始祖なる者、ヴァンパイアマスター58
「浮竹殿、京楽殿」
やってきたのは、血の帝国の皇女であり、聖女であるルキアと守護騎士の黒崎一護であった。
「どうしたんだい、ルキア君、一護君」
「あれ、ルキアちゃん、冬獅郎クンの姿が見えないね?」
「その冬獅郎が!!」
ルキアの話では、冬獅郎は何者かに攫われたというのだ。
それが、藍染の手による者の可能性が近いと分かり、浮竹と京楽は顔色を変えた。
「ついに、友人たちに手を出し始めたか」
「ルキアちゃん、多分冬獅郎クンは僕らを襲ってくる。ちゃんと加減して、目を覚まさせてもらうから、ここは僕らに任せてくれないかな」
「浮竹殿と京楽殿がそういうのであれば・・・」
ルキアと一護は、冬獅郎のことは浮竹と京楽に任せることにして、騒ぎを大きくしないためにも、一度血の帝国に戻ってもらった。
「どう思う、京楽」
「そうだね。藍染の血を与えられて、やってくるに1票」
「奇遇だな。俺もそう思っていたところだ」
----------------------------------------------------
「誰だ・・・・・」
冬獅郎は、揺蕩う意識の狭間で、夢を見ていた。、
自分を助けようとしてくれた母親が、優しくしてくれる夢だった。
冬獅郎の母親は、特別な血をもった人間で、稀にしか生まれぬヴァンパイアの子を確実に孕める血をもっていた。
冬獅郎の父親は、ヴァンパイアだった。
ヴァンパイアであった父親は、冬獅郎の母親に血を与えて花嫁と迎えることはせずに、ただ犯して子を産ませた。
ヴァンピールの力は、個体差があれど普通のヴァンパイアより強い。
現に、黒崎一護というヴァンピールは、聖女朽木ルキアの守護騎士をしていた。
冬獅郎には他に4人の兄弟姉妹がいたが、皆力に溺れて幼くして死んでいった。父親であるヴァンパイアは、強いヴァンピールである冬獅郎の力を求めた。
母親は、そのヴァンパイアの父親の元から、冬獅郎を連れて逃げ出そうとして、父親に殺された。
気づけば、冬獅郎は父親を殺して、親殺しのヴァンピールと蔑まれて生きてきた。
そんな冬獅郎に、救いの手を差し伸べてくれたのは、ルキアと一護、それに浮竹と京楽だった。
「誰か・・・・そこにいるのか」
「君は忌まわしきヴァンピール。君が守護するべき朽木ルキアは死んだ。殺したのは、浮竹十四郎と京楽春水」
「ルキアが死ぬはずがない・・・・」
「これを見ても?」
藍染は、強烈な洗脳を行っていた。
「これは・・・ルキアの生首。いやだ、ルキア、ルキア!」
「これも、浮竹十四郎と京楽春水のせいだよ」
次に冬獅郎の前に置かれ生首は、雛森桃のものだった。
「雛森!!うわああああ!!!」
実際は、ただの肉塊であったけれど、冬獅郎にはルキアと雛森の生首に見えた。
浮竹のことと、京楽に関することは記憶が奪われていた。
「許さない・・浮竹十四郎、京楽春水。この手で、葬り去ってやる」
「この血を飲みなさい。君の力になるだろう」
強烈な洗脳にかけられた冬獅郎には、藍染の邪神の血が女神の血に見えた。
冬獅郎は、ワイングラスに入れられた血を飲み干した。
「力が湧いてくる・・・・・」
「さぁ、行っておいで。浮竹十四郎と京楽春水を抹殺するんだ」
「殺す・・浮竹、京楽・・・・」
冬獅郎は、自分の愛刀である氷輪丸を手に、浮竹と京楽の住む古城に向かう。
冬獅郎は、氷の龍を出していた。
それに跨り、空を飛ぶ。
「ルキア、雛森・・・仇は、とってやる」
冬獅郎は、数日でイデア王国からガイア王国へと来ていた。
