始祖なる者、ヴァンパイアマスター42
「どうして!どうして、血の帝国に入れないの!」
女神アルテナは叫んでいた。
分身体を血の帝国に向けた。
だが、結界が張られているように、女神アルテナの体は血の帝国に入ることができず、その存在を弾かれた。
「まさか、この前ブラッディ・ネイと会った時に、始祖浮竹かその血族の京楽が何かをしたというの?」
まさに、その通りであった。
浮竹が、二度と女神アルテナを血の帝国に入れないように、大金貨2万枚という大金を払って、猫の魔女乱菊に女神アルテナの存在が血の帝国に入れないようにする、小さな水晶玉の魔道具を作ってもらったのだ。
「く、こうなれば、私が直接、浮竹と京楽を叩いてやる!」
女神アルテナは、学習能力がなかった。
一度オリジナルに極めて近い分身体で、浮竹と京楽に敗れていた。
ただ自分には絶対の自信があるので、あの時はまぐれなのだと思い込んでいた。
---------------------------------------------
「浮竹、起きて。朝だよ?」
「んー。あと4時間・・・・」
「もう昼の12時だよ?あと4時間だと、夕方の4時になっちゃう」
京楽の揺り起こされて、浮竹は大きな欠伸をしてやっと起きた。
「朝食が昼食になっちゃたけど、食べるよね?」
「朝食と昼食、両方食う」
その細い体のどこに入るのか、浮竹は本当に朝食と昼食をペロリと平らげてしまった。
デザートの苺を口にしながら、京楽を見る。
「なぁ。お前、自分が魔神になりかけてるの、知っているか」
「は?」
京楽は頭にはてなマークを浮かべた。
浮竹は炎の精霊王を呼び出した。
「なん用だ、我が友よ」
「お前は、この京楽という存在を見て、どう思う?」
「ふむ。魔神だな。カルマを積みすぎて、存在が歪み魔神と化している」
炎の精霊王は、ごく当たり前のように出されてあった紅茶を飲んだ。
「魔人は人間がなるもの。それに比べて、魔神は上位存在がなるもの。魔神となって、我を忘れて暴走する前に、これを授けよう」
炎の精霊王は、金色の首飾りを出してきた。
「これを身に着けている限り、魔神となっても、我を忘れて暴走し、周囲を傷つけることはないだろう」
浮竹はその金色の首飾りを受け取って、京楽に付けさせた。
「では、我は帰る」
紅茶を飲みほして、炎の精霊王は精霊界に戻ってしまった。
「最近のお前は敵に残酷だ。おまけに神に匹敵する魔力を有している。俺の血族であるには変わりないが、その存在がヴァンパイアロードから魔神になりかけている。俺は、お前が魔神になってしまった後、どうなるのかが不安だ」
魔神。
それは神の中でも邪悪な存在がなるもの。もしくはカオスな存在か、カルマを背負いすぎた存在がなるもの。
今の京楽はカルマを背負いすぎて、魔神になりかけていた。
「僕が魔神に・・・でも、僕は今までの僕と基本は変わってないよ?」
「俺は魂に神格があって神になれるらしいが、お前は魔神になれる。二人して、怪物だな」
「僕は、浮竹を守れるなら、魔神にだってなんだってなってやる」
京楽は、金の首飾りを引きちぎった。
「京楽!」
「浮竹、本気で僕が魔神になったとして、君を傷つけると思ってるの!?」
京楽は怒っていた。
浮竹に怒りを抱くのは、数十年ぶりだった。
「違う、俺は!」
「こんな首飾りをつけさせて、僕が暴走するのが前提になってるじゃない!」
「京楽、話を聞け!」
「僕は間違ってない。浮竹、君を傷つけないし、暴走もしない!」
そう言って、京楽は古城から走り去ってしまった。
「京楽・・・・・・」
一人残された浮竹は、じわりと涙を浮かべながら、魔神になっていく京楽のいきつく先を心配していた。
