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始祖なる者、ヴァンパイアマスター17

女帝ブラッディ・ネイが消えた。

それは血の帝国を震撼させた。

「全く、どこへいったんだあの妹は!」

浮竹は、ブラッディ・ネイの宮殿にきていた。京楽も一緒だ。

「ブラッディ・ネイが消える前、何かおかしなことはなかったかな?」

家臣や寵姫たちに、そう聞いて回る京楽。

浮竹は、ブラッディ・ネイが自ら望んで消えたわけではないと考えていた。

「後宮を封鎖しろ。寵姫たちを外に出すな」

「浮竹、まさか寵姫が?」

「その可能性が一番高い。俺はブラッディ・ネイと血を分かち合っているので分かるんだ。ブラッディ・ネイの気配は、まだ宮殿の中だ」

「君たち、後宮を封鎖して!寵姫の誰一人も、外に出れないようにして!」

京楽が、ブラッディ・ネイの家臣たちにそう命令すると、家臣たちは後宮を閉鎖するために動いてくれた。

「ブラッディ・ネイが寵姫の誰かに連れ去られたと思うの?」

「その可能性が一番高い。あの愚昧は、俺をおいて血の帝国から消えるような存在じゃない」

浮竹には、絶対の自信があるらしかった。

ロゼと中身を交換してまで、抱こうとするほど、ブラッディ・ネイは浮竹に固執しているし、浮竹のことを伴侶のように愛していた。

ブラッディ・ネイが浮竹に抱く愛は、家族愛ではない。

浮竹を愛し、自分のものにしたいという欲からくる愛だ。それは、京楽が浮竹に抱いている愛に似ていた。

一番の寵愛を受けている、ロゼ・オプスキュリテと話をした。

「最近のブラッディ・ネイに変わったことはなかったか」

「そういえば、最近一番若い、8歳の少女を後宮入りさせました。それくらいでしょうか」

「8歳!完全に犯罪だろ」

ブラッディ・ネイは年端もいかぬ10くらいの少女から、15才くらいまでの少女を愛した。

後宮に住まう寵姫の数は35人。

それぞれ、血を少しだけ与えられて、疑似血族にされていた。

ブラドツェペシュの件があり、ブラッディ・ネイは本物の血族をもつことを辞めた。

それまで血族にしていた寵姫を、血の盟約を破棄して血族ではなくし、その後に新たに疑似血族とした。

疑似血族は、血族によく似ているが、血族とは違う。

縛るようなものがないし、主として守らなければという意思もわかない。

「その8歳の子には会えるか?」

8歳というが、実年齢ではない。あくまで見かけの年齢であった。実際は30歳ほどだ。

他の寵姫たちは100歳を超えている。

ブラッディ・ネイの血を与えられた者は、成長が止まり、若い姿のまま死んでいく。

「その、自閉症で・・・会うのは、難しいかと」

「ふむ。ますます怪しい」

浮竹と京楽は、後宮にきていた。

京楽にも、後宮にブラッディ・ネイの存在があるのが分かった。

「俺と京楽は、宮殿でしばし留まる。何かあれば、式を飛ばしてくれ」

「はい、始祖様」

「あの子、式使えるの?」

「疑似血族とはいえ、一番の寵姫だ。限りなく血族に近い。血族は主の能力を模倣できるからな。京楽、お前が魔法は本当は使えないのに、俺が主のせいで、俺が使う魔法を使えるように」

