堕天使と天使3
母役であったガブリエルが、降臨した。
正確には、浮竹の家にやってきた。
「あああ、本当に京楽がいる!私のかわいい浮竹に手を出して!」
「ああ、ガブリエルちゃん、今日もかわいいね。昔なら、どう、一発?って言ってたところだけど、今の僕は浮竹一筋だから、ガブリエルちゃんがいても君には手を出さないよ」
「かわりに、私のかわいい浮竹に手を出すんでしょう!」
ガブリエルが威嚇していたが、浮竹があまりにも穏やかで幸せそうなので、伝言を伝えにきたのだと言い出した。
「浮竹。あなたの父は、天使の中でも最高位に位置する、大天使長ミカエルよ」
「ミカエルだって!?あんな高貴な者が、人間と愛を交わし合ったの?」
その結果にできた子供が、浮竹なのだ。
「一度、ミカエルに会いにいって。あなたが、京楽を人生のパートナーに選んだことを、すごく心配しているから。さぁ、一緒に天界に行きましょう」
「分かった。京楽は、適当に留守番しておいてくれ」
「あーあ。僕が堕天使じゃなかったら、一緒にいくのになぁ」
京楽のつぶやきに、浮竹は京楽の頭を撫でた。
「すぐに、帰ってくる」
「うん。夕飯の準備して、待ってるね」
天界にいくと、最高位の天使セラフの中でもTOPにいる大天使長ミカエルが迎えにきてくれた。
「私の愛しい浮竹。私とアンヌの子よ」
「・・・・父さん?」
「ああ、君から父さんと呼ばれる日がこようとは・・・・」
ミカエルは、細面の少年だった。
「なんだか、俺のほうが親といったほうが、しっくりくるんだが」
「愛しい浮竹。我ら天使族はある程度の年齢で老化が止まる。今の浮竹も、その姿のまま時を止めているだろう」
「え、そうなのか。そういえば、年齢のわりに全然若いですねっていわれるわけだ」
「これは父からの忠告と警告だ。京楽を人生のパートナーにするのはやめなさい。きっと、いつか捨てられて哀しい思いをする。いつ浮気されるかも分からない」
「京楽は、俺に愛を捧げ、誓ってくれた。パートナーにすると」
「それが、不幸でしかないとしても?」
ミカエルの言葉に、京楽は首を横に振る。
「京楽と一緒に過ごしてまだ半年だが、幸せだ。不幸なんかじゃない。京楽と別れるつもりはない」
「そうか。セラフとして、天界に来る気はないのだろう」
「ないな」
「では、一度お別れだ。元の世界に戻った、このメモの場所にお前の母親のアンヌ・マリーが住んでいる。いつか、アンヌが生きているうちに、会いに行ってやってほしい。私たちは、本気で君を愛していた。神の都合で子を略奪されて、ガブリエルに育てられて人間界に捨てられると知った時、止めたかったが、止めたら罰がくだる。私はアンヌを失いたくなかった。今まで君の存在に触れてことなかったことを、どうか許してほしい」
「許すも何も、父さんがいたから俺は生まれた。ガブリエル母さんに育てられて幸せだったし、人間界に捨てられたといっても、施設での暮らしに不自由はなかったし、なりたい職にもつけた。父さん、俺は今は幸せだ」
「そうか」
ほろりと、ミカエルは涙を零して、自分より年上に見えて、背も高い浮竹を抱きしめた。
「どうか、これからも幸せであってくれ」
「うん」
浮竹は、ミカエルとの話を終えて、天界から人間界に戻ってきた。
「おや、意外と早かったね。今、夕食を作っているところだよ」
「父に会ってきた」
「大天使長ミカエルか。僕のこと、何か言ってた?」
「不幸になるから、すぐ別れろと言われた。あと、すぐ浮気するかもしれないって」
「ははははは。散々な言われようだね」
浮竹を顔を上げた。
「でも、嫌だっていった。今の京楽と暮らしていて、幸せだと俺は感じている。だから、別れないと言ってきた」
「浮竹・・・・十四郎、愛してるよ」
「俺も愛している、春水」
二人は、触れるだけの口づけを交わした。
「君がいない間、天使の子がやってきてね。最高神である山じいからの手紙がきてた。セラフとしての力と、僕の堕天使としての力を生かして、この世界でいわゆる祓い屋をしろだってさ」
