20話補完小説「こんなにも現実は残酷」
「アニュー」
アニューが世界から消えてしまった。死んでしまった。
刹那が、ライルのかわりに引き金をひいた。
刹那は無言でライルに殴られまくっていた。そして、ライルは魂の慟哭で叫んだ。
「アニュー、愛している」と。
ティエリアは、その日の夜、ライルの部屋にきていた。
「アニュー、愛してたぜ・・・なぁ、なんでこんなことになっちまったんだろうな」
ライルは、パソコンでアニューと一緒にうつった写真のデータを懐かしそうに見ていた。
ああ。私と同じ結末を、ライルにも与えるなんて、神はなんて残酷なのだろうか。
せめて、彼らの愛の結末は、幸福で終わって欲しかった。だが、イノベイターと人間の愛は、かなわぬものなのだろうか。彼らは、本当に心から愛し合っていたのに。
「アニュー、愛しているよ」
ライルのエメラルドの瞳から、途切れもなく涙があふれていた。
ライルは、本当はとても強いのに、涙を流さずにいられないくらいに、アニューを愛していた。
「ティエ、リア?」
ティエリアは、無言でライルを抱き寄せると、一緒にベッドに横になった。
「爪を噛んでは・・・いけない」
ティエリアが、血を流している手を包み込む。
「なぁ。なんで、アニューが死ぬ必要があったんだろうな?」
「彼女は・・・イノベイターだった。でも、あなたを愛していた。同じイノベイターであった私には分かった。いつか、こんな日がくるのではないかと。でも、その結末は私のように愛しいニールを失うのではなく、試練を、運命を乗り越えて、あなたはアニューを取り戻すのだと思っていた。そう思いたかった」
ライルの茶色の髪を、ゆっくりと撫でる。
「取り戻せると、思っていた。アニューは、俺の言葉に答えて、俺のほうにコックピットから出て・・それを、刹那が・・・・」
「刹那は、あなたのかわりに引き金をひいた。どうか、憎んでやれ」
「ティエリア?お前のことだから、刹那を責めるなというのかと思った」
「いいや。刹那は、全てを分かっていて引き金をひいた。あなたのかわりに。だから、アニューを殺したのは刹那だ。憎んで憎んでやれ。そうしないと、刹那の行為が全て無駄になる。そして、生きろ・・・・」
「なぁ。ティエリアが、兄さんを失った時の気持ちが、いまだと痛いほどによくわかるよ」
「すきなだけ、なくといい。あなたは、大人だから、年長者だから、涙を流してはいけないとか、そんなことはない。私もアニューがすきだった」
ライルの手には、ブルーサファイアの忘れな草の髪飾りがあった。
愛しいアニューが残していったもの。
「アニュー・・・・」
ライルは、ティエリアの体を抱きしめて、泣いた。
ティエリアは、そんなライルを包み込むように、優しく背中をなでて、一緒に泣いた。
「分かってたんだ・・・アニューが・・・・最後、コックピットから出ようとして、中にひっこんだんだ。俺は・・・でも、そのままアニューの殺されてもいいと思った。愛しているから」
「だから、刹那が代わりに引き金をひいた」
「でも、俺は刹那を許せない」
「それでいい・・・刹那も、許してもらおうと思っていないはずだ」
「もう一度、俺の女にするって叫んで、アニューは涙を零しながら・・・ゆっくりコックピットを出て、俺のほうに・・・・でも、その瞳はイノベイターの証である金色に光っていて・・・でも、もうそのままと・・・」
ライルは、一生分の涙を零す。
ティエリアも、同じように涙を零す。
「アニュー・・・ダブルオーライザーとすれ違ったとき、アニューが傍にいた。彼女の心に触れ合えた。イノベイターとして、命をうけて嬉しかったと。俺と出会えることができたから・・・笑顔で・・・最後は、笑顔で・・・あんな綺麗な笑顔、見たことがねぇ」
ライルは、泣き疲れて眠ってしまった。
ティエリアは、聖母マリアのように、ただ静かに涙を零し、ライルを抱きしめるのであった。
