カナリアⅡ「カナリアの羽」
「だからお嬢さん、これはあんたの心臓なんだよ」
「きゃああああああああ!」
スクリーンで、老婆と女性がスプラッタな場面を繰り広げ、映画の中の女性が悲鳴をあげる。
「ぎゃああああ!!」
とってもとっても押し殺した声で、ロックオンは悲鳴をあげていた。
カナリアのことだから、きっとラブロマンスかアニメ映画でも選ぶと思っていたのに、こんなところだけティエリアと一緒だ。
ロックオンの大嫌いで苦手な、ゴシックホラーかサスペンス、それもすごい怖いやつ・・・が、大好きなのだ。
その映画を見ると言い出したカナリアに、ロックオンは聞き返した。
「えと。これみたいの?」
「うん。カナリア、これみたい」
「でも、これ血とかぐっちゃぐっちゃで怖いよ?」
「カナリア、怖いの大好き。わくわくする」
すでに、ロックオンは青ざめていた。
「ロックオンは怖いの?」
「いや、怖くねぇって。大丈夫、よし、これにしようか」
見栄をはったが、とてもとても不正解であった。
カタカタ震えて、思わず隣のカナリアに抱きつく。なみだ目になっているロックオンを連れて、カナリアは一緒に席を立った。
「よかったのか?最後までみなくて。みたかったんだろ?」
「だって、ロックオンが怖がってたから。カナリア、ロックオンも楽しんでくれないといや」
「ごめんな。俺・・・・家族がテロに巻き込まれたせいで・・・ああいうホラーもの、つくりものって分かってても、だめなんだ」
「ごめんね、ロックオン。カナリアのこと、嫌いにならないで」
涙を零すカナリアを抱きしめて、ロックオンは映画館の外に出た。
そのまま、車がとめてあったところまでくると、キスをする。
「ロックオン?」
「忘れないでくれ。俺は、ティエリアだけじゃなく、カナリア、お前も愛してるんだ」
「うん」
カナリアは、大空の太陽のような、眩しい笑顔をつくる。
そのまま、車に乗り込もうとしたところで、カナリアが何かに気づいて、するりとロックオンの腕から抜け出す。
ロックオンが、カナリアの後を追う。
「カナリア!」
もう、カナリアと呼ぶことに抵抗感はなくなっていた。
だって、ここでティエリアと呼んだら、カナリアの存在を否定することになる。
名前を、呼んであげなくては。
「ロックオン、こっちー」
カナリアが、風にドレスの裾を翻して、しゃがみこむ。
そこは露天商が並んでいた。
シルバーアクセなどをメインにした、高価でもないお手ごろ価格なアクセサリーばかりを絨毯の上に綺麗に並べている。
「ロックオン。これが、欲しいの。カナリアを呼んでいた」
カナリアが、いくつかの鳥の羽毛をまとめたペンダントを指差す。
羽は綺麗な黄色だった。
「おや、お嬢ちゃんカナリアっていうのかい?」
「そうだよ。私、カナリアって名前」
「そうかい。じゃあこれ、あげるよ」
「え。でも、お金・・・・」
「いいよいいよ。とても綺麗だったから。天使に見えた・・・・その羽はね、カナリアの羽でできてるんだよ」
露天商のおばさんが、優しい微笑と一緒に、カナリアにペンダントを渡す。
ロックオンが、お金を払おうとしたら、それも拒否された。
「いいんだよ。カナリアの羽はね、綺麗な声で相手を呼んでくれるんだよ」
「うん。だから、聞こえたの。カナリアの声が聞こえた」
「そうかい、そうかい」
嬉しそうに、カナリアはペンダントを身につける。
「そうだな・・・この指輪、買おうかな」
カナリアの指のサイズにあった、シルバーリングを一つ、ロックオンは買う。
「ありがとさん・・・おやおや、おつりは?」
「いいって。もらっといて」
「あれまぁ、こんなに。悪いよ」
「もらって!カナリアの羽も、そういってる」
「そうかい?お嬢ちゃんに言われると、なんだか嬉しいね。ありがとう、似合っているよ、カナリアちゃん。それに、彼氏はとても優しくてかっこいい人だね」
「うん。カナリアのロックオンは、宇宙で一番かっこよくてやさしいの」
「そうかい、そうかい」
他の露天商たちまで、笑顔を零している。
不思議な力が、カナリアにはあった。
この不景気で全く売れていないのに、なぜか皆笑顔になる。
「行こうか」
カナリアの手を握る。
「カナリアって・・・・はじめて、とっさのとき、名前で呼んでくれた」
カナリアの羽が呼んでいる。
カナリアの羽は、相手を綺麗な声で呼んでくれる。
「ロックオン」
ほら。
こんなにも綺麗な声で、相手を呼ぶ。
カナリアは、ロックオンに抱きしめられながら、笑顔でたどたどしくロックオンの額にキスをした。
「きゃああああああああ!」
