恋い焦がれ プロローグ
高校生活も残りわずか。
ルキアは、一護を、一護はルキアを思っていた。
だが、互いに口にすることはなかった。
ふと、視線が重なる。どちらかがあらぬ方を向いてしまった。
時折尸魂界へ戻るルキアに恋次が、一護には井上というそれぞれの存在がいた。
だが、井上に向ける視線をいつの間にか気づくとルキアを追っていた。井上は、一護がルキアのこと好きなままでいいから付き合ってくれと言われて、了承した。
ルキアもまた、恋次に一護を思ったままでもいいからといわれ、付き合いだした。
だが、うまく噛みあわない。
互いに恋い焦がれ。
けれど、思いあっているにの付き合わなかった。
それはルキアが死神だからだ。
ルキアが人間であれば、すでに告白して付き合っていただろう。
だが、ルキアは尸魂界の住民だ。死神なのだ。生きる世界が違うのだ。
尸魂界へは滅多なことではいけない一護は、それを知っているのでルキアを好きと言わなかった。
ルキアもまた、それを知っている上で一護に好きだと、伝えられなかった。
「おい、ルキア」
「なんだ」
「次の授業、移動だってさ」
「ああ分かった、今行く」
他愛ない会話はできるのだ。それに、ルキアは一護の家に住んでいる。
押し入れが、ルキア部屋だった。
普通にベッドで寝ろというと、拒否された。
一緒に眠るのは恋人同士ではないからと。
それでも。どちらかが好きと言うことはなかった。お互いに、遠慮し合っていた。
一護には井上がいるからと。ルキアには恋次がいるからと。
「今日の夕飯カレーだってよ」
「本当か!遊子の作るカレーは美味いのだ!」
「んで、俺らに帰る前に福神漬け買って来いだとよ」
「カレーのためなのだ!その程度、どうということはない」
本当に他愛もない話はできる。
「ルキア、俺・・・」
「あ、私は少し用を思い出した。それではな、一護」
一護は、何回かルキアに思いをぶつけようとした。けれど、その度に逃げられた。
「はぁ・・・やっぱ、俺の思いなんて迷惑なだけか」
一護はそう思い込む。
ルキアには、恋次がいるのだ。
なのに、思いを告げるだけ無駄かもしれない。
今のままの関係がいいのだろう。そう思い込むしかなかった。
放課後になり、途中で井上と別れて、ルキアと二人きりでスーパーへと足を向ける。
福神漬けを買って、家に帰宅する途中、虚の気配を感じた。
「俺が行く!俺の体を頼む!」
死神代行証で霊体となって死神化した一護が、ルキアが何かを言い出す前に瞬歩で走り去ってしまった。
「一護・・・・」
ルキアは、動かないほうりだされた一護の唇に、口づけをした。
「ああ・・・この狂おしい思いのがどうにかなればいいのに」
一方その頃、一護は複数の虚と対峙していた。
動きが素早い奴ばかりで、腕を少しだけ怪我した。だが、ユーハバッハを倒した腕は健在だ。虚を倒して、ルキアのいる場所に帰還した。
「ルキア、すまねぇ待たせた」
「一護、血が!怪我をしているのか!」
「ああ、これくらいどうってことないさ」
自分の体に戻る。血の出ている個所が、肉体にも現れた。
ルキアはもっていたハンカチを裂いて、一護の腕に巻き付けた。
「おい、そのハンカチ・・・・・・」
白哉からもらった思い出の品だが、一護の怪我のほうが優先度は高い。
「よいのだ、一護。兄様からもらったハンカチはこれ一枚ではない」
「いいのか、本当に」
「よいのだ・・・・・・」
何はともあれ、福神漬けを手に帰宅する。
台所では、すでに帰宅していた遊子がコトコトとカレーを煮込んでいた。
「あ、お帰りなさ、お兄ちゃん、ルキアちゃん」
「いい匂いだな」
「ルキアちゃん、味見する?」
「いいのか?」
ルキアの瞳が見開かれる。
味見をして、カレーの味に酔いしれた。
ルキアはカレーが好きだ。カレーに限らず、現世の食べ物は好きだった。
「お兄ちゃんその怪我は?」
「ああ、なんでもねーんだ」
血を滲ませた腕に、遊子が心配そうな声を出す」
「一兄、どうせまた喧嘩でもしたんでしょ」
