一護を忘れたルキア ネモフィラの花畑で
一護とルキアは、ネモフィラの花畑に来ていた。
始めて訪れてから、毎年同じ時期にきて、花畑を見てお弁当を食べて、写真をとったり、花冠を編んだりした。
「あ、動いた」
「え、まじか!」
ルキアと一護が結婚して、5年が経っていた。
今、ルキアは一護の子を妊娠していて、妊娠8カ月目だった。
大分大きくなったお腹を撫でながら、ルキアは幸せそうに一護と微笑みあう。
「今度、このネモフィラの花畑に来るときは、生まれてきた子も一緒だ」
「ああ、そうだな。名前、考えたんだけど女の子なら苺花、男のなら一勇ってのはどうだ?」
「私は女の子ならキャサリン、男の子ならジョナサンがいい」
「おい、それマジでいってんのか?」
「いや?冗談だ」
「朽木キャサリンとか無理ありすぎだろ。全く、冷や冷やさせないでくれ」
お弁当を食べ終わり、時間も随分経過して、夕暮れになってきた。
夕日に染まるネモフィラも美しかった。
「あ、荷物なら私も持つぞ」
「だーめ。ルキアはもう1人の体じゃないんだから」
「むう」
「帰ったら、白玉餡蜜作ってやるよ」
「お、本当だな?嘘をいったら、キスもハグも1週間禁止にするぞ!」
「うわ、それきついわ」
「ふふふ・・・・・・」
ルキアは、その2カ月後、苺花と名付けられた女児を出産し、その3年後に一勇と名付けられた男児を出産した。
男児のほうが、朽木家の跡取りになる予定であった。
-----------------------------------------------
「ねぇ、浮竹、聞いてよ。ルキアちゃんと一護君が結婚してからもう8年だよ。2人の子供に恵まれて、幸せに生活しているよ」
京楽は、浮竹の墓参りにきていた。
「あ、京楽さん」
「おや、一護君じゃないか。どうしたの、こんな場所に」
「浮竹さんの墓参りです。京楽さんも、そうでしょう?」
「ああ、うん、そうだね。ボクは、浮竹に話を聞かせていたんだ」
京楽は、浮竹の墓に高級な酒を注いだ。
「なんの話っすか?」
「君とルキアちゃんのこと」
一護は、赤くなって照れた。
「俺も、浮竹さんに、2人目の子供ができたって報告にきたんです」
「ああ・・・ボクも、浮竹に想いを告げていたら、きっと君たちみたいに仲良くできていたかもしれないね」
「結婚してたってことっすか?」
「そうだよ。式も挙げれるし、籍もいれられる。現世と違って、そのあたりは緩いからね」
京楽は青空を見上げた。
「ボクは今でも、浮竹を愛してるんだ。浮竹以上に人を愛することはもうないだろうね」
「京楽さん・・・・・・」
「ふふ、おじさんの感傷に浸らせてしまってごめんね」
「いえ。浮竹さんが生きていたら、きっと京楽さんのことを好きだって言ってたと思います」
「そうかい?」
「だって、何百年も2人で過ごしてきたんすよね?」
「そうだよ」
「普通、好きじゃなきゃそんなに長いこと、一緒にいないと思います」
「そうかい。でも、浮竹はもういないけどね。ああ、時間を巻き戻すことができるなら、浮竹に想いを告げるのに・・・・・」
「京楽さん・・・・」
「ああ、おじさんのただの懺悔だよ。気にしないで」
「はい・・・・・・」
一護は、かける言葉が見当たらず、浮竹の墓に花束を添えた。
「浮竹さん、2番目の子ができたんだ。一勇っていう男の子で、いずれ朽木の跡取りになる予定なんだ」
「さて、ボクは帰るね」
「あ、そうですか。浮竹さんは、きっと見守っていてくれてますよ」
「そうだと、いいね」
京楽はそれだけ言い残して、一番隊隊舎に戻っていった。
----------------------------------------------------------------
