桜のあやかしと共に47
こんこん。
ベランダのガラス窓をたたく音がして、京楽はそちらへ行った。
「これは‥‥山の王のボクからの手紙?鷹をてなづけてるのかい」
「どうしたんだ、京楽」
「うん。山の王のボクから、手紙がきてね」
「見せてみろ」
浮竹は、鷹の足にくくられた手紙を読んで、渋い顔になった。
「彼岸花の精霊の俺が、祓い屋を殺してしまったらしい。理由は、山を開拓にしにきた人間が術者を雇って、山の王の京楽たちを殺そうとしたから」
「ボクの同業者を殺してしまったのかい?」
「そうみたいだな。どうする?」
「一応正当防衛だし、今回は見なかったふりをするよ。人を殺め続けるようであれば、祓わないといけないけど」
浮竹が、悲しい顔をする。
「せっかく転生したんだ。二人には幸せになってほしい」
「うん、そうだね。まぁ、きっと山の王がむやみに人を殺していけないって教えてるだろうから、問題はないと思うよ」
「そうだな。そうだよな」
浮竹は、顔を輝かせた。
「追伸。苺パフェが好きみたい‥‥今度こっちにきたとき、チョコレートパフェでも作ってやるか」
「うん。まずは、転生する前くらいにまで仲良くならないとね?」
「彼岸花の精霊の俺は、現世に疎いらしくて、あと山の王の京楽jにしか興味がなさそうだ」
「でも、食べ物で好感度UPは期待できるんでしょう?」
「そうだな。明日にでも、チョコレートパフェの材料、買ってくるか」
「チョコレートパフェなら、私も食べたい」
黙って話を聞きながら、本を読んでいた白哉が本を閉じた。
「白哉?甘いもの、あまり好きじゃないんじゃないのか?」
「浮竹、兄の作ったものなら食べれる」
「うわ、白哉くんシスコンの上にブラコンなの」
「京楽、兄はよほど千本桜の錆になりたいらしいな‥‥」
白夜が、何もない空間から、千本桜という名の日本刀を取り出す。
「ごめんなさい、なんでもありません。千本桜はまじで冗談にならないからやめて」
一度、京楽は白哉を怒らせて、千本桜で攻撃されたことがあった。
かなりの傷を負って、治癒術がなかったら大変だと思える鋭さをもつ、桜の花びらとなった刀身が、刃を億の数にして敵を葬る。
白夜の本気の千本桜の解放があれば、浮竹や京楽とて危ない。
「千本桜が、京楽、兄などまずくて切りたくないと言っている」
「ああ、その刀意思をもつんだったね」
「そうだ。それより、来週はあいているか?」
白夜の問いに、浮竹が答える。
「あやかし退治の依頼は片付けたから、時間はあるはずだ」
「ルキアと、黒崎一護が、伸ばしに伸ばしていた結婚式をおこなうのだ。兄ら二人には、仲人をつとめてもらいたい」
「うん、ボクはいいよ」
「俺もかまわない」
「うむ。恩にきる」
次の週になり、一応正装した二人は、ネモフィラの花畑にきていた。
ネモフィラの花鬼たちが、忙しく料理を作り、テーブルと椅子を用意していた。
一際でかいケーキをみて、浮竹が。
「あれ、入刀用のケーキだろうけど、本格的に作られてるな。後で皆で分けて食べるんだろう」
「あ、京楽さん、浮竹さん、来てくれたんすか」
一護も正装していた。
「仲人をするという、約束だったからな」
「うん、ボクも別に仲人じゃなくてもきたけどね」
そこにルキアが現れた。
ひらひらの水色のウェディングドレスを着ていて、同じく水色のヴェールを被っていた。
「綺麗だぞ、ルキアちゃん。まるでネモフィラの女王のようだ‥‥‥って、太陽の王の妻になるってことは、本当にネモフィラの女王になるんだな」
浮竹が、しみじみと言う。
「浮竹殿、京楽殿。今宵は、夜が明けるまで結婚式の宴となります。どうか、楽しんでいってください」
ルキアと一護の結婚式が始まる。
浮竹と京楽は、ちゃんと仲人の役をして、出されてきたご馳走を食べた。
上等な赤ワインもふるまわれたが、浮竹にはオレンジジュースだった。
若い二人の門出を、酒乱で台無しにする気はないようで、京楽は安心する。
「ルキア。幸せになるのだぞ」
「はい、兄様。実は、もう腹の中に子が‥‥‥」
白哉も浮竹も京楽も、ぎょっとなった。
