永遠の恋人
「シロおいで」
京楽が、飼っている小鳥が今日もやってきた。
仕事を片付けた後に、窓辺に止まっているのを見つけて、手をさしだすと小鳥は京楽の手に止まった。
京楽が、戯れにシロと名付けた野生の小鳥は、今日も番のクロと一緒にやってきて、餌を啄んでいた。
「クロも懐いたな」
浮竹が、餌の入った器を置くと、クロと名付けられた、多分メスの小鳥は、ちょんちょんと歩いてきて、浮竹の肩にとまった。
「まるで、僕と君みたいだねぇ」
「クロは多分メスだぞ」
「性別なんてどうでもいじゃない」
「まぁ、確かに」
執務室に、綿を置いておくと、二羽の小鳥は巣作りの真っ最中なのか、綿をくちばしでつまんでは、外に出て、また戻ってくると綿をつまんでいった。
「初夏には、卵がかえってヒナが生まれて・・・・それが、ずっと重なって、時は経っていくんだろうね」
4番隊の虎徹勇音の精密検査で、浮竹が肉体の時間を止めているのが発覚した。
浮竹は、涅マユリに頼んで、ゆっくりではあるが老化する薬を作ってもらい、それを服用していた。
「俺は、京楽と共に在ることを望んでいる」
「だからって何も、薬を飲まなくたって・・・・・・」
「すぐに老化が訪れるわけじゃない。今までと変わらないスピードで、ゆっくり時が過ぎていくだけだ。一人で残されるなんて、絶対に嫌だ」
そう言って、今月も薬を飲んでしまった。
月に一度、錠剤を2つ。それが涅マユリが作った薬の飲み方だ。
あのマユリのことだから、何か副作用でもあるのかと覚悟していたが、副作用は何もなかった。
チチチチと鳴いて、二羽の小鳥は去ってしまった。
その方角を、浮竹が少し寂しそうに見ていた。
「俺にも、翼があればいいのに」
「どうして?」
「お前の元に、いつでもいけるから」
「今こうしているじゃないか」
「ああ・・・・・」
浮竹が時を止めていると知った時、京楽は騒がなかった。ただ静かに、そうかいと呟いて、浮竹の白い長い・・・・今では、腰より長くなってしまった髪を、手で弄んでいた。
京楽は、自然のままを好む。
浮竹が時を刻まないなら、それも一つの生き方だと受け入れた。だが、浮竹にはそんな真実は受け入れられなかった。
マユリは、浮竹に実験体になれとは言わなかった。ただで、薬をくれた。
その薬が本当にきいているのか、まだ実感できない。
また共に過ごすようになってから、2年も経過していない。
「こら、またぬか苺花!」
ルキアが、執務室に入ってきた。恋次との間の一人娘の苺花は、浮竹と京楽にもよく懐いていた。
「きゃははははは。母上ここまでおいで」
苺花は、浮竹の白い髪をみる。
「シロさん、相変わらず美人だね!」
綾瀬川弓親に美人だと挨拶するような気軽さで、挨拶してきた。
「苺花ちゃんも美人だな」
「シロさんって、チカさんみたいなこというんだね。今日も京楽総隊長と一緒なんだ」
「ああ、恋人同士だからな」
「そういうの、腐ってるっていうんだよね」
「ちょっと苺花ちゃん、どこでそんな話手に入れてるの」
京楽が、おませな苺花に声をかける。
「チカさんと師匠だよ!二人とも、シロさんと総隊長は腐ってるけどできててあつあつなんだっていってた。あたしには、いまいちぴんとこないけど、大人な関係なんだね!」
「一角と弓親か・・・あいつら、今でもつるんでるのか」
浮竹は、会う機会がないので、一角と弓親をあまり詳しくは知らない。
なんでも、数十年も一緒にいるのに、できていないらしい。それでも、ずっと共にいる。そんな関係もいいなと、ふと浮竹は思う。
「すみません、京楽総隊長、浮竹隊長。またぬか、苺花!」
「朽木、あまり叱ったりせず、ほどほどにな」
「はい、浮竹隊長!」
ルキアは、隊長でなくなった浮竹を、隊長と未だに呼ぶ。そして浮竹もまた、阿散井となったルキアを阿散井ではなく朽木と呼んだ。
ルキアと浮竹は、部下と上司としての関係で時を止めている。
それをどうこういうつもりは京楽にはない。
「朽木の結婚式には出れなかったからなぁ。苺花ちゃんの結婚式には、必ず出るときめてあるんだ」
現世の一護の息子である一勇と、いい関係みたいな話を、この前ルキアにしてもらった。
「年はとるもんだなぁ。いや、生き返ったら朽木が結婚していて一人娘がいたり、俺のあとを朽木が継いでいたり・・・・本当に、びっくりすることばかりで」
「浮竹は、未だに慣れないんだね」
「そうだな。でも、お前の隣に在れるだけ、幸せだ」
共に寄り添いあいながら生きる。
寝ることも食べることも湯あみも仕事も、鍛錬も、散策などの息抜きさえ。共に在る。
周囲は、そんなに同じ時間を過ごして辛くないかというが、二人は平気だった。
普通に結婚した新婚さんでも、ここまで仲良くはいられないと、京楽の副官である七緒が言っていた。
二人は、永遠の恋人だ。
一度失った絆を取り戻した二人は、もう絆を絶たれないようにと、常に傍に在った。
一度添い遂げると、死ぬまで同じペアになる渡り鳥のように。
永遠の恋人は、今日も時を刻む。
京楽が、飼っている小鳥が今日もやってきた。
