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03 2024/04 29 30 05

始祖なる者、ヴァンパイアマスター35

始祖魔族、藍染惣右介は自分の配下であるグリムジョーに、魔人ユーハバッハの血を大量に注射した。

グリムジョーは魔人ユーハバッハの意識に飲まれそうになりながら、己を保った。

「始祖浮竹と血族の京楽・・・・」

藍染にすりこまれた、敵の名前であった。

すこまれた怒りと憎悪は、グリムジョーの心を真っ黒に染め上げた。

「殺す。俺が殺す」

ただ血を求めて、グリムジョーは歩き始める。

魔国アルカンシェルで、グリムジョーは藍染を手にかけていた。

自分をこんな風にした藍染に、耐えきれなくなったのだ。

ぐしゃりと、藍染の顔を床に叩きつけて、その脳みその中身をぶちまけてやった。

でも、藍染は不老不死だ。

ゆっくりと傷を再生する藍染を最後まで見守ることもなく、グリムジョーは魔国アルカンシェルを後にするのだった。

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「浮竹、そのまま動かないで」

古城で、京楽は浮竹をモデルにして絵を描いていた。

「ちょっと見せろ」

「ああ、動いちゃだめだよ!」

浮竹が見た京楽の絵は、例えるならピカソであった。

「これのどこが俺なんだ」

「ほら、こことかちゃんと髪長いし、君のエロティックな瞳もここにちゃんとあるし、桜色の唇だってここに」

スパーーン。

ハリセンをうならせて、浮竹は京楽の頭を殴った。

「恥ずかしいこと言うな!」

「まぁまぁ。続き描きたいから、もう一回座ってモデルになって?」

始めはヌードモデルをしろと言われて、京楽の頭をハリセンが殴り続けたら、普通の姿でいいと言われた。

ソファーに腰かけて、ただ動くこともできずにじっとしてるのは、苦痛だったが。

やがて2時間ほどが経って、絵は完成した。

絵具で塗られた絵は、やはりピカソのようであった。

「ほら、どこからどこを見ても、君にそっくりでしょ?」

「俺がこんな姿なら、顔から目と唇がはみ出ている」

「あくまで君の個性を重点的に描いたから」

瞳は赤く、真紅だった。

背中には、出していなかったヴァンパイアの翼が描かれていた。

「俺かどうかはさておき、とりあえずヴァンパイアを描いたことだけは分かる」

「やだなぁ、そんなに僕の絵が気に入ったの?アトリエとして使ってる部屋に、君の絵は何枚もあるから、壁にでも飾ろうか?」

「やめろ、この美しい古城の中身が損なわれてしまう」

美しく高い調度品が溢れる古城に、京楽の絵を交えると、そこだけ不毛な空間ができそうな気がして、浮竹は断っていた。

「やほー。遊びにきたわよ」

「お、乱菊じゃないか」

「乱菊ちゃん、ちょっとだけお久しぶり」

この前、乱菊が遊びにきたのは今から1カ月ほど前。

ちょうど、浮竹が女神に攫われて4カ月が経った頃だった。

浮竹は相変わらず強いが、京楽は再覚醒をして、今までと比べ物にならないくらい強くなっていた。

「相変わらず、京楽さんの魔力の高さには驚きの言葉しか浮かばないわ」

「僕も、強くなりたくてね。きっかけがあって、再覚醒したんだよ」

「その再覚醒の内容、詳しく聞きたいけど、駄目よね?」

乱菊は、そっと京楽の手をとって、神々の谷間に誘導した。

「いくら乱菊ちゃんでも、言えないね。浮竹が嫉妬しちゃからね」

「おい、京楽、その手はなんだ」

乱菊の神々の谷間に手をつっこんでいる状態に、気づけばなっていて、京楽は焦った。

「いや、これは乱菊ちゃんが勝手に」

「問答無用!」

スパーンとハリセンで叩かれて。京楽は少しだけ涙目になるのであった。


「いやーん、やっぱりこの古城のご飯おいしいわ~」

「好きなだけ滞在するといい」

「じゃあ、お言葉に甘えて、1週間ほどここに泊まってもいいかしら?」

「ゲストルームはいくつもあるし、どれも空いてる。好きなようにするといい」

「やったあ!」

乱菊は、それから1週間泊まった。

その間に、京楽は乱菊にモデルになってくれと頼み、乱菊の肖像画を2枚完成させた。