浮竹たちの住ま古城にくると、まずが使役できる氷の精霊フェンリルと氷女を出して、城ごと凍結させた。
けれど、一度火柱があがり、氷はどんどん溶かされていく。
「どうなっている!」
「待ってたよ、冬獅郎クン」
「冬獅郎君、元に戻るんだ」
庭に出てきた浮竹と京楽を、冬獅郎は憎しみの眼差しで見つめる。
「よくもルキアと雛森を・・・・殺してやる!」
「わお、冬獅郎クン本気みたいだね。どうする、浮竹」
「ある程度力を削ったところで、エリクサーを飲ませる」
冬獅郎は、魔狼フェンリルと氷女の精霊を操って、浮竹と京楽を攻撃する。
それをかわして、浮竹は炎の魔法を放つ。
「ゴッドフェニックス!!」
炎の不死鳥は、氷女を包み込んだが、氷女は炎を凍てつかせた。
「ちょっと、思ったより力つけてるね。これ、本気でいかなきゃ無理かも。サンダーボルテックス!!」
冬獅郎本人に魔法をかまそうとすると、フェンリルが代わりに魔法を受けた。
「げ、魔力に変換して食われた。ちょっと、浮竹どうにかならないの!?」
「ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・トリプルファイアフェニックス!!!」
「いきなりそれかい!」
京楽が余波を浴びないように、シールドを張った。
「ウォォォォォン!!」
氷の魔狼フェンリル冬獅郎を庇い、蒸発してしまった。
「よくもフェンリルを!」
冬獅郎は、愛刀氷輪丸を手に、氷の龍を出してきた。
それは浮竹と京楽に襲い掛かる。
「ファイアシールド×5」
浮竹は、5枚重ねの炎の盾を張った。
じゅわっと、氷の龍が蒸発していく。
「まだだ、俺はこんなところで終わってたまるか、ルキアと雛森の仇を取るんだ!」
「冬獅郎!!」
「シロちゃん!!」
中庭から現れたのは、浮竹と京楽に殺されたはずのルキアと雛森だった。
「シロちゃん、私たちは無事だよ!藍染に洗脳されているの!お願い、元に戻って!!」
「全部幻だあああ!!」
冬獅郎は、氷の龍をルキアと雛森に向けた。
「いい加減、目を覚ましやがれ!!」
一護に殴られて、冬獅郎は瞬きを数回繰り返した。
「一護?なんでここにいやがる。ルキアと一緒に死んだはずじゃねぇのか!」
「勝手に殺すな!お前は藍染の手の者に攫われて、洗脳されてんだよ!」
「じゃあ、今この目の前にいるルキアと雛森は、本物?」
「ああ、そうだ!自分が守りたい存在を、自分で壊す気か!」
一護は、冬獅郎の頭を殴った。
でも、そんなことで藍染の洗脳がそう簡単に解けるわけもなく。
「浮竹と京楽、あいつらだけは許せねぇ」
「冬獅郎!」
「シロちゃん!」
浮竹は、さっと雛森の体を攫うと、早口で事情を説明する。
それに真っ赤になって、雛森はエリクサーを手に、冬獅郎の元に駆け寄る。
「シロちゃん、元に戻って!」
雛森は、エリクサーを口にすると、冬獅郎に口移しで飲ませた。
エリクサーを飲みこんで、冬獅郎は我に返る。
「俺は、一体何を・・・・・」
「冬獅郎、元に戻ったのだな!?」
「シロちゃん!」
ルキアと雛森に抱き着かれて、冬獅郎は真っ赤になっていた。
「雛森、さっきのは・・・・」
「えへへへ、ファーストキス。シロちゃんと、しちゃった」
その言葉に、冬獅郎は耳まで真っ赤になった。
「おい、冬獅郎、まずは言うことがあるだろうが!」
一護に急かされて、冬獅郎は、氷の龍が暴れたせいでめちゃくちゃに壊れた古城を見上げながら、浮竹と京楽に詫びを入れた。
「すまん!俺が、洗脳されたせいで、こんなことを引き起こして・・・・」
「まぁ、悪いのは全部藍染だから」