京楽はすぐに戻ってくるものだと思っていた浮竹は、翌日になっても戻ってこない京楽を心配していた。
血の帝国にいき、京楽が来ていないか聞いてみたが、答えはNOだった。
それから3日経っても、京楽は戻ってこなかった。
----------------------------------------------------
「そう。あなたは、魔神なのね。でも大丈夫。あなたの存在は、間違っていない」
女神アルテナの分身体に抱かれながら、怒りに支配されていた京楽は、目を閉じる。
「僕を取り込もうとしても無駄だよ、女神アルテナ。僕は浮竹のものだし、浮竹を傷つけるようなことはしない」
「あら、それは分からないじゃない。ほら、段々浮竹が憎くなってきたでしょう?」
憎悪を抱かせるお香を焚いていたが、京楽にはきいていなかった。
「さぁ、あなたは浮竹が憎くてたまらない」
「浮竹が憎い・・・・」
京楽は、そう装った。
そのほうが、この女神アルテナを絶望させられる。
「僕は、行くよ。浮竹を滅ぼしに」
「流石、魔神ね。さぁ、いってらっしゃい!あなたの雄姿を、私が見守っていてあげる」
女神アルテナの空間から解放された京楽は、古城にきていた。
古城に顔を出すと、浮竹が顔を輝かせて出てきた。
「どうしたんだ、京楽!3日も連絡をよこさず、勝手に消えたりして・・・」
京楽は、完全に魔神になっていた。
「お前、本当に京楽か?俺の血族の、京楽か?」
「ほほほほほ!その子は、もう私の言いなりよ。さぁ、京楽、憎き主である浮竹を屠るのよ!」
京楽は、血の鎌を作り出して、浮竹の胸を貫いた。
「ほほほほ!!」
貫いたふりをして、女神アルテナの胸を貫いていた。
「ほほほほ・・・・な、なぜ・・・・」
「僕が、浮竹を裏切るわけがないでしょ?魔神になっても、僕は僕だ。浮竹のことが大好きで、浮竹を愛している。僕は永遠に浮竹のもので、同時に永遠に浮竹は僕のものだ」
「おのれえええ」
女神アルテナは、貫かれた胸を再生させながら、血反吐を吐きながら、京楽を亡き者にしようと女神だけに許された聖剣エクスカリバーを手に、京楽を貫く。
「ぐふっ・・・・それだけかい?」
「何故!魔神なら、聖剣の力で滅ぶはず!」
「だから、僕は魔神であると同時に、浮竹の血族だって言ってるでしょ。君、バカなの?」
「ふざけるなあああ!!!魔神となった存在が、邪悪でないだと!聖剣で滅ぼせないだと!ふざけるなあああ!」
「ふざけてるのは、君の存在でしょ」
そう言って、京楽は血の剣を作り出して、女神アルテナの胸からへそにかけて、斬り裂いた。
「ああああああ!私の体が!」
女神アルテナは、血しぶきあげながら、京楽を呪う。
「女神の怒りを、思い知れ!」
けれど、自分より上位存在であった京楽には、通じなかった。
「何故!」
「それは、純粋に僕が君よりも強いから」
京楽は、血の刃で女神アルテナを袈裟懸に斬り裂いた。
女神アルテナは、分身体を保っていられなくなり、アストラル体になって逃げようとした。
「動くな」
その魔神の言葉だけで、女神アルテナのアストラル体は、動けなくなった。
「バカな!魔神如きの言葉で、拘束されるはずが!」
上位神なら分かるが、魔神になったばかりの京楽如きの言葉に束縛されるはずはないと、女神アルテナは叫んだ。
「やれ、お前たち!」
女神アルテナは、自分が流した血から使徒を召還すると、京楽ではなく浮竹を狙った。
浮竹はすぐに血のシールドを作りだして、それを防いだ。
「おのれえええ!どいつもこいつも、女神である私をこけにしやがって!!」
「もういいよ。滅んで?」
「いやあああああああああ」
京楽は、いつもの魔剣を手にしていた。
