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始祖なる者、ヴァンパイアマスター59

血の帝国から、浮竹と京楽は、ルキア、一護、冬獅郎を呼び寄せた。

用があるのはルキアだけだが、その守護騎士をしている二人も一緒にやってくるのは、至極当然なことなので、浮竹も京楽も気にしなかった。

「出るんだ」

「何がですか、浮竹殿」

「ぼ、亡霊が出るんだ。13歳くらいの女の子で、私の赤ちゃんがいないって・・・俺は見てしまった。情けない話だが、ゴースト系の亡霊のモンスターなら平気なんが、本物の亡霊は苦手なんだ。昨日出会って、その場で気絶してしまった」

「だっせぇ」

冬獅郎の言葉に、ぐさっと浮竹の心が傷つく。

「浮竹さんにも苦手なものがあるんすね」

「一護君・・・・」

「亡霊なんかで怖がるなんて、かわいいところあるっすね」

「かわいくない!私はかっこいいのだ!」

「はいはい」

一護は適当にあしらって、京楽に話を聞く。

「13歳くらいの女の子の幽霊。赤子がいないってことは、すでに結婚して子供を産んでなくなった少女の霊っすね」

「この古城を買い取ってから、話を聞いたんだよ。今から100年くらい前に、12歳で無理やり嫁がされた少女が、13歳で子供を産み、そのまま亡くなったそうだよ」

「京楽殿、その亡霊は赤子を探していたと?」

浮竹はガタガタ震えて、怖がっていた。

「浮竹が言うには、そうみたいだね」

「ふむ。未練を残したまま亡くなった亡霊ですか。無理やり成仏させることもできますが、その赤子の霊とやらを呼び寄せて、それから成仏してもらった方がいいですね」

「あ、赤子の霊を呼び出すのか」

浮竹は、京楽の服の裾を引っ張った。

「浮竹、君は寝ていていいよ。今晩にでも除霊してもらうから」

「亡霊が現れるかもしれないのに、一人で寝れるはずがないだろう!」

「じゃあ、一緒に亡霊を探す?」

浮竹はガタガタ震え出す。

「そ、それはいやだ!」

「どうやら、その少女の霊は、浮竹殿を気に入ってるようですね。思念の残滓が残っています。浮竹殿には悪いが、囮になってもらおう」

ルキアの言葉に、浮竹は倒れた。

「ちょっと、浮竹!?」

「亡霊の囮なんて嫌だーーー」

「一夜の我慢だよ。成仏すれば、二度と亡霊はでないから」

「ほ、本当だな!?」

「多分、ですが」

ルキアの言葉に、浮竹はまた眩暈がした。

「亡霊は、何もしてこないよな!?」

「どうでしょう。場合によっては憑依したりする亡霊もいますが、100年も亡霊をしていてそれほど騒ぎになっていないところを見ると、憑依したり頻繁に出る亡霊ではない気がします。悪さを働くような亡霊でないなら、放置しておいても大丈夫なのですが」