「そうそう。古城は恋次君の時間回帰の魔法でなんとかしてもらうから、気にしなくていいよ」
「京楽、この古城のことは藍染に知られているし、いっそ引っ越すのはどうだ?」
浮竹の言葉に、京楽が首を傾げる。
「けど、どこへ?」
「向こう側に、古城があるだろう。ほら、東の運河の近くにある」
「あれは、貴族が住んでいるよ?」
「ここに白金貨100枚ある。これで買いとる」
「金に全部物を言わす浮竹・・・なんかかっこいい!!」
浮竹はすぐに交渉に乗り出して、その貴族は没落寸前で、古城しか資産がなかったのだが、古城の買取り手もなく、維持費に必要な金を借金して賄っていた。
浮竹の出してきた条件に食いついてきた。
浮竹は、戦闘人形のメイドたちに命令して、無事だった家具やら衣服やらあとあらゆるものをアイテムポケットにいれさせると、まずは掃除が行き届いていないせいで、埃にまみれていた古城を、戦闘人形のメイドたちに徹底的に掃除してもらった。
そして、家具の配置を行っていき、クローゼットに衣服をしまいこむ。
絵画などを飾り、シャンデリアを前の古城のものと入れ替えた。
純金でできたハニワを玄関に飾ってみた。
ペルシャ絨毯を寝室にしいて、天蓋つきのキングサイズベッドのベッドを寝室に置く。
ダイニングルームには、テーブルと椅子に他にも、前の古城のものより広かったので、ホイワイトタイガーの毛皮をしいて、その上にソファーを置いた。
風呂場は前の古城より狭かったが、二人で入るには十分な広さを兼ね備えいた。
玄関から続く赤い絨毯は、職人技のものを選び、他に足りなかったり、壊れたりした家具は、金で一流のものを買いそろえた。
埃にまみれておいた古城は、ビフォアアフターで、どれだけ違いがあるのか分からないほどに、手入れする前の古城とは比べ物にならないくらいに豪華なものになっていた。
浮竹の手元には、ガイア王国の女王からもらった白金貨がまだ5千枚手つかずで残っていた。
ダンジョンにもぐったり、錬金術でもうけた金で事足りた。
前の古城のマンドレイクを全部引き抜いて、新しい古城は前の古城より中庭が広かったので、戦闘メイドたちに畑を耕してもらい、マンドレイクの苗を植えた。
最後に、地下に血の帝国と繋がる空間転移の魔法陣を設置した。
どのみち、周囲には鬱蒼と森が生えていたし、一番近くの町はやはりアラルだった。
前の古城よりもアラルの町が近くなった。
ゲストルームは前より少なくなったが、それでも5つはあって、広さは倍になった。
図書館を配置したり、錬金術用の館を5つ建てた。
外見は少々違えと、前と同じような古城ができあがった。
違う点があるとしたら、家畜小屋ができて、そこで鶏を飼うようになったことだろうか。
使わない暖炉では、いつも通りミミックのポチとタマの巣になっていた。
「るるるるる~~~」
「りんりんりん~~~~~」
ポチとタマは、お引越しは初めてなので、嬉しそうに古城の中を冒険しに出て行ってしまった。
「エリクサーが尽きてしまったな。材料を買い占めて、作るかー」
「また、新しく作った錬金術の館を吹き飛ばすつもりだね」
「当たり前だ!館は吹き飛ばすためにあるようなものだ!」
「そんなこと言う錬金術士は君くらいだと思うけどね」
「ほら、アラルの町に買いだしにいくぞ。ついでに乱菊と冒険者ギルドに引っ越しをしたことを伝えないと」
浮竹は、上着を着て、出かける用意をする。
ついでに夕飯とかの買い出しも兼ねて、外に出る。
鬱蒼とている森には獣道があって、そこを通るとすぐにアラルの町に出られた。
