堕天使と天使17
今回の依頼。
フェンリルの上位種である浮竹を、一日だけ預かってくれ。
依頼者、ヴァンパイアの京楽。
「キーーー!彼は何を考えているんだ!よりにもよって、フェンリルの浮竹なんて!」
『それはこっちの台詞だ!ワフ!』
堕天使の京楽が、依頼を受けた天使の浮竹をなじろうとして、フェンリルの姿になった浮竹にけつを噛まれた。
「いたたたた!」
『臭い!』
「失礼だね!人型の時は毎日お風呂入ってるよ!」
京楽は、天使の浮竹の背後に隠れた。
「まぁ、2人とも落ち着け。お互いが好きじゃないのは分かるが、今日はフェンリルの俺は、俺の家に泊まるんだから」
「納得いかない!あの洋館で、一人でいればいいでしょ!」
「それが不安だから、ヴァンパイアの京楽はわざわざ依頼という形で、俺たちに頼んできたんだろう?報酬も前払いで金貨50枚ももらってしまったから、今さら拒否することもできない。京楽、1日の辛抱だ。フェンリルの俺も、1日だけだ。いいな?」
『天使の俺がいうなら、我慢してやらんこともない』
「何その上から目線!」
『ふん。お前が作った飯を、我慢して食べてやろう』
「キーーー!君なんてドッグフードで十分だ!」
『俺は犬じゃない!フェンリルの上位種だ!』
わふわふと吠えるフェンリルの浮竹は、存在が進化して前のフェンリル種からさらに上位の個体神をも喰らう大狼となり、ヴァンパイアの京楽と同じ原初の王になっていた。
血族にされ、更に共に長き時を生きるようにされて、上位種に進化した。
フェンリルの狼の姿に戻ると、今までの大型犬の大きさではなく、座った状態で京楽や浮竹の背丈を優に追い越してしまう。
「今日は、夕飯は俺が作るから、京楽は黒猫姿で、フェンリルの浮竹と遊んでやれ」
「ええ、やだよ!」
「命令。聞かなかったら、禁欲1カ月」
「ひどいーーー」
堕天使の京楽は、黒い6枚の翼を出して、しくしくと泣きだした。
『俺が遊んでやろう。黒猫になれ。人型でいられるより、匂いがましだ』
「もう、どうなっても知らないからね!」
京楽はやけくそになって、黒猫姿になると、大きなフェンリルの狼姿の浮竹の足を引っかいた。
『痛い!』
「みたか、秘技猫爪とぎとぎ」
『お返しだ!』
フェンリル姿の浮竹に、京楽は黒猫の姿のままごろりと転がされた。
「ぎゃあああああ」
『あ、けっこう面白い。ごろごろしてやる』
「あばばばばば、逃げるしかない!」
京楽はキッチンにいった天使の浮竹の場所に避難しようとすると、入り口のドアをその大きな体でふさがれた。
『ふっふっふ、逃がさないぞ』
「僕ってピンチ!?」
『お前でとことん遊んでやる』
「いーやーーー助けて浮竹ええええ」
黒猫の京楽は、フェンリルの浮竹にごろごろ転がされて、狭い室内で追いかけっこをしあっていた。
いや、黒猫の京楽は本気で逃げているのだが、フェンリルの浮竹はそれを面白がって追っかけていた。
「夕飯、できたぞ。何してるんだ、2人とも」
天使の浮竹がやってくると、真っ白な毛皮のフェンリルの浮竹の下で、伸びている黒猫姿の京楽がいた。
「仲良いんだな」
『俺が倒した!俺の勝ちだ!』
「そうか。フェンリルの俺は強いな。今日は肉多めにしておいたからな」
『わふ!』
黒猫姿の京楽は、すねて人型に戻らなかった。
なので、浮竹の手料理を食べれる日は珍しいので、いつもなら喜んで食べるのに、キャットフードを食っていた。
「ふんだ。どうせ僕なんて、おもちゃだよ」
「京楽、ちゃんと相手してやってたんだな。偉いぞ」