「うーん、なんていのかしら。斬新だと言われれば、斬新ね」

「僕の浮竹は駄作っていうんだよ。僕の芸術を理解してくれなくてね」

「うーん。でも、プロの人が見たら、何か意見くれるかもね」

「僕にも浮竹にも、プロの芸術家の知り合いなんていないよ?」

「あたしにつてがあるの。ちょっと任してちょうだい」

そうして、乱菊は京楽の絵の何枚かをもって、出かけてしまった。

帰ってもってきたのは、金貨の袋だった。

「凄いわよ、京楽さん。先生が大絶賛なの。絵を売ってくれって言われて売っちゃたけど、別にかまわないわよね?」

「うん、僕はかまわないよ」

「信じられん。あの京楽の絵が売れたのか」

にわかに信じがたくて、その画商の名を聞くと、そこそこ有名な画商で、浮竹もその画商から何枚か高価な絵をかって、古城に飾っていた。

「あの絵がなぁ」

浮竹は、まだ納得がいかないようだった。

「もう、浮竹も素直に僕を褒めてよ!」

「ああ、良かったな京楽。あんな幼稚園児の落書きのような絵が評価されるなんて」

「酷い、何気にけなしてる!」

「まぁ、祝いだ。今日は俺が何か作って・・・・・」

「わあああ!お祝いとかいいから、今日は僕が作るね!」

そう言って、京楽はキッチンに向かってしまった。

その日の夕食を食べて、次の日の朝には乱菊はガイア王国の、古城に近い街にある屋敷に帰っていった。

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「あのー、浮竹さん、京楽さん、これ届け物なんすけど」

現れたのは、一護だった。

「誰からだい、一護君」

「ブラッディ・ネイから」

浮竹は荷物を受け取り、中身を見る。

そして中身を流し台に捨てて、容器をゴミ箱に放り投げた。

「何が入ってたんすか?」

「媚薬だ。おまけに強烈なやつ」

「ええ、勿体ない!」

京楽が、流し台を見るが、全部綺麗に流れた後だった。

「京楽に飲ませたら、お前朝まで俺を犯すだろう!ブラッディ・ネイは変なものしか送ってこない。この前は、大人のおもちゃだったか・・・叩き壊したが」

「はは・・・・」

一護は、乾いた笑いを浮かべるのであった。

「じゃあ、俺の用は済んだんで、戻りますね」

ピリリリリリ。

いきなり、警告音が響いた。

「な、なんすか?」

「侵入者だ。一護君は、安全な場所に避難していてくれ。奥のゲストルームにでも入っていてくれ」

「はい」

「行くぞ、京楽」

「うん、分かってるよ」

侵入者は、若い男だった。

「藍染の匂いと、魔人ユーハバッハの匂いがぷんぷんする」

「魔人ユーハバッハの血を、大量に注射されてるようだね」

「俺はグリムジョー・ジャガージャック。大人しく、殺されやがれ!」

グリムジョーは、鋭い爪で襲い掛かってきた。

「なんて速さだ!反応速度がはやい」

「足場を悪くしよう」

浮竹は、そう言って、足場を沼地にかえた。

「ちっ、これくらいで俺の素早さを奪ったつもりか!」

「浮竹!」

グリムジョーの爪が、浮竹の肩に触れた。

鮮血が舞う。

「よくも浮竹に傷を・・・!」

京楽は、その神に匹敵しうる魔力をとがらせて、グリムジョーに向けては放つが、グリムジョーは特技のスピードで、それを避けてしまった。

「く、ちょこまかと・・・・・」

「フリーズアイビー!」

浮竹が呪文を唱えた。

それは氷の蔦となってグリムジョーの体にまといつき、グリムジョーの動きを封じた。

「今だ、京楽!」

「うん、分かってるよ!」

京楽は、自分の血でできた槍で、グリムジョーの腹を貫ていた。

「がはっ」

「グリムジョー!?」

出てきたのは、一護だった。

「一護君、危ない!」

怪我を負ったものの、致命傷にはなりえず、グリムジョーは尖らせた爪で一護に襲いかかろうとした。

「一護!?一護じゃねぇか!」

グリムジョーは、振り上げていた手を下げた。

「やっぱりグリムジョーだ。懐かしいな」

「一護君、知り合いか?」

「ああ、浮竹さん。こいつ、ヴァンピールなんだ。生まれ故郷で一時期一緒に暮らしてた」

「今回の敵が、一護の知り合いだったとはな。止めた止めた。強そうで勝てそうにねぇし、命は惜しいしな」

