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黒猫と白猫の亜人1

京楽は、黒猫の亜人だった。浮竹は、白猫の亜人だった。

普段は人の姿をしているが、猫にもなれた。

京楽は、金持ちの家の猫として飼われていた。ただの猫として。

浮竹は、その美しさのせいで奴隷で、飼われている主人から性的虐待を受けていた。それを見た京楽は、怒って浮竹の主の目を潰してしまった。

「ごめんなさいね。もう、あなたを飼えないの。あのお方は貴族であられる方だから」

京楽の主は、京楽を捨てた。

せめてもと、人の姿になった京楽に金貨をもたせた。

京楽は、その金で浮竹を買った。

「お前が、次の俺の主か?」

浮竹は、暗い目をしていた。この世に希望なんてどこにもない。そんな目をしていた。

「ボクは、君を自由にする」

「え?」

浮竹は、汚されていたのに、真っ新のように綺麗だった。

京楽は、浮竹の奴隷の証である首輪をとり、飼い猫の証である首輪をはめた。

「これで、君は誰かが飼っている猫だよ。でも、自由だよ」

「お前の名は?」

「京楽春水」

「俺の名は、浮竹十四郎」

「そう」

「お前は、俺の新しい主じゃないのか。自由と言われても、どこへ行けばいいのか分からない」

京楽は、黒猫姿で、白猫姿になった浮竹に、ついてこいという。

「ここ」

「ん?」

「ここは、四大貴族の朽木白哉って子の家。ここでは、ボクたちのような自由な猫が出入りしている。ここで、過ごすといい。ボクも、今この家で世話になっているよ」

「おや、京楽殿。また、新しい猫を連れてきたのですか?」

「うん。白猫の亜人の浮竹。ボクと一緒に、白哉君の家にいていいかな?」

「兄様は拒まないでしょう。ああ、浮竹殿といったか。白猫なのに、毛皮が灰色になっている。お風呂に、入りましょう」

相手が少女だったので、浮竹は猫の姿で洗ってもらった。

ちゃんと、猫用のシャンプーだった。

「ああ、綺麗な毛並みですね。この首輪、京楽殿が与えたのですか?」

「うん、そうだよ」

「こんな綺麗な白猫の亜人だと、また奴隷にされてしまうかもしれない。兄様の刻印の入った首輪に変えましょう」

猫の時でも、亜人の時でもはめっぱなしでいられる、高い魔法の首輪を浮竹はしてもらった。

「京楽殿も、野良だと奴隷狩りにあってしまう。念のため、兄様の刻印入りの首輪をしておきましょう」

「ありがとね、ルキアちゃん」

その少女は、朽木ルキアといって、朽木白哉、つまりは形式上では浮竹と京楽の主である青年の義妹であった。

白哉とは血がつながっておらず、死んでしまった緋真という妻の妹だった。

「あ、白哉君だ」

「え、どこだ?」

遠くから、やたら綺麗な青年がやってくる。

「白哉君、新しい仲間の浮竹だよ」

「京楽、兄はまた猫を連れてきたのか。亜人だな」

「うん。ボクと一緒」

亜人の猫は、京楽と浮竹だけだった。

白哉の家にはたくさんの猫がいたが、ただの猫だった。

京楽はその輪の中にまじる。浮竹も、とまどいながらその輪の中に入っていく。

猫の言葉を、京楽と浮竹は理解できた。

なんでも、また白哉にお見合いの話が出ているらしい。白哉の家の猫たちは、半分が基本野良猫で、餌をもらう時だけやってきたり、休みたい時にやってきたりした。

京楽と浮竹も、半分野良として白哉の家に厄介になるのであった。



「にゃあにゃあ」

ああ、泣いている。

これは俺。

俺の、悲しい記憶。

浮竹は夢を見ていた。

「にゃあああ」

高貴な身分の白猫の亜人の母が、暴漢に犯されてできた子。

それが、浮竹だった。

母は浮竹のことを幼い頃から虐待し、父である立場の者は、美しく成長していく浮竹に欲をもち、ついに父から犯され、何をされたのか分かっていない浮竹を見て、母は切れて浮竹を奴隷として売ってしまった。

いきつく先は地獄。

男娼として、扱われた。

それから、浮竹を欲しがる貴族の男が出てきて、浮竹は売られていった。

新しい家で、主は浮竹が人の姿をとると犯した。

それが嫌でずっと猫の姿でいると、折檻された。

そんな世界から、浮竹を救ってくれたのは、黒猫であるが同じ猫の亜人の京楽だった。

ああ。

また、俺はいつか捨てられるのだろうか。

そんな涙を流す浮竹を、京楽はぺろぺろ舐めた、

「安心して。ここは、穏やかなところだから。君をいじめるやつがいたら、ボクがやっつけてやるから」

浮竹は、初めて自分以外を好きになった。京楽を。

京楽は、浮竹を一目見た時から恋に落ちていた。

「白哉?」

「ああ、浮竹か」

「どこにいくんだ?」

「少し、夜の散歩を。兄もくるか?」

「うん」

白哉と早く仲良くなりたくて、浮竹は白哉の近くで過ごした。そのすぐ近くには、いつも京楽がいて、穏やかな顔で、浮竹を見つめるのであった。



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