はい堕天使と天使7
「ふ~ん。向こうの世界では、僕はヴァンパイアの原始の王なのか」
京楽のぽそっとした呟きに、浮竹が首を傾げる。
「何の話だ?」
「いやね、僕たちを生み出した創造神様が作った別の世界にいる僕らのこと」
「?よく分からない」
「まぁ、あっちの世界が君は神に近いフェンリルで・・・・・・まぁ、セラフの天使のほうが神に近いけどね」
京楽は自己完結させて、浮竹はただ首を傾げるだけだった。
「さて、今日も低い料金の依頼がきてるねー。わお、これなんてすごい。銀貨30枚で、畑にでるブラックボアを退治してくれだって。わー、これ最低金額の更新じゃないかな」
「いいな、それ。最低金額でいってみよう」
浮竹が興味をもったみたいで、銀貨30枚たらずでCランクモンスターのブラックボアを退治することになった。
現地は寂れた村で、車で7時間もかかった。
ガソリン代だけですでに銀貨40枚をこえていた。
完全に赤字だ。
そんなこと、浮竹も京楽も関係ないようだった。
浮竹は翻訳家の仕事を抱えているし、京楽は京楽で金になる職につてがある。
神様に言われたから祓い屋稼業をしているので、金額にはあまりこだわらなかったが、命をかけるような仕事の場合、流石に報酬は少し高めにもらうことにしていた。
「ついたぞ、京楽」
浮竹は、車を駐車場に停止させた。
畑と田んぼが広がる、のどかな村だった。
「村長はいるかなぁ?」
京楽が車から降りて、まずは村の入り口あたりを見た。
何人か、見張りの村人がいた。
ブラックボアを退治しとうとしてできなくて、でも冒険者ギルドに依頼するような金もなく、仕方なく浮竹と京楽のところに依頼を出したが、銀貨30枚で引き受けてくれるはずもなく、若い村人で自衛に当たっていた。
「僕たち、祓い屋なの。村長はいるかな?ブラックボア討伐の件で・・・・・」
「奇跡だ!銀貨30枚で引き受けてくれるんですか!」
「ああ、うん、まあね」
「とりあえず、村長のところに案内してくれないだろうか」
浮竹が改めて言葉にすると、村人の青年は急いで村長の家に二人を招き入れた。
「私が村長をしております、上村と申します」
「ああ、名前とかそういうのどうでもいいから」
「はぁ」
「ブラックボアが出る畑はこの近く?」
「はい。1匹でなしに群れでくるので、村人の力では倒し切れずに追い返すのが精いっぱいで。
かといって冒険者ギルドに依頼するような金もなく・・・・出せるのは銀貨30枚と野菜か米ですかな」
野菜や米と聞いて、これは赤字でなくなるかもと、浮竹も京楽も思った。
「俺たちがやっつける。ブラックボアが出るのは昼か、夜か?」
「昼にもたまに出没しますが、主には夜ですな」
「じゃあ、この村長の家で夜まで過ごしても構わないかな」
「ええ、ええ、退治してくれるでしたら好きなだけいてください」
村長の話で、最近襲われている畑をつき止めて、夜を待った。
「ぶるるるるう!!!」
「ぶるーーーー!!」
天使族は、闇でも目が見える。
灯りもないままに、ブラックボアが10匹出没しているのを魔力探知で探し出して、駆けだした。
ブラックボアのランクはC。
Sクラスともわたりあえる浮竹と京楽には、少しものたりないが、素材として肉が少し高めで売れるため、銀貨30枚でも大丈夫だった。
「エアリアルエッジ!」
「ウォータースラッシャー!!」
「ぶひいいいいいい!!」
「ぶひいい!!」
ブラックボアの肉を焼くのは素材としてだめなので、風と水の魔法で殺した。
ブラックボア10頭を、アイテムポケットにいれる。
「こんだけいれば、しばらくブラックボアの肉食べれるね。解体してもらって、3食分くらい残してもらおう」
「そうだな。毎度ブラックボアの肉だと飽きるからな。うまいんだけど」
村長のところに、退治が終わったと報告すると、村長は涙を流して浮竹と京楽を拝みだした。
「いや、もういいから。報酬をもらいにきた」
「なんとか、村でかき集めました。銀貨30枚の他に、銀貨7枚と鉄貸8枚です。何分自給自足で回っている村なので、あとは野菜と米を・・・・・」
「ありがたい。もらっていく」
車の後ろ座席には、たくさんの野菜と米俵を乗せた。
アイテムポケットに収納するにも、アイテムポケットはかなりの高級品である。村人たちの目の前であまり見せないほうがいいだろうという、京楽の判断だった。
