無題
「守ろうこの世界を。護廷13隊の名にかけて」
浮竹が、守ろうとしているこの世界を。
浮竹。
命が尽きようとしている君を、放置するボクを許してほしい。
霊王宮への扉を。
その先にいるユーハバッハを倒すために。
「浮竹・・・・・」
開発局にいる、黒ずんだ浮竹の体を思い出す。
「ごめんね」
--------------------------------------------------------------
全てが終わり、浮竹の冷たい体に温もりを与えるように、抱き込んだ。
「浮竹、がんばったね」
ああ、そうだとも。
そう聞こえた気がした。
衣服が、浮竹が吐いた血に染まっていくのを、京楽は懐かしい気持ちで見ていた。
院生時代、初めて血を吐いて倒れた君を運んだ時も、衣服に君の血が滲んだ。
浮竹。
愛していたよ。
誰よりも、誰よりも。
浮竹。
今、ボクは忙しい。
今すぐ君の元に行きたいけど、それは無理なようだ。
「地獄で、待っててね。きっと、いつか会いにいくから」
浮竹・・・・・。
浮竹十四郎。
13番隊隊長。
長い白髪に、翡翠の瞳をもつ、柔らかな印象の愛しい人。
--------------------------------------------------------
あれから、千数百年が経過した。
ボクの中では、浮竹の顔も仕草も昨日のことのように思い出せた。
(迎えに来た)
「ああ・・・・やっと、君に会えるんだね」
(行こう。一緒に)
「うん。行こう」
(もう、離さない。離れない)
「そうだね」
魂は輪廻する。
霊圧となって、循環する輪の中に還っていく。
「行こうか。もう、瀞霊廷は大丈夫。あれからいろんな謀反やなんだかんだあったけど、瀞霊廷も現世も虚圏も健在だよ」
(そうか。それならよかった。俺が神掛をした意味は、あったんだな)
「うん。君の犠牲のお陰で、尸魂界は、いや、世界の全ては救われた」
(もう、未練はないんだろう?)
「そうだね。あるとしたら、君との思い出も無になってしまうということくらいかな」
(そんなもの、生まれ変わってまた作ればいい)
「ふふ、そう簡単にいくかなぁ?」
(一緒に行くんだろ?その先も、きっと一緒だ)
「そうだといいね」
--------------------------------------------------------------------
「君、名前は?」
「十四郎。苗字はない」
長い白髪に、翡翠の瞳をもつ少年は、うねる黒髪に鳶色の瞳をもつ少年に話しかけられた。
「お前の名は?」
「春水。同じく、苗字はない」
「俺たち、どこかで出会ったことが?」
「さぁ、どうだろう」
いつかまた、巡り合うから。
たとえ、記憶が失われようとも。
だから、さよならは言わない。
またいつかと。
そう言って、泣きながら浮竹の冷たい体を抱きしめて、微笑んだ。
浮竹が、守ろうとしているこの世界を。
浮竹。
命が尽きようとしている君を、放置するボクを許してほしい。
霊王宮への扉を。
その先にいるユーハバッハを倒すために。
「浮竹・・・・・」
開発局にいる、黒ずんだ浮竹の体を思い出す。
「ごめんね」
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全てが終わり、浮竹の冷たい体に温もりを与えるように、抱き込んだ。
「浮竹、がんばったね」
ああ、そうだとも。
そう聞こえた気がした。
衣服が、浮竹が吐いた血に染まっていくのを、京楽は懐かしい気持ちで見ていた。
院生時代、初めて血を吐いて倒れた君を運んだ時も、衣服に君の血が滲んだ。
浮竹。
愛していたよ。
誰よりも、誰よりも。
浮竹。
今、ボクは忙しい。
今すぐ君の元に行きたいけど、それは無理なようだ。
「地獄で、待っててね。きっと、いつか会いにいくから」
浮竹・・・・・。
浮竹十四郎。
13番隊隊長。
長い白髪に、翡翠の瞳をもつ、柔らかな印象の愛しい人。
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あれから、千数百年が経過した。
ボクの中では、浮竹の顔も仕草も昨日のことのように思い出せた。
(迎えに来た)
「ああ・・・・やっと、君に会えるんだね」
(行こう。一緒に)
「うん。行こう」
(もう、離さない。離れない)
「そうだね」
魂は輪廻する。
霊圧となって、循環する輪の中に還っていく。
「行こうか。もう、瀞霊廷は大丈夫。あれからいろんな謀反やなんだかんだあったけど、瀞霊廷も現世も虚圏も健在だよ」
(そうか。それならよかった。俺が神掛をした意味は、あったんだな)
「うん。君の犠牲のお陰で、尸魂界は、いや、世界の全ては救われた」
(もう、未練はないんだろう?)
「そうだね。あるとしたら、君との思い出も無になってしまうということくらいかな」
(そんなもの、生まれ変わってまた作ればいい)
「ふふ、そう簡単にいくかなぁ?」
(一緒に行くんだろ?その先も、きっと一緒だ)
「そうだといいね」
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「君、名前は?」
「十四郎。苗字はない」
長い白髪に、翡翠の瞳をもつ少年は、うねる黒髪に鳶色の瞳をもつ少年に話しかけられた。
「お前の名は?」
「春水。同じく、苗字はない」
「俺たち、どこかで出会ったことが?」
「さぁ、どうだろう」
いつかまた、巡り合うから。
たとえ、記憶が失われようとも。
だから、さよならは言わない。
またいつかと。
そう言って、泣きながら浮竹の冷たい体を抱きしめて、微笑んだ。
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