恋い焦がれ 一護の怪我
次の日、学校へいくと井上に傷を診てもらった。
「双天帰盾、私は拒絶する!」
屋上で、治癒術にもなる術を施してもらい、一護の腕の傷は完全に塞がった。
「ありがとな、井上」
「ううん、いいの」
「井上の能力はやはり凄いな」
ルキアが感嘆の声を漏らした。
「もう、朽木さんまで!」
照れた井上は、一護の腕を引き寄せた。
ああ・・・見たくない。
この二人の仲のよい姿を。
「それでは、私が少し用があるので先に戻る。貴様らは好きなだけイチャついてろ」
「おい、ルキア!」
ルキアは走り去ってしまった。
「変な奴・・・・」
一護は知らない。ルキアが一護のことを好きだということを。それはルキアも同じで。一護がルキアのことを好きだということを知らない。
そのまま昼休みが終わり、授業が始まる。
ルキアと一護は隣の席同士だった。
くしゃくしゃに丸めた紙を、ルキアに投げる一護。
その紙には、次に尸魂界へ戻るのはいつだと書かれてあった。
ルキアが高校に通う間、空座町の虚退治はルキアの管轄にあった。
時折、尸魂界に帰って報告をしていた。あと、恋次の様子も見に。
(1週間後だ)
そう書かれた紙が、ぽんと一護の頭に当たった。
そのやりとりが少し楽しくて。授業そっちのけでやっていると。
「黒崎、朽木!廊下に立ってなさい!」
そう教師に怒られた。
数学の教師で、一護の成績まぁまぁいいが、ルキアの成績はどん底に近くて、数学の教師はルキアをなんとかしてやろうと思っていたが、結局記憶置換でテストの成績は80点とかにされるので、意味はなかった。
「貴様のせいで、廊下に立たされたのだぞ!」
「いや、お前だって一緒になって紙投げ出したじゃねーか!」
ルキアが言葉に詰まる。
「品行方正で通してあるルキアには、無理だってか?どうせ記憶置換で教師の頭もくるくるぱーになるんだ。いいじゃねぇか」
「なっ!くるくるぱーなどにしてなどおらぬ!あくまで、私個人の成績を改竄しているだけだ!」
「それがくるくるぱーにしてるっていうんだよ」
ルキアは朱くなって反論しだす。
その様子がかわいくて、一護はルキアをからかった。
「お前の数学とあと英語の成績一けただもんな」
「仕方なかろう!あのような授業、尸魂界で受けたのがないのだ!おまけに初めてなのにいきなり難題を出されるのだぞ!」
「んで、教師の頭くるくるぱーにして80点とったってことにするんだろう?」
「記憶置換を使っているだけだ。人格に影響はない!」
ふと、ルキアの伝令神機が鳴った。
「虚か?」
「そのようだ」
「ちっ、最近多いな。大戦が終わってもこれじゃあ、平和になったっていえねぇ」
ルキアはチャッピーの義魂丸と、一護はコンの義魂丸を飲んで、死神化する。
「後は任せた」
「お任せだぴょん」
「コン、変な行動とるなよ!」
「わーってるよ。大人しく、廊下に立ってりゃいいんだろう?」
「じゃあ、俺らいってくるから」
窓から、外に出た。
瞬歩で、空座町の隅っこあたりに出た、虚の大群を一掃する。
「舞え、袖白雪。次の舞、白蓮!」
ごうっと、凍てついた氷の柱ができて、虚の大群はその中に閉じ込められて、粉々に砕け散ってしまった。
残っていた虚を、一護が斬月で切り捨てる。
皆、大人しく霊子の塵となって還っていった。
ビービービー。
ルキアの伝令神機がまたなる。
新しい虚の出現だ。
「どっから湧いてきやがるんだこいつら!」
「あそこだ!あの空間に亀裂がある!」
黒腔(ガルガンタ)が開いていた。
「いかん、このままでも大虚も出かねぬ!浦原に言って、黒腔を塞いでおもらおう!」
ちょうど、大虚のが一匹顔を出した。
「月牙天衝!」
卍解もなしの技で、大虚を駆逐する。
とりあえず出てきた、虚という虚をやっつけていった。
なんとか波が収まった隙に、浦原商店にかけこみ、浦原とコンタクトをとる。
「あー、あれですか。自然に開いてしまった穴ですが、このままだと虚の大群がくるだけだ。よし、わたしが塞ぎますよ」
浦原に頼んで、なんとか黒腔を塞いでもらた。
また伝令神機が鳴った。
「またか!ああでもこの反応・・・1匹だな」
一護が、いつの間にかルキアの伝令神機を手にしていた。
「俺一人で、片付けてくるわ」
「気をぬくなよ!」
「ああ、大丈夫だ」
そのまま、一護は伝令神機を手に、虚退治へと向かった。
出てきたのは、大虚のヴァストローデだった。人型をとっていた。破面だった。
霊圧はさほど感じなかったが、いざ対峙したときに凄まじい霊圧が迸った。
「こいつ・・・グリムジョーくらいか・・・・」
「ほう、グリムジョーを知っているか。あのような敗北者ではない、私は」
一護は卍解した。
