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桜のあやかしと共に6

朝顔の花鬼が暴れているということで、4人は正式に名乗りあい、自己紹介した。

「それにしても、俺に人間のエナジーを渡そうとするなんて・・・花鬼は植物のあやかしだから、眷属になる。すまない、迷惑をかけた」

『ふーん、素直に謝れるんだ』

「うるさい」

浮竹は、夜刀神を睨んだ。

『おお、こわ』

「あんまり、十四郎を怒らせないでね」

京楽は、浮竹を抱き寄せた。

「京楽・・・帰ろう。花鬼はもういない」

「うん」

『「春」みたいに、ならないようにね?』

浮竹は、きつい眼差しを夜刀神によこして、桜の花びらをふっと吹いて、転移してしまった。

『京楽、あの桜の王とは古くからの知り合いなんだな』

『うん。それこそ、生まれてからすぐに、みたいなね?彼は昔はもっと長老としてあやかしの管理をしていた。「春」を失って、それもやめてしまったみたいだけど』

『桜の王か。なんかかっこいいな』

『だめだめ。桜の王はいろいろあるから、憧れないほうがいいよ』

『そうなのか』

『ボクたちも帰ろう』

『そうだな』



「夜刀神のやつ、今度あったら桜の花びらで切り裂いてやる」

「十四郎、荒れてるねぇ」

「京楽がいてくれるなら、気持ちも安定する」

そう言って、浮竹は京楽の座ったソファーの隣に座り、京楽のほうに頭を傾けた。

「腹が減った」

白哉がそう言うものだから、いちゃつくこともできずに、浮竹はキッチンに行ってしまった。

「白哉君、わざとでしょ」

「さぁ、何のことかわからぬな」

白哉は黒猫の子猫姿になると、京楽の足をひっかいた。

「ちょっと、ボクは爪とぎじゃないよ」

「兄が「春」の生まれ変わりが、いいことなのか悪いことなのか、私にもわからぬ」

「そんなこと言われてもね。ボクはボクだ。「春」じゃない」:

