教師と式12
夜叉を封印して以来、浮竹は不思議な夢を見るようになった。
封印されていた力を解放してからというもの、見る夢は全て自分が虎の姿をした雷獣(雷神)になる夢だった。
ある日、風邪を引いた。
教師として仕事をしているうちに、子供からうつされたのだ。
体が弱ったある日、浮竹は気づくと虎の雷獣の姿になっていた。
慌てふためていると、京楽が現れて京楽もパニックになった。
「ええ、浮竹ってあやかしだったの!?」
「俺にも何が何だか分からない!」
雷獣の虎の姿から人化して、虎の耳と尻尾がはえた姿に浮竹はなっていた。
そこへ白哉が現れて、事情を聞いて雷獣となってしまった浮竹を見る。
「兄は‥‥どうやら、人の子ではなく雷神の化身だったようだ。京楽が、浮竹の器としていれた女の腹には人ではなく雷神が宿っていたのであろう」
「でも、27年間も人して暮らしてきたんだぞ?まさか、俺があやかしなんて」
「浮竹の元になった前の浮竹の魂の力は強かったからね。おまけに封印されてたし。それが雷神を封じ込める形になってたんだと思うよ?」
「ふむ。そうか」
あやかしには慣れているので、自分があやかしと言われてもなんとなく納得してしまった。
過去に、3回ほど落雷を浴びたことがあるが、火傷もせずぴんぴんしていた。
雷獣の力だろう。落雷もまた。
「まぁ、耳も尻尾も消そうと思えばできるし、雷獣でもいっか」
「浮竹がそういうならいいんじゃない?」
「兄らは‥‥あやかしが祓い屋をしているのだぞ。他の祓い屋に気づかれぬようにせよ、主。式として欲しがられる」
「そ、それは困る!」
浮竹は、完全に人の姿に戻った。
「ふむ‥‥‥人の姿をしている時は妖力もないのだな。主が雷獣であるということは伏せておこう。分かっているな、京楽?」
「え、あ、うん。でも、今度の依頼退治‥‥‥雷獣を倒してくれって‥‥」
「さすがに雷獣が雷獣を倒すわけにはいかないな。話を聞いてなんとかしてみよう」
数日後、完全に人間の姿の浮竹と京楽と白哉は、車に乗って雷獣が出るという町にやってきた。
工事現場だった。
雷獣を宿しているという石を動かそうとして、雷獣が目を覚まし、工事の邪魔をするのだという。
「雷獣、いるか!出てきてくれ!」
「ほう。人間の祓い屋か」
その雷獣は山猫の姿をしていた。
「宿っているという石は、動かしてもちゃんと祭り上げる。破壊しない」
「人の言葉など信じれるものか」
雷獣は、浮竹に電撃を落とす。
浮竹はぴんぴんしていた。
「雷獣くん、浮竹も今は人の姿とってるけど雷獣で雷神なんだよ?」
「人の式風情が、何を‥‥‥桜の花神?そっちは椿の花神か」
雷獣は、人が神を従えているのにびっくりした。
正確には人ではないのだが。
周囲に人がいないのを確認して、浮竹も雷獣の姿になる。
「あ、あなたは雷神の、雷虎(らいこ)様!おなくなりになったと聞いていたが‥‥‥そうか、人の腹に宿って復活なされたのか。なぜ、人のふりを」
「俺の器がたまたま雷神だっただけだ。そうか。俺は雷虎というのか」
「雷虎様、我らの力で人間をこらしめてやりましょう」
「いや、それはしない」
人の姿に戻った浮竹は、雷獣を長時間説得して、なんとか宿る石を移動させることを納得させた。祓う必要はなかった。
雷を落とて警戒していたが、幸いにも人にケガを負わせたりも殺したりもしていない。
「雷虎様、人として生きていかれるのか。少し寂しいが、式の者たちも神のようだし」
花神になった京楽と白哉は、浮竹が雷神であっても何も変わらなかった。
ただその命に従い、時に勝手気ままに動く。
「では、俺は人の社会に戻る。雷獣も、達者でな」
「はい、雷虎様」
「帰るぞ、京楽、白哉」
「主、耳が出ているぞ」
白哉に指摘されて、浮竹は慌てて虎の耳を消した。
「うう、一度雷獣に姿になると人化が難しい」
「浮竹、まぁのんびりやっていこうよ。君の術には人の記憶を消すものもあるでしょう?」
「記憶を消したり書き換えたりする精神系の術はあまり使いたくない」
浮竹なりに、決めていたことだった。
「でも、今回のことで浮竹が雷虎っていう名前だって分かったし、同胞を殺さずにすんだし、いいんじゃないの?」
「ああ、それもそうだな」
「主、尻尾が出ている」
「あわわわ」
車に乗りながら、浮竹が虎の尻尾を消す。
「ねぇ、浮竹、今度虎の耳と尻尾ある状態でえっちしない?」
「あほか!するか、ぼけ!」
京楽の頭をはたいて、浮竹派安全運転を心がけて、屋敷に戻るのだった。