「こら、一勇、苺花を蹴って泣かせたな」
「父さん、僕は悪くないよ。先に姉さんが殴ってきたんだから」
「そうなのか、苺花?」
「あたし、なんのことだかわかんなーい」
「こう言ってるぞ?」
「姉さんは、父さんと母さんの前ではいい子ぶるけど、本当は暴れまくって・・・・」
必死に言う一勇に、一護は溜息をついた。
「とにかく、仲良くしろ。苺花が乱暴なのは知ってる」
「げ、ばれてた!?」
「一角さんとこに、修行に出したのが間違いだったかなぁ・・・・」
うなる一護に、ルキアが微笑みかける。
「喧嘩するほど仲がいいと言うだろう」
「でも、苺花は朽木家の姫だ。相応のしつけを、本来ならしないといけない」
「あたし、大おくなったら、お父さんのお嫁さんになる!」
「お、そうか」
「一護?私がいることを、忘れるなよ?」
冷たい空気を出すルキアに、参ったとばかりに一護は降参する。
「苺花、結婚は本当に好きになった人としなさい。俺のお嫁さんは、ルキア一人だから、苺花を嫁に迎えることはできない」
「父さんのばか!いーっだ」
走り去っていく、小さな背中を、一勇が追いかけていく。
なんだかんだいっても、兄弟仲はよかった。
「今日、浮竹さんの墓の前で京楽さんに会ったんだ」
「ああ。京楽隊長は、月に一度は浮竹隊長の墓参りにいくからな」
「いろいろ話を聞いた。浮竹さんのことが好きだったらしい」
「それは、私も気づいていた。総隊長は、浮竹隊長といるといつも幸せそうな顔をしていたからな」
「想いを告げなかったこと、後悔してるらしい」
「今となっては、もう告げるにも告げれないな」
「俺は、お前に想いを告げてこうして幸せでいられる。幸せをありがとう、ルキア」
「それは私の台詞だ、一護。幸せをありがとう、一護」
2人は、それから数百年と、朽木家の者として生きていくのであった。
fin
始めて訪れてから、毎年同じ時期にきて、花畑を見てお弁当を食べて、写真をとったり、花冠を編んだりした。
「あ、動いた」
「え、まじか!」
ルキアと一護が結婚して、5年が経っていた。
今、ルキアは一護の子を妊娠していて、妊娠8カ月目だった。
大分大きくなったお腹を撫でながら、ルキアは幸せそうに一護と微笑みあう。
「今度、このネモフィラの花畑に来るときは、生まれてきた子も一緒だ」
「ああ、そうだな。名前、考えたんだけど女の子なら苺花、男のなら一勇ってのはどうだ?」
「私は女の子ならキャサリン、男の子ならジョナサンがいい」
「おい、それマジでいってんのか?」
「いや?冗談だ」
「朽木キャサリンとか無理ありすぎだろ。全く、冷や冷やさせないでくれ」
お弁当を食べ終わり、時間も随分経過して、夕暮れになってきた。
夕日に染まるネモフィラも美しかった。
「あ、荷物なら私も持つぞ」
「だーめ。ルキアはもう1人の体じゃないんだから」
「むう」
「帰ったら、白玉餡蜜作ってやるよ」
「お、本当だな?嘘をいったら、キスもハグも1週間禁止にするぞ!」
「うわ、それきついわ」
「ふふふ・・・・・・」
ルキアは、その2カ月後、苺花と名付けられた女児を出産し、その3年後に一勇と名付けられた男児を出産した。
男児のほうが、朽木家の跡取りになる予定であった。
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「ねぇ、浮竹、聞いてよ。ルキアちゃんと一護君が結婚してからもう8年だよ。2人の子供に恵まれて、幸せに生活しているよ」
京楽は、浮竹の墓参りにきていた。
「あ、京楽さん」
「おや、一護君じゃないか。どうしたの、こんな場所に」
「浮竹さんの墓参りです。京楽さんも、そうでしょう?」
「ああ、うん、そうだね。ボクは、浮竹に話を聞かせていたんだ」