天使の浮竹に抱き上げられて、黒猫姿で京楽はゴロゴロと喉を鳴らした。
「もっと褒めて、褒めて」
「今日は最高級の猫缶をあけてやろう」
「おおおお」
黒猫の姿でいる時も長かったので、京楽はキャットフードは大好きだった。
『おいしそう。俺もちょっとだけ、食ってもいいか?』
「いいぞ」
「ああ、僕の最高級クラスの猫缶が!」
『猫の食事ってけっこうおいしいんだな』
少しだけ最高級の猫缶を口にして、後は天使の浮竹が作った肉団子や唐揚げを食べていた。
「唐揚げ、京楽も食え」
「うん、食べる」
意地でも人型に戻らないつもりなのか、鶏肉の唐揚げを天使の浮竹の手から受け取って食べていた。
『いいなぁ。ヴァンパイアの京楽、明日には帰ってくるかな?』
人型になったフェンリルの浮竹は、天使の浮竹の顔を見た。
「ああ、明日には戻ってくる。1日だけだから、今日はゲストルームで寝てくれ」
『天使の浮竹と、一緒に寝る』
「そうそう、大人しく天使の浮竹と寝て・・・・って、なんですと!?天使の浮竹は僕のものだよ!」
『一人でお泊りは初めてだし、天使の俺と寝てみたい!』
「いいぞ」
「ちょっと、浮竹そんなあっさりと!」
「京楽なら、毎日のように一緒に寝ているだろう」
「それとこれとは話が違うよ!」
京楽が黒猫姿で、天使の浮竹の肩に乗った。
「この子は僕の!僕のだからあげない!」
『一日くらいいいだろう!』
「そうだ、一日くらいいいだろ、別に」
「ひどいいいいい。白猫と浮気してやるううう」
「浮気、猫の姿でもしたら、もう一生お前とは口を聞かないからな」
天使の浮竹は、鋭い眼差しで肩に乗った京楽を睨んだ。
「あばばばばばば」
京楽はぴょーんと地面に降り立って、走って行ってベッドの下にもぐって出てこなくなった。
「僕も一緒に寝る。ベッドの下でだけど」
「好きなようにしろ。フェンリルの俺、先に風呂に入ってこい。着替えは置いてあるから」
『ああ、先に使わせてもらう』
次の日の朝、ヴァンパイアの京楽がフェンリルの浮竹を迎えにくると、少しやってしまったという顔の浮竹がいた。
一方、堕天使の京楽は機嫌がどん底に悪く、天使の浮竹は微妙な顔をしていた。
『一体、どうしたのさ』
「フェンリルの浮竹が、僕をいじめるんだよ!」
『ただ、天使の俺を、寝ぼけて京楽と間違えて、抱き着いてキスしちゃただけじゃないか』
フェンリルの浮竹が言うには、そうらしい。
「もう最悪だよ!浮気だ、浮気!」
『違う、浮気じゃない!ただ間違えただけだ』
『浮竹、自分にキスしたようなものだし、寝ぼけてたんでしょ。浮気には入れないから、大丈夫』
「ヴァンパイアの俺、甘い!」
『そうは言っても、一緒に寝てたってことだよね?』
ヴァンパイアの京楽の言葉に、天使の浮竹が頷いた。
「一緒に寝たいと甘えられたんでな。まぁ、ただの事故だ」
『京楽、怒ってないよな?』
『うん、怒ってないよ。ただ、堕天使のボクにはちゃんと謝ろうね?』
『う・・・・・京楽がそういうなら。堕天使の大アホ、天使の俺にキスしてごめん』
「謝罪が謝罪になってないいいいいいい」
堕天使の京楽は、そう叫びながら、フェンリルの浮竹をヴァンパイアの自分ともども追い出して、自分の伴侶である浮竹に抱き着いた。
「どうした?」
「君は僕のものだよ。他の者が、触れるなんて嫌だ」
「まぁ、フェンリルの俺は悪気があったわけじゃないから。許してやれ」
「浮竹がそう言うなら、許すよ」
なんだかんだで、一日のお泊り会は、終わるのだった。
フェンリルの上位種である浮竹を、一日だけ預かってくれ。