「あら、引っ越したの。古城から古城へ。あんまり、外見以外変わってないんじゃないの?」
乱菊の言葉に、浮竹は「鶏を飼いだした」と威張り始めた。
「まぁ、マンドレイクは相変わらず育ててくれるからいいけど。あの古城、出るって、噂よ?」
「な、何が・・・・・・・」
「ほら、亡霊が・・・・」
「そんなわけあるか!」
浮竹は、ヴァンパイアマスターなのに亡霊が怖いようで、京楽の服の裾を掴んでいた。
「浮竹、もしかして亡霊が怖いの?」
「こ、怖くなんかない!この世界にはゴーストとか亡霊系のモンスターもいるだろう!」
「そうだけど・・・・手が震えてるよ」
「き、気のせいだ」
京楽は、そんな浮竹はかわいくて、頭を撫でて抱きしめた。
「あら、お熱いこと」
「そんなに気になるなら、亡霊退治をしよう。聖女のルキアちゃんも呼んで。ちゃんと成仏してもらおう」
「あ、ああ、そうだな」
その後で、冒険者ギルドにより、住所を変更してその日は食事と風呂に入り、就寝となった。
ふと、すすり泣く声が聞こえて、目が覚めた浮竹は、泣き声をがするほうにふらふらと歩いていく。
「いないの・・・お腹に赤ちゃんがいたのに・・・いないの」
すすり泣く、少女の姿をした亡霊を見てしまい、浮竹はその場で気を失った。
「浮竹、おーい、浮竹。こんな場所で寝たら、風邪引くでしょ?」
朝になって京楽に起こされて、浮竹はその肩を掴んで揺さぶった。
「出た。本当に出た。お腹に赤ちゃんがいないとかいって・・・・13歳くらいの、少女の亡霊だった・・・本当に、出たんだ」
ガタガタと震えて、京楽の服の裾を掴む。
「夢じゃないようだね。今回は、幽霊退治と参りますか」
京楽は、血の帝国からルキア、一護、冬獅郎を呼び寄せて、幽霊退治と乗り込むのであった。
やってきたのは、血の帝国の皇女であり、聖女であるルキアと守護騎士の黒崎一護であった。
「どうしたんだい、ルキア君、一護君」
「あれ、ルキアちゃん、冬獅郎クンの姿が見えないね?」
「その冬獅郎が!!」
ルキアの話では、冬獅郎は何者かに攫われたというのだ。
それが、藍染の手による者の可能性が近いと分かり、浮竹と京楽は顔色を変えた。
「ついに、友人たちに手を出し始めたか」
「ルキアちゃん、多分冬獅郎クンは僕らを襲ってくる。ちゃんと加減して、目を覚まさせてもらうから、ここは僕らに任せてくれないかな」
「浮竹殿と京楽殿がそういうのであれば・・・」
ルキアと一護は、冬獅郎のことは浮竹と京楽に任せることにして、騒ぎを大きくしないためにも、一度血の帝国に戻ってもらった。
「どう思う、京楽」
「そうだね。藍染の血を与えられて、やってくるに1票」
「奇遇だな。俺もそう思っていたところだ」
----------------------------------------------------
「誰だ・・・・・」
冬獅郎は、揺蕩う意識の狭間で、夢を見ていた。、
自分を助けようとしてくれた母親が、優しくしてくれる夢だった。
冬獅郎の母親は、特別な血をもった人間で、稀にしか生まれぬヴァンパイアの子を確実に孕める血をもっていた。
冬獅郎の父親は、ヴァンパイアだった。
ヴァンパイアであった父親は、冬獅郎の母親に血を与えて花嫁と迎えることはせずに、ただ犯して子を産ませた。
ヴァンピールの力は、個体差があれど普通のヴァンパイアより強い。
現に、黒崎一護というヴァンピールは、聖女朽木ルキアの守護騎士をしていた。
冬獅郎には他に4人の兄弟姉妹がいたが、皆力に溺れて幼くして死んでいった。父親であるヴァンパイアは、強いヴァンピールである冬獅郎の力を求めた。