「ああ、似たようなもんだ」
夏梨の言葉に頷く。
「一兄、ちょっときてよ。ちゃんとした手当するから」
「ルキア、先に俺の部屋に行っててくれ」
「ああ、分かった」
一護は、夏梨の手で手当てをされた。
傷は思っていた以上に深いものだったが、縫う、というほどでもなかった。
「もういいぜ、夏梨。あとは友達に診てもらう」
「織姫ちゃんだっけ」
「ああ。特別な治癒能力をもってる」
「じゃあ、後は織姫ちゃんに任せるよ」
父親が帰ってきた。
往診していたらしい。
「一護・・・・虚にやられたのか」
「ああ。かっこわりぃとこ見せちまったな」
「一応これでも俺の息子だ。どれ、有料で傷の手当てをしてやろうじゃないか!」
「実の息子から金とる気かよ!夏梨に手当してもらったから、もう大丈夫だこのばか親父!」
「なにおう!?」
「なんだよ!?」
睨み合う二人を夏梨が頭を殴った。
「喧嘩すんなよバカ一兄と親父!」
「え、ああごめん。俺、部屋戻るわ」
一護は自分の部屋に戻った。
そこで目にしたものは、一護のベッドで一護の服を抱き締めながら眠るルキアだった。
「ルキア・・・」
触れるだけの口づけをする。
少し深い眠りに入っていのか、起きなかった。
髪に手をやる。
「ん・・・恋次・・・・」
その言葉にはっとなる。
何をしているんだ、俺は。
ルキアには恋次が、一護には井上がいるのに。
でも、廻りだした歯車は止まらない。
好きとも告げていないのに。でも、行動で分かる。お互い、多分好きあっている。
でも、言葉に出して拒否されるのが怖かった。
それに、もうすぐ卒業だ。
ルキアは尸魂界へ帰り、13番隊隊長代理お呼び副隊長としての復帰が、決まっていた。
「お前を思うだけ無駄なのにな。でも、この心はどうしよもないんだ」
夜が更けていく。
廻りだした歯車は、軋んだ音を立てていく。
お互いに恋い焦がれ。
けれど、思いを告げぬまま。
時間だけが流れていく。
ルキアは、一護を、一護はルキアを思っていた。
だが、互いに口にすることはなかった。
ふと、視線が重なる。どちらかがあらぬ方を向いてしまった。
時折尸魂界へ戻るルキアに恋次が、一護には井上というそれぞれの存在がいた。
だが、井上に向ける視線をいつの間にか気づくとルキアを追っていた。井上は、一護がルキアのこと好きなままでいいから付き合ってくれと言われて、了承した。
ルキアもまた、恋次に一護を思ったままでもいいからといわれ、付き合いだした。
だが、うまく噛みあわない。
互いに恋い焦がれ。
けれど、思いあっているにの付き合わなかった。
それはルキアが死神だからだ。
ルキアが人間であれば、すでに告白して付き合っていただろう。
だが、ルキアは尸魂界の住民だ。死神なのだ。生きる世界が違うのだ。
尸魂界へは滅多なことではいけない一護は、それを知っているのでルキアを好きと言わなかった。
ルキアもまた、それを知っている上で一護に好きだと、伝えられなかった。
「おい、ルキア」
「なんだ」
「次の授業、移動だってさ」
「ああ分かった、今行く」
他愛ない会話はできるのだ。それに、ルキアは一護の家に住んでいる。
押し入れが、ルキア部屋だった。
普通にベッドで寝ろというと、拒否された。
一緒に眠るのは恋人同士ではないからと。
それでも。どちらかが好きと言うことはなかった。お互いに、遠慮し合っていた。
一護には井上がいるからと。ルキアには恋次がいるからと。
「今日の夕飯カレーだってよ」
「本当か!遊子の作るカレーは美味いのだ!」
「んで、俺らに帰る前に福神漬け買って来いだとよ」
「カレーのためなのだ!その程度、どうということはない」
本当に他愛もない話はできる。
「ルキア、俺・・・」
「あ、私は少し用を思い出した。それではな、一護」
一護は、何回かルキアに思いをぶつけようとした。けれど、その度に逃げられた。
「はぁ・・・やっぱ、俺の思いなんて迷惑なだけか」
一護はそう思い込む。
ルキアには、恋次がいるのだ。