京楽は、浮竹の墓に高級な酒を注いだ。
「なんの話っすか?」
「君とルキアちゃんのこと」
一護は、赤くなって照れた。
「俺も、浮竹さんに、2人目の子供ができたって報告にきたんです」
「ああ・・・ボクも、浮竹に想いを告げていたら、きっと君たちみたいに仲良くできていたかもしれないね」
「結婚してたってことっすか?」
「そうだよ。式も挙げれるし、籍もいれられる。現世と違って、そのあたりは緩いからね」
京楽は青空を見上げた。
「ボクは今でも、浮竹を愛してるんだ。浮竹以上に人を愛することはもうないだろうね」
「京楽さん・・・・・・」
「ふふ、おじさんの感傷に浸らせてしまってごめんね」
「いえ。浮竹さんが生きていたら、きっと京楽さんのことを好きだって言ってたと思います」
「そうかい?」
「だって、何百年も2人で過ごしてきたんすよね?」
「そうだよ」
「普通、好きじゃなきゃそんなに長いこと、一緒にいないと思います」
「そうかい。でも、浮竹はもういないけどね。ああ、時間を巻き戻すことができるなら、浮竹に想いを告げるのに・・・・・」
「京楽さん・・・・」
「ああ、おじさんのただの懺悔だよ。気にしないで」
「はい・・・・・・」
一護は、かける言葉が見当たらず、浮竹の墓に花束を添えた。
「浮竹さん、2番目の子ができたんだ。一勇っていう男の子で、いずれ朽木の跡取りになる予定なんだ」
「さて、ボクは帰るね」
「あ、そうですか。浮竹さんは、きっと見守っていてくれてますよ」
「そうだと、いいね」
京楽はそれだけ言い残して、一番隊隊舎に戻っていった。
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「こら、一勇、苺花を蹴って泣かせたな」
「父さん、僕は悪くないよ。先に姉さんが殴ってきたんだから」
「そうなのか、苺花?」
「あたし、なんのことだかわかんなーい」
「こう言ってるぞ?」
「姉さんは、父さんと母さんの前ではいい子ぶるけど、本当は暴れまくって・・・・」
必死に言う一勇に、一護は溜息をついた。
「とにかく、仲良くしろ。苺花が乱暴なのは知ってる」
「げ、ばれてた!?」
「一角さんとこに、修行に出したのが間違いだったかなぁ・・・・」
うなる一護に、ルキアが微笑みかける。
「喧嘩するほど仲がいいと言うだろう」
「でも、苺花は朽木家の姫だ。相応のしつけを、本来ならしないといけない」
「あたし、大おくなったら、お父さんのお嫁さんになる!」
「お、そうか」
「一護?私がいることを、忘れるなよ?」
冷たい空気を出すルキアに、参ったとばかりに一護は降参する。
「苺花、結婚は本当に好きになった人としなさい。俺のお嫁さんは、ルキア一人だから、苺花を嫁に迎えることはできない」
「父さんのばか!いーっだ」
走り去っていく、小さな背中を、一勇が追いかけていく。
なんだかんだいっても、兄弟仲はよかった。
「今日、浮竹さんの墓の前で京楽さんに会ったんだ」
「ああ。京楽隊長は、月に一度は浮竹隊長の墓参りにいくからな」
「いろいろ話を聞いた。浮竹さんのことが好きだったらしい」
「それは、私も気づいていた。総隊長は、浮竹隊長といるといつも幸せそうな顔をしていたからな」
「想いを告げなかったこと、後悔してるらしい」
「今となっては、もう告げるにも告げれないな」
「俺は、お前に想いを告げてこうして幸せでいられる。幸せをありがとう、ルキア」
「それは私の台詞だ、一護。幸せをありがとう、一護」
2人は、それから数百年と、朽木家の者として生きていくのであった。
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