「そうか。ロゼって可能性はないの?」

「ロゼは寵愛を欲しいままにしている。今回の犯人は、寵愛を欲している寵姫とみて、間違いはない」

「うわぁ、肉欲の泥沼。僕には、ブラッディ・ネイの寵愛を欲しがることが理解できない」

「それは俺にも理解できない。同じ女の女帝に体を玩具にされて、それでもなお愛されようとするなど」

1週間ほどが過ぎた。

ロゼから、式が届いた。

ブラッディ・ネイが深夜にロゼの元を訪問して、抱いていったのだという。

「復活したのなら、何故戻らない。戻れない理由でもあるのか・・・・」

「一時的に復活しただけかもしれないよ。肉欲を満たすために、ロゼを抱いて、また拉致られたとか」

「多分、拉致られたんだろうな。ブラッディ・ネイが命をかけてまで寵愛する寵姫は存在しない」

「でも、浮竹のためなら、ブラッディ・ネイは命を投げ出すんじゃない?」

「それはありそうだが。まあ、限りなく不老不死に近い。死んでも、皇族の少女に転生する」

「それもそうだね。ほんと、人騒がせな。どこにいったんだろう?」

さらに3日ほど経った。

危惧していた血の帝国での内乱や、内輪もめなどなく、時はただ静かに過ぎていく。

女帝ブラッディ・ネイの代わりに皇族王である白哉が、統治に当たっていた。

「白哉がいて助かった。女帝排斥派はすでに淘汰済みだし、しばらくは白哉が政治をしてくれるだろう」

「白哉クン、肩の荷が重そう。かわいそう」

「仕方ない。ブラッディ・ネイを見つけるまでは、代わりに血の帝国を統治してもらわないと」

一度、浮竹と京楽は、忙しい白哉と面会が叶った。

「忙しそうだな、白哉」

「兄か。早く、ブラッディ・ネイを見つけてくれ。忙しくて目が回りそうだ」

「ブラッディ・ネイって肉欲の海に沈んでいるだけに見えるけど、ちゃんと血の帝国を統治しているんだねぇ」

「そうでなければ、女帝を8千年も続けられぬだろう」

もっともな白哉の意見に、浮竹も京楽も頷くのだった。

---------------------------------------------------

「8歳の、少女に会う」

「でも、始祖様。あの子は自閉症で、他人に会うのを酷く嫌います」

ロゼの言葉に、けれどと、浮竹は続ける。

「8歳の少女が、犯人だと思う。幼いヴァンパイアは、その身を護るために魅了の魔法を使う。きっと、それが強すぎたんだろう」

「自閉症で魅了の魔法が使える。なんかややこしい子だね」

「では、通してもらう」

浮竹と京楽は、後宮の奥にある、ブラッディ・ネイがお気に入りの子を集めた館に足を運んでいた。

水晶の鍵で扉を開ける。

館は寵姫たちは出入り自由であるが、閑散としていた。

3階の奥の部屋で、件(くだん)の寵姫はいた。

濃い、血の匂いがした。

「君が・・・・名前は、確かメフィストフェレス。大悪魔の名をもつ、自閉症の8才の子」

「気安くあたしに話かけないで」

「自閉症というのは、嘘みたいだな」

「自閉症は、ブラッディ・ネイ様に治したもらった。誰にも渡さない。あの方は、あたしのもの」

東洋の京楽と浮竹からもらった、水晶のペンダントが輝いて、次に白く濁った。邪な力を感じると、煌めく水晶は白く濁るのだ。

今、真っ白に濁っていた。

「俺達に、敵意があるようだ」

「仕方ないね。子供とはいえ、容赦はできない」

「助けて、ブラッディ・ネイ様!」

じわりと、少女を中心に、血の海が滲む。

それは薔薇の花となり、咲き乱れた。

「く、ブラッディ・ネイオリジナルの薔薇の魔法か!厄介な!」

「ブラッディ・ネイ様はあたしのもの。あたしの中で、あたしだけを愛して永遠を生きるのだわ」

薔薇の匂いが部屋中に満ちた。

薔薇の花びらが、刃となって浮竹と京楽を襲う。

それを血のシールドで防いだ。

「ブラッディ・ネイの血族になっているのか!道理で強いわけだ!」

「あたしからブラッディ・ネイ様を取り出すのは、許さない!」

「内部に、取り込まれてるみたいだよ。どうする?」

水晶の濁りが、消えた。

「それまでだよ、メフィストフェレス。どんな存在であろうと、兄様を傷つけるのは許さない」

ゆらりと、メフィストフェレスから血の女帝がにじみ出た。

「だめ、ブラッディ・ネイ様、出てこないで!」

「もう十分だろう。君を癒して、君を愛した。ボクは、ボクを支配しようとするような子より、ロゼのほうが好きだ」

「いやよ!あたしのものよ!ロゼなんか、あたしが殺してやる」

メフィストフェレスの言葉に、ブラッディ・ネイは瞳を真紅にさせて怒った。

「ボクを魅了にかけた腕は認めよう。でも、ロゼを害するなら、ボクは本気で君を捨てるよ。ボクは、君をあまり愛していない。ロゼや他の愛しい寵姫、それに兄様に危害を加えるなら、黙っていないよ」