ミスリル銀でできたそれは、京楽の魔神としての血を吸収して、真っ赤な刃になっていた。
最初は右手の指を。次に左手の指を。
指の次は手を。
手の次は腕を。
細切れにされながら、女神アルテナは泣きわめいた。
「私が、私が悪かったわ!許してええええ」
「まだ、足が残っているよ?」
「京楽、魔神になったのはいいが、俺の言葉はちゃんと届いているか?」
「うん、大丈夫だよ、浮竹。僕は魔神になっちゃったけど、基本は以前の僕と、同じだよ」
「そうか。ならいいんだ」
浮竹は、安堵した。
「女神アルテナ。分身体であるとはいえ、そこまでダメージを受ければ、本体までダメージはいくだろう。京楽」
「うん、分かってる」
京楽は、浮竹の傍に寄り添って、お互いの手を握り合わせながら、魔力を練っていく。
「「エターナルフェニックス」」
神の寵児と、魔神はの魔力は、一体となって一つの不死鳥を呼び出す。
「シャオオオオオオ」
それは唸り声をあげて、女神アルテナのアストラル体を焼き尽くしいく。
「この私が、この私が、魔神と始祖ヴァンパイア如きにぃぃ!!」
それだけ言い残して、女神アルテナの分身体は、灰となって崩れ落ちた。
「僕は魔神だけど君の血族(モノ)だよ?」
その言葉に頷いて、浮竹に抱きしめられていた。
京楽も、浮竹を抱きしめ返す。
「僕、魔神になっちゃった」
「でも、以前の京楽のままだ」
「うん」
京楽は、浮竹に口づけていた。
「んっ」
「魔神となった僕の血、飲んでみる?」
「そうだな」
京楽の首に噛みついて血を啜る。魔神になった証のように、その血液は魔力を帯びていた。
「前より、甘くなった」
「僕の血を飲めるのは、世界で君一人だけだからね」
「お前の血は、いつでもうまい。お前が魔神になることに恐れを抱いていたが、杞憂だったようだ。それよりこの3日間何をしていた。まさか、女神アルテナを油断させるために、ずっと傍にいたとかいうんじゃないだろうな?」
「ぎくっ」
強張る京楽に、浮竹はにーっこりと笑った。
「この浮気者ーーー!!」
「違うから!確かに傍にはいたけど、手を出したわけじゃないし、出されていないから!」
浮竹の手からハリセンを奪い取り、抱きしめる。
じっと鳶色の瞳で見つめられて、浮竹は赤くなった。
「まぁ、お前がそう言うなら信じる」
3日の間にたまった洗濯ものや浮竹の食事の世話は、いつも通り戦闘人形のメイドがしていてくれたようで、京楽は安心する。
「3日間も君を放置していたけど、気が気でなかったよ。君が悲しんでいるんじゃないかと、思っていた。実質、喧嘩別れみたいなものだったしね」
「俺は、あのくらいじゃ・・・・」
「泣かせて、ごめんね?」
京楽が、浮竹を抱きしめる腕に力をこめる。
「何故、俺が泣いたと分かる」
「ん、予知夢かな。夢の中で、君が波を滲ませているシーンを見た」
「だったら、なんでさっさと戻ってこなかった。ああ、女神アルテナのせいか」
「ごめんね?」
「いや、いい。女神アルテナにも相当ダメージがいったはずだ。今頃、苦しみまくっているだろう」
京楽は、苦しんでいる女神アルテナを想像して、邪悪そうな笑みを浮かべる。
「こら、京楽、何を考えている」
「ん。ちょっと、女神アルテナのことをね?」
それに、浮竹が頬を膨らませる。
「今は俺がいるんだ。俺だけのことを考えろ」
「はいはい。僕のお姫様は、本当にツンデレなんだから」
「誰がツンデレだ!」
ぽかりと殴ってくる浮竹を再度抱きしめて、耳元で囁く。
「君が欲しい」
浮竹は真っ赤になったが、頷いた。
「先に風呂に入り、夕食をとってからだ」
「うん」
---------------------------------------------------------
