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魔王と勇者と9

浮竹と京楽は、新婚旅行にトエイ帝国まで出かけた。

トエイ帝国は魔王領の中でも、最も繁栄している国であった。魔王領の外に出ると、聖女教がやっかいなので、魔王領で新婚旅行をすることになり、浮竹の意見でトエイ帝国に決まった。

新婚旅行といっても、お忍びの旅行なので、京楽は黒いフードを目深に被り、魔王であることをばれないようにしていた。

魔王だとばれたら、人が寄ってくるからだ。

「あ、京楽と同じ顔した魔族がいる」

「あれは、先々代の魔王だね。隣にいるのはフェンリルかな?獣人のようにも見えるけど。浮竹そっくりだね」

「本当だ」

「話かけてみようか」

「ああ」

浮竹と京楽は、元魔王の京楽とフェンリルの浮竹に話しかける。

「あの」

『あ!同じ顔だ!』

フェンリルの浮竹が、しっぽを振って喜ぶのを、浮竹は不思議な気持ちで見ていた。

「君、先々代魔王だね?」

『そういう君は、魔王じゃないか。こんな場所で何をしているんだい』

「いやぁ、浮竹と結婚したものだから、お忍びで新婚旅行にね」

『いいなぁ、京楽。俺たちは結婚しないのか?』

『考えておくよ』

元魔王の京楽とフェンリルの浮竹は買い物の途中だったので、いったんその場で別れた。

後日、再会するように日にちを調整した。


「さて、ボクらも新婚旅行楽しもうか。天然温泉の出るホテルがあるんだ。今日はそこに泊まるよ」

「また、ばか高いホテルなんだろう?無駄に豪華な」

「まぁね。金をもっているだけじゃあ意味ないからね。使わないと。それに君はいつもモンスター退治をしてくれているから、そのお礼も含めてね」

一流ホテルのスィートルームに泊まることになった。

一泊一人金貨500枚。

浮竹がモンスター退治を毎日して、半年でやっと稼げる額だった。

それを、京楽はさりげなくぽんと払う。

さすがに空間ポケットでも大量の金貨を持ち運ぶのは危ないので、支払いはクレジットカードだった。

真っ黒の、王侯貴族にしか発行の許されぬクレジットカードだった。

「京楽、温泉に行こう!」

「うん。でも、時間ずらそ?」

「なんでた?」

「ボクの浮竹の裸を、他人に見せたくない」

浮竹は真っ赤になった。

「ちゃ、ちゃんとタオルくらい巻く!」

「うん。それでも、裸同線でしょ?」

「むう」

「深夜に入ろう。それまで寝ていていいよ」

浮竹と京楽は、部屋でルームサービスの豪華な食事をとって、浮竹は風呂に入ると決めた深夜の1時まで眠ってしまった。

京楽はずっと起きていた。

「ふふ、君と結婚できるなんて」

浮竹の手を握り締めて、キスをする。

「ああ、早く君の全てが欲しい」

京楽は、浮竹が寝ているのをいいことに、素肌に触り、キスをする。

「んー、もう1時か?って、何してるんだお前は!」

浴衣をぬがされかかっていた浮竹は、浴衣を着なおして、ハリセンで京楽を殴る。

「いやね、君が魅力的だからつい」

「今度したら、1日口きいてやんないからな」

「はい。反省します」

やがて深夜の1時になり、浮竹と京楽は24時間サービスの露天風呂に入った。

「星が綺麗だな。手で掴めそうだ」

「メテオストライクっていう、星の石を落とす魔法があるから、それでも掴む?」

「アホか。ただ、掴めそうに綺麗だと思っただけだ」

「確かに綺麗だね。トエイは都会のクセに空気が澄んでるから。自然も豊かだし」

京楽は、体を洗いだす。

「背中、流してやろう」

「お、頼むよ」

浮竹は、タオルで京楽の背中を洗い、ついでに黒い長めの髪も洗ってやった。

「今度は、ボクが洗ってあげる」

「いらん」

「なんで」

「すけべなことしそうだから」

「く、ばれていたか‥‥‥‥」

そんなやりとりをして、風呂からあがり自販機でフルーツ牛乳を2つ買うと、二人は一気に飲みほした。

「寝る前に、少しだけお酒飲もうか」

「お、いいな」

「浮竹はちょっとだけだよ。酒乱なんだから」

「分かってる」

トエイ帝国に1週間滞在した。

途中で魔王だとばれて、いろいろあったが、二人は無事に魔王城まで帰還するのであった。

「あー、伸び伸びとできたなぁ。なぁ京楽、またいつか二人で旅行に出かけような?」

「うん。再来月なんかどう?」

「魔王の仕事ほっぽりだして大丈夫なのか?」

「大丈夫じゃないね。執務大臣たちが怒る」

「じゃあ、来年な」

「仕方ないね。こればっかりは。ボクは魔王としての責務を果たさないといけないから」

浮竹は、京楽と同じ部屋の同じベッドで寝る。

枕を抱え込んで、ぱたぱたと足を動かす浮竹がかわいくて、京楽は鼻血を出していた。

「う、浮竹かわいくて萌え」

「うぎゃあああああああああ」

飛び掛かって抱きついてくる京楽を、浮竹は火の精霊王を呼んで黒焦げにするのだった。


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