ハピバースディ、アレルヤ(中編)
まさか、刹那に誕生日を祝ってもらえるなんて。とても嬉しい。
ブリーフィングルームを出ると、ライルとアニューに会った。
「お、花束か。刹那だな。ちょうどいいや、こっちきてくれ」
ライルに案内されて、ライルの部屋に入る。
「ハピバースディ、アレルヤ」
「ハピバースディ、アレルヤ」
ライルとアニューが笑顔で祝ってくれた。
「ありがとう、二人とも」
アレルヤはもはや泣きそうなほどに感動していた。
「これ、やるよ。まだ使ってない。二つある。彼女のマリーにもあげるといい」
渡されたのは、包みに入った腕時計。
そんなに高い代物ではないが、とても嬉しかった。何より、愛しいマリーとお揃いになれるように、との気配りがとても嬉しい。
「ごめんなさい、アレルヤ。私・・・・その、人の誕生日を祝うのってはじめてで・・・ろくなものじゃないけど」
アニューがくれたのは、手作りの無地のハンカチに綺麗な蝶と花の刺繍を施したもの。
「ありがとう。大切にするね」
花束と一緒に抱える。
そのまま、アレルヤは笑顔で自分の部屋に戻り、白熊の踊っているファンシーな花瓶に水を入れて、刹那からもらった花束を活ける。
「そういうえば、マリーどこにいっちゃたんだろ」
アレルヤは、マリーを探すべく艦内をうろつきはじめた。
ブリーフィングルームにくると、ティエリアが微妙な顔つきで立っていた。
「ああ、アレルヤか。刹那のやつ、許可はだしたが、いくらなんでも摘み取りすぎだ。後で会ったら、ジャボテンダーさんクロスパンチをお見舞いしてやる」
「ははは・・・・」
無残なことになった植木鉢を見る。
確かに、ちょっとっていうかかなり摘み取りすぎな気がする。
でも、ブリーフィングルームに咲いている花は全て遺伝子をいじられているので、またすぐに花を咲かせるだろう。
ちなみに、アレルヤもジャボテンダーさんクロスパンチをお見舞いされたことがあったが、見事に拳が鳩尾にきまって、ジャボテンダーさんとかもってたけど、ただのごまかしだった。
「ついてくるといい。君に見せたいものがある」
「え、まさかティエリアまで僕の誕生日祝ってくれるの?」
あのティエリアが。
ティエリアは、ムスっとした顔つきになって、眼鏡をかけなおす。
「だから君はいつまでたってもKYといわれるんだ。こういうときは、黙ってついてくるものだ」
「・・・・・はい、ごめんなさい」
ティエリアは、アレルヤを伴ってバーチャル装置の前にやってきた。
「バーチャル装置?」
「いいから、入れ」
無理やり中に押し込まれ、ティエリアも中に入って装置を連結し、そのまま仮想空間にダイブする。
(AIマリアが、今日も皆様をご案内します。マスター、フィールド0235でよろしいのですね?)
「ああ、頼む。転送してくれ」
ナビゲーションAIのマリアが、データをロードする。
(只今転送中です。データのロードが終了しました)
PR
- トラックバックURLはこちら