依頼者、ヴァンパイアの京楽。
「キーーー!彼は何を考えているんだ!よりにもよって、フェンリルの浮竹なんて!」
『それはこっちの台詞だ!ワフ!』
堕天使の京楽が、依頼を受けた天使の浮竹をなじろうとして、フェンリルの姿になった浮竹にけつを噛まれた。
「いたたたた!」
『臭い!』
「失礼だね!人型の時は毎日お風呂入ってるよ!」
京楽は、天使の浮竹の背後に隠れた。
「まぁ、2人とも落ち着け。お互いが好きじゃないのは分かるが、今日はフェンリルの俺は、俺の家に泊まるんだから」
「納得いかない!あの洋館で、一人でいればいいでしょ!」
「それが不安だから、ヴァンパイアの京楽はわざわざ依頼という形で、俺たちに頼んできたんだろう?報酬も前払いで金貨50枚ももらってしまったから、今さら拒否することもできない。京楽、1日の辛抱だ。フェンリルの俺も、1日だけだ。いいな?」
『天使の俺がいうなら、我慢してやらんこともない』
「何その上から目線!」
『ふん。お前が作った飯を、我慢して食べてやろう』
「キーーー!君なんてドッグフードで十分だ!」
『俺は犬じゃない!フェンリルの上位種だ!』
わふわふと吠えるフェンリルの浮竹は、存在が進化して前のフェンリル種からさらに上位の個体神をも喰らう大狼となり、ヴァンパイアの京楽と同じ原初の王になっていた。
血族にされ、更に共に長き時を生きるようにされて、上位種に進化した。
フェンリルの狼の姿に戻ると、今までの大型犬の大きさではなく、座った状態で京楽や浮竹の背丈を優に追い越してしまう。
「今日は、夕飯は俺が作るから、京楽は黒猫姿で、フェンリルの浮竹と遊んでやれ」
「ええ、やだよ!」
「命令。聞かなかったら、禁欲1カ月」
「ひどいーーー」
堕天使の京楽は、黒い6枚の翼を出して、しくしくと泣きだした。
『俺が遊んでやろう。黒猫になれ。人型でいられるより、匂いがましだ』
「もう、どうなっても知らないからね!」
京楽はやけくそになって、黒猫姿になると、大きなフェンリルの狼姿の浮竹の足を引っかいた。
『痛い!』
「みたか、秘技猫爪とぎとぎ」
『お返しだ!』
フェンリル姿の浮竹に、京楽は黒猫の姿のままごろりと転がされた。
「ぎゃあああああ」
『あ、けっこう面白い。ごろごろしてやる』
「あばばばばば、逃げるしかない!」
京楽はキッチンにいった天使の浮竹の場所に避難しようとすると、入り口のドアをその大きな体でふさがれた。
『ふっふっふ、逃がさないぞ』
「僕ってピンチ!?」
『お前でとことん遊んでやる』
「いーやーーー助けて浮竹ええええ」
黒猫の京楽は、フェンリルの浮竹にごろごろ転がされて、狭い室内で追いかけっこをしあっていた。
いや、黒猫の京楽は本気で逃げているのだが、フェンリルの浮竹はそれを面白がって追っかけていた。
「夕飯、できたぞ。何してるんだ、2人とも」
天使の浮竹がやってくると、真っ白な毛皮のフェンリルの浮竹の下で、伸びている黒猫姿の京楽がいた。
「仲良いんだな」
『俺が倒した!俺の勝ちだ!』
「そうか。フェンリルの俺は強いな。今日は肉多めにしておいたからな」
『わふ!』
黒猫姿の京楽は、すねて人型に戻らなかった。
なので、浮竹の手料理を食べれる日は珍しいので、いつもなら喜んで食べるのに、キャットフードを食っていた。
「ふんだ。どうせ僕なんて、おもちゃだよ」
「京楽、ちゃんと相手してやってたんだな。偉いぞ」
天使の浮竹に抱き上げられて、黒猫姿で京楽はゴロゴロと喉を鳴らした。