メフィストフェレスは、目に涙をためて泣きだした。

「うわあああああああん」

血の薔薇は、いつの間にかブラッディ・ネイの体に戻っていた。

「やれやれ・・・泣かれるのは、一番困る。君をあまり愛していないと言ったのは嘘だ。そうじゃなきゃ、自閉症を治すなんて無理難題、しているわけがない」

「ほんと?ほんとに、ブラッディ・ネイ様はあたしを愛してる?」

「ああ、本当だとも。兄様への愛には負けるけど」

また、水晶が濁った。

「始祖浮竹・・・ブラッディ・ネイ様の最愛の者。死んで?」

ブラッディ・ネイが何かを言う前に、メフィストフェレスは血でできた薔薇の花で、浮竹の胸を貫いていた。

「ぐっ・・・」

「浮竹!」

「兄様!」

「ふふふふ。浮竹十四郎、死んで?」

藍染の匂いがした。

「藍染の手に、一度落ちたな、メフィストフェレス!」

浮竹が、傷を再生しながら、メフィストフェレスを睨んだ。

「この魔力、藍染のものだ」

「なんだって!」

「キミは・・・・どこまで、愚かな・・・・・」

ブラッディ・ネイはメフィストフェレスを薔薇の魔法で包み込む。

「邪魔しないでブラッディ・ネイ様!」

水晶の濁りが頂点に達して、淡く輝いた。

「だめだ、浮竹。処分しよう」

「ああ」

「待って、兄様!」

「だめだ。藍染に洗脳されている。どこまでも攻撃してくる」

「メフィストフェレス!ボクはキミを愛している!だから、こんなことは止めるんだ!」

「藍染が、あたしに力をくれたの。始祖を屠る力を!」

メフィストフェレスは、その体そのものを血の渦と化して、浮竹と京楽に襲いかかった。

それを、京楽が血のシールドで押し返す。

「くそう、どうして?力が足りない!始祖の血族にすら、歯が立たないの!?」

京楽は、血の刃を作り出して、メフィストフェレスを攻撃した。

「きゃあああああ!痛い、痛い!」

「今なら、まだ間に合う。引け、メフィストフェレス」

浮竹は、瞳を真紅にしながら、メフィストフェレスを自分の血で包み込み、攻撃できなくした。

「嫌よ!ブラッディ・ネイ様が一番に愛しているのはお前だもの!お前を屠って、あたしが一番になるの!」

「俺は神の呪いを、神の愛を受けている。不老不死だ。殺しても、死なない」

「そんなことないわ!藍染が言っていたもの!創造神の力があれば、例えその寵児であろうと殺せるって!」

「創造神ルシエードは、もうこの世界にいない」

「だから、召還するのよ!藍染は言っていたわ。創造神を召還するって!」

「そんなこと、不可能だ」

「この世界を去った創造神は、もうこの世界には戻ってこないよ。一度作った世界に興味をもつ神々はいないからね。諦めなよ」

京楽の言葉に、メフィストフェレスは歯ぎしりした。

攻撃できないはずの血の結界を通りぬけて、メフィストフェレスは血でできた槍を浮竹に放った。

「死ね、始祖浮竹ーーー!!!」

「メフィストフェレス!ローズコキュートス!」

「どう・・・して?」

浮竹に攻撃をしかけようとしたメフィストフェレスを、ブラッディ・ネイが薔薇の魔法で凍らせていく。

「誰であろうと、兄様を害そうとする存在は、許さない。それが寵姫であっても」

「ああ。ああ、愛してる、ブラッディ・ネイ様。あなたの手で殺されるなら、あたしも本望よ」

「メフィストフェレス!」

「どけ、ブラッディ・ネイ!」

「兄様!?」

「浄化の炎よ、踊れ踊れ!一度灰になりてそこから生まれ出でよ!フェニックス・ファイア!」

浮竹は、炎の最高位精霊、フェニックスを召還させると、その炎でメフィストフェレスを焼いた。

「兄様、何を!」

「炎の最高位精霊、フェニックスは死と再生を司る精霊だ。死を与え、そこから新しい命を与える。反魂なんかじゃなく、完全な復活だ」

灰になっていくメフィストフェレスは、けれど新しい命として、この世界に再び芽吹いた。

「あたし・・・生きてる。殺されたはずなのに」

「メフィストフェレス!」

ブラッディ・ネイが、泣きながら幼い愛しい寵姫を抱きしめた。

「もういいんだ、メフィストフェレス。君は、藍染に操られていただけなんだ。そうだね、兄様?」

