリア」
「はい、ブラッディ・ネイ様」
キュリアは、ブラッディ・ネイの肩に噛みついて、吸血した。
セックスの時の吸血行為は快感でしかなく、ブラッディ・ネイもキュリアも、どちらもお互いを吸血しあいながら、乱れていった。
「ああ、愛してるよ兄様。もっと、もっと乱れて?もっとボクを求めて?ああ、いいね、兄様・・・・」
「ああん」
甘い声をあげる寵姫を抱きながら、脳内では浮竹を犯していた。
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「ここでこうだ」
ボン!
錬金術士の館で、浮竹は魔女の姿に戻った乱菊の前で、エリクサーを調合していたのだが、失敗して黒こげになっていた。
せっかくの白い髪も、焦げてしまっていた。
金髪の乱菊の髪はアフロになっていた。
「神の涙というだけあって、調合が難しいわね」
「そうなんだ。成功率は5%以下。材料費が高いから、元をとるためにどうしても高くなる」
「おまけに、エリクサーを調合できる、ミスリルランクの錬金術士は世界に5人しかいないわ。浮竹さんを入れて、6人かしら」
「まぁ、俺は正式に錬金術士ギルドに登録してないからな。一応金クラスってことにはなってるらしいが」
「あら、もったいない。ミスリルクラスなら、依頼がいっぱいきてうはうはじゃないの。まぁ、金クラスでも依頼はたくさんくるでしょうけど」
錬金術士は、銅、鉄、鋼鉄、銀、金、プラチナ、ミスリルの順でランクが高くなっていく。
浮竹が装っている金クラスは、上から3つ目で、かなりの上位であるが、昔人間社会の錬金術士ギルドに登録した頃から、金クラスのままだ。
ミスリルクラスになったことを、報告していなかった。
ミスリルクラスになっていれば、ガイア王国から王宮への徴収がかかる。
そんなの、死んでもごめんだった。
おまけに始祖ヴァンパイアだと分かると、退治されそうだ。死なないけど。
「今日はこのへんにしとこう。エリクサーの材料が切れた。町に、買い出しにいってくる」
浮竹は、自分の焦げた髪を再生させて、アフロになった乱菊の髪にも血を少しだけわけてあげて、普通の髪型に戻してやった。
「あら、あたしもついていくわ」
「だめだ。お前の美貌は目につくから、認識阻害の魔法をかけなきゃいけない」
「浮竹さんは、自分にもいつも認識阻害の魔法をかけてるの?」
「ああ。京楽と冒険者ギルドに行く時とかなんかにかけてる」
「あたしも、これでも魔女よ。自分に認識阻害の魔法くらい、かけれるわ」
「じゃあ、この材料を買ってくるか?」
「うーん」
ずらりと書かれた材料に、果たしてお金はどれくらいかかるのだろうかと計算していた。
「浮竹、乱菊ちゃん、昼食の用意ができたよ」
「あら、京楽さんのビーフシチュー、おいしくて私好きなのよね」
「今日はカレーだよ」
「それもおいしそう」
「乱菊、あまり京楽を調子づかせるな。また明日もカレーになるぞ」
「あら、おいしいならいいじゃない」
「3日間、3食カレーとか体験してみろ。絶対、嫌になる」
「それはさすがに嫌ね」
「酷い!」
泣いたふりをする京楽を無視して、食堂に移動した。
テーブルの上では、おいしそうなシーフードカレーが、海鮮サラダと一緒に三人分用意されてあった。
飲み物は、最高級クラスのワインだった。
「あら、このワイン、やだ、年代ものじゃない。金貨10枚はするわよ」
「金は腐るほどある。金がなくなったら、ドラゴンを退治して素材を売りさばいて、住処にためこんだ金銀財宝もいただく」
「やだ、鬼畜だわ」
「まぁ、性格の穏やかなドラゴンは倒せないから、金銀財宝を奪うだけになる時が多いが」
「やだ、ドロボーだわ」
「乱菊ちゃん、それ浮竹には全然ダメージにならないよ。浮竹、楽しんでるから」
浮竹は、くつくつと笑った。
「反応が新鮮で面白い。魔女の友人なんてできるとは思わなかった」
「あら、あたしもヴァンパイアに友人ができるとは思わなかったわ」
「僕も、その中に入ってるよね?」