アニューが世界から消えてしまった。死んでしまった。
刹那が、ライルのかわりに引き金をひいた。
刹那は無言でライルに殴られまくっていた。そして、ライルは魂の慟哭で叫んだ。
「アニュー、愛している」と。
ティエリアは、その日の夜、ライルの部屋にきていた。
「アニュー、愛してたぜ・・・なぁ、なんでこんなことになっちまったんだろうな」
ライルは、パソコンでアニューと一緒にうつった写真のデータを懐かしそうに見ていた。
ああ。私と同じ結末を、ライルにも与えるなんて、神はなんて残酷なのだろうか。
せめて、彼らの愛の結末は、幸福で終わって欲しかった。だが、イノベイターと人間の愛は、かなわぬものなのだろうか。彼らは、本当に心から愛し合っていたのに。
「アニュー、愛しているよ」
ライルのエメラルドの瞳から、途切れもなく涙があふれていた。
ライルは、本当はとても強いのに、涙を流さずにいられないくらいに、アニューを愛していた。
「ティエ、リア?」
ティエリアは、無言でライルを抱き寄せると、一緒にベッドに横になった。
「爪を噛んでは・・・いけない」
ティエリアが、血を流している手を包み込む。
「なぁ。なんで、アニューが死ぬ必要があったんだろうな?」
「彼女は・・・イノベイターだった。でも、あなたを愛していた。同じイノベイターであった私には分かった。いつか、こんな日がくるのではないかと。でも、その結末は私のように愛しいニールを失うのではなく、試練を、運命を乗り越えて、あなたはアニューを取り戻すのだと思っていた。そう思いたかった」
ライルの茶色の髪を、ゆっくりと撫でる。
「取り戻せると、思っていた。アニューは、俺の言葉に答えて、俺のほうにコックピットから出て・・それを、刹那が・・・・」
「刹那は、あなたのかわりに引き金をひいた。どうか、憎んでやれ」
「ティエリア?お前のことだから、刹那を責めるなというのかと思った」
「いいや。刹那は、全てを分かっていて引き金をひいた。あなたのかわりに。だから、アニューを殺したのは刹那だ。憎んで憎んでやれ。そうしないと、刹那の行為が全て無駄になる。そして、生きろ・・・・」
「なぁ。ティエリアが、兄さんを失った時の気持ちが、いまだと痛いほどによくわかるよ」
「すきなだけ、なくといい。あなたは、大人だから、年長者だから、涙を流してはいけないとか、そんなことはない。私もアニューがすきだった」
ライルの手には、ブルーサファイアの忘れな草の髪飾りがあった。
愛しいアニューが残していったもの。
「アニュー・・・・」
ライルは、ティエリアの体を抱きしめて、泣いた。
ティエリアは、そんなライルを包み込むように、優しく背中をなでて、一緒に泣いた。
「分かってたんだ・・・アニューが・・・・最後、コックピットから出ようとして、中にひっこんだんだ。俺は・・・でも、そのままアニューの殺されてもいいと思った。愛しているから」
「だから、刹那が代わりに引き金をひいた」
「でも、俺は刹那を許せない」
「それでいい・・・刹那も、許してもらおうと思っていないはずだ」
「もう一度、俺の女にするって叫んで、アニューは涙を零しながら・・・ゆっくりコックピットを出て、俺のほうに・・・・でも、その瞳はイノベイターの証である金色に光っていて・・・でも、もうそのままと・・・」
ライルは、一生分の涙を零す。
ティエリアも、同じように涙を零す。
「アニュー・・・ダブルオーライザーとすれ違ったとき、アニューが傍にいた。彼女の心に触れ合えた。イノベイターとして、命をうけて嬉しかったと。俺と出会えることができたから・・・笑顔で・・・最後は、笑顔で・・・あんな綺麗な笑顔、見たことがねぇ」
ライルは、泣き疲れて眠ってしまった。
ティエリアは、聖母マリアのように、ただ静かに涙を零し、ライルを抱きしめるのであった。
PR
- トラックバックURLはこちら