浮竹も荷物を持ったが、京楽が米俵なんかをもち、荷車を借りて、車まで運んだ。
そのまま、帰宅する。
一度風呂にはいって、夕飯を食べてから、寝て次の日になってから冒険者ギルドにやってきた。
「あら、いらっしゃい」
ギルドマスターが出迎えてくれた。
ギルドマスターはハイエルフの青年で、穏やかだがドラゴンマニアというなんともいえない人物だった。
「ブラックボアの解体と買取りを頼む。こっちがブラックボアの魔石だ」
浮竹が魔石を提出すると、受付嬢がにこやかに査定してくれた。
「金貨4枚になります」
「うん、ありがとね」
京楽は、受付嬢の手を握りしめて、受付嬢は顔を赤くしていた。
「京楽、浮気は殺すぞ?」
「はっ、違うよ違うよ!だから殺さないで!君なら本気でやりかねない」
「ブラックボアか。最近魔物が活発化しているな。なぜか分からんが、今まで魔物が出たことのない村や町、それに都市にまで魔物が出現するようになった」
ギルドマスターが、溜息を零した。
「ダンジョン資源は必須だし、普通の討伐を引き受けてくれる手合いが少なくてね。できれば、君たちには冒険者ギルドのギルドメンバーになってほしいんだが。Sクラス並みの腕があるあろうし。天使と堕天使だ、神の力も期待できる」
「ああ、僕らは冒険者にはならないよ。その柿様から祓い屋やれっていわれてるし」
「ううむ、残念だ」
「じゃあ、俺は解体工房にいってくる」
浮竹は解体工房でブラックボアを10体アイテムポケットから出した。
「あんたのアイテムポケットは時間が流れないのか。貴重なタイプだな。鮮度もいいし、金貨6枚で買うよ」
「ああ、2人分で3食分肉を残しておいてくれ」
「あいよ」
切り分けてもらったブラックボアの肉をアイテムポケットに入れて、浮竹は京楽と合流した。
「今日は、ボアだしボタン鍋にしよう」
「いいな、それ」
ブラックボアはカテゴライズするなら、猪のモンスターだった。
食用になり、そこそこおいしいが、狂暴なためにCランクに指定されていた。
Sランクの仕事依頼もこなしそうな二人には、楽勝な相手だった。
「報酬のお金はへぼかったが、野菜や米は嬉しいな。後魔石と素材はそこそこの値段になったし。黒字で終わりでよかったな」
「そりゃ、赤字で終わりたくないからね。まぁ、僕はちょっとお金もちのマダムに貢がせてそれなりの財産あるから、お金の心配はないんだけど」
「それ、褒められたことじゃないぞ。俺はちゃんと仕事でお金を貯蓄している」
浮竹と京楽が住んでいるのは、一軒家だった。
浮竹が、就職してその給料のよさから、思い切って買った一戸建ての新築の家だった。
ローンは30年くんでいたが、いつの間にか京楽の金でローンは返済し終わっていた。
「ぼたん鍋にはビールだ。買いにいってくる」
「じゃあ、僕は調理しとくね」
浮竹は、近所のコンビニでビールの缶を4つ買った。
「京楽のやつ、よく飲むけど今日は2本で我慢してもらおう」
京楽はうわばみというやつで、飲んでも飲んでも酔わない。酒好きで、よくワインやら焼酎、日本酒、ビールなどを飲んだ。
帰る途中で、酒屋により、京楽の好きなワインを1本買った。
「たまには、いいかな」
いつもはあまり飲ませてないので、たまには豪快に飲ませてやってもいいだろうと思った。
実は、京楽は浮竹に隠れて、仕事をすると言って姿を消しては、飲み屋で飲んでいたりしていたのだが。それを浮竹は知ることはなかった。
「そこのあなた・・・・・」
「俺のことか?」
「そう、あなたです」
商店街の隅にいた占い師が、声をかけてきた。
「他の堕天使との出会いに、注意してください」
「え?」
そう言って、占い師はスーッと消えていった。
「わ!」
浮竹は驚いた。
霊的なものを見るのは、初めてだったのだ。
「なんだったんだ・・・・・・」
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「そうか。これがミカエルの子か。その力を取り入れれば、私は大天使長ミカエルもこえるだろう」
億のするマンションの最上階で、その人物は水鏡で浮竹を見ていた。
サキュバスに、あのお方と呼ばれた存在だった。
堕天使だった。
茶色の髪に瞳をした、柔和そうでどこか鋭そうな青年だった。
「見ていろ、神め。私を堕天使に落としたこと、後悔させてやる。ははははは」
青年の笑い声は、いつまでも木霊するのだった。
