騒ぎに、ユリエスとカリンがテラスに走りよってくる。マリアードとアルザは、まだ踊っているが、視線は完全にこちらを捉えていた。
「どうして――?」
「姫?」
「主、どうした?」
「どうして―――私を、僕を、サーラに残したの!ゼロエリダ、どうして!?」
マリアルドに伸ばされた、白すぎる手。綺麗に整えられた爪が、届きそうで届かない。
「いらない!こんな真実、私はいらない!」
零れ落ちる涙が、止まらない。
止まってくれない。
ユリエスもカリンも、言葉をなくす。
完全に別人のようであった、ライラシエルは。そう、そこにいたのは僕と自分を呼ぶ少年ではなく、一人の誰か。
「あなたを―――愛していたのに」
欺瞞と偽りの王よ。
あなたを、そう、女神のように愛していたのに。
「いらない。こんな世界。いらない・・・・」
フェンリルの姿をとった、ラグドエルの首にまわしていた右手を離す。そして、マリアルドに向かって精一杯手を伸ばす。
でも、届かない距離。
「主!?」
「いらない―――」
空中に踊る体。ぶわりと広がり、残る真紅の衣装。風を受け止めて落下していく細い肢体。
「姫!!!」
マリアルドは、躊躇もせずその体に向かって旋回する。
「主・・・・」
ラグドエルは呆然としたままだ。
「いけない、空のエアリアル!お願い、二人を!!」
地面に叩きつけられる数メール手前で、マリアルドはなんとかライラシエルの細い手首を捉えた。だが、ぐんと重くなる。
二人分の体重を支えきれない。
「駄目だ!」
地面に落下する!
その瞬間、光が煌いた。空から巨大なドラゴンが現れ、その大きな手のひらで、二人を墜落死寸前のところで拾いあげた。
「よかった・・・」
ペタンと、カリンはあまりのことに、腰をぬかしてしまった。
「おい、大丈夫か?」
ユリエスが、カリンの側に膝を立てる。
「うん。急だったから。でも、応えてくれた、エアリアルは。よかった」
涙が浮かんできた。
もう少しで、ライラシエルは、仲間は死ぬところだったのだ。
でも、何故?
あれは、自分から死を願って墜落したように見えた。
「マリアルド様!!」
「皇太子様!!ああ、よかった!!」
たくさんの、皇太子を心配する声。それに、エアリアルの手の平の上で、ぶんぶんと手を振り返すマリアルド。
「俺は大丈夫だー!黒き聖女のお陰で一命をとりとめた!それよりこの姫を早く!」
マリアルドの腕の中で、完全に気絶したライラシエルは、涙を零したまま、細い肢体を彼に預けていた。
「名も知らぬ姫よ。何故、このようなことを・・・」
マリアルドは、ライラシエルに口付ける。柔らかな唇だった。
まだ幼いが、胸の膨らみに手が当たり、マリアルドは赤面した。
マリアードとアルザも、突然の事態を回収すべく、元の衣装に素早く戻った。ユリエスとカリンも、同じように着替えた。
いつものような服装に戻った四人は、呆然と薄くなった月を見上げ、宙を漂うラグドエルに声をかける。
「おい、精霊ドラゴンだってのは説明したけど、早く元の狼の大きさに戻ってくれ!」
ユリエスの声に、けれどラグドエルは反応しない。
「主が――私を拒絶した」
「ラグドエル!エアリアルと共に、我が身に戻れ!」
カリンが強く命じると、ラグドエルはエアリアルと共に、黒い光となって、カリンの体の中に吸い込まれた。
けれど、すぐに黒い狼の姿をとって、飛び出してくる。
「ラグちゃん!とにかく、ライラのとこにいこう!」
「了解した」
何かあっては一大事と、マリアルドは医師の診察を受けた。同じように、ライラシエルも。
二人は軽い打撲だけですんだのだが、問題はライラシエルだ。
性別が中性であったはずの彼、いや彼というのか彼女というのか、その存在が女性に固定されていたのだ。
診察した医師が、女性であることを考慮して、女医が呼ばれ、彼女がライラシエルは100%女性であると確認した。
携帯サイトより一部抜粋。
連載中「風のウィザード」月明かりの下で続編より。
http://ip.tosp.co.jp/BK/TosBK100.asp?I=arialira&BookId=11
30Pほどいっきにうったので、誤字脱字あり。こんなの書いてたんだへーって、読み直しておもった。
プロットないからそんなかんじ。
フェンリルの姿をとった、ラグドエルの首にまわしていた右手を離す。そして、マリアルドに向かって精一杯手を伸ばす。
でも、届かない距離。
「主!?」
「いらない―――」
空中に踊る体。ぶわりと広がり、残る真紅の衣装。風を受け止めて落下していく細い肢体。
「姫!!!」
マリアルドは、躊躇もせずその体に向かって旋回する。
「主・・・・」
ラグドエルは呆然としたままだ。
「いけない、空のエアリアル!お願い、二人を!!」
地面に叩きつけられる数メール手前で、マリアルドはなんとかライラシエルの細い手首を捉えた。だが、ぐんと重くなる。
二人分の体重を支えきれない。
「駄目だ!」
地面に落下する!
