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桜のあやかしと共に7

「「春」どこにも行かないでくれ」

「うん、ボクはずっとシロの傍にいるよ」

「抱きしめてくれ」

「お安い御用さ」

「「春」・・・大好きだ。夜刀神は俺とお前が契約したこと、何か思っているようだが関係ない。俺は、お前と契約して同じ時間を生きれる今が、一番幸せだ」

「春」は、京楽に姿形だけでなく、性格までよく似ていた。

「「春」、愛してる・・・・・」

そこで、浮竹は目覚めた。

泣いていた。

「あ・・・・・「春」の夢は見ないようにしていたのに・・・春水の影響か」

浮竹は、起きると朝食を作りにキッチンに行った。

京楽はまだ眠っていた。

昨日はあやかし退治が夜遅くまで長引いたので、そのまま寝かせておいた。

「京楽、そろそろ起きろ。昼だぞ」

「んー。十四郎も一緒にもっと寝ようよ」

「もう10時間以上は寝ているだろう。寝すぎだ」

「おはようのキスして」

「はいはい」

浮竹は、京楽の唇に唇を重ねる。

「そういえば、遊園地のペアチケットもらって遊びにいった礼を、術者の俺と夜刀神にしていなかったな。今日にでも、あの店に行こうか」

「お、夜刀神と仲直りする気にでもなったのかい?」

「そんなわけあるか。あいつは腐れ縁だが、まぁ・・・・仲がいいといえなくもないが」

「喧嘩はしてないの?」

「喧嘩というか、夜刀神がからかってくるんだ」

「観察とか言ってからね」

京楽は、浮竹の作ってくれた朝ごはんを食べる。

そして.閑古鳥のなく術者の浮竹の店にやってきた。

『いらっしゃいませ・・・って、お前たちか』

「遊園地ペアチケットもらった礼にきた。これ、俺の作ったレアチーズケーキとシフォンケーキだ」

浮竹が、自分と同じ顔の術者の浮竹に、お礼の品を渡す。

「夜刀神はいないのか?」

『いるよ。蝙蝠になって、お前たちを観察しているらしい』

「夜刀神!こっそりのぞくをやめろ!」

浮竹は、桜の花びらをふっと吹いて、蝙蝠になっていた夜刀神に水をぶつけた。

『うわー。よけそこねちゃった。まぁ、水も滴るいい男ってやつだよね。ね、浮竹』

術者の浮竹を見つめる。術者の浮竹は、タオルをとってくると夜刀神の濡れた髪をふいていやった。

「見ているこっちが恥ずかしくなるね」

京楽が、ラブラブパワー全開な二人に、ため息をこぼす。

『それより、桜の王の手作りなの、そのケーキ』

「そうだ」

『やったぁ!桜の王の作るお菓子はおいしいんだよねぇ。ほんと、めちゃくちゃおいしい。ちょうど3時だし、君たちも一緒に食べて帰ろうよ』

「いや、礼にあげた品を食べてどうする」

『固いこと言わないでよ。ボクと君の仲じゃない』

「気持ち悪いことをいうな!」

浮竹は、どこからかとりだしたハリセンで夜刀神の京楽の頭をはたいた。

『一緒に食べたい。だめか?』

術者の浮竹が、上目遣いでそう見てきて、浮竹も折れた。

「京楽、少し帰るのがおそくなるがいいか」

「ボクは構わないよ。ケーキ、実は食べたかったし」

『じゃあ、3時のお茶にしようよ』

夜刀神の一言でダイニングルームに入れてもらい、紅茶をいれられた。

『んーおいしい!やっぱり桜の王の料理の腕、プロだね』

「5千年修行してきたからな」

「ほんと、おいしいね」

京楽も、おいしそうに食べていた。

『ほっぺが落ちそうだ。そっちの便利屋の京楽は、毎日桜の王の手料理を食べているのか?』

「うん、そうだけど」

『うらやましすぎる・・・・』

「夜方神の料理の腕もそこそこだろう。何せ俺が鍛えてやったんだから」

『うん。夜刀神の料理もおいしいけど、桜の王ほどじゃないな』

『もう、舌がこえちゃって・・・・・・』

夜刀神は、今夜は浮竹のケーキに負けないようなごちそうを作ろうと思った。

『最近、花鬼が暴れたり、人に害をなしたりする件が多いんだ。何か知らない?』

夜刀神の言葉に、浮竹は首を傾げる。

「あやかしの管理は[春」を失ってやめたからな。眷属とはいえ、なぜなのかまでは分からない。ただ、活発化しているのは、俺と京楽が契約を交わしたことにあるかもしれない」

『やっぱり、契約しちゃったんだ。どうりで、桜の王からそっちのボクの匂いがするわけだ』

「同意の上だぞ」

『契約するのはいいけど、「春」の時のように取り残されないようにね』

「「春」の話は、京楽の前ではやめてくれ」

「うーん、十四郎の元彼の話聞いてるみたいで、気分がいいものじゃないね」

『ごめんごめん。元彼かぁ。あながち、間違っていないかも?』

浮竹は、ふっと桜の花びらを吹くと、夜刀神を燃やした。

でも、夜刀神は平然とした顔をして、服さえも焦げていなかった。

「いつか、ぎゃふんと言わせてやる」

『ぎゃふん』

夜刀神がそう言ってからかうものだから、浮竹はハリセンで夜刀神の頭をスパンと殴った。

『不思議だね。昔から、君のハリセン攻撃が読めない』

「いいことだ」

『喧嘩はほどほどにな?』

「そうだよ。ほどほどにね」

術者の浮竹と、京楽はそう言って、ケーキをおいしそうに食べていた。

「礼はちゃんとしたからな。後、お茶はごちそうさま」

「十四郎、家に帰ったらレアチーズケーキもう一回作って。気にいちゃった」

「春水がそういうなら、好きなだけ作ってやる」

「ありがと」

術者の浮竹と夜刀神の京楽が見ている前で、京楽は浮竹にキスをする。

『お熱いことで』

「そっちもあんまり変わらないでしょ?」

『それもそうだね』

夜刀神は、術者の浮竹にキスをした。

二人の浮竹は、真っ赤になるのであった。

「帰るぞ、春水」

「あ、うん。またねぇ」

『ま、またな・・・・』

『またねー。今度来る時はモンブラン作ってもってきてー』

『おい、夜刀神、二人が見ている前でキスとかやめろ』

『えーどうして?むこうだってしてたじゃない』

『それはそうだが・・・』

京楽は、夜刀神に見せつけるつもりで浮竹にキスをしたのだ。

これはもうボクのものだという見えないメッセージ。

浮竹と京楽が去って言った後で、夜刀神は京楽が「春」の生まれ変割りなだけあるなと、思うのであった。

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