涙目になっている浮竹を見て、ルキアは溜息をつく。

「まぁ、今晩除霊しましょう。今のうちに仮眠をとっておきましょう」

「ちょうど眠かったんだ。寝れるなら寝る」

冬獅郎は早々と、まるで自分の家のようにゲストルームに入るとベッドに横になった。

ルキアも違うゲストルームで横になる。一護は、ルキアのゲストルームにあるソファーで寝ることしにたようだ。

「一護クン、ゲストルームは5つあるから、そんなソファーで寝なくても、ベッドは空いているよ?」

「いや、念のためにルキアの傍にいたいっすから」

「君は、本当にルキアちゃんが好きんなんだね」

すでに、ルキアは眠り落ちている。

一護は顔を真っ赤にして「そんなことないっす」と言って否定するのだった。

こうして、浮竹、京楽、ルキア、一護、冬獅郎は仮眠をとった。

日が暮れて夜になる。

ささやかな晩餐がふるまわれて、皆、京楽と戦闘人形のメイドの作った料理に満足気であった。

「いいもの毎日食ってるな、浮竹は」

冬獅郎とて、守護騎士としてそれなりのものを食べているが、京楽の手料理や戦闘人形のメイドたちが作る食事はどれも美味で、おいしかった。

「いや、今日は特別だ。3人がいるから、フルコースのメニューになってるだけで、いつもはもう少し質素だ」

「どのみちいいもん食ってんじゃねぇか」

「否定はしない」

湯浴みをして、普通なら就寝時刻なのだが、ルキアが霊を呼び寄やすいお香を焚いた。

「こ、怖くなんかないぞ。どこからでも出てこい!」

「浮竹、そう言いながら僕の服の裾を掴んでるから、強がってるのが丸わかりだよ」

「浮竹殿。その場で一人でいてください。霊が集まってきています」

「じゃあ、そういうことで浮竹」

「お、俺は一人でも怖くないぞ!」

浮竹は、がたがた震えながら、夜は寒いので毛布をかぶって、その場で緊張しすぎてどうにかなったのか、船をこぎ始めた。

「寝ちゃったけど、いいの?」

「大丈夫です。霊は集まってきています。もう少しで現れそうです」

「俺と冬獅郎もいる。なんとかなるだろう」

一護が、ルキアに毛布をかぶせた。

「すまぬ、一護」

「風邪でもひかれちゃ、大変だからな」

おおおおおおおおおお。

うおおおおおおお。

何やら、哀しい叫び声がしてきた。

もやのようなものが集まり、13歳くらいの少女の形をとった。

「返して・・・私の赤ちゃんを返して・・・」

眠っている浮竹にそう訴えかける。

「返して・・・・・」

浮竹は、起きると目の前に亡霊がいて、言葉を失い毛布をかぶって縮こまっていた。

「あなたの名前はララ・フォン・シスターニア。合っていますか?」

ルキアは亡霊に話しかけた。

亡霊を意識をはっきりとさせて、言葉を返してきた。

「そうよ。私はシスターニア伯爵家の三女、ララ・フォン・シスターニア。嫌だといったのに、お父様が借金の肩代わりだと、私をラトゥール家へお嫁にいけと」

「はい、それで?」

「ラトゥール侯爵家は、身分こそ上だったけれど、当主はまだ12歳だった私を無理やり犯して、子を身籠らた。私は初産が13歳であったせいで、この世を去ってしまった。私の赤ちゃんを返して!!」

ルキアは、魔法陣を描きだした。

何か呪文を唱えて、それは天国と呼ばれる霊的な物質が漂う世界とゲートを開く。

魔法陣には、1人の青年が立っていた。

「この方が、あなたの赤ちゃんの成長した姿です」

「私の赤ちゃん・・・本当に?」

「母さん?」

「名前は、名前はなんというの」

「リザ・フォン・ラトゥール」

「ラトゥール・・・私の息子は、成人してそれからラトゥール侯爵の爵位をついだのね」

ララは泣いていた。

リザは、どこか浮竹に似ていて、白髪い翡翠の瞳をもっていた。

ララの亡霊が、浮竹に惹かれて姿を現したのも納得がいった。

「母さん、一緒に天国に行こう。父さんは、母さんを亡くしてしまったことを後悔していたよ。もっと優しく扱ってやるべきだったって。もう、この地に未練も何もないでしょ?僕に会えなかったことが未練なら、もう果たされたはずだ。さぁ、一緒に天国に行こう?」