急激な霊圧の高まりに、ルキアも、授業を受けていた井上、石田、茶虎もはっとなる。
何度も切り結びあった。
お互い、傷ができる。
軽く殺す、ということはできなかったが、腕は一護のほうが上だった。
何せ、ユーハバッハを倒したのだ。
「月牙天衝!」
その一撃を食らい、破面は倒れ伏した。
「慈悲を・・・・・」
とどめを刺そうとした時にそう言われて、一護は躊躇った。
その隙だった。
一護の足元に絡みついて、破面は自爆した。
意識が遠くなる。
「ああ、ルキア・・・・」
走馬燈のようによぎるのは、ルキアの出会いから大戦に至り、高校生活まで一緒に過ごしてきたルキアの姿。
「ルキア・・・好きだ」
意識が落ちていく。
「一護ーーーー!!」
駆け付けたルキアが見たのは、火傷を負い酷い姿をしている一護だった。
「一護、だめだ、死ぬな!一護、一護!」
ルキアは一護を抱えて、学校の教室に飛び込んだ。
「井上、井上はいるか!一護が!」
「きゃああああ!」
井上は、霊体で他の者には見えない一護とルキアを見て、息を飲んだ。
先ほどの悲鳴は、いきなり机が吹きとんだせいで、一般の女子生徒があげた悲鳴だった。
「屋上へ!」
「おい、井上どこにいく!」
「おなかいたいんでトイレいってきます!」
ルキアが瞬歩で一護を屋上に運ぶ。
「井上、早く術を!」
「うん!双天帰盾、私は拒絶する!」
ぱぁぁぁと音がして、一護の傷も破れた死覇装も元に戻っていく。
しばらくして、一護が目を覚ました。
「ルキア?それに井上?」
「たわけ、心配をかけおってからに!」
「あ・・・俺、自爆に巻き込まれて・・・そうか、井上が助けてくれたのか」
井上は、涙をポロポロと零して、一護に抱き着いた。
「心配したんだから!」
「すまねぇ」
井上が、ルキアの見ている前で一護にキスをした。
ルキアは、悲しそうな顔をしていた。
「では、私は一足先に授業に戻る。今日はもう帰れ、一護。記憶置換で、熱が出て早退ということにしておく。一護を頼んだぞ、井上」
「うん、朽木さんも無理しないでね」
それこそ、無理な話というものだ。
ルキアの好きな一護が、井上を見ている。自分ではなく、井上を。
それがどんなに辛いものなのか、ルキアは痛感した。
廻りはじめた歯車。
恋い焦がれているのに、言葉にだせぬ想い-------------------。
「双天帰盾、私は拒絶する!」
屋上で、治癒術にもなる術を施してもらい、一護の腕の傷は完全に塞がった。
「ありがとな、井上」
「ううん、いいの」
「井上の能力はやはり凄いな」
ルキアが感嘆の声を漏らした。
「もう、朽木さんまで!」
照れた井上は、一護の腕を引き寄せた。
ああ・・・見たくない。
この二人の仲のよい姿を。
「それでは、私が少し用があるので先に戻る。貴様らは好きなだけイチャついてろ」
「おい、ルキア!」
ルキアは走り去ってしまった。
「変な奴・・・・」
一護は知らない。ルキアが一護のことを好きだということを。それはルキアも同じで。一護がルキアのことを好きだということを知らない。
そのまま昼休みが終わり、授業が始まる。
ルキアと一護は隣の席同士だった。
くしゃくしゃに丸めた紙を、ルキアに投げる一護。
その紙には、次に尸魂界へ戻るのはいつだと書かれてあった。
ルキアが高校に通う間、空座町の虚退治はルキアの管轄にあった。
時折、尸魂界に帰って報告をしていた。あと、恋次の様子も見に。
(1週間後だ)
そう書かれた紙が、ぽんと一護の頭に当たった。
そのやりとりが少し楽しくて。授業そっちのけでやっていると。
「黒崎、朽木!廊下に立ってなさい!」
そう教師に怒られた。
数学の教師で、一護の成績まぁまぁいいが、ルキアの成績はどん底に近くて、数学の教師はルキアをなんとかしてやろうと思っていたが、結局記憶置換でテストの成績は80点とかにされるので、意味はなかった。
「貴様のせいで、廊下に立たされたのだぞ!」
「いや、お前だって一緒になって紙投げ出したじゃねーか!」
ルキアが言葉に詰まる。
「品行方正で通してあるルキアには、無理だってか?どうせ記憶置換で教師の頭もくるくるぱーになるんだ。いいじゃねぇか」
「なっ!くるくるぱーなどにしてなどおらぬ!あくまで、私個人の成績を改竄しているだけだ!」
「それがくるくるぱーにしてるっていうんだよ」
ルキアは朱くなって反論しだす。
その様子がかわいくて、一護はルキアをからかった。
「お前の数学とあと英語の成績一けただもんな」
「仕方なかろう!あのような授業、尸魂界で受けたのがないのだ!おまけに初めてなのにいきなり難題を出されるのだぞ!」
「んで、教師の頭くるくるぱーにして80点とったってことにするんだろう?」
