黒魔法い使いと白魔法使い
目指せ、未踏破の26階層!
浮竹と京楽は、剣士と盾使いと獣人盗賊と新米斧使いのパーティーに入っていた。
京楽は優秀な黒魔法使いだが、魔物食が好きで、倒したモンスターを調理して食べた。
今回の旅は、1週間の予定だった。
まだまだ、食材はあった。魔物食は、完全に魔物を食べるのではなく、普通の食材と組み合わせて食べた。
朝食は、この前食べたハーピーの親子丼だった。
「うーん、食べるの2回目になるけど、この味飽きないな」
「どんどん食べて。おかわりもあるよ!」
京楽は、うきうきしていた。
次の階層は、8階層だった。
朝食を食べ終えたパーティーメンバーは、8階層へと足を伸ばした。
8階層は、草原だった。
草原には、一角兎がいた。
美味しそうなので、生きたまま捕まえた。
可愛かったが、これも食のためと、京楽は目を閉じて一角兎にトドメをさした。
毛皮をはいで、アイテムポケットにしまう。一角兎の毛皮は、そこそこの値段で取引される。
浮竹とパーティーリーダーの剣士が、5羽一角兎を捕まえてきてくれた。
すでにトドメはさしてあり、調理していく京楽のために、浮竹が毛皮をはいで解体していった。
始めは、京楽の魔物食に慣れていなかった浮竹であったが、結婚してからほぼ毎日のように魔物食を作る京楽に慣れてしまっていた。
パーティーメンバーも、慣れてしまっていた。
「今日の昼食は、定番メニューっぽい、一角兎のクリームシチューだよ!」
一口サイズに切って、香草をまぶして肉から臭みをなくした一角兎の肉を、まずはバターをひいた鍋で軽く炒める。
手頃な大きさに切り刻んだじゃがいも、人参を入れて、一角兎の肉と一緒に水を入れて茹でる。
灰汁をとり、食べ頃になったら、クリームシチューの元であるルーを入れて、混ぜる。コトコトと数分煮込んで、完成だ。
「うまい。一角兎の肉が、臭みがないし、柔らかい。クリームシチューによく合うな」
浮竹は、おかわりをした。
「うん、これは確かに美味い。定食屋のクリームシチューより、美味いな」
「おいしい」
「俺もおかわり!」
「俺も!」
剣士、盾使い、獣人盗賊、新米斧使いにも好評だった。
「もっと、捕まえれる?肉を確保しておきたい。この下の階層に肉になるモンスターがいない時のために、解体してアイテムポケットに入れておきたい」
京楽と浮竹も、他のパーティーメンバーも、一角兎を狩りまくった。
結果、40羽という数になった。
「これだけいると、毛皮だけでもまぁまぁな値がつくな」
「みんなの倒し方がうまいからね。毛皮を損なうような倒し方を、あまりしてないでしょ」
「まぁ、毛皮は売るにはもってこいだからな。毛皮をダメにするような倒し方は、新米のやり方だ」
剣士の言葉に、新米斧使いがズーンと沈みこんだ。
一撃では仕留められなくて、ズタズタに切り殺したせいで、毛皮は素材として売り物にならなかった。
肉はなんとか食えそうだったが。
最近は、京楽の影響なのか、冒険者ギルドでもモンスターの肉の買取りが始まっていた。
貴族の好事家などが、魔物食にはまっているらしい。
一度、講義に招かれた貴族の子弟たちが集う館で、魔物食を振る舞った。
その美味しさに、その館の持ち主であった貴族をはじめ、貴族の子弟たちにも好評で、そんな知り合いの貴族が冒険者ギルドに、魔物の肉の買取りを依頼しているらしかった。
「肉はアイテムポケットに入れている限り腐らないけど、必ずしも調理できる場所があわるわけじゃないからね。夕食の分も、用意しておこうか」
一角兎の肉を焼いて、たれをかけて、ご飯の上に乗せた。牛丼ならぬ、兎丼であった。
出来立てをアイテムポケットに収納する。アイテムポケットの中は時間が経たないので、出した時はアツアツのままだ。
