始祖なる者、ヴァンパイアマスター59
血の帝国から、浮竹と京楽は、ルキア、一護、冬獅郎を呼び寄せた。
用があるのはルキアだけだが、その守護騎士をしている二人も一緒にやってくるのは、至極当然なことなので、浮竹も京楽も気にしなかった。
「出るんだ」
「何がですか、浮竹殿」
「ぼ、亡霊が出るんだ。13歳くらいの女の子で、私の赤ちゃんがいないって・・・俺は見てしまった。情けない話だが、ゴースト系の亡霊のモンスターなら平気なんが、本物の亡霊は苦手なんだ。昨日出会って、その場で気絶してしまった」
「だっせぇ」
冬獅郎の言葉に、ぐさっと浮竹の心が傷つく。
「浮竹さんにも苦手なものがあるんすね」
「一護君・・・・」
「亡霊なんかで怖がるなんて、かわいいところあるっすね」
「かわいくない!私はかっこいいのだ!」
「はいはい」
一護は適当にあしらって、京楽に話を聞く。
「13歳くらいの女の子の幽霊。赤子がいないってことは、すでに結婚して子供を産んでなくなった少女の霊っすね」
「この古城を買い取ってから、話を聞いたんだよ。今から100年くらい前に、12歳で無理やり嫁がされた少女が、13歳で子供を産み、そのまま亡くなったそうだよ」
「京楽殿、その亡霊は赤子を探していたと?」
浮竹はガタガタ震えて、怖がっていた。
「浮竹が言うには、そうみたいだね」
「ふむ。未練を残したまま亡くなった亡霊ですか。無理やり成仏させることもできますが、その赤子の霊とやらを呼び寄せて、それから成仏してもらった方がいいですね」
「あ、赤子の霊を呼び出すのか」
浮竹は、京楽の服の裾を引っ張った。
「浮竹、君は寝ていていいよ。今晩にでも除霊してもらうから」
「亡霊が現れるかもしれないのに、一人で寝れるはずがないだろう!」
「じゃあ、一緒に亡霊を探す?」
浮竹はガタガタ震え出す。
「そ、それはいやだ!」
「どうやら、その少女の霊は、浮竹殿を気に入ってるようですね。思念の残滓が残っています。浮竹殿には悪いが、囮になってもらおう」
ルキアの言葉に、浮竹は倒れた。
「ちょっと、浮竹!?」
「亡霊の囮なんて嫌だーーー」
「一夜の我慢だよ。成仏すれば、二度と亡霊はでないから」
「ほ、本当だな!?」
「多分、ですが」
ルキアの言葉に、浮竹はまた眩暈がした。
「亡霊は、何もしてこないよな!?」
「どうでしょう。場合によっては憑依したりする亡霊もいますが、100年も亡霊をしていてそれほど騒ぎになっていないところを見ると、憑依したり頻繁に出る亡霊ではない気がします。悪さを働くような亡霊でないなら、放置しておいても大丈夫なのですが」
涙目になっている浮竹を見て、ルキアは溜息をつく。
「まぁ、今晩除霊しましょう。今のうちに仮眠をとっておきましょう」
「ちょうど眠かったんだ。寝れるなら寝る」
冬獅郎は早々と、まるで自分の家のようにゲストルームに入るとベッドに横になった。
ルキアも違うゲストルームで横になる。一護は、ルキアのゲストルームにあるソファーで寝ることしにたようだ。
「一護クン、ゲストルームは5つあるから、そんなソファーで寝なくても、ベッドは空いているよ?」
「いや、念のためにルキアの傍にいたいっすから」
「君は、本当にルキアちゃんが好きんなんだね」
すでに、ルキアは眠り落ちている。
一護は顔を真っ赤にして「そんなことないっす」と言って否定するのだった。
こうして、浮竹、京楽、ルキア、一護、冬獅郎は仮眠をとった。
日が暮れて夜になる。
ささやかな晩餐がふるまわれて、皆、京楽と戦闘人形のメイドの作った料理に満足気であった。
「いいもの毎日食ってるな、浮竹は」
冬獅郎とて、守護騎士としてそれなりのものを食べているが、京楽の手料理や戦闘人形のメイドたちが作る食事はどれも美味で、おいしかった。
「いや、今日は特別だ。3人がいるから、フルコースのメニューになってるだけで、いつもはもう少し質素だ」
「どのみちいいもん食ってんじゃねぇか」
「否定はしない」