「もっと褒めて、褒めて」
「今日は最高級の猫缶をあけてやろう」
「おおおお」
黒猫の姿でいる時も長かったので、京楽はキャットフードは大好きだった。
『おいしそう。俺もちょっとだけ、食ってもいいか?』
「いいぞ」
「ああ、僕の最高級クラスの猫缶が!」
『猫の食事ってけっこうおいしいんだな』
少しだけ最高級の猫缶を口にして、後は天使の浮竹が作った肉団子や唐揚げを食べていた。
「唐揚げ、京楽も食え」
「うん、食べる」
意地でも人型に戻らないつもりなのか、鶏肉の唐揚げを天使の浮竹の手から受け取って食べていた。
『いいなぁ。ヴァンパイアの京楽、明日には帰ってくるかな?』
人型になったフェンリルの浮竹は、天使の浮竹の顔を見た。
「ああ、明日には戻ってくる。1日だけだから、今日はゲストルームで寝てくれ」
『天使の浮竹と、一緒に寝る』
「そうそう、大人しく天使の浮竹と寝て・・・・って、なんですと!?天使の浮竹は僕のものだよ!」
『一人でお泊りは初めてだし、天使の俺と寝てみたい!』
「いいぞ」
「ちょっと、浮竹そんなあっさりと!」
「京楽なら、毎日のように一緒に寝ているだろう」
「それとこれとは話が違うよ!」
京楽が黒猫姿で、天使の浮竹の肩に乗った。
「この子は僕の!僕のだからあげない!」
『一日くらいいいだろう!』
「そうだ、一日くらいいいだろ、別に」
「ひどいいいいい。白猫と浮気してやるううう」
「浮気、猫の姿でもしたら、もう一生お前とは口を聞かないからな」
天使の浮竹は、鋭い眼差しで肩に乗った京楽を睨んだ。
「あばばばばばば」
京楽はぴょーんと地面に降り立って、走って行ってベッドの下にもぐって出てこなくなった。
「僕も一緒に寝る。ベッドの下でだけど」
「好きなようにしろ。フェンリルの俺、先に風呂に入ってこい。着替えは置いてあるから」
『ああ、先に使わせてもらう』
次の日の朝、ヴァンパイアの京楽がフェンリルの浮竹を迎えにくると、少しやってしまったという顔の浮竹がいた。
一方、堕天使の京楽は機嫌がどん底に悪く、天使の浮竹は微妙な顔をしていた。
『一体、どうしたのさ』
「フェンリルの浮竹が、僕をいじめるんだよ!」
『ただ、天使の俺を、寝ぼけて京楽と間違えて、抱き着いてキスしちゃただけじゃないか』
フェンリルの浮竹が言うには、そうらしい。
「もう最悪だよ!浮気だ、浮気!」
『違う、浮気じゃない!ただ間違えただけだ』
『浮竹、自分にキスしたようなものだし、寝ぼけてたんでしょ。浮気には入れないから、大丈夫』
「ヴァンパイアの俺、甘い!」
『そうは言っても、一緒に寝てたってことだよね?』
ヴァンパイアの京楽の言葉に、天使の浮竹が頷いた。
「一緒に寝たいと甘えられたんでな。まぁ、ただの事故だ」
『京楽、怒ってないよな?』
『うん、怒ってないよ。ただ、堕天使のボクにはちゃんと謝ろうね?』
『う・・・・・京楽がそういうなら。堕天使の大アホ、天使の俺にキスしてごめん』
「謝罪が謝罪になってないいいいいいい」
堕天使の京楽は、そう叫びながら、フェンリルの浮竹をヴァンパイアの自分ともども追い出して、自分の伴侶である浮竹に抱き着いた。
「どうした?」
「君は僕のものだよ。他の者が、触れるなんて嫌だ」
「まぁ、フェンリルの俺は悪気があったわけじゃないから。許してやれ」
「浮竹がそう言うなら、許すよ」
なんだかんだで、一日のお泊り会は、終わるのだった。
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