草原には、一角兎の他に、いろんな色のスライムが出た。
京楽は、氷の魔法でスライムの核を貫き、どろりとなったその体を風の魔法で急激に乾燥させて、まな板の上に置くと、適当な間隔で切っていく。
「スライムの麺のできあがりだよ!」
浮竹をはじめとして、みんなちょと食べたくなさそうな顔をしていた。
スライムである。あのスライムだ。
ぶよぶよしていて、固形じゃなくって、時にはドロドロしているスライム。その麺とは、果たしてどんな味なのか。
「スライム好きだな、京楽。始めて、ダンジョンにこのパーティーで潜った時も、ゴールデンメタルスライムを食べていたな。ゴールデンメタルスライムは固形だからまだ分かるが、不定形なスライムも食えるのか?」
「ちゃんと乾燥させたら、食べれるよ。ほのかに甘みがあっておいしいんだ。そうだね、茹でて果物を混ぜてデザートにしよう。みんな、まだ食べれるよね?」
皆、頷いた。
「じゃあ、強火でさっと茹でちゃおう」
本当に、強火でさっと茹でると、スライム麺はぷるぷるしていた。そこに苺、パイナップル、桃を入れた皿の中に、ぷるぷるのスライム麺を入れた。
「スライム麺のフルーツ盛り合わせの完成だよ!」
皆、恐る恐る口にする。
そして、目を見開く。
「ほんのり甘い!フルーツの甘酸っぱさとマッチしてる!」
浮竹が、おかわりを所望した。
他のメンバーも、おかわりをしていた。
「ね、スライム美味しいでしょ?」
みんな頷いた。
「じゃあ、腹ごしらえも済んだことだし、次の階層に行こう!」
9階層は、森だった。
ポイズンスネーク、マンティコア、キメラがいた。
「このダンジョンは、階層によって出てくる敵の強さが違うみたいだな。8階層は雑魚ばかりだったが、マンティコアとキメラは強敵だ!」
浮竹は、防御を高める魔法を皆にかけた。
「シャアアア!!」
襲ってくるマンティコアを、京楽が火の魔法で黒こげにする。
「ファイアランス!」
キメラも襲ってきた。
剣士が、切り倒した。
「この森は、素材になるモンスターはポイズンスネークくらいだな。マンティコアとキメラは食べれそうにないし、強いし、討伐の証の結晶だけをとろう」
浮竹は、京楽が黒こげにしたマンティコアから、結晶をぬきとって、京楽に渡した。
たくさん収納できるアイテムポケットを持っているのは、京楽だけであった。
他のメンバーのアイテムポケットは、すでに、一角兎の毛皮と肉でぱんぱんだった。
あと、金銭問題で公爵家の出身で、貴族でもある京楽が一番安心できるのだ。金をもっているので、持ち逃げの可能性が零に等しい。
というか、零だ。
9階層の森を歩き、ポイズンスネークを捕まえて、毒の牙を採取する。皮は防具の材料になるし、肉も食えたが、森の中での調理は危険なので、アイテムポケットにしまっておいた。
10階層は、ボス部屋だった。
出てきたのは、ドラゴンゾンビ。
「くさい!」
京楽の一言に、みんなズコーとこけた。
「匂いより、存在がやばい。ゾンビでも、ドラゴンだぞ!」
「このダンジョンは、初心者向けじゃあないようだね」
流石に、まだ25階層までしか踏破されていないことがあった。
ドラゴンゾンビが出るなんて、Aランククラスのダンジョンだ。
「ファイアオブファイア!」
「ホーリーブレス!」
京楽と浮竹の手にかかれば、ボスも倒せる。でも、京楽も浮竹も、自分たちだけが活躍しないように、他の仲間のメンバーにも、ドラゴンゾンビの相手をさせた。
アタッカーには京楽が武器に炎のエンチャントをして、タンクである盾使いには、浮竹が聖闘士ブレスで、盾を聖なる物に変えて、攻撃を受けたらダメージが入るようにした。
皆で力を合わせ合って、ドラゴンゾンビを倒した。
「ドラゴンゾンビ・・・・骨だけなら・・・」