「あ・・・・」
京楽に胸の先端を甘噛みされて、浮竹は声を漏らしていた。
「んんっ」
京楽が、今度は指でつまみあげながら、浮竹にディープキスをしてくる。
「んっ」
舌と舌を絡ませあいながら、浮竹はもぞもぞしていた。
すでに勃ちあがったものは、触れたくてうずうずしていた。
「あ!」
京楽に勃ちあがったものを舐められて、その快感と恥ずかしさに唇を噛んだ。
「んっ」
京楽の指が、口内に侵入してきた。
「噛むなら、僕の指を噛んで?」
その指に舌を這わせると、京楽はくすぐったそうにしていた。
「愛しているよ、十四郎」
「俺も愛している、春水」
お互い、体液でぐちゃぐちゃになるほど交じりあった。
「あああああ!!」
京楽の熱に引き裂かれて、浮竹は精液を自分の腹にぶちまけていた。
「ひあう!」
ごりっと、京楽のものが最奥を抉って、浮竹は射精しながら、オーガズムでいっていた。
「君の中にいっぱいあげるからね?ちゃんと、受け取ってね?」
「ああああ!!」
熱い飛沫を体の奥で感じて、浮竹は快感と満足感を味わっていた。
「もっとだ、もっと、春水、お前をくれ」
「淫乱な子だね?もっと僕が欲しいの?」
コクコクと、浮竹は頷いた。
「じゃあ、いっぱいあげる。君が嫌がっても、止めてあげない」
「ひああああ!!」
またゴリゴリと奥を侵入してきた熱が弾ける。
「んあっ」
浮竹は、京楽に吸血されていた。
「あああ・・・・・・」
オーガズムの海に巻き込まれて、浮竹は意識を飛ばしそうになるが、京楽の律動で我に返った。
「僕が満足するまでだよ。もっと注いであげるから、頑張って」
「いやあああ」
「嫌がっても、止めてあげないって言ったでしょ?」
「やあああ」
何度も京楽の子種を注がれて、浮竹は意識を失った。
「ごめんね、浮竹。今の僕は、愛しい相手に手加減できないみたいだよ」
すーすーと眠る浮竹の白い前髪をかきあげて、額に口づける。
ずっと音をたてて引き抜くと、京楽が浮竹の中に放った大量の精液が逆流してきた。
それをタオルで受け止めて、濡れたタオルで浮竹の体を拭ってあげて、京楽は浮竹の体内に出したものをかき出す。
「愛してるよ、十四郎。魔神になった僕を変わらず愛してくれて、ありがとう」
京楽の精液にも、魔力が宿っていた。
それを受け止めた浮竹も、また魔力の最大値があがるだろう。
交じりあうのは、愛を確かめあうだけではなく、お互いの力を均等にする役割も果たしていた。
―----------------------------------------------------
「あああああああ!!」
魔国アルカンシェルで、女神アルテナは 見えない消えることのない業火を身に浴びて、転げまわっていた。
「熱い、熱い、熱い!!」
「女神アルテナ!この薬を!」
藍染は、女神アルテナにエクリサーを与えた。
「ありがとう、愛しい人。あの京楽、魔神になったわ」
「魔神だと?」
「そう。カルマを積みすぎて、魔神になったの。利用しようとしたけど、返り討ちにあったわ」
「そうか。魔神か・・・・」
藍染は思案する。
「少し様子を見る必要があるな。誰か、魔王グレスを呼んで来い!」
呼ばれてやってきた魔王グレスは、藍染に不満そうな顔をした。
「もーなんなの。あたし、忙しいんですけどーー」
「魔神と、戦ってみたくはないかい?」
「魔神!?戦ってみたい!」
「そうか。じゃあ、今から教えるから、その場所に魔神がいる・・・・・・」
「魔神かー。楽しみだなぁ。魔王であるあたしより、強いのかしら」
目をキラキラさせて、魔王グレスは、魔神京楽の姿を水鏡に映されて、さらに興味をもつのであった。