「祓い屋?」
「そう。モンスターや魔族、妖怪、霊・・・そんな存在を駆除しろだってさ」
「そんなこと、できるのか?」
「今の君は魔法を使えるはずだ」
「そうなのか?」
京楽は、ごそごそと本棚を調べ始めた。
「あったあった。魔法入門編~上級編まで。これに目を通しておけば、魔法が使えるようになるから・・・・」
「フレアバースト?」
ごおおお。
魔法の入門書に書かれていた、中級呪文を、浮竹は無詠唱で使っていた。
火は燃え盛り、今にも飛び火して家が焼けそうだったので、京楽が魔法を唱える。
「ウォーターボール」
浮竹の炎の魔法は、京楽の水の魔法で相殺された。
「ねぇ、君って魔法使うの初めてだよね?」
「そうだが?」
「魔法の才は、大天使長ミカエル並みってところかな」
「祓い屋をするのはいいが、何をすればいいんだ」
「まずは、祓い屋の業界に参加することを証明しないとね。知り合いを使って、すでに出しておいたから、もうすぐ許可証が届くよ」
黒い猫が、翼を生やして窓から入ってきた。
「おつかれ。はい、これ約束のチュール3日分」
チュール3日分と引き換えに、祓い屋の許可証を渡してくれた。
「また、何か頼み事があれば、儂をよぶといい。力になってやろう」
「またねえ、夜一ちゃん」
「あの黒猫は?」
「ん?夜一ちゃんっていって、人化できる猫又だよ。翼もあるけど。まぁ、3回くらい寝たことあるけど、褐色肌の美人さんだったよ」
浮竹はむっとなった。
「ちょっと、昔の話だから。今は、浮竹一筋だから」
「分かってる」
「そうだねぇ、家の前に祓い屋の看板を建てようか」
「好きにしてくれ。俺は今日はもう寝る」
「ちょっと、夕飯ちゃんと作るし、夜一ちゃんとはもう何もないから、怒らないでよ」
結局、京楽が作ってくれたおいしい夕飯を食べて、浮竹は風呂に入り、眠りにつく。
祓い屋をする天使など、この世に二人と存在しないだろう。
そんな祓い屋の誕生だった。
正確には、浮竹の家にやってきた。
「あああ、本当に京楽がいる!私のかわいい浮竹に手を出して!」
「ああ、ガブリエルちゃん、今日もかわいいね。昔なら、どう、一発?って言ってたところだけど、今の僕は浮竹一筋だから、ガブリエルちゃんがいても君には手を出さないよ」
「かわりに、私のかわいい浮竹に手を出すんでしょう!」
ガブリエルが威嚇していたが、浮竹があまりにも穏やかで幸せそうなので、伝言を伝えにきたのだと言い出した。
「浮竹。あなたの父は、天使の中でも最高位に位置する、大天使長ミカエルよ」
「ミカエルだって!?あんな高貴な者が、人間と愛を交わし合ったの?」
その結果にできた子供が、浮竹なのだ。
「一度、ミカエルに会いにいって。あなたが、京楽を人生のパートナーに選んだことを、すごく心配しているから。さぁ、一緒に天界に行きましょう」
「分かった。京楽は、適当に留守番しておいてくれ」
「あーあ。僕が堕天使じゃなかったら、一緒にいくのになぁ」
京楽のつぶやきに、浮竹は京楽の頭を撫でた。
「すぐに、帰ってくる」
「うん。夕飯の準備して、待ってるね」
天界にいくと、最高位の天使セラフの中でもTOPにいる大天使長ミカエルが迎えにきてくれた。
「私の愛しい浮竹。私とアンヌの子よ」
「・・・・父さん?」
「ああ、君から父さんと呼ばれる日がこようとは・・・・」
ミカエルは、細面の少年だった。
「なんだか、俺のほうが親といったほうが、しっくりくるんだが」
「愛しい浮竹。我ら天使族はある程度の年齢で老化が止まる。今の浮竹も、その姿のまま時を止めているだろう」
「え、そうなのか。そういえば、年齢のわりに全然若いですねっていわれるわけだ」
「これは父からの忠告と警告だ。京楽を人生のパートナーにするのはやめなさい。きっと、いつか捨てられて哀しい思いをする。いつ浮気されるかも分からない」
「京楽は、俺に愛を捧げ、誓ってくれた。パートナーにすると」
「それが、不幸でしかないとしても?」
ミカエルの言葉に、京楽は首を横に振る。
