あなたの手で、殺してくださいⅡ
「手当ては・・・これ以上は無理だな。腫れ上がるのは仕方ない。なんの抵抗もなく何度も同じ場所を拳で殴られたんだ・・・すまない」
ティエリアは、救急セットを置いて、刹那を抱きしめた。
「君が、強いのだとばかり・・・そう、勝手に決め付けて、すまない」
ティエリアの腕の中で、刹那は悔しそうに顔を歪めたあと、ティエリアの胸に顔を埋めた。その閉じられたピジョン・ブラッドのルビーの瞳から、いくつかの涙が銀色の波となって、刹那の頬を伝う。
「君にばかり・・・罪を背負わせてすまない」
「いい。全部、俺が背負う」
ぎゅっと、ティエリアを抱きしめて離さない刹那に、ティエリアは涙が零れそうになった。
「神など、俺は信じない」
刹那は、強い瞳でティエリアを見つめる。
「僕も信じない」
神など、この世界にいるものか。
いるのなら、なぜ愛し合う二人を裂く?
なぜ人を不幸にする?
祈っても祈っても、願っても願っても、何もかなえてはくれない。
残酷な結末しか与えてくれない。
ティエリアは、ポンポンと、刹那の頭を叩いたあと、優しく額にキスをした。
「君が罪を背負うなら、僕も罪を背負おう。一緒に」
「一緒に・・・・か・・・・」
刹那は大分落ち着いたようだった。
「まるで、聖母マリアのようだな」
「そんなに慈悲深くはない」
「すまない、もう大丈夫だ。いきなり弱気になったりして、すまなかった」
「刹那は、いつもそうだな。大丈夫だと、すぐに立ち上がる」
「そうしなければ・・・・この世界では、生きていけない」
「そうか」
ティエリアは、救急セットを棚の上に直した。
「ライルが気になる。僕は、アレルヤのように傍観者にはなりたくない」
「アレルヤは・・・・一番、賢い方法をとっている」
「だからといって、無視はできないだろう。大切な仲間だ。ライルのところにいってくる」
ぐいっと、刹那が、ティエリアの手を引いた。
「もしも・・・ライルが、俺への仕返しにと、ティエリアに乱暴しそうな時は、構わず大声で叫べ。すぐに助けにいく」
「ああ、分かった・・・・」
「ライル?いるか、ライル?」
アニューの部屋にこもりっぱなしのライルに話かける。
ドアは、温度を探知して自動で開いた。
「アニュー?」
ティエリアの美しい顔立ちは、どこか同じイノベイターというせいもあり、アニューと似ているのかもしれない。
何より、色が似ていた。
二人とも、雪のように白い肌と、石榴色の瞳をしていて、アニューは薄い紫、ティエリアは濃い紫の髪をしていた。
「アニュー・・・・・」
どれほど泣いたのだろうか、ライルは。
彼が泣く場面など、それまで見たことがなかった。
一番の年長者だから泣かない、なんて、そんなことあるわけがないんだ。
「ア、ニュー・・・・・」
ティエリアは、ゆっくりと抱きしめる。
「ライル・・・・」
「ティエリアか・・・」
「今は、アニューと呼んでいい。ライル、愛しているわ」
ティエリアは、アニューの声でそう囁いた。
ライルが身を振るわせる。
「俺も愛していたよ、アニュー・・・・」
抱きしめあっていたが、ふと体を攫われて、ベッドに突き飛ばされた。
そのまま、ライルが圧し掛かってくる。
「ライル?」
「お前をさ・・・・ズタズタにしたら、少しは刹那も傷つくか?」
「好きなようにするといい。刹那には言わない。この件に関しては、僕も刹那の共犯者だ、ある意味」
「どういう意味だ?」
ポレロを脱がされながら、ティエリアは語る。
「僕は、アニューが、イノベイターであると気づいていた」
「なんだと!」
ティエリアは、救急セットを置いて、刹那を抱きしめた。
「君が、強いのだとばかり・・・そう、勝手に決め付けて、すまない」
ティエリアの腕の中で、刹那は悔しそうに顔を歪めたあと、ティエリアの胸に顔を埋めた。その閉じられたピジョン・ブラッドのルビーの瞳から、いくつかの涙が銀色の波となって、刹那の頬を伝う。
「君にばかり・・・罪を背負わせてすまない」
「いい。全部、俺が背負う」
ぎゅっと、ティエリアを抱きしめて離さない刹那に、ティエリアは涙が零れそうになった。
「神など、俺は信じない」
刹那は、強い瞳でティエリアを見つめる。
「僕も信じない」
神など、この世界にいるものか。
いるのなら、なぜ愛し合う二人を裂く?
なぜ人を不幸にする?
祈っても祈っても、願っても願っても、何もかなえてはくれない。
残酷な結末しか与えてくれない。
ティエリアは、ポンポンと、刹那の頭を叩いたあと、優しく額にキスをした。
「君が罪を背負うなら、僕も罪を背負おう。一緒に」
「一緒に・・・・か・・・・」
刹那は大分落ち着いたようだった。
「まるで、聖母マリアのようだな」
「そんなに慈悲深くはない」
「すまない、もう大丈夫だ。いきなり弱気になったりして、すまなかった」
「刹那は、いつもそうだな。大丈夫だと、すぐに立ち上がる」
「そうしなければ・・・・この世界では、生きていけない」
「そうか」
ティエリアは、救急セットを棚の上に直した。
「ライルが気になる。僕は、アレルヤのように傍観者にはなりたくない」
「アレルヤは・・・・一番、賢い方法をとっている」
「だからといって、無視はできないだろう。大切な仲間だ。ライルのところにいってくる」
ぐいっと、刹那が、ティエリアの手を引いた。
「もしも・・・ライルが、俺への仕返しにと、ティエリアに乱暴しそうな時は、構わず大声で叫べ。すぐに助けにいく」
「ああ、分かった・・・・」
「ライル?いるか、ライル?」
アニューの部屋にこもりっぱなしのライルに話かける。
ドアは、温度を探知して自動で開いた。
「アニュー?」
ティエリアの美しい顔立ちは、どこか同じイノベイターというせいもあり、アニューと似ているのかもしれない。
何より、色が似ていた。
二人とも、雪のように白い肌と、石榴色の瞳をしていて、アニューは薄い紫、ティエリアは濃い紫の髪をしていた。
「アニュー・・・・・」
どれほど泣いたのだろうか、ライルは。
彼が泣く場面など、それまで見たことがなかった。
一番の年長者だから泣かない、なんて、そんなことあるわけがないんだ。
「ア、ニュー・・・・・」
ティエリアは、ゆっくりと抱きしめる。
「ライル・・・・」
「ティエリアか・・・」
「今は、アニューと呼んでいい。ライル、愛しているわ」
ティエリアは、アニューの声でそう囁いた。
ライルが身を振るわせる。
「俺も愛していたよ、アニュー・・・・」
抱きしめあっていたが、ふと体を攫われて、ベッドに突き飛ばされた。
そのまま、ライルが圧し掛かってくる。
「ライル?」
「お前をさ・・・・ズタズタにしたら、少しは刹那も傷つくか?」
「好きなようにするといい。刹那には言わない。この件に関しては、僕も刹那の共犯者だ、ある意味」
「どういう意味だ?」
ポレロを脱がされながら、ティエリアは語る。
「僕は、アニューが、イノベイターであると気づいていた」
「なんだと!」
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