食べたいと言い出しそうな京楽を引きずって、ボスを倒した後に開く宝物庫へと入った。
中にあったのは、ひとふりの剣だった。
「魔剣だね。かなりの魔力がある」
「俺に、使いこなせるだろうか?」
剣士のレベルは2レベルあがって、67だった。
「使えるのはレベル65から。ぎりぎりセーフだね」
ちなみに、京楽と浮竹はレベル99だった。
レベルカンストしているので、モンスターを倒した経験値は、自動的に仲間に与えられる。
盾使いがレベル60、獣人盗賊がレベル62、新米斧使いはレベル27だったが、冒険してきてレベル39まであがっていた。
「やっぱり、斧使いはレベルが低いだけあって、ガンガンあがるね」
「京楽と浮竹のお陰だ。レベルカンストの、自分たちよりかなり弱い冒険者のパーティーに入ってくれる者など、ほとんどいないからな」
皆、ソロで活動するか、高レベル冒険者の仲間になる、そんな冒険者ばかりだった。
ソロでの活動は、分け前が自分だけな分楽だが、危険と隣り合わせだ。
Sランク冒険者として、レベル80以上のパーティーに入るのが普通だった。
「京楽と浮竹には、本当に感謝している」
「まだ、冒険は終わってないよ。次の階層へ行こう。昨日はよく休んだから、今日は行けるところまでいこう!」
京楽の言葉に、皆頷いた。
11階層、12階層ときて、13階層にセーブゾーンがあった。
13階層は荒地で、シルバーウルフ、ホワイトファングウルフの群れが出現した。
京楽の炎の最高位魔法で、モンスターは一掃されて、セーブポイントで夕飯をとり、今日の冒険は終了となった。
11階層では、カエルのモンスターが、12階層では人食い植物が出た。
それぞれ、魔物食の為に、解体しないままアイテムポケットに入れていた。
京楽は、まずカエルのモンスターを解体した。皮をはぎ、肉に香草をまぶしてしばらく置き、適当な大きなに切って、溶き卵に浸し、パン粉をまぶしてフライにした。
食人植物は、細かく刻んで、トマトときゅうりを入れて、サラダにした。
「大ガエルのフライ、食人植物のサラダ、それ昼に作っておいた一角兎の兎丼ので今日の夕飯のメニューは完成だよ!」
大カエルのフライはさくさくでおいしかった。
食人植物の葉はほのかに甘みがあった。
兎丼は、ほかほかで美味しく、兎の肉とは思えない味だった。
「京楽がいるお陰で、うまい飯は食えるし、モンスターも討伐し放題で、本当に助かる」
夕飯を食べながら、剣士はそんなことを言っていた。
「僕のほうこそ、魔物食を食べる仲間がいることは嬉しいし、こうやってダンジョンを探索するのは何より面白いからね。どんなモンスターが出るのがわくわくするし、どうやって調理しようかと悩んでしまう」
「京楽のやつ、家でも魔物食食べるからな。ダンジョンの中だと、さらに生き生きしている」
浮竹を抱きしめて、京楽は浮竹に口づけた。
「僕たち、新婚だから。ダンジョンに潜るの、新婚旅行さ」
「なんちゅー新婚旅行だ」
浮竹が、皆の前でいちゃつくので、京楽の頭に聖典の角をめりこませながら、真っ赤になった。
「はははは。お前たち、新婚だものな。忘れていたよ」
この世界では、同性婚を認められていて、そう珍しいことでもなかった。特に男性に多い傾向にあった。
この世界は、一時女性のみに流行り病が広がり、女性の人口は激減し、男性7割に対して女性は3割だった。
「さぁ、食べたら片づけをして寝よう。明日の朝も早いし、たくさん寝て元気をつけよう!」
京楽は、水を生み出して食器や調理器具を洗った。
テントを張り、今日は13階層で休憩を入れることになった。
冒険を初めて2日で13階層。このままいけば、未踏破の26階層までいけそうであった。
