教師と式11
「鬼が出るのです。どうか、退治してはいただけませんか。畑を荒らしたり家畜を襲うのです」
その依頼人は、鬼が出るので退治してほしいと依頼してきた。
浮竹はなんの疑いもせず、引き受けた。
そして依頼人のところで出没した鬼を祓おうとしたら、ただの鬼ではなく鬼神の夜叉だった。
「夜叉がなぜ、こんな場所に?」
「祓い屋か。ここの住民は我を怒らせた。こらしめてやっているところだ」
「うーむ。依頼人から鬼を退治してくれと言われたが、鬼神の夜叉だとは」
「我を祓うか、人間よ」
「浮竹、無茶しないで!夜叉は鬼神。神の一種だよ」
京楽が、浮竹を背中に庇う。
白哉もでてきて、ばちばちと雷を放って威嚇する。
「主、相手が悪い。私たちでも夜叉に勝てるだろうが、大けがは否めない」
「夜叉、どうか畑を荒らしたり家畜を襲うのをやめてくれないだろうか」
「ほう。神であるこの我に意見するか。面白い」
夜叉は、霊力でできた槍をもって、浮竹を京楽もろとも串刺しにしようとする。
「そんな攻撃!」
京楽は桜の花びらで結界をつくり、それを防いだ。
「ふむ、やるな人間とその式。よいだろう。今回は桜の花鬼という珍しいものが見れた。この畑を荒らすのも家畜を襲うのも、違う人間に頼まれてやっていたことだ。もう終わりにしてやろう」
夜叉は、ばさりと黒い翼を出すと去っていってしまった。
「依頼は退治だったが、追い払うことでもいいよな?」
「うん。でもまた来るかもね。夜叉の鬼神が人の言葉を素直に聞くとは思えない。それに夜叉をそそのかすって、相当力のある人間だね」
浮竹は、夜叉が出てくるとは思わず、青い顔になっていた。
「もう少しで、お前たちの身に大きなわざわいがふりかかりそうだった。俺も、鬼神と対等に渡り合えるくらい強くならないとな」
「浮竹は力の一部を封印されてるから」
京楽の言葉に、浮竹が顔をあげる。
「封印?」
「そう。君が生まれる前に、魂に施された封印。解き放つ時がきたようだね」
浮竹は羽化する。
魂に刻まれた封印を破って。
「なぜ、京楽はそれを知っているんだ?」
「それは、ボクが前の君の魂を今の君の魂にしたから。浮竹は、昔もいたんだよ。ボクは君を愛しすぎるあまり、病死した君の魂を、君の母親に宿らせた」
「京楽、それは本当か?」
「本当だよ。君はボクが愛した前の浮竹と同じ浮竹だ」
浮竹は、少しショックを受けたようだったが、魂の力の解放を望んで、京楽の話を聞き続けた。
「君が本当に強くなりたいとき、君がいつも身につけている翡翠のペンダントを破壊する。それが君の魂の力を解放する条件だよ」
「これか‥‥肌身はださずもっていろと言われていたが」
「破壊できる?」
「やってみる」
白哉は、主である浮竹を静かに見守る。
「主、兄がどうあろうと、私は兄の式だ」
「ありがとう、白哉」
浮竹は、術で翡翠のペンダントを砕いた。
すると、浮竹からすさまじい霊力が迸り、それは浮竹の中に吸い込まれた。
「浮竹、分かる?君の霊力が今までの3倍くらいになったの」
「ああ、分かる。力があふれてくる。これなら、鬼神でも封印できそうだし、場合によっては祓うこともできそうだ」
浮竹があふれる霊力を暴走することもなく、受け入れた。
「式である京楽、白哉、我が霊力により進化せよ」
浮竹は京楽と白哉に多大な霊力を分け与える。
それは花鬼を花神に変えるほどの力だだった。
「浮竹、兄に力を分け与えられて花恩から花神に進化した。今後、兄の力になるときは今までより強くなっているであろう」
「ボクも強くなったよ。浮竹を守るために」
「京楽、前の俺のこととかは聞かないでおく。俺は俺だから」
「うん。聞きたくなったらいつでも言って。話すかから」
京楽は、寂しそうに笑う。
前の浮竹のことはできるだけ隠しておきたかったが、仕方ない。
浮竹は、その後依頼主の家を見守り続け、約束したのの畑や家畜を荒らしにきた夜叉を封印して、祠を建てた。
「依頼主に報告しよう。封印したと」
「主‥‥‥強くなったな。私も力を増したが、主は今までの2~3倍は強くなった」
白哉は、浮竹を頼もしそうに見る。
「白哉、これからは守られてばかりの俺じゃないからな」
「承知」
「ああ、本当に浮竹はすごいね。魂の封印をといただけでこんなに強くなるなんて」
「京楽、俺の魂に封印を施したのは誰だ?」
「藍染だよ。君の魂を前の君から取り出してもらった。君の魂を輪廻転生にかける代わりに、ボクは藍染の式になった」
「そうか‥‥‥藍染には、感謝するべきなのか悩むところだ」
「ボクが藍染の式になったんだもの。交換条件はもう終わってる。感謝する必要はないよ」
浮竹と京楽と白哉は、依頼人に夜叉を封印して祠を建てた経緯を話し、祠を壊すことなくたまに貢物をすれば夜叉は封印されたまま静かに眠ると伝えた。
「祓ってもよかったんじゃない?」
「神はあまり祓いたくない」
「まぁ、祟りありそうだからそれもそうか」
今の浮竹が生まれる前、浮竹の魂は一度藍染の手に落ちた。それが何を意味するのか、今はまだ誰も分からなかった。