湯浴みをして、普通なら就寝時刻なのだが、ルキアが霊を呼び寄やすいお香を焚いた。
「こ、怖くなんかないぞ。どこからでも出てこい!」
「浮竹、そう言いながら僕の服の裾を掴んでるから、強がってるのが丸わかりだよ」
「浮竹殿。その場で一人でいてください。霊が集まってきています」
「じゃあ、そういうことで浮竹」
「お、俺は一人でも怖くないぞ!」
浮竹は、がたがた震えながら、夜は寒いので毛布をかぶって、その場で緊張しすぎてどうにかなったのか、船をこぎ始めた。
「寝ちゃったけど、いいの?」
「大丈夫です。霊は集まってきています。もう少しで現れそうです」
「俺と冬獅郎もいる。なんとかなるだろう」
一護が、ルキアに毛布をかぶせた。
「すまぬ、一護」
「風邪でもひかれちゃ、大変だからな」
おおおおおおおおおお。
うおおおおおおお。
何やら、哀しい叫び声がしてきた。
もやのようなものが集まり、13歳くらいの少女の形をとった。
「返して・・・私の赤ちゃんを返して・・・」
眠っている浮竹にそう訴えかける。
「返して・・・・・」
浮竹は、起きると目の前に亡霊がいて、言葉を失い毛布をかぶって縮こまっていた。
「あなたの名前はララ・フォン・シスターニア。合っていますか?」
ルキアは亡霊に話しかけた。
亡霊を意識をはっきりとさせて、言葉を返してきた。
「そうよ。私はシスターニア伯爵家の三女、ララ・フォン・シスターニア。嫌だといったのに、お父様が借金の肩代わりだと、私をラトゥール家へお嫁にいけと」
「はい、それで?」
「ラトゥール侯爵家は、身分こそ上だったけれど、当主はまだ12歳だった私を無理やり犯して、子を身籠らた。私は初産が13歳であったせいで、この世を去ってしまった。私の赤ちゃんを返して!!」
ルキアは、魔法陣を描きだした。
何か呪文を唱えて、それは天国と呼ばれる霊的な物質が漂う世界とゲートを開く。
魔法陣には、1人の青年が立っていた。
「この方が、あなたの赤ちゃんの成長した姿です」
「私の赤ちゃん・・・本当に?」
「母さん?」
「名前は、名前はなんというの」
「リザ・フォン・ラトゥール」
「ラトゥール・・・私の息子は、成人してそれからラトゥール侯爵の爵位をついだのね」
ララは泣いていた。
リザは、どこか浮竹に似ていて、白髪い翡翠の瞳をもっていた。
ララの亡霊が、浮竹に惹かれて姿を現したのも納得がいった。
「母さん、一緒に天国に行こう。父さんは、母さんを亡くしてしまったことを後悔していたよ。もっと優しく扱ってやるべきだったって。もう、この地に未練も何もないでしょ?僕に会えなかったことが未練なら、もう果たされたはずだ。さぁ、一緒に天国に行こう?」
ふわりと、浮かび上がるリザの背中には、白い翼が生えていた。
ララは、浮竹のところにくると、怯えている浮竹の頭を撫でた。
「ごめんなさい。あなたは私の赤ちゃんの色によく似ていたから、化けて出てしまったわ。でももうそれも終わり。私も、天国に行くわ」
ララの背中にも白い翼が生えていた。
「行くのか?」
「ええ」
「たまに、戻ってきてもいいんだぞ」
「そうね。考えておくわ」
そうして、リザとララは天国に戻っていた。
ルキアは念のために聖水をまき、魔法陣をいたるところで描き出して、結界を張った。
「ふう。これで不浄な霊はこの古城には入ってこれないでしょう」
「ルキアちゃん、ありがとね」
「用事が片付いたなら、俺は寝る。仮眠をとったといっても眠い。また夜だ」
「あれ、そういえば血の帝国での活動時間が夜じゃなかったのか?」
「浮竹殿、知らなかったのですか。血の帝国では、5年前からブラッディ・ネイが活動時間を夜から昼に変えています」
「ああ、そういえばみんな昼なのに活動していたな」
「浮竹、今頃気づいたの」
「今頃で悪かったな」
つーんと尖がる浮竹に、ルキアも一護も眠るといって、ゲストルームに行ってしまった。
「僕たちも眠ろうか。これで、亡霊騒ぎも一段落したし」
「ああ、そうだな」