「わかっている。だが、兄に出会って浮竹は見違えるほど生き生きとしている。あのひどい自閉症からここまで回復できたことが、正直驚きだ」

京楽は「春」とはどんな人物であったのかを聞かない。

夢でいつも、自分は「春」であるからだ。

キッチンで、浮竹が声をあげる。

「パスタとスパゲッティ、どっちがいい?」

「スパゲッティ。パスタはこの前食べたしね」

「私はどちらでもよい」

白哉は何気に、京楽からチュールをもらっていたりしていた。

仲がいいか悪いのかわからない二人だった。



次の日、ひまわりの花鬼が訪れてきた。

「桜の王。ひまわり畑の花鬼たちを、食べてしまうあやかしがいるのです。どうか、お助けを・・・・」

「花鬼を食うのか。許せないな。分かった、でむこう」

「ありがとうございます。こちらの方とは、契約はまだで?」

「ああ。近いうちにしようと思っている」

「契約?」

京楽は首を傾げていた。

ひまわりの花鬼の案内で、ひまわり畑にくると、ひまわりの3分の1が枯れていた。

「吸鬼(きゅうき)の仕業です」

「吸鬼か。普通は自然のエナジーだけを吸うのに、花鬼を食って、舌がこえたか」

「ようは、その吸鬼を退治すればいいんだよね?今回は、ボクが退治したい」

「いいが、吸鬼は少し厄介だぞ」

「どんな風に?」

京楽が聞くと、浮竹が答える。

「物理攻撃がきかない」

「じゃあ、大丈夫。精神体を攻撃できる呪符、作ったから」

「それなら、級鬼も倒せるな」


ぐおおおおおおおおお。

吸鬼が、ひまわりの花鬼たちを食べようと姿を現す。

「縛!」

京楽は、呪符を飛ばしてまずは動きを封じた。

「ぬおお、動けぬ、こざかしい人間風情が・・・・そのエナジー、吸い尽くしてやる」

「禁!」

「ぎゃあああああああああ」

精神体に攻撃できる呪符を飛ばすと、吸鬼は悲鳴をあげる。

「俺の眷属を食ったこと、後悔するがいい」

浮竹は、桜の花びらを手のひらにのせて、ふっと息をふきかけた。

「ぬおおおおおおお!さ、桜の王だと・・・・なぜ、花鬼ごときのために」

「花鬼は植物のあやかしだ。俺の眷属にあたる」

「滅!」

京楽が、呪符を飛ばして吸鬼を白い炎で燃やしてしまった。

「ありがとうございます、京楽様。我らの王の、契約者となられるお方・・・・・」

「契約って、何?」

「帰ったら、話す」

そのまま、浮竹と京楽は億ションに帰宅した。

白哉はもう眠っていた。

「京楽、お前には俺と同じ時間を生きて欲しい。それが契約だ」

「つまり、年をとらないってこと?」

「そうなるな」

「いいよ。十四郎が望むなら、契約者になる」

京楽は嫌がるかと思ったが、案外あっけなく受け入れてくれた。

「いいのか?一度交わすと、もう人ではなくなる不老者になるぞ」

「でも、不死ではないんでしょ。そのせいで「春」は死んだ」

「春水・・・俺は、お前を「春」の代わりにしようと思っていない」

「うん、分かってる」

京楽は、頷いて自分から手のひらに傷をつけて血を滴らせる。

「契約の方法を知っているのか?」

「毎晩「春」である夢を見るからね」

「そうか・・・・俺の血とまじりあわせて、飲もう」

浮竹は、手首を桜の花びらで切ると、滴り落ちる血を宙に浮かせて、京楽の血と混ぜあわせた。

「永久(とこしえ)をお前と共に」

「愛しい十四郎と同じ時間を生きると、ここに誓うよ」

二人で血を飲みほす。

浮竹は自分の傷と京楽の傷を、ふっと桜の花びらをふいて治した。

「その・・・もう、俺を抱いてもいいぞ」

「え」

「契約はなった。パートナー契約も兼ねている」

「白哉君、起きないかな?」

「結界をはっておいた」

浮竹は、京楽に口づける。

そのまま、二人は京楽の寝室に入り、求めあうようにまじりあう。


「あ!」

いい場所を突かれて、浮竹が声を漏らす。

「君の中、すごく熱いね」

「あ、もっと奥にきてくれ・・・春水」

「十四郎・・・・・・・」

「ああああ!!!」

最奥をごりごりと抉られて、浮竹は中いきと同時に精液を出していた。

味わってみたが、まるで花の蜜のように甘かった。

「ばか、舐めるな・・・」

「でも、甘くておいしいよ?」

「ばか・・・・んあっ」

ズチュリと侵入されて、浮竹が喘ぐ。

「もっと愛していい?」

「あ、もっともっと、愛してくれ。俺の奥で、子種を注いでくれ」

ペロリと、浮竹は唇をなめる。

「えろ・・・・・」

「ああああ!!」

前立腺をこすりあげられて、浮竹は京楽に抱かれている幸福感を味わいながら、また精液を出していた。

それを、京楽が舐めとる。

「あ・・・んあっ」

もう、なめるなという余裕すら、浮竹は失っていた。

「春」を失って120年ぶりに、誰かと交わる夜であった。


翌日になって、白哉は黒猫姿で京楽の脛をひっかきまくっていた。

「結界まではって!兄は、けだものだ」

「いや、契約したらそんな流れに・・・・」

「浮竹、よいのか?「春」との契約の上書きになるであろう」

「いいんだ。「春」はもういない。俺は、京楽春水を愛しているから、契約して体を許した」

「むう、けだものと住むのは嫌だが、浮竹のことが気になるからまだここに住むことにしよう」

「ええ、出ていくんじゃないの?」

体の関係に発展すると、白哉はてっきり家を出ていくものだと思っていた。

「兄が本当に浮竹を幸せにできるか、見守る。ただし、交わるときは結界を忘れずに。私とて、浮竹の情事を聞きたいわけではない」

「ああ、うん」

白哉は、京楽の頭をかじる。

「白哉、だからかじるとアホになるぞ」

「チュールよこせ」

「育て方、間違ったかな・・・・・」

浮竹は、京楽の頭をかじると、白哉がチュールをもらえる形式になっているのを、ため息をついて見守る。

「白哉は、あやかしより人より、猫でいるほうが好きだもんな」

「浮竹、まぁ否定はせぬ」

「猫の桜のあやかし・・・・考えてみれば、なんで猫なの?」

「猫が好きだから」

そっけない浮竹の言葉に、京楽は苦笑して、白猫のオッドアイの子猫になった浮竹にも、チュールをあげるのだった。


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