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小説掲載プログ
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真っ赤な。

ウィンドウショッピングをしていた。ショーケースに飾られた、真っ赤な真っ赤なピアス。
どうしようか考えあぐねてもう1時間。
刹那との待ち合わせにはまだ時間がある。
財布の中の紙幣を確かめて、その真っ赤なピアスの値段を見て溜息をついた。

多分、ルビーの中でも最高級品。ピジョンブラッド、鳩の血の色といわれる真紅。
隣には、スタールビーのピアス。ゼロが一桁おおい。
財布の中身をみて、その薄っぺらさに苦笑が零れた。
カードもあるけれど、CBのお金でこんなもの買ったら絶対怒られるよなぁ。
そんなことをフェルトは考える。
ピアス、変えたい。
ルビーのやつに。

もう少し安いのはないかと、店内に入るけど、どうやら高級品店だったようで、ゼロが一桁も二桁もおおい。
どうしようか。
ギリギリ、買えなくはないけど、そうするとしばらく新しい服も買えなくなる。
でも、一度欲しいと思い出したものは、きりがなく、視界に入る。

「いらっしゃいませ」
赤いターバンを首に巻いた、背の高い中東出身らしい顔立ちの青年。窓硝子ごしにフェルトを見つけて、店の中まで入ってきた。
「どうした?」
「ううん、なんでもないの」
「あのピアスを、購入する」
店員に、フェルトが欲しいと思っていたピアスを買うと伝えて、梱包してもらう。
どうして分かったんだろう。
刹那には言っていないのに。
刹那は、フェルトのくるくるはねた髪を撫でると、付け加えた。
「CBから生活費は出てるだろう。別にカードで買ってもいいだろうに」
「でも」
「俺はまぁいろいろ裏稼業してるから、金はそれなりにある」
梱包された真っ赤な真っ赤な、刹那と同じ瞳の色のルビーを、刹那はフェルトに渡した。

「どうして、分かったの!?」
「ショーケースにずっとはりついてたじゃないか」
ぼんと、顔が噴火しそうに赤くなる。見られていたのだ。
「苺とおんなじなの。刹那の色だから、欲しくなるんだ」
店を出た大通りで、腕を引き寄せられてフェルトは顔をあげる。
「ん」
触れるか触れないか程度のキス。
それにまた真っ赤になって、二人は歩き出す。
刹那の、東京の家へと。帰宅するために。

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