次の日の昼に、ルキア、一護、冬獅郎は血の帝国へ帰ってしまった。
住んでいる古城が変わったのだが、3人ともあまり興味がないようで、せっかく新しい家具とかを自慢しようと思っていた浮竹は、もの悲しくなった。
ガタン。
音がして、びくっと浮竹が振り返る。
そこには、ララが立っていた。
「あら、驚かせちゃたようでごめんなさい」
浮竹は、気を失っていた。
「浮竹さん、浮竹さん」
ぺちぺちと頬を叩かれて、浮竹は飛び起きた。
「え、ララ?どうして。ルキア君が結界を張ったはずなのに」」
「どうやら、こっちの世界と天国とを行き来でるようになたみたいで。亡霊ではなく、害のある霊を弾く結界のようです。私が悪意がないので、すり抜けられました。私が、怖いですか?」
「ちょっとまだ怖い。でも、悪意がないということはいい幽霊なんだろう?」
「そうですね。あなたの背後霊は・・・・・」
「わあああああ!!そんな話聞きたくない!」
耳を塞ぐ浮竹に、ララは苦笑した。
「ちゃんと、京楽さんの許可もとってありますから」
「そうなのか!?」
驚く浮竹は、京楽の部屋にいき、京楽の首を締め上げた。
「おいこら、害のない幽霊が行き来可能だってなんで教えなかった。ララを見た瞬間気を失ってしまったじゃないか!」
「ぎぶぎぶ!!」
浮竹の手を外して、呼吸を整える。
「いや、まさらララちゃんがこっちにまた戻ってくるとは思わなくて」
「天国なんてつまらないわ。こっちの世界のほうが、よほど刺激がって楽しいわ」
「ララちゃん、くれぐれも僕と浮竹の夜には・・・・・」
「大丈夫、のぞいたりしませんから、安心してください」
浮竹は真っ赤になった。
この古城に引っ越してもうすぐ半月になる。その間に、京楽に4回も抱かれた。
「ララ、本当に見ていないだろうな?」
「ええ、見ていませんよ。これは本当です」
「るるるるる~~~~~~」
「りんりんりん~~~~~~」
ミミックのポチとタマも、ララを歓迎するかのように、その側でくるくる回る。
「古城、幽霊つき・・・・・白金貨50枚に値切っておくんだった」
そんなことを口にする浮竹を、京楽は見る。
「この古城のこと、嫌いになった?なんなら、元の古城に戻ってもいいんだよ?」
「いや、俺はこの古城が気に入っている。幽霊つきだが、前よりも心地よい気がする」
庭には、薔薇園があり、アーチを築いていた。
その薔薇の世話をしたり、もってきた桔梗のプランターの世話をするのも、浮竹の役割だった。
ちなみに、庭の一部では鶏を飼いだした。
毎日、新鮮な卵が取れる。
オスメス飼っているので、そのうちひよこも生まれそうだ。
多すぎたら、かわいそうだがチキンソテーにでもなってもらおう。
そんなことを考えるのであった。
-----------------------------------------------------------------
それは、イデア王国で管理されてた。
邪神、ザナドゥ。
その封印を、藍染は解いた。
ザナドゥは、藍染を殺した。だが、藍染は何度殺しても再生してくる。
「不老不死・・・・始祖の呪いか」
邪神ザナドゥは、諦めの境地に立った。
「自由が欲しくないか」
「別に、いらぬ」
「お前に呪いをかけた。始祖のヴァンパイア浮竹と、神喰らいの魔神京楽の血を浴びねば、1カ月後に死ぬ呪いだ」
「そんな呪い、あるものか!」
藍染は笑った。
「ぐはっ」
呪いの侵食により、ザナドゥは呼吸ができなくなった。
「くそ・・・・・・」
「仮にも邪神だろう?封印を解いてあげたんだ、私の言うことくらい、聞いてもらおうか」
「私は神に滅ぼされた。この器に残った力は、弱い」
「じゃあ、私が力を与えよう」
邪神である自分の血を、藍染はザナドゥに与えた。
邪神である藍染の血は、ザナドゥを侵食していく。
「殺す、浮竹、京楽」
「まずは、女神アルテナの残した肉塊に、子を宿させてもらおうか。私が神の完成体になるまで、遊ぼうじゃないか」
藍染は、そうして笑うのであった。