なのに、思いを告げるだけ無駄かもしれない。
今のままの関係がいいのだろう。そう思い込むしかなかった。
放課後になり、途中で井上と別れて、ルキアと二人きりでスーパーへと足を向ける。
福神漬けを買って、家に帰宅する途中、虚の気配を感じた。
「俺が行く!俺の体を頼む!」
死神代行証で霊体となって死神化した一護が、ルキアが何かを言い出す前に瞬歩で走り去ってしまった。
「一護・・・・」
ルキアは、動かないほうりだされた一護の唇に、口づけをした。
「ああ・・・この狂おしい思いのがどうにかなればいいのに」
一方その頃、一護は複数の虚と対峙していた。
動きが素早い奴ばかりで、腕を少しだけ怪我した。だが、ユーハバッハを倒した腕は健在だ。虚を倒して、ルキアのいる場所に帰還した。
「ルキア、すまねぇ待たせた」
「一護、血が!怪我をしているのか!」
「ああ、これくらいどうってことないさ」
自分の体に戻る。血の出ている個所が、肉体にも現れた。
ルキアはもっていたハンカチを裂いて、一護の腕に巻き付けた。
「おい、そのハンカチ・・・・・・」
白哉からもらった思い出の品だが、一護の怪我のほうが優先度は高い。
「よいのだ、一護。兄様からもらったハンカチはこれ一枚ではない」
「いいのか、本当に」
「よいのだ・・・・・・」
何はともあれ、福神漬けを手に帰宅する。
台所では、すでに帰宅していた遊子がコトコトとカレーを煮込んでいた。
「あ、お帰りなさ、お兄ちゃん、ルキアちゃん」
「いい匂いだな」
「ルキアちゃん、味見する?」
「いいのか?」
ルキアの瞳が見開かれる。
味見をして、カレーの味に酔いしれた。
ルキアはカレーが好きだ。カレーに限らず、現世の食べ物は好きだった。
「お兄ちゃんその怪我は?」
「ああ、なんでもねーんだ」
血を滲ませた腕に、遊子が心配そうな声を出す」
「一兄、どうせまた喧嘩でもしたんでしょ」
「ああ、似たようなもんだ」
夏梨の言葉に頷く。
「一兄、ちょっときてよ。ちゃんとした手当するから」
「ルキア、先に俺の部屋に行っててくれ」
「ああ、分かった」
一護は、夏梨の手で手当てをされた。
傷は思っていた以上に深いものだったが、縫う、というほどでもなかった。
「もういいぜ、夏梨。あとは友達に診てもらう」
「織姫ちゃんだっけ」
「ああ。特別な治癒能力をもってる」
「じゃあ、後は織姫ちゃんに任せるよ」
父親が帰ってきた。
往診していたらしい。
「一護・・・・虚にやられたのか」
「ああ。かっこわりぃとこ見せちまったな」
「一応これでも俺の息子だ。どれ、有料で傷の手当てをしてやろうじゃないか!」
「実の息子から金とる気かよ!夏梨に手当してもらったから、もう大丈夫だこのばか親父!」
「なにおう!?」
「なんだよ!?」
睨み合う二人を夏梨が頭を殴った。
「喧嘩すんなよバカ一兄と親父!」
「え、ああごめん。俺、部屋戻るわ」
一護は自分の部屋に戻った。
そこで目にしたものは、一護のベッドで一護の服を抱き締めながら眠るルキアだった。
「ルキア・・・」
触れるだけの口づけをする。
少し深い眠りに入っていのか、起きなかった。
髪に手をやる。
「ん・・・恋次・・・・」
その言葉にはっとなる。
何をしているんだ、俺は。
ルキアには恋次が、一護には井上がいるのに。
でも、廻りだした歯車は止まらない。
好きとも告げていないのに。でも、行動で分かる。お互い、多分好きあっている。
でも、言葉に出して拒否されるのが怖かった。
それに、もうすぐ卒業だ。
ルキアは尸魂界へ帰り、13番隊隊長代理お呼び副隊長としての復帰が、決まっていた。
「お前を思うだけ無駄なのにな。でも、この心はどうしよもないんだ」
夜が更けていく。
廻りだした歯車は、軋んだ音を立てていく。
お互いに恋い焦がれ。
けれど、思いを告げぬまま。
時間だけが流れていく。
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