そう言って、グリムジョーは尖らせていた爪を元に戻した。

殺気が消えて、一護の知り合いということもあって、浮竹と京楽も昂っていた魔力を通常に戻す。

「君は、魔人ユーハバッハの血に汚染されているね。取り除いてあげるから、こっちいおいで」

「なんだと?そんなこともできるのか?」

グリムジョーは半信半疑で京楽に近寄る。

京楽は魔法陣を描きだすと、グリムジョーの中の血液から、魔人ユーハバッハの血だけを取り除いた。

魔人ユーハバッハの血は、蠢いて次の標的に京楽を選んだ。

「おっと、危ない危ない」

京楽は自分の血を燃やし、ついでに魔人ユーハバッハの血を燃やして蒸発させた。

「これで、君はもう大丈夫だ」

その言葉に、グリムジョーが簡単に動く。前よりもスピードは落ちているが、いつもの自分の肉体だった。渦巻くような血液の濁りが消えていた。

腹の傷も塞がっていた。

ふと、グリムジョーが一護を見た。

「一護、今てめぇは何してやがるんだ」

「ああ、血の帝国で聖女ルキアの守護騎士をしてるぜ」

「守護騎士だぁ?面白そうじゃねぇか。俺も混ぜろとはいわねぇが、お前についていく」

「え、まじかよ。まぁ、俺のだちだし、ルキアに迷惑かけないなら、連れていってもいいぜ」

一護の言葉を受けて、グリムジョーは嬉しそうにしていた。

グリムジョーは戦いが好きだった。戦いの中で己を見つけていた。

「やっぱお前とのバトルが一番滾るからな。一護、今度俺と勝負しろ」

「とりあえず、ルキアの許可を得てからだな」

「話は決まったな。じゃあな、始祖の浮竹とその血族の京楽。藍染からお前らを殺せって命令されてたが、俺にはあいつの言葉を守る義理はねぇ。あばよ」

そう言って、突然襲いかかってきた藍染の手の者は、自分たちに危害をほとんど加えずに、血の帝国に一護と一緒に帰ってしまった。

「なんだか、台風のような子だったね」

「それより京楽、お前いつの間に魔人ユーハバッハの血を取り除けるようになったんだ?」

「ん、再覚醒してからだね。今度、君に魔人の血が入っても、僕が浄化できるから、安心していいよ」

「いや、まずそんな状態になってたらピンチだろ」

二人とも顔を見合わせて、血の帝国に行ってしまったグリムジョーの成功を祈った。

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「グリムジョーめ!あの裏切者が!」

魔国アルカンシェルでは、藍染が怒りに顔を歪ませていた。

「拾って育ててやった恩を忘れるとは・・・・・」

「藍染様」

「なんだ!」

「寵姫アルテナ様がお見えです」

「愛しいあなた」

ゆらりと、女神アルテナの魂を宿した女性が現れた。女神アルテナは、創造神ルシエードに滅ぼされる直前に、魂だけの存在となり、このアビスの世界に逃れてきていた。

「愛しいあなた。今度は、私たちの子がいくわ。注いでやった女神の力で、あのにっくき始祖浮竹と、その血族京楽を殺してやるのよ」

魂だけの存在となった女神アルテナは、アビスで女神の器を探して、藍染と出会った。藍染は、器にと、魔人ユーハバッハの血を与えた寵姫を差し出してきた。

その器は、嘘のようによく女神アルテナの魂と交じりあい、女神アルテナは復活した。女神としての力は魂にあった。憎き始祖ヴァンパイア浮竹とその血族京楽を葬れるなら、女神アルテナはなんでもした。

「女神と始祖魔族の子、セイラン」

「はい、母様」

女神アルテナは、藍染との間に子を産んでいた。子はセイランと名付けられた女の子であった。

臨月までに1カ月、あと4か月をかけて、セイランは10歳まで成長した。

「さぁ、行ってらっしい。始祖魔族と血族京楽を、いたぶってくるのよ」

「はい、母様」

セイランの顔には、なんの感情も生まれていなかった。

あくまで、女神アルテナにとっても、藍染にとっても、駒にしか過ぎなかった。

「女神アルテナ、次の子を産んでくれ」

「いいわ、愛しいあなたのためなら、何人でも産んであげる」

女神アルテナと、藍染は口づけを交わし合いながら、次の子を作るために寝所に引きこもるのだった。





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