浮竹と京楽は、剣士と盾使いと獣人盗賊と新米斧使いのパーティーに入っていた。
京楽は優秀な黒魔法使いだが、魔物食が好きで、倒したモンスターを調理して食べた。
今回の旅は、1週間の予定だった。
まだまだ、食材はあった。魔物食は、完全に魔物を食べるのではなく、普通の食材と組み合わせて食べた。
朝食は、この前食べたハーピーの親子丼だった。
「うーん、食べるの2回目になるけど、この味飽きないな」
「どんどん食べて。おかわりもあるよ!」
京楽は、うきうきしていた。
次の階層は、8階層だった。
朝食を食べ終えたパーティーメンバーは、8階層へと足を伸ばした。
8階層は、草原だった。
草原には、一角兎がいた。
美味しそうなので、生きたまま捕まえた。
可愛かったが、これも食のためと、京楽は目を閉じて一角兎にトドメをさした。
毛皮をはいで、アイテムポケットにしまう。一角兎の毛皮は、そこそこの値段で取引される。
浮竹とパーティーリーダーの剣士が、5羽一角兎を捕まえてきてくれた。
すでにトドメはさしてあり、調理していく京楽のために、浮竹が毛皮をはいで解体していった。
始めは、京楽の魔物食に慣れていなかった浮竹であったが、結婚してからほぼ毎日のように魔物食を作る京楽に慣れてしまっていた。
パーティーメンバーも、慣れてしまっていた。
「今日の昼食は、定番メニューっぽい、一角兎のクリームシチューだよ!」
一口サイズに切って、香草をまぶして肉から臭みをなくした一角兎の肉を、まずはバターをひいた鍋で軽く炒める。
手頃な大きさに切り刻んだじゃがいも、人参を入れて、一角兎の肉と一緒に水を入れて茹でる。
灰汁をとり、食べ頃になったら、クリームシチューの元であるルーを入れて、混ぜる。コトコトと数分煮込んで、完成だ。
「うまい。一角兎の肉が、臭みがないし、柔らかい。クリームシチューによく合うな」
浮竹は、おかわりをした。
「うん、これは確かに美味い。定食屋のクリームシチューより、美味いな」
「おいしい」
「俺もおかわり!」
「俺も!」
剣士、盾使い、獣人盗賊、新米斧使いにも好評だった。
「もっと、捕まえれる?肉を確保しておきたい。この下の階層に肉になるモンスターがいない時のために、解体してアイテムポケットに入れておきたい」
京楽と浮竹も、他のパーティーメンバーも、一角兎を狩りまくった。
結果、40羽という数になった。
「これだけいると、毛皮だけでもまぁまぁな値がつくな」
「みんなの倒し方がうまいからね。毛皮を損なうような倒し方を、あまりしてないでしょ」
「まぁ、毛皮は売るにはもってこいだからな。毛皮をダメにするような倒し方は、新米のやり方だ」
剣士の言葉に、新米斧使いがズーンと沈みこんだ。
一撃では仕留められなくて、ズタズタに切り殺したせいで、毛皮は素材として売り物にならなかった。
肉はなんとか食えそうだったが。
最近は、京楽の影響なのか、冒険者ギルドでもモンスターの肉の買取りが始まっていた。
貴族の好事家などが、魔物食にはまっているらしい。
一度、講義に招かれた貴族の子弟たちが集う館で、魔物食を振る舞った。
その美味しさに、その館の持ち主であった貴族をはじめ、貴族の子弟たちにも好評で、そんな知り合いの貴族が冒険者ギルドに、魔物の肉の買取りを依頼しているらしかった。
「肉はアイテムポケットに入れている限り腐らないけど、必ずしも調理できる場所があわるわけじゃないからね。夕食の分も、用意しておこうか」
一角兎の肉を焼いて、たれをかけて、ご飯の上に乗せた。牛丼ならぬ、兎丼であった。
出来立てをアイテムポケットに収納する。アイテムポケットの中は時間が経たないので、出した時はアツアツのままだ。
草原には、一角兎の他に、いろんな色のスライムが出た。
