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堕天使と天使16

「なんでも、その鏡は呪いの鏡といって、化け物が気に入った者を吸いこんで、化け物が吸い込んだ者の偽物をになるというの。偽物は、愛しい者を取り込んでしまうの。とても恐ろしいことなのよ。まぁ、おとぎ話だけれどね。愛しい者が偽物を見破って、鏡の中に入り込み、本物にキスをすれば呪いは解けるのよ」

子供の頃、天使の浮竹の4大天使であり、母親代わりであったガブリエルから聞いた、おとぎ話の鏡の話をふと思い出した。


「この鏡・・・・・・」

それは、古い古い骨董品で、とあるコレクターのいる場所まで古い鏡を運んでくれという依頼だった。

「まさか、呪いの鏡だったりして」

「はははは、そんなばかな」

「そうだな。呪いの鏡なんてあるわけがない」

京楽は、笑って骨董日の鏡を包んでいる布をとってみた。

浮竹は、その鏡に触れてみた。

すると、京楽には見えないようで、化け物が出てきて、浮竹の手を鏡の中から掴んできた。

「京楽!」

叫んでも、京楽には見えていないようだった。

「天使の魂・・・・ふふふ、すごいわ。セラフじゃないの。私はセラフになって、あなたの愛しい者と永遠に幸せになるのよ」

浮竹は、鏡の中に吸い込まれた。

化け物はかろうじで女の姿をしていたが、浮竹が吸い込まれると、浮竹の姿になって、京楽に笑顔を見せた。

「助けてくれ、京楽!」

ドンドンと、鏡を叩く。

鏡の中に吸い込まれた浮竹は、鏡の中から偽物の自分が、愛しい京楽に愛を囁くのを見ていた。

「どうしたの、浮竹。今日は積極的だね」

「俺はお前を愛している。お前も俺を愛している。そうだな?」

偽物は、そう言って京楽を誘惑した。

「京楽!そいつは偽物だ!」

「浮竹・・・・愛してるよ」

「京楽!サンダーボルト!」

鏡の中で、魔法を使ってみたが、ばちっと音がして弾かれた。

叩いても蹴っても魔法を使っても、鏡の外には出れなかった。

鏡の中で、浮竹はふと、鏡の奥に小さい頃の子供の自分がいるのに気づいた。

「どうして、泣いている?お前は誰だ?」

子供の浮竹は、泣きながら座っていた。

「俺はお前だ。お前が愛しい者を疑うから、哀しいんだ」

「俺は・・・・京楽を・・・疑って・・・・・」

「ほら、疑っている。いつか昔の恋人にとられるんじゃないかと、心の何処かで恐怖してる」

「うるさい!ファイアフェニックス!」

浮竹は炎の禁忌を放つが、子供の浮竹は平然としていた。

「その疑いが、鏡の悪魔を呼んだ。さぁ、ここで大人しく鏡の悪魔に愛しい者にとられるのを見ているのか?」

「京楽!それは俺じゃない!」

鏡の向こう側では、鏡の悪魔の浮竹が、京楽にキスをしていた。

「京楽!」

鏡の外で、京楽は顔を顰めた。

「君・・・本物の浮竹じゃないね」

「違う。俺が本物の浮竹だ」

「じゃあ、セラフの証である翼を出してみて」

「それは・・・・・」

「できないんでしょ。偽物は、偽物。本物は・・・鏡の中か。厄介だね。君を殺すと、鏡の中の浮竹は二度と戻ってこない」

「俺と幸せになろう。俺でもいいだろう?」

「無理だね。僕は本物の浮竹だけを今は愛している」

鏡の中で、浮竹は涙を零した。

「京楽、疑ってすまない。俺も、お前だけを愛している」

「そう。それでいいんだ。それでいい」

子供の姿の浮竹は、すーっと本物の浮竹の中に溶け込んでいった。

鏡の中の子供の浮竹は、本物の浮竹の負の感情が表に現れたものだった。

「京楽!」

浮竹が鏡の向こう側に手を伸ばすと、京楽はその手を掴んで、鏡の中に入ってきた。

「ばかな!鏡の中にはいれるというの!」

鏡の悪魔は元の姿に戻って、醜い女の姿で京楽を取り戻そうと、鏡の中に入り込む京楽を引っ張る。

「わ、浮竹、そっちからひっぱって。外にひきずりだされる!」

「京楽は、俺のものだ!」

聖なる力を京楽ごしに叩き込むと、鏡の悪魔は悲鳴をあげた。

「うぎゃあああ!!」

鏡の中に京楽が入ってくる。

「一緒に、外に出よう」

「外に出る方法は・・・・」

「知ってる。僕も、呪いの鏡の話聞いたことあるから」

京楽は、浮竹にキスをした。

