懐かしい空(前編)
空はただ蒼く 空はただ蒼く
どんなに手を伸ばしても掴めない
空は広がる 空は広がる
遙か彼方まで無限に広がる
エデンの空もきっとこんな青空
海のように澄んで 海のように蒼く
見上げてごらん 綺麗だから
きっと心が晴れるよ きっと笑顔になれるよ
どんなに手を伸ばしても掴めない
だから素敵 こんなにも素敵
世界は蒼いから 地球は蒼いから
空が泣いても また晴れるから
空はただ蒼く 空はただ蒼く
空は広がる 空は広がる
遙か彼方まで無限に広がる
きっと、この歌声はあの人に届いている。
ティエリアの喉から、何年たっても変わらない美しい歌声が流れる。
きっときっと、向日葵のように笑っていてくれている。
あの日のように。
あの日咲いていた、向日葵のように、優しく。
「何年経っても・・・これだけは変わりません。愛しているんです」
歌い終わると、ティエリアはデッキから青空を見上げた。
そっと、虚空に手が伸ばされる。
それが届くことは永遠にない。
「一人にしないと・・・約束してくれたのに。家族になると、約束してくれたのに。幸せにしてくれると、約束してくれたのに」
あの人と幾つ約束をしただろうか。
数え切れなくて、ティエリアはあの頃よりも短くなった紫紺の髪をかきあげる。
肩にかかっていた紫紺の髪は、あの人がいた頃より少し短くなった。
くくれなくはないが、もう髪飾りをつけることも結うこともなくなった。
結ってくれる人が、見てくれる人がいなくなったから。
もう、必要ないんだ。
---------------------------------------
「ごめんな・・・・・ティエリア」
深く眠りについたティエリアの頭を撫でる。ロックオンは、歌声が聞こえた気がして、顔をあげる。
あの青空のように・・・蒼く、澄んだ歌声が。
「あの空のように蒼く」
あの初夏の日に、ティエリアが歌ってくれた唄。
その場で即興でつくった唄なので、ティエリアがその唄を歌うことは二度となかった。
「空のように、お前を見守っているよ。ずっとずっと。魂だけになっても」
もう、心は決めていた。
隻眼の瞳で、泣きつかれて眠ってしまったティエリアの髪を撫でる。
肩にまで届く、このサラサラの紫紺の髪が好きだ。いつもいい匂いがして・・・甘い、花の香りがティエリアからはいつもした。
「もう、決めちまったんだ」
自分が、歩く道を。
「お前は・・・・俺のようにはなるな。俺の分まで生きろ。俺の代わりに生きて・・・生きて生きて、生き延びろ」
右目がズキリと疼いた。
傷口はもう塞がったはずなのに、何故だろう。
「できれば・・・・地上から、またお前と青空を見上げたかったなぁ」
一緒に、手を繋いで歩いて。
明日を一緒に寄り添いながら歩いて。
「許してくれよな」
どんなに手を伸ばしても掴めない
空は広がる 空は広がる
遙か彼方まで無限に広がる
エデンの空もきっとこんな青空
海のように澄んで 海のように蒼く
見上げてごらん 綺麗だから
きっと心が晴れるよ きっと笑顔になれるよ
どんなに手を伸ばしても掴めない
だから素敵 こんなにも素敵
世界は蒼いから 地球は蒼いから
空が泣いても また晴れるから
空はただ蒼く 空はただ蒼く
空は広がる 空は広がる
遙か彼方まで無限に広がる
きっと、この歌声はあの人に届いている。
ティエリアの喉から、何年たっても変わらない美しい歌声が流れる。
きっときっと、向日葵のように笑っていてくれている。
あの日のように。
あの日咲いていた、向日葵のように、優しく。
「何年経っても・・・これだけは変わりません。愛しているんです」
歌い終わると、ティエリアはデッキから青空を見上げた。
そっと、虚空に手が伸ばされる。
それが届くことは永遠にない。
「一人にしないと・・・約束してくれたのに。家族になると、約束してくれたのに。幸せにしてくれると、約束してくれたのに」
あの人と幾つ約束をしただろうか。
数え切れなくて、ティエリアはあの頃よりも短くなった紫紺の髪をかきあげる。
肩にかかっていた紫紺の髪は、あの人がいた頃より少し短くなった。
くくれなくはないが、もう髪飾りをつけることも結うこともなくなった。
結ってくれる人が、見てくれる人がいなくなったから。
もう、必要ないんだ。
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「ごめんな・・・・・ティエリア」
深く眠りについたティエリアの頭を撫でる。ロックオンは、歌声が聞こえた気がして、顔をあげる。
あの青空のように・・・蒼く、澄んだ歌声が。
「あの空のように蒼く」
あの初夏の日に、ティエリアが歌ってくれた唄。
その場で即興でつくった唄なので、ティエリアがその唄を歌うことは二度となかった。
「空のように、お前を見守っているよ。ずっとずっと。魂だけになっても」
もう、心は決めていた。
隻眼の瞳で、泣きつかれて眠ってしまったティエリアの髪を撫でる。
肩にまで届く、このサラサラの紫紺の髪が好きだ。いつもいい匂いがして・・・甘い、花の香りがティエリアからはいつもした。
「もう、決めちまったんだ」
自分が、歩く道を。
「お前は・・・・俺のようにはなるな。俺の分まで生きろ。俺の代わりに生きて・・・生きて生きて、生き延びろ」
右目がズキリと疼いた。
傷口はもう塞がったはずなのに、何故だろう。
「できれば・・・・地上から、またお前と青空を見上げたかったなぁ」
一緒に、手を繋いで歩いて。
明日を一緒に寄り添いながら歩いて。
「許してくれよな」
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