その依頼人は、鬼が出るので退治してほしいと依頼してきた。
浮竹はなんの疑いもせず、引き受けた。
そして依頼人のところで出没した鬼を祓おうとしたら、ただの鬼ではなく鬼神の夜叉だった。
「夜叉がなぜ、こんな場所に?」
「祓い屋か。ここの住民は我を怒らせた。こらしめてやっているところだ」
「うーむ。依頼人から鬼を退治してくれと言われたが、鬼神の夜叉だとは」
「我を祓うか、人間よ」
「浮竹、無茶しないで!夜叉は鬼神。神の一種だよ」
京楽が、浮竹を背中に庇う。
白哉もでてきて、ばちばちと雷を放って威嚇する。
「主、相手が悪い。私たちでも夜叉に勝てるだろうが、大けがは否めない」
「夜叉、どうか畑を荒らしたり家畜を襲うのをやめてくれないだろうか」
「ほう。神であるこの我に意見するか。面白い」
夜叉は、霊力でできた槍をもって、浮竹を京楽もろとも串刺しにしようとする。
「そんな攻撃!」
京楽は桜の花びらで結界をつくり、それを防いだ。
「ふむ、やるな人間とその式。よいだろう。今回は桜の花鬼という珍しいものが見れた。この畑を荒らすのも家畜を襲うのも、違う人間に頼まれてやっていたことだ。もう終わりにしてやろう」
夜叉は、ばさりと黒い翼を出すと去っていってしまった。
「依頼は退治だったが、追い払うことでもいいよな?」
「うん。でもまた来るかもね。夜叉の鬼神が人の言葉を素直に聞くとは思えない。それに夜叉をそそのかすって、相当力のある人間だね」
浮竹は、夜叉が出てくるとは思わず、青い顔になっていた。
「もう少しで、お前たちの身に大きなわざわいがふりかかりそうだった。俺も、鬼神と対等に渡り合えるくらい強くならないとな」
「浮竹は力の一部を封印されてるから」
京楽の言葉に、浮竹が顔をあげる。
「封印?」
「そう。君が生まれる前に、魂に施された封印。解き放つ時がきたようだね」
浮竹は羽化する。
魂に刻まれた封印を破って。
「なぜ、京楽はそれを知っているんだ?」
「それは、ボクが前の君の魂を今の君の魂にしたから。浮竹は、昔もいたんだよ。ボクは君を愛しすぎるあまり、病死した君の魂を、君の母親に宿らせた」
「京楽、それは本当か?」
「本当だよ。君はボクが愛した前の浮竹と同じ浮竹だ」
浮竹は、少しショックを受けたようだったが、魂の力の解放を望んで、京楽の話を聞き続けた。
「君が本当に強くなりたいとき、君がいつも身につけている翡翠のペンダントを破壊する。それが君の魂の力を解放する条件だよ」
「これか‥‥肌身はださずもっていろと言われていたが」
「破壊できる?」
「やってみる」
白哉は、主である浮竹を静かに見守る。
「主、兄がどうあろうと、私は兄の式だ」
「ありがとう、白哉」
浮竹は、術で翡翠のペンダントを砕いた。
すると、浮竹からすさまじい霊力が迸り、それは浮竹の中に吸い込まれた。
「浮竹、分かる?君の霊力が今までの3倍くらいになったの」
「ああ、分かる。力があふれてくる。これなら、鬼神でも封印できそうだし、場合によっては祓うこともできそうだ」
浮竹があふれる霊力を暴走することもなく、受け入れた。
「式である京楽、白哉、我が霊力により進化せよ」
浮竹は京楽と白哉に多大な霊力を分け与える。
それは花鬼を花神に変えるほどの力だだった。
「浮竹、兄に力を分け与えられて花恩から花神に進化した。今後、兄の力になるときは今までより強くなっているであろう」
「ボクも強くなったよ。浮竹を守るために」
「京楽、前の俺のこととかは聞かないでおく。俺は俺だから」
「うん。聞きたくなったらいつでも言って。話すかから」
京楽は、寂しそうに笑う。
前の浮竹のことはできるだけ隠しておきたかったが、仕方ない。
浮竹は、その後依頼主の家を見守り続け、約束したのの畑や家畜を荒らしにきた夜叉を封印して、祠を建てた。
「依頼主に報告しよう。封印したと」
「主‥‥‥強くなったな。私も力を増したが、主は今までの2~3倍は強くなった」
白哉は、浮竹を頼もしそうに見る。
「白哉、これからは守られてばかりの俺じゃないからな」
「承知」
「ああ、本当に浮竹はすごいね。魂の封印をといただけでこんなに強くなるなんて」
「京楽、俺の魂に封印を施したのは誰だ?」
「藍染だよ。君の魂を前の君から取り出してもらった。君の魂を輪廻転生にかける代わりに、ボクは藍染の式になった」
「そうか‥‥‥藍染には、感謝するべきなのか悩むところだ」
「ボクが藍染の式になったんだもの。交換条件はもう終わってる。感謝する必要はないよ」
浮竹と京楽と白哉は、依頼人に夜叉を封印して祠を建てた経緯を話し、祠を壊すことなくたまに貢物をすれば夜叉は封印されたまま静かに眠ると伝えた。
「祓ってもよかったんじゃない?」
「神はあまり祓いたくない」
「まぁ、祟りありそうだからそれもそうか」
今の浮竹が生まれる前、浮竹の魂は一度藍染の手に落ちた。それが何を意味するのか、今はまだ誰も分からなかった。
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