忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 25 26 27 28 29 30 12

オメガバース京浮短編4

浮竹はオメガだった。

体が弱いし肺の病をもっているしで、問題はいっぱいあった。

だが、生まれつきものすごく高い霊圧を持っていて、浮竹の子は限りなく死神の頂点に君臨できると思った両親は、ある上流貴族との婚約を進めた。

婚約相手も、まだ子供だったが、高い霊圧をもっており、何よりアルファの上流貴族だ。

婚姻して番になり、子を産めば、浮竹も幸せになれると両親は思い込み、浮竹を上流貴族の妻にするために、女の子のように育てた。

だが、浮竹はそれとは反対のように、剣が好きで生粋の男の子として生きたがった。

いつも女装させられていた。

白くなった髪も、長く伸ばされてかわいくおさげにされていた。リボンをつけたり、女ものの着物を着せられても、性格はちゃんとした男だった。

「さぁ、紹介するよ。君の未来の妻の浮竹十四郎だ」

「十四郎?女の子なのに、男みたいな名前だね」

婚約相手の京楽春水の前で、ぷくーっと頬を膨らませて、美少女にしか見えない男の子の浮竹は、叫んだ。

「俺は男だ。オメガだが、お前の妻にはならない!番は、女性となる!」

「へ?男?」

「春水、知っているだろう。アルファとオメガは番になれる。オメガは男でも子を生せる。この十四郎は、すごい高い霊圧をもっている。君たちとの間に生まれた子供は、きっと例外なく死神となり、隊長になれる」