京楽は、氷の魔法でスライムの核を貫き、どろりとなったその体を風の魔法で急激に乾燥させて、まな板の上に置くと、適当な間隔で切っていく。
「スライムの麺のできあがりだよ!」
浮竹をはじめとして、みんなちょと食べたくなさそうな顔をしていた。
スライムである。あのスライムだ。
ぶよぶよしていて、固形じゃなくって、時にはドロドロしているスライム。その麺とは、果たしてどんな味なのか。
「スライム好きだな、京楽。始めて、ダンジョンにこのパーティーで潜った時も、ゴールデンメタルスライムを食べていたな。ゴールデンメタルスライムは固形だからまだ分かるが、不定形なスライムも食えるのか?」
「ちゃんと乾燥させたら、食べれるよ。ほのかに甘みがあっておいしいんだ。そうだね、茹でて果物を混ぜてデザートにしよう。みんな、まだ食べれるよね?」
皆、頷いた。
「じゃあ、強火でさっと茹でちゃおう」
本当に、強火でさっと茹でると、スライム麺はぷるぷるしていた。そこに苺、パイナップル、桃を入れた皿の中に、ぷるぷるのスライム麺を入れた。
「スライム麺のフルーツ盛り合わせの完成だよ!」
皆、恐る恐る口にする。
そして、目を見開く。
「ほんのり甘い!フルーツの甘酸っぱさとマッチしてる!」
浮竹が、おかわりを所望した。
他のメンバーも、おかわりをしていた。
「ね、スライム美味しいでしょ?」
みんな頷いた。
「じゃあ、腹ごしらえも済んだことだし、次の階層に行こう!」
9階層は、森だった。
ポイズンスネーク、マンティコア、キメラがいた。
「このダンジョンは、階層によって出てくる敵の強さが違うみたいだな。8階層は雑魚ばかりだったが、マンティコアとキメラは強敵だ!」
浮竹は、防御を高める魔法を皆にかけた。
「シャアアア!!」
襲ってくるマンティコアを、京楽が火の魔法で黒こげにする。
「ファイアランス!」
キメラも襲ってきた。
剣士が、切り倒した。
「この森は、素材になるモンスターはポイズンスネークくらいだな。マンティコアとキメラは食べれそうにないし、強いし、討伐の証の結晶だけをとろう」
浮竹は、京楽が黒こげにしたマンティコアから、結晶をぬきとって、京楽に渡した。
たくさん収納できるアイテムポケットを持っているのは、京楽だけであった。
他のメンバーのアイテムポケットは、すでに、一角兎の毛皮と肉でぱんぱんだった。
あと、金銭問題で公爵家の出身で、貴族でもある京楽が一番安心できるのだ。金をもっているので、持ち逃げの可能性が零に等しい。
というか、零だ。
9階層の森を歩き、ポイズンスネークを捕まえて、毒の牙を採取する。皮は防具の材料になるし、肉も食えたが、森の中での調理は危険なので、アイテムポケットにしまっておいた。
10階層は、ボス部屋だった。
出てきたのは、ドラゴンゾンビ。
「くさい!」
京楽の一言に、みんなズコーとこけた。
「匂いより、存在がやばい。ゾンビでも、ドラゴンだぞ!」
「このダンジョンは、初心者向けじゃあないようだね」
流石に、まだ25階層までしか踏破されていないことがあった。
ドラゴンゾンビが出るなんて、Aランククラスのダンジョンだ。
「ファイアオブファイア!」
「ホーリーブレス!」
京楽と浮竹の手にかかれば、ボスも倒せる。でも、京楽も浮竹も、自分たちだけが活躍しないように、他の仲間のメンバーにも、ドラゴンゾンビの相手をさせた。
アタッカーには京楽が武器に炎のエンチャントをして、タンクである盾使いには、浮竹が聖闘士ブレスで、盾を聖なる物に変えて、攻撃を受けたらダメージが入るようにした。
皆で力を合わせ合って、ドラゴンゾンビを倒した。
「ドラゴンゾンビ・・・・骨だけなら・・・」
食べたいと言い出しそうな京楽を引きずって、ボスを倒した後に開く宝物庫へと入った。
