出会いは突然に⑨
次の日も、ニールの授業を受け、そして昼休みには一緒にお弁当を食べた。ティエリアのお弁当は、アレルヤの自信作だ。
「エビフライもらい!」
ニールは子供のように屈託なく笑って、ティエリアのお弁当からいつものように、エビフライをかっさらっていく。
そこに、刹那が横から加わって、ニールのお弁当箱から、アジのフライをかっさらっていった。
「ティエリア、仇はとったぞ」
「別にとらなくても・・・・」
その日も、何も問題のない一日で終わるかに思われた。ニールが講師としてやってきて、もうすぐ2か月が経とうとしている。
学校で会えるのは、あと僅か。
名残を惜しむように、ニールとティエリアは、一緒に帰路につく。
突然だった。
歩道に、ボールを追って、公園から3歳くらいの幼児が飛び出してきた。すぐ側に、トラック。
プップーというクラクションの音。
「危ない!」
ニールの叫び声。
幼児を突き飛ばすニール。止まらないトラック。
血しぶきが、ティエリアの頬を濡らす。
「いやああああああああああああああ!!」
絶叫は、空高く吸い込まれていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ニールは救急車で、病院に運び込まれた。心肺停止状態で運び込まれて、ティエリアは半狂乱で泣き叫び、取り乱した。
なんとか息を吹きかえした後、数時間にも渡る大手術の緊急手術がされ、今は面会謝絶状態だった。一緒に救急車に乗り込んだティエリアは、涙を零してニールが助かることを祈った。
何日も何日も、ニールのいる部屋の近くの椅子に座り、やっと面会許可が降りて出会ったニールは、包帯が痛々しく全体に巻かれていて、右目は失明した。
「また、僕は・・・・失うのか?」
独白は恐怖を煽った。
彼は右目を失明してしまった。まだ危うい状況で、命を取り留めたとも言い難い。毎日毎日、ティエリアは看病のために病院に通った。
そして、やっとのことでニールの意識が戻った。
「ああ・・・・指輪、してくれてるんだ」
ニールから貰った、親の形見だという指輪をティエリアは右手にはめていた。
「死なないで、ニール。僕と結婚してくれるんでしょう?」
「ああ、死なないぜ、こんなところで。な、だからそんな顔しなさんな」
ニールが手を伸ばして、ティエリアの頬を撫でた。その手に手を重ねて、泣いた。ニールが穏やかな顔で眠りについたのを確認したが、まるで死んだように思えて心が冷えた。
「寒い・・・・もう、冬か」
ニールと出会ったのは秋だった。
外を見ると、木は葉を散らせて、そして白い雪が空から降っていた。帰路につく。吐く息が白かった。薄着だったせいで、風邪をひきそうだ。
次の日も、面会に来た。
「ニール。愛しています」
「奇遇だな。俺もだ」
眠っていたと思われたニールは、起き上がった。右目にされていた眼帯が痛々しかった。
「もう決めた。ティエリア、卒業したら結婚しよう。式は挙げなくてもいい。籍を入れて、落ち着いたら式を挙げよう」
優しく笑うニール。
ティエリアは、ただ涙を流して、その言葉に頷くだけだった。
「はい・・・ニール、愛しています」
「俺も愛してる」
お互いの体温を確認しあって、唇を重ねた。
何度目かのキスは、なんの味もしなかった。
「エビフライもらい!」
ニールは子供のように屈託なく笑って、ティエリアのお弁当からいつものように、エビフライをかっさらっていく。
そこに、刹那が横から加わって、ニールのお弁当箱から、アジのフライをかっさらっていった。
「ティエリア、仇はとったぞ」
「別にとらなくても・・・・」
その日も、何も問題のない一日で終わるかに思われた。ニールが講師としてやってきて、もうすぐ2か月が経とうとしている。
学校で会えるのは、あと僅か。
名残を惜しむように、ニールとティエリアは、一緒に帰路につく。
突然だった。
歩道に、ボールを追って、公園から3歳くらいの幼児が飛び出してきた。すぐ側に、トラック。
プップーというクラクションの音。
「危ない!」
ニールの叫び声。
幼児を突き飛ばすニール。止まらないトラック。
血しぶきが、ティエリアの頬を濡らす。
「いやああああああああああああああ!!」
絶叫は、空高く吸い込まれていった。
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ニールは救急車で、病院に運び込まれた。心肺停止状態で運び込まれて、ティエリアは半狂乱で泣き叫び、取り乱した。
なんとか息を吹きかえした後、数時間にも渡る大手術の緊急手術がされ、今は面会謝絶状態だった。一緒に救急車に乗り込んだティエリアは、涙を零してニールが助かることを祈った。
何日も何日も、ニールのいる部屋の近くの椅子に座り、やっと面会許可が降りて出会ったニールは、包帯が痛々しく全体に巻かれていて、右目は失明した。
「また、僕は・・・・失うのか?」
独白は恐怖を煽った。
彼は右目を失明してしまった。まだ危うい状況で、命を取り留めたとも言い難い。毎日毎日、ティエリアは看病のために病院に通った。
そして、やっとのことでニールの意識が戻った。
「ああ・・・・指輪、してくれてるんだ」
ニールから貰った、親の形見だという指輪をティエリアは右手にはめていた。
「死なないで、ニール。僕と結婚してくれるんでしょう?」
「ああ、死なないぜ、こんなところで。な、だからそんな顔しなさんな」
ニールが手を伸ばして、ティエリアの頬を撫でた。その手に手を重ねて、泣いた。ニールが穏やかな顔で眠りについたのを確認したが、まるで死んだように思えて心が冷えた。
「寒い・・・・もう、冬か」
ニールと出会ったのは秋だった。
外を見ると、木は葉を散らせて、そして白い雪が空から降っていた。帰路につく。吐く息が白かった。薄着だったせいで、風邪をひきそうだ。
次の日も、面会に来た。
「ニール。愛しています」
「奇遇だな。俺もだ」
眠っていたと思われたニールは、起き上がった。右目にされていた眼帯が痛々しかった。
「もう決めた。ティエリア、卒業したら結婚しよう。式は挙げなくてもいい。籍を入れて、落ち着いたら式を挙げよう」
優しく笑うニール。
ティエリアは、ただ涙を流して、その言葉に頷くだけだった。
「はい・・・ニール、愛しています」
「俺も愛してる」
お互いの体温を確認しあって、唇を重ねた。
何度目かのキスは、なんの味もしなかった。
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