「あら、京楽さんはただの知り合いよ」
「酷い!僕とのことは遊びだったのね!」
泣きだす京楽を無視して、二人はカレーを食べだした。
「あら、おいしい。隠し味に、人間の血を使ってるでしょ?」
「なんでわかったんだい?」
「あなたの過去を少し見たの。浮浪児の少女から、注射器で血を抜いて、金貨を10枚握らせているシーンが浮かんだわ」
「京楽、カレーにまた人間の血を混ぜたのか」
「ごめん、いつもの癖で」
「魔女には、口に合わないだろう?」
「別に大丈夫よ。魔女の中には、処女の血が長生きの否決になるって、ヴァンパイアみたいに襲って血をぬいたりするバカもいるくらいだし。人間の血を好むはずのヴァンパイアと一緒にいれば、自然と血を口にするときもあるでしょうし」
「なんていうか、心が広いな。嫌いじゃない」
「あら、嬉しいわ。あたし、浮竹さんのこと、けっこう好きよ?」
「俺も乱菊のことは、けっこう好きだ」
「浮気はだめだよ!」
二人は、顔を見合ってクスリと笑った。
「あくまで、友人としてだ」
「そうよ。血族のいる始祖ヴァンパイアに惚れるほど、愚かじゃないわ」
カレーとサラダを食べ終えて、浮竹と京楽と乱菊の三人で、町に買い出しに出かけた。
食材は戦闘人形が買ってきてくれていたので、主に錬金術の材料になるものを買い漁った。
魔法屋で、浮竹はわけのわからない古代の魔法書を、金貨4枚で購入していた。
「水虫が早く治る魔法だそうだ。民間魔法の一つだな」
浮竹は、宝箱のミミックに齧られて倒して魔法書を手にする以外にも、魔法や呪術を集めている。民間魔法は生活の中にある魔法であって、普通の攻撃魔法などのように、伝えられていかない。
呪術も同じで、同じ呪いをしないようにと、呪術を記した古文書がたまに発見されるくらいだ。
浮竹は、大金をはたいて古文書や古代の魔法書を買い漁る。
長い時間を生きていると、趣味も変な形になってくる。
「あ、これもいい」
「浮竹、それ水虫を感染させる魔法だよ。誰にかけるの」
「京楽に」
「酷い!僕ってモルモット?」
京楽は、浮竹から水虫を感染させる魔法書をとりあげて、浮竹の背では届かない棚の上に置いた。
「まったく、浮竹は変な魔法ばかり欲しがるんだから」
「むー」
浮竹は、ふてくされた。
でも、他に4つ魔法書を買い、古代の魔道具を3つほど買って、魔法屋を後にした。
「浮竹、いつまですねてるのさ」
「ふん」
「帰ったら、プリン作ってあげるから」
「プリン!約束だぞ?」
浮竹の機嫌はすでに直っていた。
戦闘人形はある程度のデザートは作れるが、プリンやらアイスクリームは作れなかった。
浮竹はスイーツが大好きだ。
以前、レストランで生まれて初めてプリンを食べて、感動していた。
京楽は、浮竹を喜ばせるためにレシピを取り寄せ、最近ようやく納得のできる代物が作れるようになったのだ。
結局、魔法屋で金貨40枚を使った。
「浮竹さんって、金銭感覚ずれてると思うの。金貨5枚あれば、一家四人が一カ月は楽に生活できる値段だわ」
浮竹は、もっていた魔法書やらをアイテムポケットに収納した。
「そのアイテムポケット、いいわね」
「魔法道具屋で、金貨100枚で売ってるぞ」
「高すぎるわよ」
「そうか?」
「まぁ、浮竹は収集物に金をかけるの好きだから。金持ちだし。僕も浮竹にいつも買ってもらって・・・・・・はっ、僕って、ヒモ?」
「ヒモね」
「ヒモだな」
京楽は、二人の反応にズーンと落ち込んだ。
「ヒモでもいいじゃないか、京楽。俺は、ヒモでもお前を愛してるぞ」
「こんな往来でラブシーンかますの?」
「はっ、ここは古城の外だったな」
「認識阻害の魔法がかかっているとはいえ、目立つから駄目だね」
そのまま、3人は錬金術士ギルドでエリクサーの材料をいくつか買い、市場でプリンの材料をかって、古城に戻った。
「見てくれ。新しく習得した暖かい空気を出せる魔法なんだが、髪を乾かす時なんかにいいと思わないか?」