ふわりと、浮かび上がるリザの背中には、白い翼が生えていた。

ララは、浮竹のところにくると、怯えている浮竹の頭を撫でた。

「ごめんなさい。あなたは私の赤ちゃんの色によく似ていたから、化けて出てしまったわ。でももうそれも終わり。私も、天国に行くわ」

ララの背中にも白い翼が生えていた。

「行くのか?」

「ええ」

「たまに、戻ってきてもいいんだぞ」

「そうね。考えておくわ」

そうして、リザとララは天国に戻っていた。

ルキアは念のために聖水をまき、魔法陣をいたるところで描き出して、結界を張った。

「ふう。これで不浄な霊はこの古城には入ってこれないでしょう」

「ルキアちゃん、ありがとね」

「用事が片付いたなら、俺は寝る。仮眠をとったといっても眠い。また夜だ」

「あれ、そういえば血の帝国での活動時間が夜じゃなかったのか?」

「浮竹殿、知らなかったのですか。血の帝国では、5年前からブラッディ・ネイが活動時間を夜から昼に変えています」

「ああ、そういえばみんな昼なのに活動していたな」

「浮竹、今頃気づいたの」

「今頃で悪かったな」

つーんと尖がる浮竹に、ルキアも一護も眠るといって、ゲストルームに行ってしまった。

「僕たちも眠ろうか。これで、亡霊騒ぎも一段落したし」

「ああ、そうだな」

次の日の昼に、ルキア、一護、冬獅郎は血の帝国へ帰ってしまった。

住んでいる古城が変わったのだが、3人ともあまり興味がないようで、せっかく新しい家具とかを自慢しようと思っていた浮竹は、もの悲しくなった。

ガタン。

音がして、びくっと浮竹が振り返る。

そこには、ララが立っていた。

「あら、驚かせちゃたようでごめんなさい」

浮竹は、気を失っていた。

「浮竹さん、浮竹さん」

ぺちぺちと頬を叩かれて、浮竹は飛び起きた。

「え、ララ?どうして。ルキア君が結界を張ったはずなのに」」

「どうやら、こっちの世界と天国とを行き来でるようになたみたいで。亡霊ではなく、害のある霊を弾く結界のようです。私が悪意がないので、すり抜けられました。私が、怖いですか?」

「ちょっとまだ怖い。でも、悪意がないということはいい幽霊なんだろう?」

「そうですね。あなたの背後霊は・・・・・」

「わあああああ!!そんな話聞きたくない!」

耳を塞ぐ浮竹に、ララは苦笑した。

「ちゃんと、京楽さんの許可もとってありますから」

「そうなのか!?」

驚く浮竹は、京楽の部屋にいき、京楽の首を締め上げた。

「おいこら、害のない幽霊が行き来可能だってなんで教えなかった。ララを見た瞬間気を失ってしまったじゃないか!」

「ぎぶぎぶ!!」

浮竹の手を外して、呼吸を整える。

「いや、まさらララちゃんがこっちにまた戻ってくるとは思わなくて」

「天国なんてつまらないわ。こっちの世界のほうが、よほど刺激がって楽しいわ」

「ララちゃん、くれぐれも僕と浮竹の夜には・・・・・」

「大丈夫、のぞいたりしませんから、安心してください」

浮竹は真っ赤になった。

この古城に引っ越してもうすぐ半月になる。その間に、京楽に4回も抱かれた。

「ララ、本当に見ていないだろうな?」

「ええ、見ていませんよ。これは本当です」

「るるるるる~~~~~~」

「りんりんりん~~~~~~」

ミミックのポチとタマも、ララを歓迎するかのように、その側でくるくる回る。

「古城、幽霊つき・・・・・白金貨50枚に値切っておくんだった」

そんなことを口にする浮竹を、京楽は見る。

「この古城のこと、嫌いになった?なんなら、元の古城に戻ってもいいんだよ?」

「いや、俺はこの古城が気に入っている。幽霊つきだが、前よりも心地よい気がする」

庭には、薔薇園があり、アーチを築いていた。

その薔薇の世話をしたり、もってきた桔梗のプランターの世話をするのも、浮竹の役割だった。

ちなみに、庭の一部では鶏を飼いだした。

毎日、新鮮な卵が取れる。

オスメス飼っているので、そのうちひよこも生まれそうだ。

多すぎたら、かわいそうだがチキンソテーにでもなってもらおう。

そんなことを考えるのであった。


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それは、イデア王国で管理されてた。

邪神、ザナドゥ。

その封印を、藍染は解いた。

ザナドゥは、藍染を殺した。だが、藍染は何度殺しても再生してくる。

「不老不死・・・・始祖の呪いか」

邪神ザナドゥは、諦めの境地に立った。

「自由が欲しくないか」

「別に、いらぬ」

「お前に呪いをかけた。始祖のヴァンパイア浮竹と、神喰らいの魔神京楽の血を浴びねば、1カ月後に死ぬ呪いだ」

「そんな呪い、あるものか!」

藍染は笑った。

「ぐはっ」

呪いの侵食により、ザナドゥは呼吸ができなくなった。

「くそ・・・・・・」

「仮にも邪神だろう?封印を解いてあげたんだ、私の言うことくらい、聞いてもらおうか」

「私は神に滅ぼされた。この器に残った力は、弱い」

「じゃあ、私が力を与えよう」

邪神である自分の血を、藍染はザナドゥに与えた。

邪神である藍染の血は、ザナドゥを侵食していく。

「殺す、浮竹、京楽」

「まずは、女神アルテナの残した肉塊に、子を宿させてもらおうか。私が神の完成体になるまで、遊ぼうじゃないか」

藍染は、そうして笑うのであった。

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