用があるのはルキアだけだが、その守護騎士をしている二人も一緒にやってくるのは、至極当然なことなので、浮竹も京楽も気にしなかった。
「出るんだ」
「何がですか、浮竹殿」
「ぼ、亡霊が出るんだ。13歳くらいの女の子で、私の赤ちゃんがいないって・・・俺は見てしまった。情けない話だが、ゴースト系の亡霊のモンスターなら平気なんが、本物の亡霊は苦手なんだ。昨日出会って、その場で気絶してしまった」
「だっせぇ」
冬獅郎の言葉に、ぐさっと浮竹の心が傷つく。
「浮竹さんにも苦手なものがあるんすね」
「一護君・・・・」
「亡霊なんかで怖がるなんて、かわいいところあるっすね」
「かわいくない!私はかっこいいのだ!」
「はいはい」
一護は適当にあしらって、京楽に話を聞く。
「13歳くらいの女の子の幽霊。赤子がいないってことは、すでに結婚して子供を産んでなくなった少女の霊っすね」
「この古城を買い取ってから、話を聞いたんだよ。今から100年くらい前に、12歳で無理やり嫁がされた少女が、13歳で子供を産み、そのまま亡くなったそうだよ」
「京楽殿、その亡霊は赤子を探していたと?」
浮竹はガタガタ震えて、怖がっていた。
「浮竹が言うには、そうみたいだね」
「ふむ。未練を残したまま亡くなった亡霊ですか。無理やり成仏させることもできますが、その赤子の霊とやらを呼び寄せて、それから成仏してもらった方がいいですね」
「あ、赤子の霊を呼び出すのか」
浮竹は、京楽の服の裾を引っ張った。
「浮竹、君は寝ていていいよ。今晩にでも除霊してもらうから」
「亡霊が現れるかもしれないのに、一人で寝れるはずがないだろう!」
「じゃあ、一緒に亡霊を探す?」
浮竹はガタガタ震え出す。
「そ、それはいやだ!」
「どうやら、その少女の霊は、浮竹殿を気に入ってるようですね。思念の残滓が残っています。浮竹殿には悪いが、囮になってもらおう」
ルキアの言葉に、浮竹は倒れた。
「ちょっと、浮竹!?」
「亡霊の囮なんて嫌だーーー」
「一夜の我慢だよ。成仏すれば、二度と亡霊はでないから」
「ほ、本当だな!?」
「多分、ですが」
ルキアの言葉に、浮竹はまた眩暈がした。
「亡霊は、何もしてこないよな!?」
「どうでしょう。場合によっては憑依したりする亡霊もいますが、100年も亡霊をしていてそれほど騒ぎになっていないところを見ると、憑依したり頻繁に出る亡霊ではない気がします。悪さを働くような亡霊でないなら、放置しておいても大丈夫なのですが」
涙目になっている浮竹を見て、ルキアは溜息をつく。
「まぁ、今晩除霊しましょう。今のうちに仮眠をとっておきましょう」
「ちょうど眠かったんだ。寝れるなら寝る」
冬獅郎は早々と、まるで自分の家のようにゲストルームに入るとベッドに横になった。
ルキアも違うゲストルームで横になる。一護は、ルキアのゲストルームにあるソファーで寝ることしにたようだ。
「一護クン、ゲストルームは5つあるから、そんなソファーで寝なくても、ベッドは空いているよ?」
「いや、念のためにルキアの傍にいたいっすから」
「君は、本当にルキアちゃんが好きんなんだね」
すでに、ルキアは眠り落ちている。
一護は顔を真っ赤にして「そんなことないっす」と言って否定するのだった。
こうして、浮竹、京楽、ルキア、一護、冬獅郎は仮眠をとった。
日が暮れて夜になる。
ささやかな晩餐がふるまわれて、皆、京楽と戦闘人形のメイドの作った料理に満足気であった。
「いいもの毎日食ってるな、浮竹は」
冬獅郎とて、守護騎士としてそれなりのものを食べているが、京楽の手料理や戦闘人形のメイドたちが作る食事はどれも美味で、おいしかった。
「いや、今日は特別だ。3人がいるから、フルコースのメニューになってるだけで、いつもはもう少し質素だ」
「どのみちいいもん食ってんじゃねぇか」
「否定はしない」
湯浴みをして、普通なら就寝時刻なのだが、ルキアが霊を呼び寄やすいお香を焚いた。
「こ、怖くなんかないぞ。どこからでも出てこい!」
