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好きなものは好き10

「一護、ここのパフェが食べたい!」

金曜に現世にやってきたルキアは、パンフレットを手に一護に迫った。

「何々・・・ジャンボパフェ今なら3割引き。いいぜ。明日、行こうか」

「本当か!やったー!」

ルキアの無邪気な喜びように、一護はほんわかとなった。

次の日、ジャンボパフェ3割引きというレストランにきていた。

客がけっこういるようで、待たされたが、ルキアはわくわくしていた。やがて順番になり、テーブルにつくと、ルキアは給仕係にジャンボパフェを2つ注文した。

「おい、流石に2つは無理だろ!」

「何を言うのだ。貴様の分に決まっておろう」

「いや、俺別に食べたいってわけじゃねーんだけど」

「いいから食せ!3割引きなど、滅多にないのだぞ!前にここのレストランで食べたパフェの美味さに私は虜なのだ!」

「もう注文しちまったし、わーったよ。俺も食う」

やがて、ジャンボパフェがやってきた。

名前に違わず、ボリュームがあった。一人で完食できるのか怪しい量だった。

それを、ルキアはぱくついて食べていく。

「美味いな!」

あっという間に、3分の1を食べてしまった。

一護は普通に食べていた。フルーツが多く入っていて、一護でも美味しいとかんじれたし、一護の好物のチョコレートも入っていた。

「これは貴様にやる」

チョコレートを、ルキアはスプーンで一護のジャンボパフェの上に乗せた。

「お、ありがとな」

一護は素直に礼を言った。

チョコレートは大好物だ。

下の層はチョコレートパフェだったので、一護も完食した。

ルキアは、とっくの昔に食べ終えていた。

「食べるの早いな、お前」

「たわけ!この日のために、昨日の夕飯を抜いたのだ。もう1つ食べるぞ!」

「おいおい」

ルキアは、追加でジャンボパフェの苺味を頼んで注文した。

「一護も食せ。私一人でも食せるが、せっかくなのだ。共に食べようではないか」

やがてやってきた苺のジャンボパフェを、ルキアが食べていく。

「こら、一護も食べぬか!」

「へいへい」

すでに一護のお腹はかなりいっぱいだったのだが、しぶしぶスプーンですくって、食べれる分だけ食べた。

ほとんどをルキアが食してしまったが。

「ふう、満足だ。もう食えぬ」

「カロリー、怖いことになりそうだな」

「ぐ・・・・乙女に、カロリーの話をするな!」

ルキアに怒られながら、レストランを後にした。

「でも、実際いくらカロリーあるんだろうな。あんだけあると、流石に太って・・・ぶべ!」

ルキアの鉄拳が、一護の顔に炸裂した。

「私は、食っても太らん体質なのだ!太るとかいうな!」

「まぁ、確かにルキアはよく食べるわりに華奢だよな」

「そうであろう。食べても太らぬ体質に、松本副隊長に嫉妬されまくりなのだ」

「あー。まぁ乱菊さんなら、羨ましがりそうだなぁ」

尸魂界でいつもは生活しているルキアは、現世の食べ物に興味津々であった。

スィーツというスィーツに手を出している。

「和菓子より、私は洋菓子のほうが好みなのだ。和菓子も捨てがたいが、洋菓子の種類の豊富さと美味さに、メロメロなのだ」

「じゃあ、あのケーキ屋で何か買って帰るか」

「よいのか!?」

「ああ。今日は流石に食わせれねーけど、明日になら食ってもいい」

「今日は、確かに甘いものをとりすぎたからな」

ケーキ屋に入ると、色とりどりのケーキに、ルキアは迷っていた。

「チョコレートケーキと、苺ショートケーキを1つずつ」

「はい、かしこまりました」

一護が、決めかねているルキアの代わりに、ケーキを買った。

「苺ショートケーキが私の分だな。貴様の分はチョコレートケーキか」

「食いたいなら、俺の分食ってもいいぜ」

「いやいや。そこまで私は食い意地は・・・・はってないと言い切れないが」

「言いきれないのかよ」

一護は笑った。

昼食は、ジャンポパフェを食べたことでなしになった。

夕飯も軽めにものにした。

ルキアはおかわりをしていたが。

「また、パフェを食べに、あの店にいこう」

「ああ、いいぜ」

次の日になって、3時のおやつの時間に昨日買って、冷蔵庫で冷やしておいたケーキを食べた。

美味しかったが、ルキアはものたりなくて、一護が食べているチョコレートケーキをじーっと見つめていた。

「ああもう、そんな顔すんなよ。ほら、やるから」

チョコレートケーキを差し出されて、ルキアは吃驚する。

「え、そんな顔って、私は何か物欲しそうな顔でもしていたのか?」

「ああ、めっちゃ食べたいって顔してた」

「ぐ・・・すまぬ。ありがたくいただくとしよう」

一護の食べかけのチョコレートケーキを、ルキアは1分もたたずに完食してしまった。

「もうなくなってしまった・・・・・」

「ああもう・・・・。今日の夕飯に、白玉餡蜜作ってやるから」

「本当か!?」

「嘘ついてどうする。そもそも、味わってくえ。食うの早すぎなんだよ」

「すまぬ・・・・甘い物を食べる時、流魂街にいた頃のくせが抜けなくてな。早くに食べてしまうのだ」

流魂街にいた頃のルキアの生活は、散々なものだった。

朽木家に拾われてからも、甘いものを出されるとゆっくり味わうといことをせずに、早くに食べてしまう癖が抜けきれないでいた。

無論、流魂街にいた頃と比べると、大分食べるのもゆっくりになったが、それでも食べるのが早いらしい。

「誰も、お前の分をとったりしないだろ?」

一護の言葉は、ルキアの胸に染み渡った。

夕飯は豚骨ラーメンだった。茹でるだけのやつで、スープは別についていた。

誰でも気軽に美味しく食べれるものだった。

一護は、白玉餡蜜を作ってくれた。

それをゆっくり食べた。いつも周囲に甘味物を食べるのがはやいなとは言われていたが、それを注意する者はいなかった。

一護に言われて、初めて自分は流魂街の癖が残っているのだと確信した。

「おかわり」

「へいへい。多めに作ってあるから、好きなだけ食え」

一護も、白玉餡蜜を食べた。

甘い、優しい味がした。

ルキアの好き味だった。

結局作り過ぎて、冷蔵庫で冷やして、日曜も食べることになるのであった。




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