浮竹が魔法を使うと、熱風とまではいかなかったが、温かい風がでてきた。
「お、その魔法いいね。寒い時なんかでも使えそうだ」
「あらほんと。髪を乾かすのに便利そうね」
「買って正解だった。民間魔法の中には、こんな風に役立つ魔法もあるから、魔法収集は止まらない」
浮竹は、古今東西の魔法書を買いあさり、ほとんどを会得していた。
火属性の魔法が得意だが、全属性の魔法を使える。聖属性の魔法は苦手であるが。
禁呪といわれる魔法にも、手を出していた。
禁呪の魔法は、威力がけた違いなので、いつもは封印している。
ちなみに、始祖魔女ローデン・ファルストルを封印した魔法は禁呪の魔法の一つであった。
浮竹がその気になって、禁呪を使えば、こんな古城は跡形もなく消しとぶだろう。
今日の夕食のメニューは、ピザにポテトフライ、唐揚げ、プリンだった。
「うーん美味しい!カロリーめちゃ高そうだけど、止まらない!」
戦闘人形に、人間世界のジャンクの食べ物のレシピを渡して、作らせたものだった。
「ピザは、チーズがうまいな。それにプリンもある」
「約束だからね」
夕飯ができるまでの間、浮竹は乱菊と錬金術について語っていた。
魔女と錬金術は切っても切れない仲だ。
乱菊自身、鋼鉄クラスの錬金術士だった。
夕食を食べ終わり、風呂に入って三人が今後のことについて話していた。
「エリクサーの材料に、世界樹の雫がいる。S級ダンジョンの深層部でしか手に入らない。まず今市場には出回ってないな」
「じゃあ、とりにいく?」
「とにりにいこうよ」
乱菊がまずとりにいくといって、次に京楽がとりにいくことを承諾した。
それから数日がすぎた。
浮竹の元で、乱菊は錬金術の腕を磨いていた。銀クラスまで腕があがっていた。
「ふう、今日はここまでにしよう」
「ありがとう浮竹さん。もう、師匠ね。浮竹師匠って呼ぼうかしら」
「普通に浮竹でいい」
その日の夜。
「乱菊、S級ダンジョンのモンスターは倒せるか?」
「力不足だったら、後ろからついていくでいいわよ?」
「乱菊ちゃんの身は、僕が守ろう」
「あら、嬉しい」
「乱菊・・・・その、今夜はその」
「あー、そういうことね。あたしは3階のゲストルームで寝るし、二人についての過去は覗かないって約束したから、早めに休むわ」
「すまん」
「もうあたしがここにきて半月ですもんね。そりゃ、我慢も限界になるでしょ」
京楽と浮竹は顔を見合わせあって、赤くなるのであった。
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「ああっ!」
浮竹は、乱れた。
数日に1回は必ず睦み合うのだが、乱菊が来てから一度も肌を重ねていなかった。
「浮竹のここ、きゅうきゅう絞めつけてくる」
「やっ」
最奥を抉られて、浮竹は啼く。
「あああ、あ!」
京楽の熱は、やや乱暴に浮竹の中を出入りした。
「気持ちいいかい?」
「あ、気持ちいい・・・血を、血を吸ってくれ」
吸血もされていなかった。
京楽は、肩にもちあげた浮竹の太ももに噛みついて、吸血した。
「ああああ!」
びくんと浮竹の背がしなり、浮竹は精を吐き出していた。
「乱菊ちゃんが同じ古城にいると思うと、燃えるね」
「やあああ、あ、あ!」
「十四郎は、燃えない?」
「あああ、背徳感が、する、ああ!」
ずちゅりと中を犯していく熱に、思考まで侵されていく。
「乱菊ちゃんもかわいいけど、やっぱり浮竹が一番かわいくて美人だよ」
「やあっ」
「僕の精子、たっぷり受け止めてね?」
「ああああ!!!」
京楽は、猛った己のもので、浮竹を貫いた。
最奥までくると、びゅるびゅると、最近溜まっていたので濃い精子を吐き出していた。
「ああ、うあああ」
浮竹も、京楽の手の中に白い液体を吐き出していた。
「んん・・・・」
何度も口づけを交わし合い、お互いに吸血を繰り返した。
そんな夜も更けていく。
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