京楽のぽそっとした呟きに、浮竹が首を傾げる。
「何の話だ?」
「いやね、僕たちを生み出した創造神様が作った別の世界にいる僕らのこと」
「?よく分からない」
「まぁ、あっちの世界が君は神に近いフェンリルで・・・・・・まぁ、セラフの天使のほうが神に近いけどね」
京楽は自己完結させて、浮竹はただ首を傾げるだけだった。
「さて、今日も低い料金の依頼がきてるねー。わお、これなんてすごい。銀貨30枚で、畑にでるブラックボアを退治してくれだって。わー、これ最低金額の更新じゃないかな」
「いいな、それ。最低金額でいってみよう」
浮竹が興味をもったみたいで、銀貨30枚たらずでCランクモンスターのブラックボアを退治することになった。
現地は寂れた村で、車で7時間もかかった。
ガソリン代だけですでに銀貨40枚をこえていた。
完全に赤字だ。
そんなこと、浮竹も京楽も関係ないようだった。
浮竹は翻訳家の仕事を抱えているし、京楽は京楽で金になる職につてがある。
神様に言われたから祓い屋稼業をしているので、金額にはあまりこだわらなかったが、命をかけるような仕事の場合、流石に報酬は少し高めにもらうことにしていた。
「ついたぞ、京楽」
浮竹は、車を駐車場に停止させた。
畑と田んぼが広がる、のどかな村だった。
「村長はいるかなぁ?」
京楽が車から降りて、まずは村の入り口あたりを見た。
何人か、見張りの村人がいた。
ブラックボアを退治しとうとしてできなくて、でも冒険者ギルドに依頼するような金もなく、仕方なく浮竹と京楽のところに依頼を出したが、銀貨30枚で引き受けてくれるはずもなく、若い村人で自衛に当たっていた。
「僕たち、祓い屋なの。村長はいるかな?ブラックボア討伐の件で・・・・・」
「奇跡だ!銀貨30枚で引き受けてくれるんですか!」
「ああ、うん、まあね」
「とりあえず、村長のところに案内してくれないだろうか」
浮竹が改めて言葉にすると、村人の青年は急いで村長の家に二人を招き入れた。
「私が村長をしております、上村と申します」
「ああ、名前とかそういうのどうでもいいから」
「はぁ」
「ブラックボアが出る畑はこの近く?」
「はい。1匹でなしに群れでくるので、村人の力では倒し切れずに追い返すのが精いっぱいで。
かといって冒険者ギルドに依頼するような金もなく・・・・出せるのは銀貨30枚と野菜か米ですかな」
野菜や米と聞いて、これは赤字でなくなるかもと、浮竹も京楽も思った。
「俺たちがやっつける。ブラックボアが出るのは昼か、夜か?」
「昼にもたまに出没しますが、主には夜ですな」
「じゃあ、この村長の家で夜まで過ごしても構わないかな」
「ええ、ええ、退治してくれるでしたら好きなだけいてください」
村長の話で、最近襲われている畑をつき止めて、夜を待った。
「ぶるるるるう!!!」
「ぶるーーーー!!」
天使族は、闇でも目が見える。
灯りもないままに、ブラックボアが10匹出没しているのを魔力探知で探し出して、駆けだした。
ブラックボアのランクはC。
Sクラスともわたりあえる浮竹と京楽には、少しものたりないが、素材として肉が少し高めで売れるため、銀貨30枚でも大丈夫だった。
「エアリアルエッジ!」
「ウォータースラッシャー!!」
「ぶひいいいいいい!!」
「ぶひいい!!」
ブラックボアの肉を焼くのは素材としてだめなので、風と水の魔法で殺した。
ブラックボア10頭を、アイテムポケットにいれる。
「こんだけいれば、しばらくブラックボアの肉食べれるね。解体してもらって、3食分くらい残してもらおう」
「そうだな。毎度ブラックボアの肉だと飽きるからな。うまいんだけど」
村長のところに、退治が終わったと報告すると、村長は涙を流して浮竹と京楽を拝みだした。
「いや、もういいから。報酬をもらいにきた」
「なんとか、村でかき集めました。銀貨30枚の他に、銀貨7枚と鉄貸8枚です。何分自給自足で回っている村なので、あとは野菜と米を・・・・・」
「ありがたい。もらっていく」
車の後ろ座席には、たくさんの野菜と米俵を乗せた。
アイテムポケットに収納するにも、アイテムポケットはかなりの高級品である。村人たちの目の前であまり見せないほうがいいだろうという、京楽の判断だった。
浮竹も荷物を持ったが、京楽が米俵なんかをもち、荷車を借りて、車まで運んだ。
そのまま、帰宅する。