女神アルテナは叫んでいた。
分身体を血の帝国に向けた。
だが、結界が張られているように、女神アルテナの体は血の帝国に入ることができず、その存在を弾かれた。
「まさか、この前ブラッディ・ネイと会った時に、始祖浮竹かその血族の京楽が何かをしたというの?」
まさに、その通りであった。
浮竹が、二度と女神アルテナを血の帝国に入れないように、大金貨2万枚という大金を払って、猫の魔女乱菊に女神アルテナの存在が血の帝国に入れないようにする、小さな水晶玉の魔道具を作ってもらったのだ。
「く、こうなれば、私が直接、浮竹と京楽を叩いてやる!」
女神アルテナは、学習能力がなかった。
一度オリジナルに極めて近い分身体で、浮竹と京楽に敗れていた。
ただ自分には絶対の自信があるので、あの時はまぐれなのだと思い込んでいた。
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「浮竹、起きて。朝だよ?」
「んー。あと4時間・・・・」
「もう昼の12時だよ?あと4時間だと、夕方の4時になっちゃう」
京楽の揺り起こされて、浮竹は大きな欠伸をしてやっと起きた。
「朝食が昼食になっちゃたけど、食べるよね?」
「朝食と昼食、両方食う」
その細い体のどこに入るのか、浮竹は本当に朝食と昼食をペロリと平らげてしまった。
デザートの苺を口にしながら、京楽を見る。
「なぁ。お前、自分が魔神になりかけてるの、知っているか」
「は?」
京楽は頭にはてなマークを浮かべた。
浮竹は炎の精霊王を呼び出した。
「なん用だ、我が友よ」
「お前は、この京楽という存在を見て、どう思う?」
「ふむ。魔神だな。カルマを積みすぎて、存在が歪み魔神と化している」
炎の精霊王は、ごく当たり前のように出されてあった紅茶を飲んだ。
「魔人は人間がなるもの。それに比べて、魔神は上位存在がなるもの。魔神となって、我を忘れて暴走する前に、これを授けよう」
炎の精霊王は、金色の首飾りを出してきた。
「これを身に着けている限り、魔神となっても、我を忘れて暴走し、周囲を傷つけることはないだろう」
浮竹はその金色の首飾りを受け取って、京楽に付けさせた。
「では、我は帰る」
紅茶を飲みほして、炎の精霊王は精霊界に戻ってしまった。
「最近のお前は敵に残酷だ。おまけに神に匹敵する魔力を有している。俺の血族であるには変わりないが、その存在がヴァンパイアロードから魔神になりかけている。俺は、お前が魔神になってしまった後、どうなるのかが不安だ」
魔神。
それは神の中でも邪悪な存在がなるもの。もしくはカオスな存在か、カルマを背負いすぎた存在がなるもの。
今の京楽はカルマを背負いすぎて、魔神になりかけていた。
「僕が魔神に・・・でも、僕は今までの僕と基本は変わってないよ?」
「俺は魂に神格があって神になれるらしいが、お前は魔神になれる。二人して、怪物だな」
「僕は、浮竹を守れるなら、魔神にだってなんだってなってやる」
京楽は、金の首飾りを引きちぎった。
「京楽!」
「浮竹、本気で僕が魔神になったとして、君を傷つけると思ってるの!?」
京楽は怒っていた。
浮竹に怒りを抱くのは、数十年ぶりだった。
「違う、俺は!」
「こんな首飾りをつけさせて、僕が暴走するのが前提になってるじゃない!」
「京楽、話を聞け!」
「僕は間違ってない。浮竹、君を傷つけないし、暴走もしない!」
そう言って、京楽は古城から走り去ってしまった。
「京楽・・・・・・」
一人残された浮竹は、じわりと涙を浮かべながら、魔神になっていく京楽のいきつく先を心配していた。
京楽はすぐに戻ってくるものだと思っていた浮竹は、翌日になっても戻ってこない京楽を心配していた。
