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インフルエンザⅡ

京楽が完治したと思ったら、今度は浮竹がインフルエンザにかかった。

高熱を出して、臥せるのを京楽は看病していた。

「何か食べるかい?」

「なにも食べたくない・・・」

高熱にうなされて、食欲もない。全身がだるくて関節が痛くて喉も痛くて、何より熱のせいで世界が回るようだ。

「熱があるからって、ちゃんと食べなきゃだめだよ。お粥、もってくるから」

京楽は13番隊舎の厨房から、お粥を作ってもらってそれをもって帰ってきた。

浮竹は、3口ほどおかゆを食べて、それ以上は受けつけないようで、結局は雨乾堂にいながら、点滴を受ける羽目になった。

「点滴は楽で・・・いいな・・・・」

ふと。高熱でうなされいるときに、たまに起きてはおかゆを食べる体力すら失っているので、点滴でなんとかなるのは楽だと思った。

「インフルエンザだからってバカにしちゃいけないね。うつしちゃってごめんね」

京楽がかかったインフルエンザも、高熱をだしたが、点滴をされるほど重症ではなかった。

多分というか確実に、自分のインフルエンザを浮竹にうつしてしまったために、京楽は申し訳なさそうにしていた。

「京楽が、インフルエンザになってるのに、会いにいったのは俺だから・・」

京楽は、インフルエンザで臥せってる間は、医者から面会をしないようにと言われてそれを守り、自分の屋敷で大人しくしていた。
浮竹がやってきていたのは知っていたが、うつしてはいけないと、医者の許可がおりるまで面会しなかった。

でも、結局はうつしてしまった。

高熱でうなされている浮竹を見るのは、京楽でも辛かった。

「桃が・・食べたい・・・・・」

ふと、浮竹がそう言った。

「桃だね!」

京楽は、雨乾堂を出ると、瀞霊廷中の果物屋を探したが桃は置いてなかった。治安の悪い流魂街の外れに、季節外れなのに置いてある桃を買おうとして、大金をふっかけられた。

早く浮竹に桃を食べさせてやりたくて、もっていた金の板を放り投げた。4人暮らしなら、半年は食うに困らない額だった。

その額をみて、殺し合いがはじまる。

どうでもいいのだと、その場所を瞬歩で去った。

「浮竹!」

雨乾堂に戻ると、浮竹は解熱剤がきいたのか眠っていた。

桃を氷の入った水の中に沈める。いつでも食べれるように、冷やしておいた。

「ん・・・・きょう・・・く?」

意識を取り戻した浮竹の額に手をあてる。

体温計ででも寝をはかると、40度はあった熱が38度まで下がっていた。

それに、心底ほっとした。

まだ熱はあるが、なんとか4番隊の世話になることは避けれそうだった。

「桃、食べるかい?」

「バナナがいい・・・・・アイスクリームも食べたい・・・・プリンも食べたい」

食欲を取り戻したらしい浮竹の願いを、京楽は全部叶えてやるつもりだった。

でも、最初に桃だ。

一口サイズにカットしていったものを、口元にもっていくと、浮竹は小さく口をあけてそれを食べていく。

「よく冷えていて、うまいな・・・・・」

日番谷隊長を頼ってもよかったのだが、京楽は自分のもつ氷室から氷をだしていた、

額には、冷えピタシートがつけられていた。

先ほど、現世に買いにいかせたのが、やっと帰ってきたのだ。なんでも、虚に襲われたらしくて帰還まで数日を要した。

桃を食べ終わらせると、京楽はバナナとアイスとプリンを手に入れるために、出て行こうとする。

「京楽、傍にいてくれ・・・・・」

珍しく、甘えてくる浮竹を放置できなくて、乱れた布団を直してやり、畳の上に寝転がった。

ちょうど、浮竹を目線が合わさるように。

「ちゃんとここにいるからね」

「ああ・・・・・・・」

浮竹に、薬を飲ます。苦いのが嫌いなので、シロップで味付けした甘い薬をやると、それを飲んだ。

「この薬、甘いな・・・」

「君のために特別に調合したやつだからね」

「金がかかっただろうに」

「いいんだよ、そんなことは。今は熱を下げて元気になることを考えて」

「すまない」

「謝らないで。いいから、寝なさいな」

まどろんでいく浮竹を見届けて、京楽はバナナにアイスにプリンを入手する。部下を現世にいかせて買ってきてもらった。」」

また氷室から氷を出して冷やしておく。アイスは溶けないようにと、日番谷隊長に頼みこんで氷漬けにしてもらった。13番隊には他に氷雪系の斬魄刀をもつルキアもいるが、ルキアは今は現世だ。

次に目覚める頃、浮竹は熱もすっかり下がって、布団から出ていた。

「まだ寝てなきゃだめじゃない!」

「いや、もう大丈夫なんだ。熱が下がれば、もう平気だ」

「だめだよ。昨日まで、点滴を受けていた体なんだから。せめて明日までは安静にしないと!」

京楽に怒られ、様子を見にきた清音と仙太郎にも同じことを言われて渋々布団に戻る。

暇だという浮竹のために、いつの日だったか、読み聞かせたように、図書館から本をかりてそれを朗読してやった。

翌日、本当に全快したようで、朝餉をおかわりする浮竹の姿に苦笑をこぼす。

よほど腹がへっていたのだろう。

いつもなら、普通の人の3分の2くらいしか食べない浮竹用のご飯が、大盛になっている。

「隊長、もう大丈夫なんですね?」

「ああ、清音には心配をかけた」

「隊長が寝ている間に、仕事も雨乾堂の掃除も鯉に餌をやることも全部俺がしてました」

「ありがとう仙太郎」

「ちょっとこのクズイモ男!あたしだって、掃除したんですからね!

「うるさいなこのドブス!」

「なんですって、このハゲ!」

「誰がハゲが鼻くそ野郎!」

「それはこっちの台詞よウルトラ鼻くそ!」

雨乾堂で、いつもと変わらぬ日常がやってくる。

言い争う二人が面白かったので、浮竹も京楽も笑っていた。





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