「俺は、京楽春水の妻になんてならない!ベータの女の子と結婚して、女の子に子供を産んでもらうんだ!」

「十四郎、君はオメガだ。アルファの子を生すのが仕事だ」

「知らない!ふん!」

浮竹は、怒って走り去ってしまった。

「僕の婚約者がオメガの男・・・・・。でもかわいい・・・・。うう・・・・・」

京楽は、別に子を生せればオメガの男でも仕方ないと思っていたが、想像していた以上に浮竹がかわいくて、頭から浮竹のぷくーっと頬を膨らませた顔が離れないでいた。

「落とす。僕の一生をかけて」

子供であるのに、すでに京楽はアルファとして、オメガの番になるであろう浮竹に好意を抱きまくっていた。

そうして、それぞれの家庭で育てられて、時折顔を見合わせあって。

10年が経とうとしていた。

浮竹は、美しい麗人に育っていた。長い白髪を背に流し、ベータの女の子と付き合っていた。

「浮竹は僕のものだよ」

浮竹の彼女に、京楽は脅しをいれて、浮竹を振らせた。

それを知ってしまった浮竹は、京楽の家に怒鳴り込んできた。

「京楽春水はいるか!」

「僕はここにいるよ」

にこにことした京楽の頬を、浮竹は思い切り叩いた。

「俺の彼女に、何を吹き込んだか知らないが、俺はお前と結婚する気はないからな!ベータの女の子と結婚して、幸せな家庭を築くんだ!」

「いいや、君は僕のものになる。僕の子を産んで、幸せな家庭を築くんだよ」

くすくすと笑う京楽に舌を出して、浮竹は走り去ってしまった。



そろそろ、ヒートがくる年齢にきていた。

浮竹にヒートがきたら、京楽が問答無用で抱いて、うなじを噛んで、番にするのだ。

でも、浮竹にはヒートがなかなか訪れなかった。

浮竹は、年頃になっていたので、京楽の家で京楽の妻としての生活を強いられた。

浮竹は、それを嫌そうにして、京楽と同じ屋根の下で暮らすのを嫌がり、離れに住んでいた。

「ねぇ、好きだよ、浮竹」

「俺はお前のことが大嫌いだ、京楽」

毎日、そんなことを言い合って、生活をしていた。

浮竹にヒートがくれば、すぐにでも落とせるのに。でも、浮竹にヒートはなかなかやってこない。

なので、京楽はヒートがきやすい薬を、隠れて浮竹の食事に混ぜた。

「あ・・・・・・」

ある日、京楽の家で母屋を訪れていた浮竹は、違和感を覚えた。

ヒートがこないのを理由に、京楽との婚姻を拒み続けていたが、本当にヒートになった。

「あ・・・助けて。誰か・・・誰か助けて。苦しい・・・」

「浮竹?」

「あ・・・来るな、京楽!俺は、ベータの女の子と結婚して、幸せな・・・ううう」

「つらいでしょ?今、楽にさせてあげるから」

オメガのフェロモンをもろにくらって、理性が飛びそうになるのを何とか我慢した。

京楽は、この日を待っていた。

待ちに待った浮竹のヒートに、気分が高揚する。

浮竹を風呂にいれてやり、それから寝所に抱きかかえて連れてきた。

「あ・・・嫌だ、嫌だ、オメガとして生きるなんて、嫌だ」

嫌がる浮竹の浴衣を脱がしていく。

「いや・・・・」

「好きだよ、浮竹。愛してる」

「俺は好きじゃない。愛してない。ああ、誰か助けて。俺はオメガとしてなんて、いやだ」

真っ白な肌に、京楽は夢中になった。

雪のような白い肌と髪に、翡翠の瞳をもつ浮竹。ずっとほしかった、番となるべきオメガ。

「痛くないようにするから」

「嫌だ・・・・・あああ」

首筋にキスマークを残されて、浮竹はヒートの熱にうなされながら、首を横に振った。

「こんなの・・・卑怯だ」

「卑怯でもいいよ。君を僕のものにできるなら」

浮竹の唇を奪う。

「んうっ」

ぬるりとした舌が入ってきて、浮竹は目を閉じた。

どんなに嫌がっても、しょせんはオメガ。アルファの支配には逆らえない。

「せめて・・・優しく、しろ」

「うん。優しくするから!」

やっと少し心を開いてくれた浮竹を貪るように、口づけを何度も交わした。

平らな胸をなめて、先端を口に含み、もう反対側をクニクニと指でつぶしていると、浮竹が熱に侵された瞳で見上げてきた。

「前戯なんていい・・・早く、来い」

「だめだよ。ちゃんと気持ちよくさせてあげたい。だから、僕は君を抱く」

「どうせ、突っ込むことに変わりはないだろうが」

「それでも、君に気持ちよくなってほしい。大好きだよ、浮竹」

京楽は、優しかった。

体の全体を愛撫して、浮竹の花茎を舐めあげて、浮竹は京楽の口の中に精を放ってしまっていた。

「あああ!」

快楽に、思考が麻痺する。

嫌だと、心は思うのに、体は貪欲に京楽に種付けされることを望んでいた。

「あ、あ、あ」

潤滑油に濡れた指が、つぷりと浮竹の体内に入ってくる。

そこは熱くて、締め付けがすごかった。

ここに、自分のものをいれるのだと考えただけで、鼻血がでそうだった。