「ああ。藍染の魔力が感じれない。精霊での蘇生は、魔力をごっそり消費しる。俺にはもう、魔法を使う力もない」

倒れる浮竹を、京楽がそっと受け止めて、抱き上げた。

「ブラッディ・ネイ。メフィストフェレスを大切にしてやれ。ちゃんと愛すれば、分かってくれるだろう」

それは、最大限の浮竹の情であった。

妹ブラッディ・ネイが愛する者を、殺したくなかった。

「全く、浮竹も無茶をする。魔力が足りなかったら、その身はフェニックスに焼かれていたよ」

「でも、神の愛の、魂に刻まれた呪いによって、俺は死なない。フェニックスに焼かれてもまた再生して元に戻る」

「まぁ、そうだから、好きなようにさせたんだけどね。ブラッディ・ネイが、自分を取り込んで、浮竹に攻撃したメフィストフェレスを許すとは思わなかったよ」

「ああ、俺もだ。俺を傷つけたから、殺すのだとばかり思っていた」

ブラッディ・ネイも、しょせん一人のヴァンパイアなのだ。

たくさんの愛しい寵姫たちを、差はあれどほぼ等しく愛していた。

-----------------------------------------------------------

こうして、ブラッディ・ネイの失踪事件は解決した。

ロゼは、泣いてブラッディ・ネイの帰還を喜んだ。

「浮竹様・・・・・・」

メフィストフェレスが、ブラッディ・ネイの玉座のある広間にきて、浮竹を熱い視線で見つめていた。

「始祖の浮竹様、この度は愚行を働いたあたしを許してくれてありがとうございます。愛してます、浮竹様!」

幼い8歳の少女に抱き着かれて、浮竹は目を点にしていた。

「メフィストフェレス?また、変なことになっているのか?」

「いいえ、精霊フェニックスで焼かれ芽生えたこの命。浮竹様のものです。ブラッディ・ネイ様も愛していますが、浮竹様も愛しています!」

「ちょっと、メフィストフェレス!兄様をボクのものだよ!」

ごごごごご。

背後を振り向けば、凄い嫉妬の炎を燃やす、京楽の姿があった。

「浮竹は、僕のものだから。誰にも、あげないよ。浮竹、浮気は許さないよ?」

「違う、これは不可抗力だ!ちょっと、聞いてるのか京楽!」

「はいはい、言い訳は古城のベッドの上で、ね?」

その京楽の言葉に、ブラッディ・ネイもメフィストフェレスも、いいなぁと、羨望の眼差しを送るのであった。

もう、メフィストフェレスを前にしても、水晶は濁ることはなかった。

---------------------------------------------


風呂に入って、夕食をとると、静かにしていた京楽が、突然立ち上がり、浮竹を横抱きにして有無を言わせない力で、押し倒してきた。

「ねぇ、十四郎。君が誰のものであるか、きっちり体に教え込む必要があるよね?」

「待て、春水!昼のは、あれは不可抗力だと言っている」

「たくさんの者に愛されて。でも、君を一番愛しているのは、僕だから」

浮竹の衣服を脱がしていく。

浮竹も抗うのを諦めて、京楽の服を脱がせていった。

「そういえば、ホワイトデーだね?君からチョコレートもらったお礼、してなかったね?」

「そんなの、どうでもいい」

「どうでもよくないよ。ああ、ホワイトチョコ用意していたんだ。ちょっと待ってて?」

京楽はそういうと、一度寝室から抜け出した。

熱く火照る体をもてあまして、浮竹は目を閉じた。


浮竹のものは、ホワイトチョコまみれになっていた。

「あ!」

浮竹は、自分のものをしゃぶる京楽を見ていた。

瞳は真紅に輝いていた。

今宵は満月だ。満月はヴァンパイアの力を高めてくれる。

「満月だぞ、春水」

「そんなもの、月に一度見れる。それよりこっちに集中して、十四郎」

「あああああ!!!」

京楽は、普通にホワイトチョコあげずに、浮竹の肌にホワイトチョコを溶かしたものを塗りたくった。

シーツも、ホワイトチョコで汚れてしまっている。

体についたホワイトチョコを舐めとっては、愛撫された。

京楽の舌は、しつこく浮竹のものを舐めあげてくる。鈴口を刺激して、射精しそうな瞬間を、京楽の手が戒めた。

「いやああ、出させて、やあああ!!」

「少し、我慢してね?」

京楽の瞳も、真紅になっていた。

