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桜のあやかしと共に67

15体の桜の花鬼を、異界の桜の里に連れていって2週間が過ぎた。

ある日、浮竹が不調を訴え、倒れた。

京楽が慌てて、鴆の京楽のところに連れていった。その場には、彼岸花の精霊の浮竹もいた。

『生気を吸われているな。病気じゃない』

『みたいだね。これ、薬とかじゃなんにもならないよ。せいぜい、熱を下げてやるくらいしかできないね』

『本体に、何かあったんだろう』

「公園の桜は、枯れてなかったし普通だったから、本体の異界にある桜の大樹になにかあったのかな。とにかく、異界に行ってくる」

京楽が、異界へのゲートを開くと、彼岸花の精霊の浮竹もついていくと言い出した。

「何かあっても、責任とれないよ?」

『大丈夫だ。俺は強いからな』

「すごい自信だね。何かあったら、助力をこうかも」

異界を通り、中心部にある桜の大樹についた。

いつもは怖いくらい美しく咲き狂っているのに、花びらを散らして様子がおかしかった。

『穢れだな。ここに侵入できるのは、4つの季節の王か、桜の王の深い知り合いか、同胞の桜の花鬼のみ。身に覚えはないか?』

「2週間前に、浮竹が訪れてきた桜のは花鬼の里の者をいれて、15体の花鬼を異界に入れた。犯人は、その中かな」

『桜鬼の京楽にしては、冷静だな?』

「そんなことないよ。本心では、もう怒り狂ってる」

そう言って、隠していたが桜鬼の姿になった。

「ボクは「春」と同化したことで浄化の能力もある。これくらいの穢れなら、祓える」

京楽は、式をとりだして円陣を描くと、祝詞を唱え、さらに呪文を唱えた。

「来空覇者、浄化、天嵐、浄化、花嵐!」

さぁぁぁぁと、浮竹の本体の桜の大樹にかけられていた穢れが消えていく。

「ひとまず、安心かな」

『でも、また穢れをまかれるかもしれないぞ』

「ボクと浮竹と、君と鴆の京楽と白哉くんしか、通れないように結界をはるよ。強力なやつがいい。君も、力を貸してくれるかい?」

『友の頼みであれば、無碍にできまい』

「ありがとう」

彼岸花の精霊の浮竹は、結界の一部に自分のもつ彼岸花を混ぜ込む。

『こうすれば、桜の同胞でも通れないはすだ』

「そうだね。一度戻って、浮竹の様子を見て、再度ここにこよう」

京楽と彼岸花の精霊の浮竹は、異界から現世に戻る。

現世では、気が付いた浮竹に、気付け薬を飲ませている鴆の京楽の姿があった。

「すまん、世話をかけた」

『ううん、仕方ないよ。本体が別にある場合、そっちを傷つけられたらどうしようもないからね』

「京楽、やはり俺の桜の大樹は]