血の帝国にいき、京楽が来ていないか聞いてみたが、答えはNOだった。
それから3日経っても、京楽は戻ってこなかった。
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「そう。あなたは、魔神なのね。でも大丈夫。あなたの存在は、間違っていない」
女神アルテナの分身体に抱かれながら、怒りに支配されていた京楽は、目を閉じる。
「僕を取り込もうとしても無駄だよ、女神アルテナ。僕は浮竹のものだし、浮竹を傷つけるようなことはしない」
「あら、それは分からないじゃない。ほら、段々浮竹が憎くなってきたでしょう?」
憎悪を抱かせるお香を焚いていたが、京楽にはきいていなかった。
「さぁ、あなたは浮竹が憎くてたまらない」
「浮竹が憎い・・・・」
京楽は、そう装った。
そのほうが、この女神アルテナを絶望させられる。
「僕は、行くよ。浮竹を滅ぼしに」
「流石、魔神ね。さぁ、いってらっしゃい!あなたの雄姿を、私が見守っていてあげる」
女神アルテナの空間から解放された京楽は、古城にきていた。
古城に顔を出すと、浮竹が顔を輝かせて出てきた。
「どうしたんだ、京楽!3日も連絡をよこさず、勝手に消えたりして・・・」
京楽は、完全に魔神になっていた。
「お前、本当に京楽か?俺の血族の、京楽か?」
「ほほほほほ!その子は、もう私の言いなりよ。さぁ、京楽、憎き主である浮竹を屠るのよ!」
京楽は、血の鎌を作り出して、浮竹の胸を貫いた。
「ほほほほ!!」
貫いたふりをして、女神アルテナの胸を貫いていた。
「ほほほほ・・・・な、なぜ・・・・」
「僕が、浮竹を裏切るわけがないでしょ?魔神になっても、僕は僕だ。浮竹のことが大好きで、浮竹を愛している。僕は永遠に浮竹のもので、同時に永遠に浮竹は僕のものだ」
「おのれえええ」
女神アルテナは、貫かれた胸を再生させながら、血反吐を吐きながら、京楽を亡き者にしようと女神だけに許された聖剣エクスカリバーを手に、京楽を貫く。
「ぐふっ・・・・それだけかい?」
「何故!魔神なら、聖剣の力で滅ぶはず!」
「だから、僕は魔神であると同時に、浮竹の血族だって言ってるでしょ。君、バカなの?」
「ふざけるなあああ!!!魔神となった存在が、邪悪でないだと!聖剣で滅ぼせないだと!ふざけるなあああ!」
「ふざけてるのは、君の存在でしょ」
そう言って、京楽は血の剣を作り出して、女神アルテナの胸からへそにかけて、斬り裂いた。
「ああああああ!私の体が!」
女神アルテナは、血しぶきあげながら、京楽を呪う。
「女神の怒りを、思い知れ!」
けれど、自分より上位存在であった京楽には、通じなかった。
「何故!」
「それは、純粋に僕が君よりも強いから」
京楽は、血の刃で女神アルテナを袈裟懸に斬り裂いた。
女神アルテナは、分身体を保っていられなくなり、アストラル体になって逃げようとした。
「動くな」
その魔神の言葉だけで、女神アルテナのアストラル体は、動けなくなった。
「バカな!魔神如きの言葉で、拘束されるはずが!」
上位神なら分かるが、魔神になったばかりの京楽如きの言葉に束縛されるはずはないと、女神アルテナは叫んだ。
「やれ、お前たち!」
女神アルテナは、自分が流した血から使徒を召還すると、京楽ではなく浮竹を狙った。
浮竹はすぐに血のシールドを作りだして、それを防いだ。
「おのれえええ!どいつもこいつも、女神である私をこけにしやがって!!」
「もういいよ。滅んで?」
「いやあああああああああ」
京楽は、いつもの魔剣を手にしていた。
ミスリル銀でできたそれは、京楽の魔神としての血を吸収して、真っ赤な刃になっていた。
