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始祖なる者、ヴァンパイアマスター20-2

浮竹と京楽は、気づいたら夢渡りで世界を渡り、東洋の極東の島にきていた。

「ここは・・・なんだ、すごいボロい建物だな」

「でも、ここに僕らと同じ気配を感じるよ」

雑居ビルが建っていた。

見た目はボロかったが、確かにそこに、東洋の妖(あやかし)である浮竹と京楽の存在を感じた。

(・・・・・ボロで悪かったな?)

東洋の浮竹は、自分たちの住処がボロいと言われて、少し怒っていた。

(・・・・十四郎?どうしたの?)

東洋の京楽は、警戒心をむき出しで、西洋の浮竹と京楽をみた。

「ああ、本当にこんな場所に住んでいるのか。まぁいい、お茶しにきたんだ。いい茶葉が手に入ったんだ」

「ヴァンパイアの皇族御用達の品らしいよ」

「あと、こっちの京楽がラズベリーパイとアップルパイを焼いてくれたから、それを持ってきた」

(わあ、いい匂いがするなぁ。あがってくれ)

(十四郎、急がなくてもスイーツは逃げないよ?)

西洋の浮竹と京楽は、靴を脱いで部屋にあがった。

そして、いろいろ部屋を見て回って、寝室の一角にある畳のスペースを見て、嬉しそうにそこに座った。

「畳、一度味わってみたかったんだ」

「浮竹ってば、ミミックの次に最近和風のものにはまりだしてね。古城にも、和室作ろうかとか言い出したんだよ」

(別に、いいんじゃないのか。あ、お茶いれてくるな?)

東洋の浮竹は、西洋の京楽から茶葉をもらうと、お茶を入れにキッチンに行ってしまった。

(あ、ボクが行くよ!キミはちょっと色々とマズいから・・・!)


お茶を入れに行った東洋の浮竹の後を、東洋の京楽が追う。

なんでも、電子レンジなるものに卵を入れて壊して、それ以来基本的にキッチンに立ち入り禁止らしかった。

寝室でお茶するのもなんだしと、西洋の浮竹と京楽もキッチンにやってきた。

ダイニングルームのテーブルの上に広げられた、ラズベリーパイとアップルパイを見る。

紅茶は最高級の茶葉のアッサムだった。

(おいしそうだな)

(そうだね。でも、ボクが作ったものの方がおいしいかもね?)

「おいおい、せっかく焼いたんだから、そんなこと言わないでよ」

「俺の京楽もそうだが、東洋の京楽も、料理好きなんだな」

(ボクは、十四郎が幸せそうに食べている顔を見るのが好きなの)

(みんな、食べないのか?)

切り分けたパイを、早速東洋の浮竹が美味しそうに頬張るのを、東洋の京楽はにこにこと楽しそうに見ていた。

「そっちの京楽も、食べたらどうだ。けっこういけるぞ」

西洋の浮竹は、東洋の浮竹ほどではないが、それでも美味しそうに食べていた。

(じゃあ、ボクは一つだけでいいや。あとは十四郎にあげるよ)

(ん?いいのか?じゃあ、遠慮なく!)

東洋の京楽はパイをそれぞれ一つずつ取ると、他を東洋の浮竹に勧める。東洋の浮竹は目をキラキラさせてパイを頬張っている。

東洋の京楽は、パイを一口、口にして、西洋の自分をほめた。

(キミ、腕あがってるね)

「君がくれたレシピの通り、作ってみたんだよ。おいしいなら、よかった」

西洋の浮竹も、美味しそうにパイを食べている。

西洋の京楽はというと、東洋の京楽のように、幸せそうにパイを頬張る、愛しい主であるヴァンパイアマスターを見て、にこにこしていた。

「また、今度何か差し入れにもってくる。また、お茶をしよう」

「うん。今度は、こっちの古城においで?」

(ああ、今度はボクらがそっちにお茶をしにいこうか)

(そうだな、お菓子は春水に任せた)

(あ、そうそう。お二人さんにお土産)

帰ろうとする西洋の浮竹と京楽を、東洋の京楽が呼び止め袋を渡す。

「なんだ?これは?」

(シフォンケーキ、作りすぎちゃってよかったら食べて?)

(お、俺の分はあるよな!)

(あるってば・・・後で冷蔵庫みといで)

