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出会いは突然に④

今日もまた、何気ない一日がはじまる。
学校につくと、職員室の前でニールとすれ違った。ニールは手を振って名前を呼んできたけど、即効で無視してやった。

昼休みになると、なぜかニールが教室にやってきて弁当箱をティエリアの席の隣で広げ出す。

「何しに来たんですか」
「いや、昼飯くいに」
「職員室で食べたらどうですか?」
「いやー、ティエリアと一緒がいいから」

あけられた弁当箱の中身を、さっと刹那がはしで玉子焼きをかっさらっていく。

「あー、こら!!」
「ふ。俺はガンダムだ」
そういう刹那の弁当箱はOOガンダムがプリントされていた。
「うりゃあ」
刹那の弁当からウィンナーをさらっていくニール。
これで一応講師、まぁ臨時の教師なのだから信じられないとティエリアは思った。

「隙あり!!」
ティエリアの弁当箱から、エビフライをかっさらっていったニール。
ティエリアは無視して弁当を食べ終えると、電子辞書を開いて勉強を始めた。

「もうちょっと昼くらい休憩すればいいんじゃないのか?」
ニールの言葉に、ティエリアは耳をかさない。
電子辞書で出される問題を解いていく。
少し難易度をあげてみると、ちょっと回答までに時間がかかった。

「ふっ」
「ぎゃあああああああ」

ニールが、ティエリアの耳に息をふきかけたのだ。
「あなたという人はぁぁぁ!!」
ニールのネクタイを掴みあげる。

「万死に値します!」
頭をべしっとはたいてやった。でも、ニールは嬉しそうだ。
「もっかい、もっかい!!」
「マゾですか、あなたは!?」
「いや、ティエリアだから嬉しいの」

この果てしなくチャラついたようにしか見えない教師は、何を言っているのかティエリアには全く理解不可能だった。
「このチャラ男がああ!!」
「はい、チャラ男ですけど今はティエリア一筋です」
「は?」
「俺と付き合わない?」
手をとられて、キスをされた。

全身にさぶいぼが立った。
「ちゃらいわ!」
べしっとまた頭を叩いてやった。
「うーん。俺真面目なのに」
ニールはちょっと悲しそうだ。
あ、かわいいかも。ティエリアはそう思った。
しょげた大型犬のようだ。

でも、所詮はニール。すぐに方向を変えてくる。
「じゃあ、また今度デートしよ!」
「はぁ?なぜあなたと?」
「だって好きになったんだから仕方ない」
「あなた、教師でしょう?」
「うーんでも講師だし、2ヶ月だけだし」
「ちゃらいわー!万死に値する」

はたから見ていると、ただの漫才にしか見えなかった。刹那はガンダム雑誌を読むのに必死だし。

教室に他に人はいたけど、みんなニールとティエリアのやりとりを聞いて笑っていた。
ニールの言葉が本当だとしても、ティエリアなら誰も嫉妬しない。
それだけティエリアは美しく、勉強もできて完璧に近かった。
クラスの男子の中でダントツで、好きな子NO1。でも性格はかなり男。おまけにいつも刹那がいる。

刹那とティエリアは付き合っているようで付き合っていない。ただの友人だ。
そこにニールという、これまた複雑なのが入り込んできた。

「とりあえず、今週の日曜の12時に、時計台で会おうぜ!」
「誰があなたなんかと!!」

ティエリアは、ニールに向かって舌を出して、教室を出る。
「どこにいくの?」
「あなたのいないところに」
「そう言わずに一緒にいようぜ」
「いやです」
「そう言わず」
「いやです」
「そう言わずに」
「ああ、うっとうしい!言いたいことがあるならはっきりしろ!」
ティエリアは、しつこいニールに切れた。

「今週の日曜の12時に、時計台で会おう。デートしようぜ。約束だぞ?」
「万死ぃぃぃぃーーー!!」

とかいいながら、日曜になるとちょっとだけお洒落をして、11時前には家を出て時計台前にいくティエリアの姿があった。
アレルヤは恋したのかなぁとか思いつつ、ティエリアを見送る。
ちなみに、刹那は今日もティエリアの家に勝手にあがって、ゲームをしていた。

 

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