「すんません。避妊忘れた日にできちゃって。どうせ結婚するのだから‥‥」
「散れ、千本桜」
「もぎゃああああああああ」
手加減はしているが、結婚前に子を作るのは白哉にはタブーのようであった。
「盾よ!」
京楽が、結界をはって、一護を守った。
「ほらほら、義弟になるんだから、もっと仲良くしないと」
「むう。浮竹、どう思う?」
「愛し合っているならいいんじゃないのか」
「そうか。兄がそう言うのであれば、許そう」
「こえええ。白哉こええええ」
一護は、乱れた正装を直してから、ルキアの元にいく。
結婚指輪をはめあって、キスをした。
神父役は、ネモフィラの花鬼の男性だった。
ネモフィラの花鬼のほとんどが女性なので、男性は珍しかった。
二人は愛を永遠に誓いあう。
ルキアが投げたブーケは、ネモフィラの花鬼たちが我先にとろうとしていたが、ちょうど浮竹の腕の中に落ちてきた。
「これ、ボクらも結婚式挙げろってことかな?」
「しないぞ」
「えーケチー」
「エンゲージリングなら、はめてやってもいい」
「まじで?今度買いに行ってくる」
ルキアと一護の結婚式には恋次もきていて、白哉のパートナーとして隣にいた。
「ルキア、一護、幸せにな」
恋次はそう言うと、白哉の指に指輪をはめる。
「れ、恋次。皆が見ているであろうが」
白哉は珍しく赤くなる。
「おー、あっちも春だねぇ」
「恋次くんを選んだのは白哉だ。俺の義弟になるんだな」
「あー、うん、そうなるねぇ」
その日は、太陽が昇るまで宴が開かれて、浮竹は中身を間違えてワインを口にしてしまい、白哉が問題行動を起こす前に桜の術で眠らせてくれた。
朝になり、京楽は浮竹をおんぶして、皆に別れを告げる。
「また、来るからね。その時は十四郎も一緒だけど」
「ありがとうございました、浮竹殿、京楽殿」
「ありがとさん、浮竹さん、京楽さん」
ネモフィラ畑は、家から近いので、遊びにこようと思えばすぐにこれるが、しばらくは新婚の二人きりにさせてあげようと思うのであった。
ベランダのガラス窓をたたく音がして、京楽はそちらへ行った。
「これは‥‥山の王のボクからの手紙?鷹をてなづけてるのかい」
「どうしたんだ、京楽」
「うん。山の王のボクから、手紙がきてね」
「見せてみろ」
浮竹は、鷹の足にくくられた手紙を読んで、渋い顔になった。
「彼岸花の精霊の俺が、祓い屋を殺してしまったらしい。理由は、山を開拓にしにきた人間が術者を雇って、山の王の京楽たちを殺そうとしたから」
「ボクの同業者を殺してしまったのかい?」
「そうみたいだな。どうする?」
「一応正当防衛だし、今回は見なかったふりをするよ。人を殺め続けるようであれば、祓わないといけないけど」
浮竹が、悲しい顔をする。
「せっかく転生したんだ。二人には幸せになってほしい」
「うん、そうだね。まぁ、きっと山の王がむやみに人を殺していけないって教えてるだろうから、問題はないと思うよ」
「そうだな。そうだよな」
浮竹は、顔を輝かせた。
「追伸。苺パフェが好きみたい‥‥今度こっちにきたとき、チョコレートパフェでも作ってやるか」
「うん。まずは、転生する前くらいにまで仲良くならないとね?」
「彼岸花の精霊の俺は、現世に疎いらしくて、あと山の王の京楽jにしか興味がなさそうだ」
「でも、食べ物で好感度UPは期待できるんでしょう?」
「そうだな。明日にでも、チョコレートパフェの材料、買ってくるか」
「チョコレートパフェなら、私も食べたい」
黙って話を聞きながら、本を読んでいた白哉が本を閉じた。
「白哉?甘いもの、あまり好きじゃないんじゃないのか?」
「浮竹、兄の作ったものなら食べれる」
「うわ、白哉くんシスコンの上にブラコンなの」
「京楽、兄はよほど千本桜の錆になりたいらしいな‥‥」
白夜が、何もない空間から、千本桜という名の日本刀を取り出す。
「ごめんなさい、なんでもありません。千本桜はまじで冗談にならないからやめて」
一度、京楽は白哉を怒らせて、千本桜で攻撃されたことがあった。
かなりの傷を負って、治癒術がなかったら大変だと思える鋭さをもつ、桜の花びらとなった刀身が、刃を億の数にして敵を葬る。