仕事を片付けた後に、窓辺に止まっているのを見つけて、手をさしだすと小鳥は京楽の手に止まった。
京楽が、戯れにシロと名付けた野生の小鳥は、今日も番のクロと一緒にやってきて、餌を啄んでいた。
「クロも懐いたな」
浮竹が、餌の入った器を置くと、クロと名付けられた、多分メスの小鳥は、ちょんちょんと歩いてきて、浮竹の肩にとまった。
「まるで、僕と君みたいだねぇ」
「クロは多分メスだぞ」
「性別なんてどうでもいじゃない」
「まぁ、確かに」
執務室に、綿を置いておくと、二羽の小鳥は巣作りの真っ最中なのか、綿をくちばしでつまんでは、外に出て、また戻ってくると綿をつまんでいった。
「初夏には、卵がかえってヒナが生まれて・・・・それが、ずっと重なって、時は経っていくんだろうね」
4番隊の虎徹勇音の精密検査で、浮竹が肉体の時間を止めているのが発覚した。
浮竹は、涅マユリに頼んで、ゆっくりではあるが老化する薬を作ってもらい、それを服用していた。
「俺は、京楽と共に在ることを望んでいる」
「だからって何も、薬を飲まなくたって・・・・・・」
「すぐに老化が訪れるわけじゃない。今までと変わらないスピードで、ゆっくり時が過ぎていくだけだ。一人で残されるなんて、絶対に嫌だ」
そう言って、今月も薬を飲んでしまった。
月に一度、錠剤を2つ。それが涅マユリが作った薬の飲み方だ。
あのマユリのことだから、何か副作用でもあるのかと覚悟していたが、副作用は何もなかった。
チチチチと鳴いて、二羽の小鳥は去ってしまった。
その方角を、浮竹が少し寂しそうに見ていた。
「俺にも、翼があればいいのに」
「どうして?」
「お前の元に、いつでもいけるから」
「今こうしているじゃないか」
「ああ・・・・・」
浮竹が時を止めていると知った時、京楽は騒がなかった。ただ静かに、そうかいと呟いて、浮竹の白い長い・・・・今では、腰より長くなってしまった髪を、手で弄んでいた。
京楽は、自然のままを好む。
浮竹が時を刻まないなら、それも一つの生き方だと受け入れた。だが、浮竹にはそんな真実は受け入れられなかった。
マユリは、浮竹に実験体になれとは言わなかった。ただで、薬をくれた。
その薬が本当にきいているのか、まだ実感できない。
また共に過ごすようになってから、2年も経過していない。
「こら、またぬか苺花!」
ルキアが、執務室に入ってきた。恋次との間の一人娘の苺花は、浮竹と京楽にもよく懐いていた。
「きゃははははは。母上ここまでおいで」
苺花は、浮竹の白い髪をみる。
「シロさん、相変わらず美人だね!」
綾瀬川弓親に美人だと挨拶するような気軽さで、挨拶してきた。
「苺花ちゃんも美人だな」
「シロさんって、チカさんみたいなこというんだね。今日も京楽総隊長と一緒なんだ」
「ああ、恋人同士だからな」
「そういうの、腐ってるっていうんだよね」
「ちょっと苺花ちゃん、どこでそんな話手に入れてるの」
京楽が、おませな苺花に声をかける。
「チカさんと師匠だよ!二人とも、シロさんと総隊長は腐ってるけどできててあつあつなんだっていってた。あたしには、いまいちぴんとこないけど、大人な関係なんだね!」
「一角と弓親か・・・あいつら、今でもつるんでるのか」
浮竹は、会う機会がないので、一角と弓親をあまり詳しくは知らない。
なんでも、数十年も一緒にいるのに、できていないらしい。それでも、ずっと共にいる。そんな関係もいいなと、ふと浮竹は思う。
「すみません、京楽総隊長、浮竹隊長。またぬか、苺花!」
「朽木、あまり叱ったりせず、ほどほどにな」
「はい、浮竹隊長!」
ルキアは、隊長でなくなった浮竹を、隊長と未だに呼ぶ。そして浮竹もまた、阿散井となったルキアを阿散井ではなく朽木と呼んだ。
ルキアと浮竹は、部下と上司としての関係で時を止めている。
それをどうこういうつもりは京楽にはない。
「朽木の結婚式には出れなかったからなぁ。苺花ちゃんの結婚式には、必ず出るときめてあるんだ」
現世の一護の息子である一勇と、いい関係みたいな話を、この前ルキアにしてもらった。
「年はとるもんだなぁ。いや、生き返ったら朽木が結婚していて一人娘がいたり、俺のあとを朽木が継いでいたり・・・・本当に、びっくりすることばかりで」
「浮竹は、未だに慣れないんだね」
「そうだな。でも、お前の隣に在れるだけ、幸せだ」
共に寄り添いあいながら生きる。
寝ることも食べることも湯あみも仕事も、鍛錬も、散策などの息抜きさえ。共に在る。
周囲は、そんなに同じ時間を過ごして辛くないかというが、二人は平気だった。
普通に結婚した新婚さんでも、ここまで仲良くはいられないと、京楽の副官である七緒が言っていた。
二人は、永遠の恋人だ。
一度失った絆を取り戻した二人は、もう絆を絶たれないようにと、常に傍に在った。
一度添い遂げると、死ぬまで同じペアになる渡り鳥のように。
永遠の恋人は、今日も時を刻む。
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