綺麗だね。
「これはなんていうの」
立ち寄ったペットショップで、綺麗にさえずる金色の鳥かごに入れられた、見事な巻き毛の羽毛をした、オレンジ色の小鳥がいた。
見たこともない鳥で、極彩色の他にいたインコやオウムとも違う。
とても綺麗な声で囀るので、ティエリアはその声とその艶やかな姿にくぎ付けになって、そのから動こうとしなかった。
「ああ、これは・・・・」
ロックオンは、その鳥の名前を言おうとして、記憶の糸を辿りだす。ただ、あの個体はいつも記憶している鳥と鳴き声はほぼ同じものの、その見事なまでの巻き毛とオレンジ色が、子供の頃に飼っていたものと違って、店員に確認しようかとも思った。
でも、ふと思い出した。
そうだ、あれは鳴き声だけでなく、姿も楽しめる、子供の頃にかっていた金糸雀(カナリア)という鳥の一種。
「ローラーカナリアだ」
「ローラー?」
天井からぶら下げられた、特別なような金色の小さな鳥かご。
そこで囀る小鳥は、鳴き声が一番美しいと有名な金糸雀。その種類、巻き毛の個体で、鳴き声を特化して品種改良されたローラーカナリア。
美しいその歌声に、二人なって夢中になった。
ケージの向こう側にいた、アレルヤが大好きな種類の子犬を見に来ていたのだが、、愛らしい他の子猫もウサギやハムスターといったかわいいペットたちももう、目に入らないくらいに印象的だった。
「足に、リングがされてあるだろう。あれで出生年月なんかを知って、近親交配にならないように管理してるんだ」
「物知り、なんですね」
見上げてくる柘榴の瞳が、こんな面もあるのかと語っていた。
「昔、子供の頃飼っていたんだよ」
「そうなのですか。できることなら、トレミーでも飼いたいけれど・・・・動物厳禁ですから」
「ああ。いつか・・・・戦争が終わって、一緒に住むようになったら、玄関先で飼おう。ローラーカナリアを。そして大型の犬も飼うんだ」
ティエリアの紫紺の髪に触れ、その頭をぐしゃりと撫でて、ロックオンは笑った。ティエリアも、つられて綺麗な笑みをこぼす。
「ほら、行くぞ」
「待ってください。ああ、アレルヤはおいて行っても?」
子犬に夢中になって、尻尾を振っているのは逆にアレルヤだ。一緒に連れてきたのだが、ガラスごしに、ケージの中にいる子犬に夢中で、ティエリアとロックオンが離れて先に行こうとしていることにも気づかない。
同じく、一緒にきた刹那はすでにどこかに消えてしまっていた。
「そのうち帰ってくる。どうせ待ち合わせの時間になったらくるさ」
「そうですね」
外に出ると、晴天だった。紺碧の蒼い空を見上げて、ティエリアは口を開く。
「――――似てる、でしょう?」
金糸雀の歌声を真似して、ロックオンを下から覗き込む。
全く――かわいいことこの上ないと、その頭をまたくしゃくしゃ撫でて、ロックオンは微笑して、二人手を繋いで歩いていく。
綺麗だね。君の歌声も。あの小鳥も。
言葉なく交し合い、太陽を背に歩き始めるのだった。
立ち寄ったペットショップで、綺麗にさえずる金色の鳥かごに入れられた、見事な巻き毛の羽毛をした、オレンジ色の小鳥がいた。
見たこともない鳥で、極彩色の他にいたインコやオウムとも違う。
とても綺麗な声で囀るので、ティエリアはその声とその艶やかな姿にくぎ付けになって、そのから動こうとしなかった。
「ああ、これは・・・・」
ロックオンは、その鳥の名前を言おうとして、記憶の糸を辿りだす。ただ、あの個体はいつも記憶している鳥と鳴き声はほぼ同じものの、その見事なまでの巻き毛とオレンジ色が、子供の頃に飼っていたものと違って、店員に確認しようかとも思った。
でも、ふと思い出した。
そうだ、あれは鳴き声だけでなく、姿も楽しめる、子供の頃にかっていた金糸雀(カナリア)という鳥の一種。
「ローラーカナリアだ」
「ローラー?」
天井からぶら下げられた、特別なような金色の小さな鳥かご。
そこで囀る小鳥は、鳴き声が一番美しいと有名な金糸雀。その種類、巻き毛の個体で、鳴き声を特化して品種改良されたローラーカナリア。
美しいその歌声に、二人なって夢中になった。
ケージの向こう側にいた、アレルヤが大好きな種類の子犬を見に来ていたのだが、、愛らしい他の子猫もウサギやハムスターといったかわいいペットたちももう、目に入らないくらいに印象的だった。
「足に、リングがされてあるだろう。あれで出生年月なんかを知って、近親交配にならないように管理してるんだ」
「物知り、なんですね」
見上げてくる柘榴の瞳が、こんな面もあるのかと語っていた。
「昔、子供の頃飼っていたんだよ」
「そうなのですか。できることなら、トレミーでも飼いたいけれど・・・・動物厳禁ですから」
「ああ。いつか・・・・戦争が終わって、一緒に住むようになったら、玄関先で飼おう。ローラーカナリアを。そして大型の犬も飼うんだ」
ティエリアの紫紺の髪に触れ、その頭をぐしゃりと撫でて、ロックオンは笑った。ティエリアも、つられて綺麗な笑みをこぼす。
「ほら、行くぞ」
「待ってください。ああ、アレルヤはおいて行っても?」
子犬に夢中になって、尻尾を振っているのは逆にアレルヤだ。一緒に連れてきたのだが、ガラスごしに、ケージの中にいる子犬に夢中で、ティエリアとロックオンが離れて先に行こうとしていることにも気づかない。
同じく、一緒にきた刹那はすでにどこかに消えてしまっていた。
「そのうち帰ってくる。どうせ待ち合わせの時間になったらくるさ」
「そうですね」
外に出ると、晴天だった。紺碧の蒼い空を見上げて、ティエリアは口を開く。
「――――似てる、でしょう?」
金糸雀の歌声を真似して、ロックオンを下から覗き込む。
全く――かわいいことこの上ないと、その頭をまたくしゃくしゃ撫でて、ロックオンは微笑して、二人手を繋いで歩いていく。
綺麗だね。君の歌声も。あの小鳥も。
言葉なく交し合い、太陽を背に歩き始めるのだった。
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