浮竹の首に噛みつき、吸血する。同時に、戒めていた手をどかした。

「あ”あ”!」

吸血による快楽と、射精による快楽がごちゃ混ぜになって、浮竹を襲う。

「やああああああ!!」

京楽の下で乱れる浮竹は、妖艶だった。美しかった。

「あああ、あ・・・・・・・」

ローションをたっぷり、下の口で飲みこまれさせた。ホワイトチョコも混ぜられていた。

蕾を、京楽の舌がはう。

「ああ、甘いね。ホワイトチョコの味がする」

「こんなことに、使う、お菓子じゃない、からぁ」

ぴちゃりと、蕾に舌をいれられて、ビクンと浮竹の体がはねた。

そのまま舌は蕾をぐりぐりと刺激すると、去っていた。

「甘いね」

舌の次に、指でぐちゅぐちゅと解される。

「や、そこやぁっ」

前立腺をかすめる指先に、浮竹が快感の涙を零す。

「ここ、好きだよね、十四郎」

「やあああ!!」

こりこりと前立腺を触られて、浮竹は射精せず、いっていた。

「ひああああああ!」

ごりごりと音を立てて、京楽のものが入ってくる。

「あああ!」

一気に奥の結腸にまで入られて、浮竹は背をしならせた。

「いやあ!」

精液を噴き出していた。

「ここも、好きだよね?」

ぐりぐりと、結腸に京楽は熱を押し当てる。

「ああ!好き、春水、好き、もっと・・・・・」

「ここ、ぐりぐりされるの好き?」

「あ、好き」

京楽は、愛らしく答える浮竹に満足して、律動を開始した。

「やん、や、や、あ」

京楽が動くリズムに合わせて、浮竹が啼く。

「あ、あ、あ・・・・」

浮竹は、腰を自然と自ら振っていた。

「ああ、今夜の君は、満月のせいかいつもよりエロいね」

「それは、お前もだろ・・・・・・・」

京楽の腰を足で挟み込む浮竹に、京楽は眉を寄せて、締め上げてくる浮竹の内部に熱を放っていた。

「まだまだ、愛してあげる」

「俺もまだまだ、愛されてやる」

ズチュリと、また入り込んでくる京楽に、浮竹は喘ぐ。

「ああん!」

ぱんぱんと、肉と肉がぶつかる音がした。

ホワイトチョコで体はベタベタするけれど、そんなことどうでもよかった。

「んあ!」

また、最奥にズルリと入ってくる熱に、浮竹が軽くいってしまう。

それに合わせるように、京楽もいっていた。

「あ、熱い!体の奥が、熱い!」

「僕のホワイトチョコだよ。おいしく、いただいてね?」

「ああああ!!」

京楽は、牙を伸ばして浮竹の肩に噛みつくと、吸血した。

浮竹も、牙を伸ばして、京楽の肩にかみつき、吸血する。

お互いに吸血しあっていた。

めぐる快感の虜になりなながら、更に睦み合うのであった。


「ああ、もう最悪だ!体がホワイトチョコでべたべただ!」

「浮竹も楽しんでいたじゃない!」

「そうだが、シーツなんてもう使えないぞ」

「捨てればいいよ」

「それはそうだが。ベッドのマットレスにもこびりついている。あと、枕も」

「予備があるでしょ?全部、捨てちゃいなよ」

「仕方ない・・・・・・」

------------------------------------------

「始祖のヴァンパイアマスター、浮竹十四郎。最高位の炎精霊、フェニックスを操る者」

水鏡の中には、ミミックにかじられている浮竹の姿が映しだされていた。

「我が力をもらうにふさわしいか、ためさせてもらうか」

炎の精霊王クルル・ルデール・ファイアオブファイアは、そっと目を閉じた。

「精霊王様、謁見の時間です」

「今、行く・・・・・」

精霊族の始祖でもある、炎の精霊王は、浮竹の姿を思い出す。

ミミック如きにかじられていたが、もつ魔力は、精霊や神に近かった。

「そうか、創造神ルシエードの、寵児か」

ふと、旧友の言葉を思い出す。

精霊王も、神代の時代から生きる存在だった。

「神の子、絶対存在。面白い」

「精霊王、お早く・・・・・」

「分かっている」

炎の精霊王が、精霊界から姿を消した。そんな騒ぎと、浮竹と京楽の元を、赤い髪に赤い瞳をした、炎を操る青年が訪ねてくるのが、ほぼ同時であった。

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