「浮竹、そう言いながら僕の服の裾を掴んでるから、強がってるのが丸わかりだよ」
「浮竹殿。その場で一人でいてください。霊が集まってきています」
「じゃあ、そういうことで浮竹」
「お、俺は一人でも怖くないぞ!」
浮竹は、がたがた震えながら、夜は寒いので毛布をかぶって、その場で緊張しすぎてどうにかなったのか、船をこぎ始めた。
「寝ちゃったけど、いいの?」
「大丈夫です。霊は集まってきています。もう少しで現れそうです」
「俺と冬獅郎もいる。なんとかなるだろう」
一護が、ルキアに毛布をかぶせた。
「すまぬ、一護」
「風邪でもひかれちゃ、大変だからな」
おおおおおおおおおお。
うおおおおおおお。
何やら、哀しい叫び声がしてきた。
もやのようなものが集まり、13歳くらいの少女の形をとった。
「返して・・・私の赤ちゃんを返して・・・」
眠っている浮竹にそう訴えかける。
「返して・・・・・」
浮竹は、起きると目の前に亡霊がいて、言葉を失い毛布をかぶって縮こまっていた。
「あなたの名前はララ・フォン・シスターニア。合っていますか?」
ルキアは亡霊に話しかけた。
亡霊を意識をはっきりとさせて、言葉を返してきた。
「そうよ。私はシスターニア伯爵家の三女、ララ・フォン・シスターニア。嫌だといったのに、お父様が借金の肩代わりだと、私をラトゥール家へお嫁にいけと」
「はい、それで?」
「ラトゥール侯爵家は、身分こそ上だったけれど、当主はまだ12歳だった私を無理やり犯して、子を身籠らた。私は初産が13歳であったせいで、この世を去ってしまった。私の赤ちゃんを返して!!」
ルキアは、魔法陣を描きだした。
何か呪文を唱えて、それは天国と呼ばれる霊的な物質が漂う世界とゲートを開く。
魔法陣には、1人の青年が立っていた。
「この方が、あなたの赤ちゃんの成長した姿です」
「私の赤ちゃん・・・本当に?」
「母さん?」
「名前は、名前はなんというの」
「リザ・フォン・ラトゥール」
「ラトゥール・・・私の息子は、成人してそれからラトゥール侯爵の爵位をついだのね」
ララは泣いていた。
リザは、どこか浮竹に似ていて、白髪い翡翠の瞳をもっていた。
ララの亡霊が、浮竹に惹かれて姿を現したのも納得がいった。
「母さん、一緒に天国に行こう。父さんは、母さんを亡くしてしまったことを後悔していたよ。もっと優しく扱ってやるべきだったって。もう、この地に未練も何もないでしょ?僕に会えなかったことが未練なら、もう果たされたはずだ。さぁ、一緒に天国に行こう?」
ふわりと、浮かび上がるリザの背中には、白い翼が生えていた。
ララは、浮竹のところにくると、怯えている浮竹の頭を撫でた。
「ごめんなさい。あなたは私の赤ちゃんの色によく似ていたから、化けて出てしまったわ。でももうそれも終わり。私も、天国に行くわ」
ララの背中にも白い翼が生えていた。
「行くのか?」
「ええ」
「たまに、戻ってきてもいいんだぞ」
「そうね。考えておくわ」
そうして、リザとララは天国に戻っていた。
ルキアは念のために聖水をまき、魔法陣をいたるところで描き出して、結界を張った。
「ふう。これで不浄な霊はこの古城には入ってこれないでしょう」
「ルキアちゃん、ありがとね」
「用事が片付いたなら、俺は寝る。仮眠をとったといっても眠い。また夜だ」
「あれ、そういえば血の帝国での活動時間が夜じゃなかったのか?」
「浮竹殿、知らなかったのですか。血の帝国では、5年前からブラッディ・ネイが活動時間を夜から昼に変えています」
「ああ、そういえばみんな昼なのに活動していたな」
「浮竹、今頃気づいたの」
「今頃で悪かったな」
つーんと尖がる浮竹に、ルキアも一護も眠るといって、ゲストルームに行ってしまった。
「僕たちも眠ろうか。これで、亡霊騒ぎも一段落したし」
「ああ、そうだな」
次の日の昼に、ルキア、一護、冬獅郎は血の帝国へ帰ってしまった。