一度風呂にはいって、夕飯を食べてから、寝て次の日になってから冒険者ギルドにやってきた。
「あら、いらっしゃい」
ギルドマスターが出迎えてくれた。
ギルドマスターはハイエルフの青年で、穏やかだがドラゴンマニアというなんともいえない人物だった。
「ブラックボアの解体と買取りを頼む。こっちがブラックボアの魔石だ」
浮竹が魔石を提出すると、受付嬢がにこやかに査定してくれた。
「金貨4枚になります」
「うん、ありがとね」
京楽は、受付嬢の手を握りしめて、受付嬢は顔を赤くしていた。
「京楽、浮気は殺すぞ?」
「はっ、違うよ違うよ!だから殺さないで!君なら本気でやりかねない」
「ブラックボアか。最近魔物が活発化しているな。なぜか分からんが、今まで魔物が出たことのない村や町、それに都市にまで魔物が出現するようになった」
ギルドマスターが、溜息を零した。
「ダンジョン資源は必須だし、普通の討伐を引き受けてくれる手合いが少なくてね。できれば、君たちには冒険者ギルドのギルドメンバーになってほしいんだが。Sクラス並みの腕があるあろうし。天使と堕天使だ、神の力も期待できる」
「ああ、僕らは冒険者にはならないよ。その柿様から祓い屋やれっていわれてるし」
「ううむ、残念だ」
「じゃあ、俺は解体工房にいってくる」
浮竹は解体工房でブラックボアを10体アイテムポケットから出した。
「あんたのアイテムポケットは時間が流れないのか。貴重なタイプだな。鮮度もいいし、金貨6枚で買うよ」
「ああ、2人分で3食分肉を残しておいてくれ」
「あいよ」
切り分けてもらったブラックボアの肉をアイテムポケットに入れて、浮竹は京楽と合流した。
「今日は、ボアだしボタン鍋にしよう」
「いいな、それ」
ブラックボアはカテゴライズするなら、猪のモンスターだった。
食用になり、そこそこおいしいが、狂暴なためにCランクに指定されていた。
Sランクの仕事依頼もこなしそうな二人には、楽勝な相手だった。
「報酬のお金はへぼかったが、野菜や米は嬉しいな。後魔石と素材はそこそこの値段になったし。黒字で終わりでよかったな」
「そりゃ、赤字で終わりたくないからね。まぁ、僕はちょっとお金もちのマダムに貢がせてそれなりの財産あるから、お金の心配はないんだけど」
「それ、褒められたことじゃないぞ。俺はちゃんと仕事でお金を貯蓄している」
浮竹と京楽が住んでいるのは、一軒家だった。
浮竹が、就職してその給料のよさから、思い切って買った一戸建ての新築の家だった。
ローンは30年くんでいたが、いつの間にか京楽の金でローンは返済し終わっていた。
「ぼたん鍋にはビールだ。買いにいってくる」
「じゃあ、僕は調理しとくね」
浮竹は、近所のコンビニでビールの缶を4つ買った。
「京楽のやつ、よく飲むけど今日は2本で我慢してもらおう」
京楽はうわばみというやつで、飲んでも飲んでも酔わない。酒好きで、よくワインやら焼酎、日本酒、ビールなどを飲んだ。
帰る途中で、酒屋により、京楽の好きなワインを1本買った。
「たまには、いいかな」
いつもはあまり飲ませてないので、たまには豪快に飲ませてやってもいいだろうと思った。
実は、京楽は浮竹に隠れて、仕事をすると言って姿を消しては、飲み屋で飲んでいたりしていたのだが。それを浮竹は知ることはなかった。
「そこのあなた・・・・・」
「俺のことか?」
「そう、あなたです」
商店街の隅にいた占い師が、声をかけてきた。
「他の堕天使との出会いに、注意してください」
「え?」
そう言って、占い師はスーッと消えていった。
「わ!」
浮竹は驚いた。
霊的なものを見るのは、初めてだったのだ。
「なんだったんだ・・・・・・」
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「そうか。これがミカエルの子か。その力を取り入れれば、私は大天使長ミカエルもこえるだろう」
億のするマンションの最上階で、その人物は水鏡で浮竹を見ていた。
サキュバスに、あのお方と呼ばれた存在だった。
堕天使だった。
茶色の髪に瞳をした、柔和そうでどこか鋭そうな青年だった。
「見ていろ、神め。私を堕天使に落としたこと、後悔させてやる。ははははは」
青年の笑い声は、いつまでも木霊するのだった。
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