「ん・・・・・・んう」

偽物とキスをしたことを帳消しにするような、深い口づけに、浮竹は震えた。

「さぁ、出よう。呪いは解けたはずだ」

「うん・・・・・・」

真っ赤になって、浮竹は京楽に手を引かれて鏡の外に出た。

鏡の外には、もう鏡の悪魔はいなかった。

「くちおしや。セラフの魂なんて貴重なのに」

鏡の中に戻った、鏡の悪魔を浮竹と京楽は封印を施して、二度と外に出られないようにした。

「こんな曰くつきの鏡欲しがるなんて・・・・コレクターの人、呪いの鏡って知ってのことだろうかなぁ」

「いや、ただの古い骨董品と思っているだろう。金持ちの老人が取引相手だ。それにしても、よくあれが偽物の俺だと分かったな」

「んー。キスの味が違うし、昨日僕が君の首筋につけたキスマークがなかった」

「なっ」

浮竹は真っ赤になった。

キスマークが見える位置にある状態で、仕事を引き受けて古い鏡を受け取っていた。

「京楽のバカ!」

「キスマークくらいいいじゃない」

「よくない!」

ぎゃあぎゃあ言い合う。

「僕は君だけを愛しているから。これは、本当だよ」

「ああ。俺もお前だけを愛している。少しでも、お前を疑って悪かった」

「やっぱり、少し疑ってたんだ?」

「仕方ないだろう。お前の過去が過去だ。過去の恋人がでてきて、そっちになびくかもしれないって、少し不安になってたのは本当だ」

「まぁ、僕の過去はどうしようもないけど、未来は変えていける。現在から未来を。君だけを愛すると誓うよ」

京楽は、どこからか緑色の石をはめこんだ指輪を、浮竹の右手の薬指にはめた。

「これは・・・・・」

「いつか渡そうと思っていたものだよ。僕の分もあるんだ」

「京楽・・・・」

浮竹は、自分から京楽に口づけた。

それから、浮竹が京楽の指に対になっている指輪をはめた。

何度かキスを交わして、鏡を慎重に箱にしまいこんで、依頼人のところに車で到着すると、金もちのおじいさんが対応した。

「ありがとうございます。この鏡、昔祖父が買ったもので、なんでも鏡の悪魔が宿ってるとかいってたんですが、大丈夫でしたか?ただの祖父の作り話だとは思うのですが」

「ああ、大丈夫だった」

依頼人に心配をかけまいと、浮竹は鏡の入った箱を老人に手渡した。

封印を施したので、もう無害なただの古い鏡だ。

「では、報酬の金貨30枚を」

「うん、ありがとね」

京楽は、報酬金を受け取ると、車に乗り込んで浮竹を乗せて、猛スピードで家に帰宅した。

「京楽?」

「君を抱きたい。むらむらしてた。抱いてもいい?」

「あ、ああ・・・・・・」

京楽に抱き上げられて、キングサイズのベッドに運ばれた。

衣服を脱がされて、愛撫されて、浮竹は啼いた。

「ああああ!!!」

京楽に一気に貫かれて、浮竹はその快楽に酔いしれる。

「十四郎、愛してるよ」

「ひあああ!」

京楽は、浮竹の最奥を抉ると、浮竹の中に子種を注ぎ込む。

「んあ・・・・・」

最奥を抉られる行為に、浮竹は涙をにじませた。

「気持ちいい?」

「ん・・気持ちいい・・・・」

京楽は、浮竹を突き上げた。

何度か突き上げると、浮竹はシーツに精液を放った。

「んあああ」

「もっと、僕を求めて?」

「あ、春水、春水、もっと・・・・・ああああ」

京楽は、求められるままに浮竹を貪った。

「あ、いっちゃう、やだああああ」

女のように、オーガズムでいくこを覚えた体は、京楽の行為に快感を感じていってしまっていた。

「やああ、あ、あ、やっ」

「愛してるよ、十四郎」

「あ、春水、春水」

深い口づけを交わし合う。

京楽は、浮竹を抱きしめた。

浮竹も、京楽を抱きしめた。

「愛してる、春水。あああ!」

「愛の証を注ぎ込んであげる」

最奥を抉られ、貫かれて、もう何度目になるかも分からない熱を注ぎ込まれる。

「あ・・・・」

じんわりと胎の奥に広がっていく熱を感じながら、浮竹は目を閉じた。

「一緒に、お風呂入ろ」

「ああ」

少しして、体力が戻ったところで二人で湯浴みをした。

風呂でも京楽が盛って、浮竹に蹴られたのは言うまでもない。



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