その瞬間、光が煌いた。空から巨大なドラゴンが現れ、その大きな手のひらで、二人を墜落死寸前のところで拾いあげた。
「よかった・・・」
ペタンと、カリンはあまりのことに、腰をぬかしてしまった。
「おい、大丈夫か?」
ユリエスが、カリンの側に膝を立てる。
「うん。急だったから。でも、応えてくれた、エアリアルは。よかった」
涙が浮かんできた。
もう少しで、ライラシエルは、仲間は死ぬところだったのだ。
でも、何故?
あれは、自分から死を願って墜落したように見えた。
「マリアルド様!!」
「皇太子様!!ああ、よかった!!」
たくさんの、皇太子を心配する声。それに、エアリアルの手の平の上で、ぶんぶんと手を振り返すマリアルド。
「俺は大丈夫だー!黒き聖女のお陰で一命をとりとめた!それよりこの姫を早く!」
マリアルドの腕の中で、完全に気絶したライラシエルは、涙を零したまま、細い肢体を彼に預けていた。
「名も知らぬ姫よ。何故、このようなことを・・・」
マリアルドは、ライラシエルに口付ける。柔らかな唇だった。
まだ幼いが、胸の膨らみに手が当たり、マリアルドは赤面した。
マリアードとアルザも、突然の事態を回収すべく、元の衣装に素早く戻った。ユリエスとカリンも、同じように着替えた。
いつものような服装に戻った四人は、呆然と薄くなった月を見上げ、宙を漂うラグドエルに声をかける。
「おい、精霊ドラゴンだってのは説明したけど、早く元の狼の大きさに戻ってくれ!」
ユリエスの声に、けれどラグドエルは反応しない。
「主が――私を拒絶した」
「ラグドエル!エアリアルと共に、我が身に戻れ!」
カリンが強く命じると、ラグドエルはエアリアルと共に、黒い光となって、カリンの体の中に吸い込まれた。
けれど、すぐに黒い狼の姿をとって、飛び出してくる。
「ラグちゃん!とにかく、ライラのとこにいこう!」
「了解した」
何かあっては一大事と、マリアルドは医師の診察を受けた。同じように、ライラシエルも。
二人は軽い打撲だけですんだのだが、問題はライラシエルだ。
性別が中性であったはずの彼、いや彼というのか彼女というのか、その存在が女性に固定されていたのだ。
診察した医師が、女性であることを考慮して、女医が呼ばれ、彼女がライラシエルは100%女性であると確認した。
携帯サイトより一部抜粋。
連載中「風のウィザード」月明かりの下で続編より。
http://ip.tosp.co.jp/BK/TosBK100.asp?I=arialira&BookId=11
30Pほどいっきにうったので、誤字脱字あり。こんなの書いてたんだへーって、読み直しておもった。
プロットないからそんなかんじ。