「記憶置換を使っているだけだ。人格に影響はない!」
ふと、ルキアの伝令神機が鳴った。
「虚か?」
「そのようだ」
「ちっ、最近多いな。大戦が終わってもこれじゃあ、平和になったっていえねぇ」
ルキアはチャッピーの義魂丸と、一護はコンの義魂丸を飲んで、死神化する。
「後は任せた」
「お任せだぴょん」
「コン、変な行動とるなよ!」
「わーってるよ。大人しく、廊下に立ってりゃいいんだろう?」
「じゃあ、俺らいってくるから」
窓から、外に出た。
瞬歩で、空座町の隅っこあたりに出た、虚の大群を一掃する。
「舞え、袖白雪。次の舞、白蓮!」
ごうっと、凍てついた氷の柱ができて、虚の大群はその中に閉じ込められて、粉々に砕け散ってしまった。
残っていた虚を、一護が斬月で切り捨てる。
皆、大人しく霊子の塵となって還っていった。
ビービービー。
ルキアの伝令神機がまたなる。
新しい虚の出現だ。
「どっから湧いてきやがるんだこいつら!」
「あそこだ!あの空間に亀裂がある!」
黒腔(ガルガンタ)が開いていた。
「いかん、このままでも大虚も出かねぬ!浦原に言って、黒腔を塞いでおもらおう!」
ちょうど、大虚のが一匹顔を出した。
「月牙天衝!」
卍解もなしの技で、大虚を駆逐する。
とりあえず出てきた、虚という虚をやっつけていった。
なんとか波が収まった隙に、浦原商店にかけこみ、浦原とコンタクトをとる。
「あー、あれですか。自然に開いてしまった穴ですが、このままだと虚の大群がくるだけだ。よし、わたしが塞ぎますよ」
浦原に頼んで、なんとか黒腔を塞いでもらた。
また伝令神機が鳴った。
「またか!ああでもこの反応・・・1匹だな」
一護が、いつの間にかルキアの伝令神機を手にしていた。
「俺一人で、片付けてくるわ」
「気をぬくなよ!」
「ああ、大丈夫だ」
そのまま、一護は伝令神機を手に、虚退治へと向かった。
出てきたのは、大虚のヴァストローデだった。人型をとっていた。破面だった。
霊圧はさほど感じなかったが、いざ対峙したときに凄まじい霊圧が迸った。
「こいつ・・・グリムジョーくらいか・・・・」
「ほう、グリムジョーを知っているか。あのような敗北者ではない、私は」
一護は卍解した。
急激な霊圧の高まりに、ルキアも、授業を受けていた井上、石田、茶虎もはっとなる。
何度も切り結びあった。
お互い、傷ができる。
軽く殺す、ということはできなかったが、腕は一護のほうが上だった。
何せ、ユーハバッハを倒したのだ。
「月牙天衝!」
その一撃を食らい、破面は倒れ伏した。
「慈悲を・・・・・」
とどめを刺そうとした時にそう言われて、一護は躊躇った。
その隙だった。
一護の足元に絡みついて、破面は自爆した。
意識が遠くなる。
「ああ、ルキア・・・・」
走馬燈のようによぎるのは、ルキアの出会いから大戦に至り、高校生活まで一緒に過ごしてきたルキアの姿。
「ルキア・・・好きだ」
意識が落ちていく。
「一護ーーーー!!」
駆け付けたルキアが見たのは、火傷を負い酷い姿をしている一護だった。
「一護、だめだ、死ぬな!一護、一護!」
ルキアは一護を抱えて、学校の教室に飛び込んだ。
「井上、井上はいるか!一護が!」
「きゃああああ!」
井上は、霊体で他の者には見えない一護とルキアを見て、息を飲んだ。
先ほどの悲鳴は、いきなり机が吹きとんだせいで、一般の女子生徒があげた悲鳴だった。
「屋上へ!」
「おい、井上どこにいく!」
「おなかいたいんでトイレいってきます!」
ルキアが瞬歩で一護を屋上に運ぶ。
「井上、早く術を!」
「うん!双天帰盾、私は拒絶する!」
ぱぁぁぁと音がして、一護の傷も破れた死覇装も元に戻っていく。
しばらくして、一護が目を覚ました。
「ルキア?それに井上?」
「たわけ、心配をかけおってからに!」
「あ・・・俺、自爆に巻き込まれて・・・そうか、井上が助けてくれたのか」
井上は、涙をポロポロと零して、一護に抱き着いた。
「心配したんだから!」
「すまねぇ」
井上が、ルキアの見ている前で一護にキスをした。
ルキアは、悲しそうな顔をしていた。
「では、私は一足先に授業に戻る。今日はもう帰れ、一護。記憶置換で、熱が出て早退ということにしておく。一護を頼んだぞ、井上」
「うん、朽木さんも無理しないでね」
それこそ、無理な話というものだ。
ルキアの好きな一護が、井上を見ている。自分ではなく、井上を。
それがどんなに辛いものなのか、ルキアは痛感した。
廻りはじめた歯車。
恋い焦がれているのに、言葉にだせぬ想い-------------------。
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