住んでいる古城が変わったのだが、3人ともあまり興味がないようで、せっかく新しい家具とかを自慢しようと思っていた浮竹は、もの悲しくなった。
ガタン。
音がして、びくっと浮竹が振り返る。
そこには、ララが立っていた。
「あら、驚かせちゃたようでごめんなさい」
浮竹は、気を失っていた。
「浮竹さん、浮竹さん」
ぺちぺちと頬を叩かれて、浮竹は飛び起きた。
「え、ララ?どうして。ルキア君が結界を張ったはずなのに」」
「どうやら、こっちの世界と天国とを行き来でるようになたみたいで。亡霊ではなく、害のある霊を弾く結界のようです。私が悪意がないので、すり抜けられました。私が、怖いですか?」
「ちょっとまだ怖い。でも、悪意がないということはいい幽霊なんだろう?」
「そうですね。あなたの背後霊は・・・・・」
「わあああああ!!そんな話聞きたくない!」
耳を塞ぐ浮竹に、ララは苦笑した。
「ちゃんと、京楽さんの許可もとってありますから」
「そうなのか!?」
驚く浮竹は、京楽の部屋にいき、京楽の首を締め上げた。
「おいこら、害のない幽霊が行き来可能だってなんで教えなかった。ララを見た瞬間気を失ってしまったじゃないか!」
「ぎぶぎぶ!!」
浮竹の手を外して、呼吸を整える。
「いや、まさらララちゃんがこっちにまた戻ってくるとは思わなくて」
「天国なんてつまらないわ。こっちの世界のほうが、よほど刺激がって楽しいわ」
「ララちゃん、くれぐれも僕と浮竹の夜には・・・・・」
「大丈夫、のぞいたりしませんから、安心してください」
浮竹は真っ赤になった。
この古城に引っ越してもうすぐ半月になる。その間に、京楽に4回も抱かれた。
「ララ、本当に見ていないだろうな?」
「ええ、見ていませんよ。これは本当です」
「るるるるる~~~~~~」
「りんりんりん~~~~~~」
ミミックのポチとタマも、ララを歓迎するかのように、その側でくるくる回る。
「古城、幽霊つき・・・・・白金貨50枚に値切っておくんだった」
そんなことを口にする浮竹を、京楽は見る。
「この古城のこと、嫌いになった?なんなら、元の古城に戻ってもいいんだよ?」
「いや、俺はこの古城が気に入っている。幽霊つきだが、前よりも心地よい気がする」
庭には、薔薇園があり、アーチを築いていた。
その薔薇の世話をしたり、もってきた桔梗のプランターの世話をするのも、浮竹の役割だった。
ちなみに、庭の一部では鶏を飼いだした。
毎日、新鮮な卵が取れる。
オスメス飼っているので、そのうちひよこも生まれそうだ。
多すぎたら、かわいそうだがチキンソテーにでもなってもらおう。
そんなことを考えるのであった。
-----------------------------------------------------------------
それは、イデア王国で管理されてた。
邪神、ザナドゥ。
その封印を、藍染は解いた。
ザナドゥは、藍染を殺した。だが、藍染は何度殺しても再生してくる。
「不老不死・・・・始祖の呪いか」
邪神ザナドゥは、諦めの境地に立った。
「自由が欲しくないか」
「別に、いらぬ」
「お前に呪いをかけた。始祖のヴァンパイア浮竹と、神喰らいの魔神京楽の血を浴びねば、1カ月後に死ぬ呪いだ」
「そんな呪い、あるものか!」
藍染は笑った。
「ぐはっ」
呪いの侵食により、ザナドゥは呼吸ができなくなった。
「くそ・・・・・・」
「仮にも邪神だろう?封印を解いてあげたんだ、私の言うことくらい、聞いてもらおうか」
「私は神に滅ぼされた。この器に残った力は、弱い」
「じゃあ、私が力を与えよう」
邪神である自分の血を、藍染はザナドゥに与えた。
邪神である藍染の血は、ザナドゥを侵食していく。
「殺す、浮竹、京楽」
「まずは、女神アルテナの残した肉塊に、子を宿させてもらおうか。私が神の完成体になるまで、遊ぼうじゃないか」
藍染は、そうして笑うのであった。
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