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花街恋話8

浮竹が京楽に身請けされて、半年が過ぎた。

浮竹は14歳になろうとしていた。

栄養を十分にとって、規則正しい生活をしていたためも、13歳の初めの頃は11歳くらいにしか見えなかったが、今は年相応に見えた。

浮竹の願いで、売られていった妹と弟を全部買い戻し、京楽が与えてくれた館で過ごしていた。

妹の中には、幼いのに体を売らされていた子もいて、そんな妹には京楽は4番隊の隊員を呼んで、記憶を抹消してもらったりした。

「京楽・・・」

「どうしたんだい」

「妹と弟たちを買い戻してくれて、ありがとう」

浮竹は、今は京楽のいる屋敷で暮らしいた。すぐ近くにある館に、弟や妹たちは住んでいる。まだ幼いので、大人の庇護下に置く必要があった。

「春水。俺は、学院に入学してもいいか?」

霊力のある浮竹は、真央霊術院に前々から通いたがっていた。死神になって、京楽の傍にいるために。

「いいよ。でも、もう少し待ちなさい。まだ君は13だ。せめて15になるまで」

「嫌だ。6年間もあるんだろう。俺が卒業する頃には俺は成人してしまう。そしたら、きっとごつくなってかわいくなくなっている」

「そんなことはないと思うけどね」

「可愛く見えるのは、今のうちだけだ。色子も、20を過ぎれば大抵引退する」

「もう、君は色子じゃないよ」

「でも・・・・あっ」

「君を身請けしたのは僕。僕のものだ。僕の言うことが、できるだけ聞いて」

「分かった・・・・・」

「そういえば、今日は君の誕生日だね」

「そういえばそうだったか。すっかり忘れていた」

「14歳、おめでとう、十四郎」

14歳の誕生日プレゼントは、死神になるための心得という分厚い本と、オパールのピアスだった。

「君の翡翠の瞳は、時々光彩にオパール色の虹色がまざる。それがとても綺麗だから」

ピアスのための穴を、京楽が開けてくれた。

少し痛かったが、オパールは大粒で、少し長くなった白髪からちらちらと見えて、綺麗だと京楽は思った。

髪飾りや首飾りも考えたが、いつもつけているとなると、指輪かピアスくらいのものだろう。

指輪は、もう用意してある。

今日の夜にでも、与えるつもりだった。

「何をにまにましているんだ、京楽?」

「ん~?幸せだなぁと思って」

「今日は非番でも、明日から仕事があるんだろう?」

「いや、実は今日も仕事ある日なんだけどね。書類仕事は全部持ち帰って屋敷でしているから」

「大変じゃないか!仕事をさぼってはいけない」

浮竹が、京楽の長い黒髪をひっぱる。

「いやぁ、さぼるのとはちょっと違うよ。僕は隊長だからね。主に戦闘で出番がでるから・・・普段は雑務が多いから、その辺は副官に任せられるから、どうしても僕は処理しなければいけないところだけ、仕事をしにいくくらいかな」

「そういうものなのか。俺が死神になっても、ただの死神だと、お前に会えないのか」

「君が死神になったら、僕が8番隊に引き抜くから」

「約束だぞ」

「ああ、男同士の約束だ」

指きりげんまんをした。

その日の夕食のメニューは、浮竹の好物だらけだった。デザートには、最近はやりのアイスクリームがあった。

嬉しそうに平らげる浮竹を見て、京楽も幸せそうだった。

夜になって、褥に呼ばれた。

「今日は、君の14歳になった誕生日の、特別な日だ。僕が君を身請けしてからきた、はじめての君の誕生日」

翡翠をあしらった指輪を見せられた。

「これは?」

「僕との、結婚指輪」

「結婚?・・・・男同士で、結婚できるのか?」

「できないよ、今の尸魂界では。でも、二人だけで秘密の結婚式をあげようと思ってるんだ」

その言葉に、浮竹は涙を零した。

「京楽、お前の優しさは、時に酷い」

「ええ、優しさが酷い?」

涙をポロポロ零しながら、浮竹は言う。

「こんなに、誰かに愛されたのは初めてだ。実の両親より、俺は愛されている」

その日の夜は、睦みあって眠った。


朝がきて、特別な場所というところに案内された。

「ここは・・・?教会?」

尸魂界に教会があるなんて、珍しいときょろきょろとあたりを見回す。

「中に入っておいで」

呼ばれて、中に入るとステンドグラスに日の光が入ってきて、とても幻想的な色の影を落としていた。

「この教会で、今日、僕と君は結ばれる」

一人の老人がいた。

「あなたは?」

「昔、現世で教会の神父をしていた者です」

「さぁ、始めようか」

浮竹は、いつもより繊細な服を着て、髪飾りやら首飾りやらをされていた。その頭に、金糸銀糸の刺繍がされたウェディングヴェールが被せられる。

「汝、京楽春水、病める時も健やかなる時も、浮竹十四郎を愛すると誓いますか?」

「誓います」

「汝、浮竹十四郎、病める時も健やかなる時も、京楽春水を愛すると誓いますか?」

「誓います・・・・」

指輪の交換をした。

浮竹の指輪に翡翠が、京楽の指輪には黒曜石がはめこまれていた。

「では、誓いの口づけを」

「ん・・・・」

何度も何度も、浅く深く口づけられて、口づけが終わる頃には立っていられなくなった。

「おめでとう。君たちは、二人で一つの伴侶です」

「ありがとう、神父さん」

「ありがとう、神父様・・・・」


そのまま、屋敷に戻った。

寝室にやってきて、どちらともなしに口づけしあい、衣服を脱がしていく。

「ああっ」

薄い胸の先端を撫でられ、つままれ、口に含まれて、甘い声が漏れる。

「早くきて、春水・・・・・・」

「ちょっと待ってね」

蕾を、潤滑油で濡らした指で解していく。指だけでいかすことはできるが、今回は本当に解すだけだった。

己の欲望に潤滑油を注ぎ、浮竹の中に入りこむ。

「ああっ!」

貫かれて、その衝撃に涙を零した。

「どうしたの?」

「幸せだから、いいんだ。んあっ」

ぐちぐちと、浅いところばかりを侵してくる。

「もっと奥に」

前立腺をすりあげて奥に侵入すると、びくんと浮竹の体ははねた。

「ああ、今のもっと」

また前立腺をすりあげて、奥まで突き上げられた。

「いい・・・もっと。あ、あんっ」

いつもは喘ぐだけなのに、今日は積極的に求めてくる浮竹が可愛くて、花茎に手をそてえ、戒める。

「ああっ。いきたい・・・・」

「僕と一緒にいこう」

前立腺を突き上げる。

先走りを迸らせる浮竹の花茎は限界に近付いていた。

最奥に突き上げて、浮竹の戒めを解放する、びゅるるると、勢いよく浮竹は射精した。京楽も、浮竹の腹の奥に欲望を迸らせた。

その後、何度も求めあった。

若いので、数回してやっとくたくたになった。

「今日から、君は僕の伴侶だ」

「本当に、俺でいいのか?」

「君じゃないとダメなんだ」

「春水・・・・愛してる」

「僕もだよ、十四郎」



その後、15で学院に入った浮竹は、飛び級をして僅か2年で真央霊術院を卒業した。

始めは、13番隊に・・・・・という話がきていたが、京楽がとても欲しがったので、8番隊に所属された。

卒業と同時に、8番隊の3席になった。

その後、京楽を支え続けて、50年後には副隊長になった。それから数百年、二人は伴侶として生きるのだった。



               花街恋話
                fin







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