「京楽と一緒に過ごしてまだ半年だが、幸せだ。不幸なんかじゃない。京楽と別れるつもりはない」
「そうか。セラフとして、天界に来る気はないのだろう」
「ないな」
「では、一度お別れだ。元の世界に戻った、このメモの場所にお前の母親のアンヌ・マリーが住んでいる。いつか、アンヌが生きているうちに、会いに行ってやってほしい。私たちは、本気で君を愛していた。神の都合で子を略奪されて、ガブリエルに育てられて人間界に捨てられると知った時、止めたかったが、止めたら罰がくだる。私はアンヌを失いたくなかった。今まで君の存在に触れてことなかったことを、どうか許してほしい」
「許すも何も、父さんがいたから俺は生まれた。ガブリエル母さんに育てられて幸せだったし、人間界に捨てられたといっても、施設での暮らしに不自由はなかったし、なりたい職にもつけた。父さん、俺は今は幸せだ」
「そうか」
ほろりと、ミカエルは涙を零して、自分より年上に見えて、背も高い浮竹を抱きしめた。
「どうか、これからも幸せであってくれ」
「うん」
浮竹は、ミカエルとの話を終えて、天界から人間界に戻ってきた。
「おや、意外と早かったね。今、夕食を作っているところだよ」
「父に会ってきた」
「大天使長ミカエルか。僕のこと、何か言ってた?」
「不幸になるから、すぐ別れろと言われた。あと、すぐ浮気するかもしれないって」
「ははははは。散々な言われようだね」
浮竹を顔を上げた。
「でも、嫌だっていった。今の京楽と暮らしていて、幸せだと俺は感じている。だから、別れないと言ってきた」
「浮竹・・・・十四郎、愛してるよ」
「俺も愛している、春水」
二人は、触れるだけの口づけを交わした。
「君がいない間、天使の子がやってきてね。最高神である山じいからの手紙がきてた。セラフとしての力と、僕の堕天使としての力を生かして、この世界でいわゆる祓い屋をしろだってさ」
「祓い屋?」
「そう。モンスターや魔族、妖怪、霊・・・そんな存在を駆除しろだってさ」
「そんなこと、できるのか?」
「今の君は魔法を使えるはずだ」
「そうなのか?」
京楽は、ごそごそと本棚を調べ始めた。
「あったあった。魔法入門編~上級編まで。これに目を通しておけば、魔法が使えるようになるから・・・・」
「フレアバースト?」
ごおおお。
魔法の入門書に書かれていた、中級呪文を、浮竹は無詠唱で使っていた。
火は燃え盛り、今にも飛び火して家が焼けそうだったので、京楽が魔法を唱える。
「ウォーターボール」
浮竹の炎の魔法は、京楽の水の魔法で相殺された。
「ねぇ、君って魔法使うの初めてだよね?」
「そうだが?」
「魔法の才は、大天使長ミカエル並みってところかな」
「祓い屋をするのはいいが、何をすればいいんだ」
「まずは、祓い屋の業界に参加することを証明しないとね。知り合いを使って、すでに出しておいたから、もうすぐ許可証が届くよ」
黒い猫が、翼を生やして窓から入ってきた。
「おつかれ。はい、これ約束のチュール3日分」
チュール3日分と引き換えに、祓い屋の許可証を渡してくれた。
「また、何か頼み事があれば、儂をよぶといい。力になってやろう」
「またねえ、夜一ちゃん」
「あの黒猫は?」
「ん?夜一ちゃんっていって、人化できる猫又だよ。翼もあるけど。まぁ、3回くらい寝たことあるけど、褐色肌の美人さんだったよ」
浮竹はむっとなった。
「ちょっと、昔の話だから。今は、浮竹一筋だから」
「分かってる」
「そうだねぇ、家の前に祓い屋の看板を建てようか」
「好きにしてくれ。俺は今日はもう寝る」
「ちょっと、夕飯ちゃんと作るし、夜一ちゃんとはもう何もないから、怒らないでよ」
結局、京楽が作ってくれたおいしい夕飯を食べて、浮竹は風呂に入り、眠りにつく。
祓い屋をする天使など、この世に二人と存在しないだろう。
そんな祓い屋の誕生だった。
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