最初は右手の指を。次に左手の指を。
指の次は手を。
手の次は腕を。
細切れにされながら、女神アルテナは泣きわめいた。
「私が、私が悪かったわ!許してええええ」
「まだ、足が残っているよ?」
「京楽、魔神になったのはいいが、俺の言葉はちゃんと届いているか?」
「うん、大丈夫だよ、浮竹。僕は魔神になっちゃったけど、基本は以前の僕と、同じだよ」
「そうか。ならいいんだ」
浮竹は、安堵した。
「女神アルテナ。分身体であるとはいえ、そこまでダメージを受ければ、本体までダメージはいくだろう。京楽」
「うん、分かってる」
京楽は、浮竹の傍に寄り添って、お互いの手を握り合わせながら、魔力を練っていく。
「「エターナルフェニックス」」
神の寵児と、魔神はの魔力は、一体となって一つの不死鳥を呼び出す。
「シャオオオオオオ」
それは唸り声をあげて、女神アルテナのアストラル体を焼き尽くしいく。
「この私が、この私が、魔神と始祖ヴァンパイア如きにぃぃ!!」
それだけ言い残して、女神アルテナの分身体は、灰となって崩れ落ちた。
「僕は魔神だけど君の血族(モノ)だよ?」
その言葉に頷いて、浮竹に抱きしめられていた。
京楽も、浮竹を抱きしめ返す。
「僕、魔神になっちゃった」
「でも、以前の京楽のままだ」
「うん」
京楽は、浮竹に口づけていた。
「んっ」
「魔神となった僕の血、飲んでみる?」
「そうだな」
京楽の首に噛みついて血を啜る。魔神になった証のように、その血液は魔力を帯びていた。
「前より、甘くなった」
「僕の血を飲めるのは、世界で君一人だけだからね」
「お前の血は、いつでもうまい。お前が魔神になることに恐れを抱いていたが、杞憂だったようだ。それよりこの3日間何をしていた。まさか、女神アルテナを油断させるために、ずっと傍にいたとかいうんじゃないだろうな?」
「ぎくっ」
強張る京楽に、浮竹はにーっこりと笑った。
「この浮気者ーーー!!」
「違うから!確かに傍にはいたけど、手を出したわけじゃないし、出されていないから!」
浮竹の手からハリセンを奪い取り、抱きしめる。
じっと鳶色の瞳で見つめられて、浮竹は赤くなった。
「まぁ、お前がそう言うなら信じる」
3日の間にたまった洗濯ものや浮竹の食事の世話は、いつも通り戦闘人形のメイドがしていてくれたようで、京楽は安心する。
「3日間も君を放置していたけど、気が気でなかったよ。君が悲しんでいるんじゃないかと、思っていた。実質、喧嘩別れみたいなものだったしね」
「俺は、あのくらいじゃ・・・・」
「泣かせて、ごめんね?」
京楽が、浮竹を抱きしめる腕に力をこめる。
「何故、俺が泣いたと分かる」
「ん、予知夢かな。夢の中で、君が波を滲ませているシーンを見た」
「だったら、なんでさっさと戻ってこなかった。ああ、女神アルテナのせいか」
「ごめんね?」
「いや、いい。女神アルテナにも相当ダメージがいったはずだ。今頃、苦しみまくっているだろう」
京楽は、苦しんでいる女神アルテナを想像して、邪悪そうな笑みを浮かべる。
「こら、京楽、何を考えている」
「ん。ちょっと、女神アルテナのことをね?」
それに、浮竹が頬を膨らませる。
「今は俺がいるんだ。俺だけのことを考えろ」
「はいはい。僕のお姫様は、本当にツンデレなんだから」
「誰がツンデレだ!」
ぽかりと殴ってくる浮竹を再度抱きしめて、耳元で囁く。
「君が欲しい」
浮竹は真っ赤になったが、頷いた。
「先に風呂に入り、夕食をとってからだ」
「うん」
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「あ・・・・」
京楽に胸の先端を甘噛みされて、浮竹は声を漏らしていた。