白夜の本気の千本桜の解放があれば、浮竹や京楽とて危ない。
「千本桜が、京楽、兄などまずくて切りたくないと言っている」
「ああ、その刀意思をもつんだったね」
「そうだ。それより、来週はあいているか?」
白夜の問いに、浮竹が答える。
「あやかし退治の依頼は片付けたから、時間はあるはずだ」
「ルキアと、黒崎一護が、伸ばしに伸ばしていた結婚式をおこなうのだ。兄ら二人には、仲人をつとめてもらいたい」
「うん、ボクはいいよ」
「俺もかまわない」
「うむ。恩にきる」
次の週になり、一応正装した二人は、ネモフィラの花畑にきていた。
ネモフィラの花鬼たちが、忙しく料理を作り、テーブルと椅子を用意していた。
一際でかいケーキをみて、浮竹が。
「あれ、入刀用のケーキだろうけど、本格的に作られてるな。後で皆で分けて食べるんだろう」
「あ、京楽さん、浮竹さん、来てくれたんすか」
一護も正装していた。
「仲人をするという、約束だったからな」
「うん、ボクも別に仲人じゃなくてもきたけどね」
そこにルキアが現れた。
ひらひらの水色のウェディングドレスを着ていて、同じく水色のヴェールを被っていた。
「綺麗だぞ、ルキアちゃん。まるでネモフィラの女王のようだ‥‥‥って、太陽の王の妻になるってことは、本当にネモフィラの女王になるんだな」
浮竹が、しみじみと言う。
「浮竹殿、京楽殿。今宵は、夜が明けるまで結婚式の宴となります。どうか、楽しんでいってください」
ルキアと一護の結婚式が始まる。
浮竹と京楽は、ちゃんと仲人の役をして、出されてきたご馳走を食べた。
上等な赤ワインもふるまわれたが、浮竹にはオレンジジュースだった。
若い二人の門出を、酒乱で台無しにする気はないようで、京楽は安心する。
「ルキア。幸せになるのだぞ」
「はい、兄様。実は、もう腹の中に子が‥‥‥」
白哉も浮竹も京楽も、ぎょっとなった。
「すんません。避妊忘れた日にできちゃって。どうせ結婚するのだから‥‥」
「散れ、千本桜」
「もぎゃああああああああ」
手加減はしているが、結婚前に子を作るのは白哉にはタブーのようであった。
「盾よ!」
京楽が、結界をはって、一護を守った。
「ほらほら、義弟になるんだから、もっと仲良くしないと」
「むう。浮竹、どう思う?」
「愛し合っているならいいんじゃないのか」
「そうか。兄がそう言うのであれば、許そう」
「こえええ。白哉こええええ」
一護は、乱れた正装を直してから、ルキアの元にいく。
結婚指輪をはめあって、キスをした。
神父役は、ネモフィラの花鬼の男性だった。
ネモフィラの花鬼のほとんどが女性なので、男性は珍しかった。
二人は愛を永遠に誓いあう。
ルキアが投げたブーケは、ネモフィラの花鬼たちが我先にとろうとしていたが、ちょうど浮竹の腕の中に落ちてきた。
「これ、ボクらも結婚式挙げろってことかな?」
「しないぞ」
「えーケチー」
「エンゲージリングなら、はめてやってもいい」
「まじで?今度買いに行ってくる」
ルキアと一護の結婚式には恋次もきていて、白哉のパートナーとして隣にいた。
「ルキア、一護、幸せにな」
恋次はそう言うと、白哉の指に指輪をはめる。
「れ、恋次。皆が見ているであろうが」
白哉は珍しく赤くなる。
「おー、あっちも春だねぇ」
「恋次くんを選んだのは白哉だ。俺の義弟になるんだな」
「あー、うん、そうなるねぇ」
その日は、太陽が昇るまで宴が開かれて、浮竹は中身を間違えてワインを口にしてしまい、白哉が問題行動を起こす前に桜の術で眠らせてくれた。
朝になり、京楽は浮竹をおんぶして、皆に別れを告げる。
「また、来るからね。その時は十四郎も一緒だけど」
「ありがとうございました、浮竹殿、京楽殿」
「ありがとさん、浮竹さん、京楽さん」
ネモフィラ畑は、家から近いので、遊びにこようと思えばすぐにこれるが、しばらくは新婚の二人きりにさせてあげようと思うのであった。
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