母親は、そのヴァンパイアの父親の元から、冬獅郎を連れて逃げ出そうとして、父親に殺された。
気づけば、冬獅郎は父親を殺して、親殺しのヴァンピールと蔑まれて生きてきた。
そんな冬獅郎に、救いの手を差し伸べてくれたのは、ルキアと一護、それに浮竹と京楽だった。
「誰か・・・・そこにいるのか」
「君は忌まわしきヴァンピール。君が守護するべき朽木ルキアは死んだ。殺したのは、浮竹十四郎と京楽春水」
「ルキアが死ぬはずがない・・・・」
「これを見ても?」
藍染は、強烈な洗脳を行っていた。
「これは・・・ルキアの生首。いやだ、ルキア、ルキア!」
「これも、浮竹十四郎と京楽春水のせいだよ」
次に冬獅郎の前に置かれ生首は、雛森桃のものだった。
「雛森!!うわああああ!!!」
実際は、ただの肉塊であったけれど、冬獅郎にはルキアと雛森の生首に見えた。
浮竹のことと、京楽に関することは記憶が奪われていた。
「許さない・・浮竹十四郎、京楽春水。この手で、葬り去ってやる」
「この血を飲みなさい。君の力になるだろう」
強烈な洗脳にかけられた冬獅郎には、藍染の邪神の血が女神の血に見えた。
冬獅郎は、ワイングラスに入れられた血を飲み干した。
「力が湧いてくる・・・・・」
「さぁ、行っておいで。浮竹十四郎と京楽春水を抹殺するんだ」
「殺す・・浮竹、京楽・・・・」
冬獅郎は、自分の愛刀である氷輪丸を手に、浮竹と京楽の住む古城に向かう。
冬獅郎は、氷の龍を出していた。
それに跨り、空を飛ぶ。
「ルキア、雛森・・・仇は、とってやる」
冬獅郎は、数日でイデア王国からガイア王国へと来ていた。
浮竹たちの住ま古城にくると、まずが使役できる氷の精霊フェンリルと氷女を出して、城ごと凍結させた。
けれど、一度火柱があがり、氷はどんどん溶かされていく。
「どうなっている!」
「待ってたよ、冬獅郎クン」
「冬獅郎君、元に戻るんだ」
庭に出てきた浮竹と京楽を、冬獅郎は憎しみの眼差しで見つめる。
「よくもルキアと雛森を・・・・殺してやる!」
「わお、冬獅郎クン本気みたいだね。どうする、浮竹」
「ある程度力を削ったところで、エリクサーを飲ませる」
冬獅郎は、魔狼フェンリルと氷女の精霊を操って、浮竹と京楽を攻撃する。
それをかわして、浮竹は炎の魔法を放つ。
「ゴッドフェニックス!!」
炎の不死鳥は、氷女を包み込んだが、氷女は炎を凍てつかせた。
「ちょっと、思ったより力つけてるね。これ、本気でいかなきゃ無理かも。サンダーボルテックス!!」
冬獅郎本人に魔法をかまそうとすると、フェンリルが代わりに魔法を受けた。
「げ、魔力に変換して食われた。ちょっと、浮竹どうにかならないの!?」
「ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・トリプルファイアフェニックス!!!」
「いきなりそれかい!」
京楽が余波を浴びないように、シールドを張った。
「ウォォォォォン!!」
氷の魔狼フェンリル冬獅郎を庇い、蒸発してしまった。
「よくもフェンリルを!」
冬獅郎は、愛刀氷輪丸を手に、氷の龍を出してきた。
それは浮竹と京楽に襲い掛かる。
「ファイアシールド×5」
浮竹は、5枚重ねの炎の盾を張った。
じゅわっと、氷の龍が蒸発していく。
「まだだ、俺はこんなところで終わってたまるか、ルキアと雛森の仇を取るんだ!」
「冬獅郎!!」
「シロちゃん!!」
中庭から現れたのは、浮竹と京楽に殺されたはずのルキアと雛森だった。