そんな二人を見守ってから、西洋の浮竹と京楽は、元の世界へと戻っていった。


「ああ、畳って取り寄せられるかな?」

「できるんじゃない?少し高くなるかもしれないけど」

「この前、玄関に飾っておいた金のハニワを撤去したな、京楽」

「だって、ださいんだもの。おまけの純金だし、危ないよ?」

「金細工なんて、別にけちけちするようなもんじゃないだろ。その気になれば、錬金術で金を生み出せる。ちょびっとだけど」

浮竹の錬金術士の腕は、ミスリルランク。

ミスリルランクをもつ者は、ガイア王国に5人しかいないと言われている。浮竹は、隠れた6人目であった。

錬金術士は、本当に金を生み出せた。でも、その量があまりにも少しなので、他のミスリルといった金属を生み出すほうが儲かった。

「ミスリルでできたハニワを置こう」

「ハニワ、好きだね」

「あの独特の感じがいい」

「ミミックと、どっちが好き?」

浮竹はうなった。

「ミミックかな、やっぱ。そういえば、今日はまたポチにエサをやっていなかったな。おーいポチ」

「るるるる~~~~」

放し飼いにされているミミックのポチは、ドラゴンステーキを手にした浮竹ごと、かじりついていた。

「あいたたたた、ポチ、ちょっと痛い」

「るるるるう~~~~~~」

ポチは、浮竹をぺっと吐き出すと、ドラゴンステーキをもぐもぐと食べた。

「ポチはドラゴンステーキが好きだなぁ。肉がなくなったら、またドラゴン退治にでもいくか」

聖帝国と魔国が戦争した時、略奪を受けた村に、エンシェントドラゴンの肉を置いていった。

残っているドラゴンステーキは少しになっていた。

その後、東洋の京楽と浮竹と一緒に、ドラゴンを倒しにいくのだが、それはまた別のお話。

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「君は、僕のせいで一度、本当に死んでしまったんだね」

京楽は、寝室で哀しそうにしていた。

「お前のためだ。それくらい、どうってことない」

「確かに、君は神の愛の呪いを受けて不老不死だ。でも、目の前で灰になられた時、世界が色を失った」

「大袈裟だな」

「そんなことないよ!約束して。もう、あんな真似しないって」

「お前の命がかかっていたら、俺は何度でも死を選ぶ。だから、約束はできない」

「君って、時に残酷だよね」

哀しそうな表情の京楽に、浮竹はその見た目よりも柔らかな黒髪を撫でた。

「俺はお前を愛している。俺の命でお前が助かるなら、例え不老不死じゃなくても死を選ぶ」

「本当に君は・・・・・」

京楽は、浮竹を押し倒していた。

「なんだ、するのか?」

「君に刻み込んであげる。僕の愛を。その魂にある神の愛の呪いより、濃いんだって」

京楽は、浮竹に口づけていた。

浮竹は自分から口を開けて、京楽の舌を迎え入れる。

ピチャリと音を立てて二人は舌を絡ませあった。ベッドの上で、もつれるように動きあう。

「んあ・・・」

京楽は、浮竹の服を脱がせていく。

露わになった鎖骨に吸い付いてキスマークを残すと、平らな胸を撫ででから、先端をつまみあげた。

「やあっ」

ぴくんと、浮竹が反応する。

それが可愛くて、何度も舌で舐め転がし、つまみあげた。

「やあ、触って・・・」

浮竹のものは勃ちあがって、先走りの蜜をだらだら零していた。

「んあ!」

京楽のねっとりとした舌に包みこまれる。

数分舐めあげられて、浮竹は京楽の口の中に欲望を吐き出していた。

「ああああ!」

「美味しい。浮竹も、味わって?」

京楽は、嚥下する前に、浮竹に自分のものを味合わせた。

「ん・・・何これ、甘い・・・・」

「君にかけられた神の愛の呪いだね。君の体液は、いつも甘い」

京楽はそう言って、ローションを手にとった。

手の平で温度をなじませて、浮竹の蕾にぬりたくり、指にもぬって、蕾を解していく。

「ああ!」

前立腺を触られて、浮竹瞳を真紅にさせて、京楽に噛みつき、血を啜っていた。

「ん・・・どうしたの。積極的じゃない」

「喉が渇く。お前の血が、飲みたい」

ぺろりと唇を舐めるその妖艶な仕草に、京楽は手首を差し出した。

「少し、血をもらう・・・・」

「ん・・気持ちいいよ。もっと吸っていいよ?」

「もういい。渇きが癒えた」

「じゃあ、僕の渇きも癒してね?」

そう言って、京楽は浮竹のうなじに噛みついて、吸血すると同時に、浮竹を熱で引き裂いていた。

「あああ!!!」

じゅるじゅると血を啜り続ける。

「あ”あ”!」

最奥を突きあげてやった。

浮竹は、精液を出しながらオーガズムでもいっていた。

「あああーー!!」

はぁはぁと息を乱す浮竹を追い上げるように、ごりごりと最奥を抉ると、浮竹は泣いた。

「春水、春水」

「どうしたの」

「俺を、一人にしないでくれ・・・・」

ぎゅっと抱き着かれて、浮竹の中に欲望を注ぎ込みながら、京楽はその白い髪を撫で、キスを落とすのであった。

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「そうか。ウルキオラは死んだか。使えない・・・・」

魔国アルカンシェルで、藍染はため息をついていた。

十刃はまだ9人いるが、4位でこの有様だ。

複数向けることもいいかもしれない。

でも、と、藍染は思う。

「召還には一向に成功しない」

創造神ルシエードの召還の儀式を、ここ半年ずっと続けているが、神は用意に召還などに応じてくれない。

世界を渡った神々は、もうこの世界には戻ってこない。

藍染の傍で、唯一召還に応えた、その神に等しき存在は、異界の者。

星の精霊ドラゴンと呼ばれる、精霊とドラゴンの間に生まれた、ハーフであった。

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