京楽は頷いた。

「陰れをまかれていたよ。「春」の能力の力で浄化してきた。犯人は、2週間前に異界の桜の里にきた15体の桜の花鬼の中にいるね」

『安心しろ、桜の王の俺。知り合いしか入れない結界をはっておいた。もう、桜の同胞であろうと、許可がないと入れない』

「そうか」

まだ顔色の悪い浮竹を移動させるわけにもいかなくて、洞窟の藁のベッドに寝かせる。

「じゃあ、ボクと彼岸花の精霊の浮竹と鴆のボクと、あと白哉くんで、犯人探ししてくるよ」

『え、ボクもなの?』

『いや、京楽は留守番して、弱っている桜の王の俺を見ていてほしいから、俺と桜鬼の京楽と、白哉の3人で行こう』

話はまとまり、白哉を緊急で呼び出す。

「浮竹の不調は、やはり桜の大樹の本体が原因か」

「うん。穢れをまかれていた」

「浮竹は?」

「奥で、ベッドで眠ってる。鴆のボクが守ってくれるから、ボクたちは犯人捜しといこう」

『殺してもいいのか?』

血色の瞳をした、桜鬼になった京楽は頷いた。

「ボクの浮竹を傷つけたんだ。死んで詫びてもらうしかないね」

「京楽、兄は少し冷静になれ」

「ボクは冷静だよ?」

「瞳の色が真っ赤だ。闇に飲まれかけている」

「仕方ないよ。ボクの浮竹を傷つけるんだから」

『とりあえず、異界の桜の里にゲートを繋いだ。行くぞ』

3人は、穢れをふりまいた犯人探しをすることにした。

異界に移住してきた桜の花鬼の一体一体を調べていく。

中に、穢れをふりまく桜の花鬼がいた。

まだ、10歳にも満たない子供だった。

『どうする?子供だぞ』

「子供だからって、許されるわけじゃない。処分する」

「京楽の言う通りだ。子供だからと、許していればまた同じことを起こす」

京楽は、穢れを身にまとう桜の花鬼に向かって、手を伸ばす。

「藍染様のお子であるこの俺に、なんの用だ!」

「ふふふ、藍染の子か。それなら、手加減はいらないね」

京楽は、嬉しそうに微笑む。

爪をとがらせて、子供の花鬼の背中を裂いた。

「ぎゃああああ」

「もっと苦しめ。天空破邪、天炎」

「うぎゃあああ」

「散れ、千本桜‥‥‥」

『彼岸花よ‥‥‥』

強い再生能力をもっていたが、逆にそれが仇となった。

「いぎゃあああ、痛い、痛い。死ぬううう」

「死ね」

京楽は、桜の文様の入った日本刀を取り出すと、子供の花鬼の心臓を貫いた。

さんざん嬲ったので、京楽も満足していた。

「はぁ、すっきりした」

闇の飲み込まれていた京楽は、犯人を殺したことで、元の人の姿に戻っていた。

「帰ろうか、現世に」

「その前に、何故この花鬼が移転する前に穢れを出していなかったかが知りたい」

白夜の言葉で、彼岸花の精霊の浮竹が、女の花鬼を指さした。

『あの女から、死んだ子供の匂いがする』

「ひっ。ち、違うんです!藍染様に脅されて!」

「脅されていたろうが、関係ないよ。死んで?」

京楽の中の闇が、またむくりと顔をあげる。

「あう‥‥」

女は、心臓を桜文様の日本刀で一突きされて、息絶えた。

「うわああああ、花鬼だ]

「花鬼がでたぞおおおお」

「逃げろ!殺されるぞ!」

京楽は、にたぁと笑った。

「桜の王に危害を加えたら、こんな風になるからね?」

「京楽、兄は正気に戻れ」

『俺は好きだけどな?闇に飲まれているの』

「京楽、浮竹が悲しむぞ」

京楽は、やっと我に返る。

「帰ろうか。現世に」

「ああ」

『そうだな』

現世に戻ると、ぴんぴんしている浮竹が、抱擁しにきた京楽の頭をハリセンで殴る。

「闇に飲まれてたな?」

「それは、えーと」

「京楽は、盛大に闇に飲まれていたぞ」

白夜が言う。

「ちょっと、白哉くん」

「京楽、半月は禁欲の刑だ。彼岸花の精霊の俺、世話をかけたな。鴆の京楽も、ありがとう」

『ツンデレじゃない』

『しー。たまには素直なのもいいことだよ』

「聞こえているんだが?」

ハリセンを手に、浮竹はばしばしと、彼岸花の精霊の浮竹と鴆の京楽の頭を殴る。

「看病されたからって、何もあげないんだからな!」

そう言いながら、あやかしまんじゅうを手渡す。

『デレた』

『でれたね』

「ふん!」

白哉と京楽は、そんなやりとりに苦笑するのだった。



「何故だ。何故、うまくいかない!私の血を引いた、穢れの半神だぞ!」

ここに浮竹がいたなら、お前は神を名乗るだけで神などではないと言うだろう。

藍染は、自らの手で四季の王である浮竹を殺せない。

子を産ませて、なんとか四季の王である浮竹を葬ろうと、また闇の中で画策するのであった。

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