中にあったのは、ひとふりの剣だった。
「魔剣だね。かなりの魔力がある」
「俺に、使いこなせるだろうか?」
剣士のレベルは2レベルあがって、67だった。
「使えるのはレベル65から。ぎりぎりセーフだね」
ちなみに、京楽と浮竹はレベル99だった。
レベルカンストしているので、モンスターを倒した経験値は、自動的に仲間に与えられる。
盾使いがレベル60、獣人盗賊がレベル62、新米斧使いはレベル27だったが、冒険してきてレベル39まであがっていた。
「やっぱり、斧使いはレベルが低いだけあって、ガンガンあがるね」
「京楽と浮竹のお陰だ。レベルカンストの、自分たちよりかなり弱い冒険者のパーティーに入ってくれる者など、ほとんどいないからな」
皆、ソロで活動するか、高レベル冒険者の仲間になる、そんな冒険者ばかりだった。
ソロでの活動は、分け前が自分だけな分楽だが、危険と隣り合わせだ。
Sランク冒険者として、レベル80以上のパーティーに入るのが普通だった。
「京楽と浮竹には、本当に感謝している」
「まだ、冒険は終わってないよ。次の階層へ行こう。昨日はよく休んだから、今日は行けるところまでいこう!」
京楽の言葉に、皆頷いた。
11階層、12階層ときて、13階層にセーブゾーンがあった。
13階層は荒地で、シルバーウルフ、ホワイトファングウルフの群れが出現した。
京楽の炎の最高位魔法で、モンスターは一掃されて、セーブポイントで夕飯をとり、今日の冒険は終了となった。
11階層では、カエルのモンスターが、12階層では人食い植物が出た。
それぞれ、魔物食の為に、解体しないままアイテムポケットに入れていた。
京楽は、まずカエルのモンスターを解体した。皮をはぎ、肉に香草をまぶしてしばらく置き、適当な大きなに切って、溶き卵に浸し、パン粉をまぶしてフライにした。
食人植物は、細かく刻んで、トマトときゅうりを入れて、サラダにした。
「大ガエルのフライ、食人植物のサラダ、それ昼に作っておいた一角兎の兎丼ので今日の夕飯のメニューは完成だよ!」
大カエルのフライはさくさくでおいしかった。
食人植物の葉はほのかに甘みがあった。
兎丼は、ほかほかで美味しく、兎の肉とは思えない味だった。
「京楽がいるお陰で、うまい飯は食えるし、モンスターも討伐し放題で、本当に助かる」
夕飯を食べながら、剣士はそんなことを言っていた。
「僕のほうこそ、魔物食を食べる仲間がいることは嬉しいし、こうやってダンジョンを探索するのは何より面白いからね。どんなモンスターが出るのがわくわくするし、どうやって調理しようかと悩んでしまう」
「京楽のやつ、家でも魔物食食べるからな。ダンジョンの中だと、さらに生き生きしている」
浮竹を抱きしめて、京楽は浮竹に口づけた。
「僕たち、新婚だから。ダンジョンに潜るの、新婚旅行さ」
「なんちゅー新婚旅行だ」
浮竹が、皆の前でいちゃつくので、京楽の頭に聖典の角をめりこませながら、真っ赤になった。
「はははは。お前たち、新婚だものな。忘れていたよ」
この世界では、同性婚を認められていて、そう珍しいことでもなかった。特に男性に多い傾向にあった。
この世界は、一時女性のみに流行り病が広がり、女性の人口は激減し、男性7割に対して女性は3割だった。
「さぁ、食べたら片づけをして寝よう。明日の朝も早いし、たくさん寝て元気をつけよう!」
京楽は、水を生み出して食器や調理器具を洗った。
テントを張り、今日は13階層で休憩を入れることになった。
冒険を初めて2日で13階層。このままいけば、未踏破の26階層までいけそうであった。
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