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白無垢の京楽と最後の砦のパンツ

白無垢。

それは、和風の結婚式に、早嫁が着るもの。

その日は、京楽が浮竹に告白してちょうど1年が経つ日だった。


院生の皆が集う体育館で、正装した浮竹が、花嫁を連れて歩きはじめる。

しずしずと、静かに歩む花嫁は白無垢姿で、白いウェディングヴェールを被っていた。

美しい・・・・・。

と、誰も思わなかった。

花婿の浮竹は、美しかった。正装が、ばっちり決まっていて肩までの髪をくくり、髪留めで留めてあった。

こっちのほうが、花嫁らしかった。

しずしずと歩む花嫁は、ごつかった。190センチはあろうかという、長身に、がっしりした体躯。もじゅもじゃの体毛に、手入れされたひげ。

「浮竹、僕たちこれで晴れて夫婦だね」

「ああ、京楽」

体育館にいた、院生全員が泣いていた。

「京楽、幸せになれよ!」

「京楽、綺麗よ!」

「京楽、幸せにな!」

酒が注がれ、お互いに飲みか交わしあう。

山じいが、コンと杖を鳴らす。

「これにて、浮竹十四郎は京楽春水を妻に娶り、ここに永遠の愛を誓うものとする!」

わあああああああああ!

体育館に、院生の祝いの声が響き渡った。

美女と野獣・・・の反対のような夫婦だった。

そして、初夜を迎える。

「十四郎・・・僕、はじめてなんだ。優しくしてね?」

「ああ、もちろんだ春水。ああ、お前の白無垢姿を見るのもこれが最後か。綺麗だぞ、春水」

ウェディングヴェールをとり、白い着物を脱がさせていく。

京楽の全身はもじゃもじゃだった。

「ああ、いいもじゃもじゃ具合だ。ますますお前に夢中になりそうだ」

「あああん、十四郎!」

京楽は、喘いだ。




・・・・。

・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。


「うわあああああああああああ!!!!!」

がばりと、浮竹は起きた。

凄い寝汗をかいていた。

「うっ」

軽い吐き気を覚えて、洗面所に向かう。

「はぁはぁ・・・・・」

吐くことはなかったが、冷たい水で何度も顔を洗った。

「京楽の白無垢・・・・もじゃもじゅの花嫁に初夜・・・・おえっ」

見た夢の生生しさに、寒気を覚えた。

「どうしたの、浮竹」

「うわあああああああ!」

京楽は、マジで白無垢姿だった。

「ふふふふ、浮竹が白無垢着てくれないから、僕が着てみたんだ。似合う?」

「ひいいいい」

夢の続きか?

頬をつねるが、痛かった。

「ねぇ、浮竹。僕のお嫁になってくれないなら、僕がお嫁さんになってあげる」

抱き上げられて、ベッドに押し倒された。

「(*´Д`)ハァハァ・・・・僕たち、今日は記念日だよ。僕が君に告白した、1周年記念の日」

白無垢姿を脱いで、もじゃもじゅの京楽は、浮竹の服を脱がせていく。

「ああ、綺麗だ・・・・君の肌は、手に吸い付くようだよ」

「ぎゃああああああ」

「そんな嬉しそうな悲鳴をあげなくても・・・好きだよ、浮竹」

ちゅっと、キスされた。

胸から臍にかけて唇と舌が這い、全身にキスマークを残される。

胸の先端を口に含まれて、なんともいえない痺れを浮竹は覚えた。

「夢!?現実!?」

体を這う京楽の舌は、でもそれが本物であると答えてくれた。

浮竹の最後の砦、パンツに手がかかる。

「破道の4、白雷!」

黒焦げになっても、京楽はパンツを脱がせようとする。

「いい加減に、しろ!」

顔面を蹴った。

「破道の4、白雷!」

もう一度黒焦げにすると、京楽は白目をむいてどさりと倒れた。


「はぁはぁ・・・・・・・」

夢か現(うつつ)であるか分からなくなる。

自分の頬を思いっきりつねると、痛くてこれが現実であると知らせてくれた。

「京楽の白無垢・・・・・・うっ」

おまけに、操まで奪われかけた。

あのまま放置していたら、京楽に美味しく食べられていただろう。

浮竹の着ていた白無垢を手に取る。特注なのが、でかかった。

「京楽のやつ・・・白無垢なんて着て、どうしたんだろう」

「それはね」

白目をむいていた京楽が復活し、浮竹の隣に並んだ。

パンツはかろうじでお互いはいていた。

「僕と君の、告白1周年記念だから、何か驚かせてあげようと思って、白無垢を着てみたんだけど・・・・やっぱり、僕は何を着ても似合うね!」

ついに、女装癖まででたか?

そう思ったが、京楽は首を横に振った。

「と、思いたいところだけど、やっぱり白無垢は浮竹に着てほしいな」

「着ないからな!」

「今じゃなくてもいいからね。いつか、着てね」

ちゅっと、音のなるキスをされた。

それにしても、危なかった。

京楽の白無垢にばかり意識がいって、最後の砦のパンツを脱がされかかった。

京楽が、浮竹を好きと言いだすまでは、互いたまに共同風呂を使ったりして裸は見慣れたものだった。

だが、京楽に想いを告げられてからはパンツの下は見せていない。

パンツは最後の砦。

それを死守しなければ、俺の未来は・・・・・京楽の妻だ。

そう思いながら、げしげしと京楽を蹴ると、京楽は嬉しそうにしているのだった。

ああ、変態だからご褒美にしかならないのだと、遅まきに気づくのであった。






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