「シロちゃん、私たちは無事だよ!藍染に洗脳されているの!お願い、元に戻って!!」
「全部幻だあああ!!」
冬獅郎は、氷の龍をルキアと雛森に向けた。
「いい加減、目を覚ましやがれ!!」
一護に殴られて、冬獅郎は瞬きを数回繰り返した。
「一護?なんでここにいやがる。ルキアと一緒に死んだはずじゃねぇのか!」
「勝手に殺すな!お前は藍染の手の者に攫われて、洗脳されてんだよ!」
「じゃあ、今この目の前にいるルキアと雛森は、本物?」
「ああ、そうだ!自分が守りたい存在を、自分で壊す気か!」
一護は、冬獅郎の頭を殴った。
でも、そんなことで藍染の洗脳がそう簡単に解けるわけもなく。
「浮竹と京楽、あいつらだけは許せねぇ」
「冬獅郎!」
「シロちゃん!」
浮竹は、さっと雛森の体を攫うと、早口で事情を説明する。
それに真っ赤になって、雛森はエリクサーを手に、冬獅郎の元に駆け寄る。
「シロちゃん、元に戻って!」
雛森は、エリクサーを口にすると、冬獅郎に口移しで飲ませた。
エリクサーを飲みこんで、冬獅郎は我に返る。
「俺は、一体何を・・・・・」
「冬獅郎、元に戻ったのだな!?」
「シロちゃん!」
ルキアと雛森に抱き着かれて、冬獅郎は真っ赤になっていた。
「雛森、さっきのは・・・・」
「えへへへ、ファーストキス。シロちゃんと、しちゃった」
その言葉に、冬獅郎は耳まで真っ赤になった。
「おい、冬獅郎、まずは言うことがあるだろうが!」
一護に急かされて、冬獅郎は、氷の龍が暴れたせいでめちゃくちゃに壊れた古城を見上げながら、浮竹と京楽に詫びを入れた。
「すまん!俺が、洗脳されたせいで、こんなことを引き起こして・・・・」
「まぁ、悪いのは全部藍染だから」
「そうそう。古城は恋次君の時間回帰の魔法でなんとかしてもらうから、気にしなくていいよ」
「京楽、この古城のことは藍染に知られているし、いっそ引っ越すのはどうだ?」
浮竹の言葉に、京楽が首を傾げる。
「けど、どこへ?」
「向こう側に、古城があるだろう。ほら、東の運河の近くにある」
「あれは、貴族が住んでいるよ?」
「ここに白金貨100枚ある。これで買いとる」
「金に全部物を言わす浮竹・・・なんかかっこいい!!」
浮竹はすぐに交渉に乗り出して、その貴族は没落寸前で、古城しか資産がなかったのだが、古城の買取り手もなく、維持費に必要な金を借金して賄っていた。
浮竹の出してきた条件に食いついてきた。
浮竹は、戦闘人形のメイドたちに命令して、無事だった家具やら衣服やらあとあらゆるものをアイテムポケットにいれさせると、まずは掃除が行き届いていないせいで、埃にまみれていた古城を、戦闘人形のメイドたちに徹底的に掃除してもらった。
そして、家具の配置を行っていき、クローゼットに衣服をしまいこむ。
絵画などを飾り、シャンデリアを前の古城のものと入れ替えた。
純金でできたハニワを玄関に飾ってみた。
ペルシャ絨毯を寝室にしいて、天蓋つきのキングサイズベッドのベッドを寝室に置く。
ダイニングルームには、テーブルと椅子に他にも、前の古城のものより広かったので、ホイワイトタイガーの毛皮をしいて、その上にソファーを置いた。
風呂場は前の古城より狭かったが、二人で入るには十分な広さを兼ね備えいた。
玄関から続く赤い絨毯は、職人技のものを選び、他に足りなかったり、壊れたりした家具は、金で一流のものを買いそろえた。
埃にまみれておいた古城は、ビフォアアフターで、どれだけ違いがあるのか分からないほどに、手入れする前の古城とは比べ物にならないくらいに豪華なものになっていた。