スクリーンで、老婆と女性がスプラッタな場面を繰り広げ、映画の中の女性が悲鳴をあげる。
「ぎゃああああ!!」
とってもとっても押し殺した声で、ロックオンは悲鳴をあげていた。
カナリアのことだから、きっとラブロマンスかアニメ映画でも選ぶと思っていたのに、こんなところだけティエリアと一緒だ。
ロックオンの大嫌いで苦手な、ゴシックホラーかサスペンス、それもすごい怖いやつ・・・が、大好きなのだ。
その映画を見ると言い出したカナリアに、ロックオンは聞き返した。
「えと。これみたいの?」
「うん。カナリア、これみたい」
「でも、これ血とかぐっちゃぐっちゃで怖いよ?」
「カナリア、怖いの大好き。わくわくする」
すでに、ロックオンは青ざめていた。
「ロックオンは怖いの?」
「いや、怖くねぇって。大丈夫、よし、これにしようか」
見栄をはったが、とてもとても不正解であった。
カタカタ震えて、思わず隣のカナリアに抱きつく。なみだ目になっているロックオンを連れて、カナリアは一緒に席を立った。
「よかったのか?最後までみなくて。みたかったんだろ?」
「だって、ロックオンが怖がってたから。カナリア、ロックオンも楽しんでくれないといや」
「ごめんな。俺・・・・家族がテロに巻き込まれたせいで・・・ああいうホラーもの、つくりものって分かってても、だめなんだ」
「ごめんね、ロックオン。カナリアのこと、嫌いにならないで」
涙を零すカナリアを抱きしめて、ロックオンは映画館の外に出た。
そのまま、車がとめてあったところまでくると、キスをする。
「ロックオン?」
「忘れないでくれ。俺は、ティエリアだけじゃなく、カナリア、お前も愛してるんだ」
「うん」
カナリアは、大空の太陽のような、眩しい笑顔をつくる。
そのまま、車に乗り込もうとしたところで、カナリアが何かに気づいて、するりとロックオンの腕から抜け出す。
ロックオンが、カナリアの後を追う。
「カナリア!」
もう、カナリアと呼ぶことに抵抗感はなくなっていた。
だって、ここでティエリアと呼んだら、カナリアの存在を否定することになる。
名前を、呼んであげなくては。
「ロックオン、こっちー」
カナリアが、風にドレスの裾を翻して、しゃがみこむ。
そこは露天商が並んでいた。
シルバーアクセなどをメインにした、高価でもないお手ごろ価格なアクセサリーばかりを絨毯の上に綺麗に並べている。
「ロックオン。これが、欲しいの。カナリアを呼んでいた」
カナリアが、いくつかの鳥の羽毛をまとめたペンダントを指差す。
羽は綺麗な黄色だった。
「おや、お嬢ちゃんカナリアっていうのかい?」
「そうだよ。私、カナリアって名前」
「そうかい。じゃあこれ、あげるよ」
「え。でも、お金・・・・」
「いいよいいよ。とても綺麗だったから。天使に見えた・・・・その羽はね、カナリアの羽でできてるんだよ」
露天商のおばさんが、優しい微笑と一緒に、カナリアにペンダントを渡す。
ロックオンが、お金を払おうとしたら、それも拒否された。
「いいんだよ。カナリアの羽はね、綺麗な声で相手を呼んでくれるんだよ」
「うん。だから、聞こえたの。カナリアの声が聞こえた」
「そうかい、そうかい」
嬉しそうに、カナリアはペンダントを身につける。
「そうだな・・・この指輪、買おうかな」
カナリアの指のサイズにあった、シルバーリングを一つ、ロックオンは買う。
「ありがとさん・・・おやおや、おつりは?」
「いいって。もらっといて」
「あれまぁ、こんなに。悪いよ」
「もらって!カナリアの羽も、そういってる」
「そうかい?お嬢ちゃんに言われると、なんだか嬉しいね。ありがとう、似合っているよ、カナリアちゃん。それに、彼氏はとても優しくてかっこいい人だね」
「うん。カナリアのロックオンは、宇宙で一番かっこよくてやさしいの」
「そうかい、そうかい」
他の露天商たちまで、笑顔を零している。
不思議な力が、カナリアにはあった。
この不景気で全く売れていないのに、なぜか皆笑顔になる。
「行こうか」
カナリアの手を握る。
「カナリアって・・・・はじめて、とっさのとき、名前で呼んでくれた」
カナリアの羽が呼んでいる。
カナリアの羽は、相手を綺麗な声で呼んでくれる。
「ロックオン」
ほら。
こんなにも綺麗な声で、相手を呼ぶ。
カナリアは、ロックオンに抱きしめられながら、笑顔でたどたどしくロックオンの額にキスをした。
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