封印されていた力を解放してからというもの、見る夢は全て自分が虎の姿をした雷獣(雷神)になる夢だった。
ある日、風邪を引いた。
教師として仕事をしているうちに、子供からうつされたのだ。
体が弱ったある日、浮竹は気づくと虎の雷獣の姿になっていた。
慌てふためていると、京楽が現れて京楽もパニックになった。
「ええ、浮竹ってあやかしだったの!?」
「俺にも何が何だか分からない!」
雷獣の虎の姿から人化して、虎の耳と尻尾がはえた姿に浮竹はなっていた。
そこへ白哉が現れて、事情を聞いて雷獣となってしまった浮竹を見る。
「兄は‥‥どうやら、人の子ではなく雷神の化身だったようだ。京楽が、浮竹の器としていれた女の腹には人ではなく雷神が宿っていたのであろう」
「でも、27年間も人して暮らしてきたんだぞ?まさか、俺があやかしなんて」
「浮竹の元になった前の浮竹の魂の力は強かったからね。おまけに封印されてたし。それが雷神を封じ込める形になってたんだと思うよ?」
「ふむ。そうか」
あやかしには慣れているので、自分があやかしと言われてもなんとなく納得してしまった。
過去に、3回ほど落雷を浴びたことがあるが、火傷もせずぴんぴんしていた。
雷獣の力だろう。落雷もまた。
「まぁ、耳も尻尾も消そうと思えばできるし、雷獣でもいっか」
「浮竹がそういうならいいんじゃない?」
「兄らは‥‥あやかしが祓い屋をしているのだぞ。他の祓い屋に気づかれぬようにせよ、主。式として欲しがられる」
「そ、それは困る!」
浮竹は、完全に人の姿に戻った。
「ふむ‥‥‥人の姿をしている時は妖力もないのだな。主が雷獣であるということは伏せておこう。分かっているな、京楽?」
「え、あ、うん。でも、今度の依頼退治‥‥‥雷獣を倒してくれって‥‥」
「さすがに雷獣が雷獣を倒すわけにはいかないな。話を聞いてなんとかしてみよう」
数日後、完全に人間の姿の浮竹と京楽と白哉は、車に乗って雷獣が出るという町にやってきた。
工事現場だった。
雷獣を宿しているという石を動かそうとして、雷獣が目を覚まし、工事の邪魔をするのだという。
「雷獣、いるか!出てきてくれ!」
「ほう。人間の祓い屋か」
その雷獣は山猫の姿をしていた。
「宿っているという石は、動かしてもちゃんと祭り上げる。破壊しない」
「人の言葉など信じれるものか」
雷獣は、浮竹に電撃を落とす。
浮竹はぴんぴんしていた。
「雷獣くん、浮竹も今は人の姿とってるけど雷獣で雷神なんだよ?」
「人の式風情が、何を‥‥‥桜の花神?そっちは椿の花神か」
雷獣は、人が神を従えているのにびっくりした。
正確には人ではないのだが。
周囲に人がいないのを確認して、浮竹も雷獣の姿になる。
「あ、あなたは雷神の、雷虎(らいこ)様!おなくなりになったと聞いていたが‥‥‥そうか、人の腹に宿って復活なされたのか。なぜ、人のふりを」
「俺の器がたまたま雷神だっただけだ。そうか。俺は雷虎というのか」
「雷虎様、我らの力で人間をこらしめてやりましょう」
「いや、それはしない」
人の姿に戻った浮竹は、雷獣を長時間説得して、なんとか宿る石を移動させることを納得させた。祓う必要はなかった。
雷を落とて警戒していたが、幸いにも人にケガを負わせたりも殺したりもしていない。
「雷虎様、人として生きていかれるのか。少し寂しいが、式の者たちも神のようだし」
花神になった京楽と白哉は、浮竹が雷神であっても何も変わらなかった。
ただその命に従い、時に勝手気ままに動く。
「では、俺は人の社会に戻る。雷獣も、達者でな」
「はい、雷虎様」
「帰るぞ、京楽、白哉」
「主、耳が出ているぞ」
白哉に指摘されて、浮竹は慌てて虎の耳を消した。
「うう、一度雷獣に姿になると人化が難しい」
「浮竹、まぁのんびりやっていこうよ。君の術には人の記憶を消すものもあるでしょう?」
「記憶を消したり書き換えたりする精神系の術はあまり使いたくない」
浮竹なりに、決めていたことだった。
「でも、今回のことで浮竹が雷虎っていう名前だって分かったし、同胞を殺さずにすんだし、いいんじゃないの?」
「ああ、それもそうだな」
「主、尻尾が出ている」
「あわわわ」
車に乗りながら、浮竹が虎の尻尾を消す。
「ねぇ、浮竹、今度虎の耳と尻尾ある状態でえっちしない?」
「あほか!するか、ぼけ!」
京楽の頭をはたいて、浮竹派安全運転を心がけて、屋敷に戻るのだった。
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