浮竹の手元には、ガイア王国の女王からもらった白金貨がまだ5千枚手つかずで残っていた。
ダンジョンにもぐったり、錬金術でもうけた金で事足りた。
前の古城のマンドレイクを全部引き抜いて、新しい古城は前の古城より中庭が広かったので、戦闘メイドたちに畑を耕してもらい、マンドレイクの苗を植えた。
最後に、地下に血の帝国と繋がる空間転移の魔法陣を設置した。
どのみち、周囲には鬱蒼と森が生えていたし、一番近くの町はやはりアラルだった。
前の古城よりもアラルの町が近くなった。
ゲストルームは前より少なくなったが、それでも5つはあって、広さは倍になった。
図書館を配置したり、錬金術用の館を5つ建てた。
外見は少々違えと、前と同じような古城ができあがった。
違う点があるとしたら、家畜小屋ができて、そこで鶏を飼うようになったことだろうか。
使わない暖炉では、いつも通りミミックのポチとタマの巣になっていた。
「るるるるる~~~」
「りんりんりん~~~~~」
ポチとタマは、お引越しは初めてなので、嬉しそうに古城の中を冒険しに出て行ってしまった。
「エリクサーが尽きてしまったな。材料を買い占めて、作るかー」
「また、新しく作った錬金術の館を吹き飛ばすつもりだね」
「当たり前だ!館は吹き飛ばすためにあるようなものだ!」
「そんなこと言う錬金術士は君くらいだと思うけどね」
「ほら、アラルの町に買いだしにいくぞ。ついでに乱菊と冒険者ギルドに引っ越しをしたことを伝えないと」
浮竹は、上着を着て、出かける用意をする。
ついでに夕飯とかの買い出しも兼ねて、外に出る。
鬱蒼とている森には獣道があって、そこを通るとすぐにアラルの町に出られた。
「あら、引っ越したの。古城から古城へ。あんまり、外見以外変わってないんじゃないの?」
乱菊の言葉に、浮竹は「鶏を飼いだした」と威張り始めた。
「まぁ、マンドレイクは相変わらず育ててくれるからいいけど。あの古城、出るって、噂よ?」
「な、何が・・・・・・・」
「ほら、亡霊が・・・・」
「そんなわけあるか!」
浮竹は、ヴァンパイアマスターなのに亡霊が怖いようで、京楽の服の裾を掴んでいた。
「浮竹、もしかして亡霊が怖いの?」
「こ、怖くなんかない!この世界にはゴーストとか亡霊系のモンスターもいるだろう!」
「そうだけど・・・・手が震えてるよ」
「き、気のせいだ」
京楽は、そんな浮竹はかわいくて、頭を撫でて抱きしめた。
「あら、お熱いこと」
「そんなに気になるなら、亡霊退治をしよう。聖女のルキアちゃんも呼んで。ちゃんと成仏してもらおう」
「あ、ああ、そうだな」
その後で、冒険者ギルドにより、住所を変更してその日は食事と風呂に入り、就寝となった。
ふと、すすり泣く声が聞こえて、目が覚めた浮竹は、泣き声をがするほうにふらふらと歩いていく。
「いないの・・・お腹に赤ちゃんがいたのに・・・いないの」
すすり泣く、少女の姿をした亡霊を見てしまい、浮竹はその場で気を失った。
「浮竹、おーい、浮竹。こんな場所で寝たら、風邪引くでしょ?」
朝になって京楽に起こされて、浮竹はその肩を掴んで揺さぶった。
「出た。本当に出た。お腹に赤ちゃんがいないとかいって・・・・13歳くらいの、少女の亡霊だった・・・本当に、出たんだ」
ガタガタと震えて、京楽の服の裾を掴む。
「夢じゃないようだね。今回は、幽霊退治と参りますか」
京楽は、血の帝国からルキア、一護、冬獅郎を呼び寄せて、幽霊退治と乗り込むのであった。
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