「んんっ」
京楽が、今度は指でつまみあげながら、浮竹にディープキスをしてくる。
「んっ」
舌と舌を絡ませあいながら、浮竹はもぞもぞしていた。
すでに勃ちあがったものは、触れたくてうずうずしていた。
「あ!」
京楽に勃ちあがったものを舐められて、その快感と恥ずかしさに唇を噛んだ。
「んっ」
京楽の指が、口内に侵入してきた。
「噛むなら、僕の指を噛んで?」
その指に舌を這わせると、京楽はくすぐったそうにしていた。
「愛しているよ、十四郎」
「俺も愛している、春水」
お互い、体液でぐちゃぐちゃになるほど交じりあった。
「あああああ!!」
京楽の熱に引き裂かれて、浮竹は精液を自分の腹にぶちまけていた。
「ひあう!」
ごりっと、京楽のものが最奥を抉って、浮竹は射精しながら、オーガズムでいっていた。
「君の中にいっぱいあげるからね?ちゃんと、受け取ってね?」
「ああああ!!」
熱い飛沫を体の奥で感じて、浮竹は快感と満足感を味わっていた。
「もっとだ、もっと、春水、お前をくれ」
「淫乱な子だね?もっと僕が欲しいの?」
コクコクと、浮竹は頷いた。
「じゃあ、いっぱいあげる。君が嫌がっても、止めてあげない」
「ひああああ!!」
またゴリゴリと奥を侵入してきた熱が弾ける。
「んあっ」
浮竹は、京楽に吸血されていた。
「あああ・・・・・・」
オーガズムの海に巻き込まれて、浮竹は意識を飛ばしそうになるが、京楽の律動で我に返った。
「僕が満足するまでだよ。もっと注いであげるから、頑張って」
「いやあああ」
「嫌がっても、止めてあげないって言ったでしょ?」
「やあああ」
何度も京楽の子種を注がれて、浮竹は意識を失った。
「ごめんね、浮竹。今の僕は、愛しい相手に手加減できないみたいだよ」
すーすーと眠る浮竹の白い前髪をかきあげて、額に口づける。
ずっと音をたてて引き抜くと、京楽が浮竹の中に放った大量の精液が逆流してきた。
それをタオルで受け止めて、濡れたタオルで浮竹の体を拭ってあげて、京楽は浮竹の体内に出したものをかき出す。
「愛してるよ、十四郎。魔神になった僕を変わらず愛してくれて、ありがとう」
京楽の精液にも、魔力が宿っていた。
それを受け止めた浮竹も、また魔力の最大値があがるだろう。
交じりあうのは、愛を確かめあうだけではなく、お互いの力を均等にする役割も果たしていた。
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「あああああああ!!」
魔国アルカンシェルで、女神アルテナは 見えない消えることのない業火を身に浴びて、転げまわっていた。
「熱い、熱い、熱い!!」
「女神アルテナ!この薬を!」
藍染は、女神アルテナにエクリサーを与えた。
「ありがとう、愛しい人。あの京楽、魔神になったわ」
「魔神だと?」
「そう。カルマを積みすぎて、魔神になったの。利用しようとしたけど、返り討ちにあったわ」
「そうか。魔神か・・・・」
藍染は思案する。
「少し様子を見る必要があるな。誰か、魔王グレスを呼んで来い!」
呼ばれてやってきた魔王グレスは、藍染に不満そうな顔をした。
「もーなんなの。あたし、忙しいんですけどーー」
「魔神と、戦ってみたくはないかい?」
「魔神!?戦ってみたい!」
「そうか。じゃあ、今から教えるから、その場所に魔神がいる・・・・・・」
「魔神かー。楽しみだなぁ。魔王であるあたしより、強いのかしら」
目をキラキラさせて、魔王グレスは、魔神京楽の姿を水鏡に映されて、さらに興味をもつのであった。
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