浮竹の前をいじりながら、京楽は手探りで浮竹の前立腺を探した。指の一本が前立腺をかすめて、浮竹が反応する。

「あ!」

「ここ?」

「やぁっ」

「君のいいところ、見つけた」

浮竹の前立腺ばかりを刺激して、前もいじっていると、浮竹は熱で潤んだ瞳で京楽を見上げた。

「もう、いいから・・・子種を、くれ」

「浮竹・・・・・・」

「十四郎と呼べ。俺も、春水と呼ぶ」

蕾をとろとろになるまで解してから、京楽は浮竹の蕾に自身をあてがい、ゆっくりと侵入した。

「あ、あああ!」

ゆっくりと、引き裂かれていく。

潤滑油を大量に使ったおかげで、そこは切れることはなかった。

「ひあ」

とん、と奥をつくと、浮竹の反応が変わった。

「奥、いいの?」

「し、知らない」

一度ずるりと引き抜いて、前立腺をすりあげて奥まで侵入すると、浮竹は甘い声をあげた。

「んあああ!」

「十四郎、我慢しないで。声、出して」

「んあ・・・あ、あ、あ」

熱いうねる熱に包まれて、京楽も限界が近くなっていた。

浮竹のいい場所を突き上げて、こすり、抉った。

「あああ、あ、あ、春水」

「奥に出すよ。受け止めて、孕んでね」

「やっ」

ズッと、子宮口まで侵入してきたものは、浮竹の中で熱を弾けさせた。

最後の一滴までを浮竹の中に注いで、京楽は満足して抜き去ろうとするが、浮竹が締め付けて離さない。

「もう一回、する?」

最初は嫌がってはいたが、快楽の波に支配されて、浮竹は頷いていた。

もう一度、じっくりと交じりあって、そして京楽は浮竹のうなじをかんだ。

「あ!」

全身を支配するような感覚。

番になったのだと、お互い実感した。

「今日のsexで、多分子供がきでる。君は僕の妻になる。いいね?」

浮竹は、満たされてヒートの熱は一時的に引いたようで、不満を口にしながらも、了承してくれた。

「浮気、するなよ」

「しないよ。妻は君だけ。愛人とかも作らないし、花街にもいかない」

浮竹を抱くために、花街に数回いき、女を抱いた京楽であるが、本物の浮竹の方が何倍もきもちよかったし、愛しく感じた。

浮竹は、間もなくして妊娠した。

京楽の家で、浮竹に大事にされている。

子が生まれるまで、ヒートは3カ月に1回やってきた。

京楽と浮竹は、離れで交わりあいながら、生まれてくる子のことを思った。

医者の診断では、アルファの男児とされた。

京楽家の、跡取りだ。

京楽には兄がいたが、もう亡くなってしまっている。

「名前、なんにしよう」

「何がいいだろうな」

浮竹と京楽は、いつの間にか相思相愛になっていた。

やがて産み月になり、帝王切開で浮竹はアルファの男児を産んだ。

「もう、俺はいらないだろう?」

哀しそうに微笑む浮竹に、京楽が首を振る。

「子供はもっといっぱい欲しいし、君を幸せにしたい」

「俺は、お前のことを・・・・・」

「まだ、嫌い?」

「いや・・・・・好きだ。愛している」

「僕も好きだよ、十四郎」

「春水・・・・・」

口づけを交わし合いながら、番になったことを、浮竹が後悔することがなくてよかったと、ほっとする京楽がいた。

散々嫌いだと言われてきた。

ヒートを利用して、自分のものにした。

浮竹の、普通の女性と結婚して子供をもうけるという夢を壊した。

でも、京楽は本気で浮竹を愛していた。浮竹もまた、京楽が自分を愛するあまり、少々強引な手を使ったのだと知ってもなお、別れることはなかった。

二人は、三人の子をもうけて、それぞれ統学院に入り、死神となって隊長となった。



「んあ・・・・もう、子はいらないだろう。アフターピルを飲むぞ」

「もう一人、欲しくない?」

「他の兄弟と、年齢の差がありすぎる。子はいらない」

隊長となっても、番であることに変わりはなかった。

ヒートがくると、浮竹は休暇をとり、京楽家の離れで京楽と過ごした。

子が成長するのは早い。

すでに成人となった三人の子を見守りながら、浮竹はミミハギ様を解放する決意を出す。

大戦で、京楽は最愛の妻、浮竹を失う。

だが、子供たちに囲まれて、穏やかな生活を送った。

「浮竹・・・・そっちに行くには、もう少し待ってね」

総隊長にまで上り詰めて、引退し、余生を過ごした。

寿命を終えようとした時に、迎えにきた長い白髪に翡翠の瞳をした麗人に、微笑みかける。

「待たせたね」

「ああ、ずっと待ってた」

「逝こうか」

「ああ」

二つの魂は、交わりながら、霊子へと還っていく。

京楽家は、浮竹の産んだ子が次々と隊長になり、その孫も隊長になり、長らく栄えるのであった。












拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(11/22)
(11/21)
(11/21)
(11/21)
(11/21)
"ココはカウンター設置場所"