寝ぼけてます
「ばばばばばん、ああいい湯だ~~な~~~!!!」
ロックオンは、備え付けのバスルームの浴槽に湯をはって、そこに草津の湯の元をいれて、頭にタオルを乗せて上機嫌で歌っていた。
ティエリアと、同じ室内で生活しだして数か月。
もう、ちょっとやそっとのことでは動じなくなったロックオン。
それでもお風呂はたいてい別々だし、こうして一人でのんびり湯に浸かるのは気持ちよくてほろ酔い気分に似た心情になる。
小さい湯船にあひるなど浮かべて、他のマイスターが見たら「お前本当に24歳か?」とか甚だ疑問を浮かべそうな光景ではあったが、もともとこのあひるはティエリアのために買ったものだ。ティエリアはお気にめさなかったらしく。
「子供ではありません!」
と、ジャボテンダーでロックオンをしばいて、怒ってたそうな。
「ああ~~富士山の雪化粧~~~」
どこのかも分からない演歌をのりのりで歌っていたけれど、次の瞬間ロックオンは湯船の中に沈んでいた。がらっと浴槽の戸が開かれたかと思うと、まっぱのティエリアが入ってきて、いつものジャボテンダーをロックオンに向けて投げたのだ。
水分を吸って重くなったジャボテンダーの重量に、ロックオンは湯を飲む羽目になった。
あまりにも唐突すぎて、目が真ん丸になったロックオン。
「ティエリア?」
ティエリアは無言でシャワーを浴びだす。ロックオンなんてほんとに眼中にないってかんじで。
「おい、ティエリア?」
湯気で蒸気した真っ白な肌はほんのりピンク色に染まっていて、幼いティエリアの裸体を何度も見てきたというのに、どくんと心臓が高鳴った。
とうのティエリアは、シャンプーで頭を洗っている。
それを流して、体も洗い終わってから、堂々とロックオンの前に立って首をひねった。ちなみに、すっぱだかです、はい。
「なんですか?僕がシャワーを浴びるのに何か問題でも?」
「いや、恋人同士とはいえ、一応別々に風呂入るのが普通だし、なんていうかさ、せめてバスタオル巻いてくんねぇ?」
「どうして?風呂場では裸が普通なのでしょう?裸のどこがいけないのですか」
「いや、目の毒っていうかなんていうか、目のやり場に困るから」
ロックオンは視線を泳がせている。この幼い肢体を、時には彼が泣いて懇願するまで愛撫したことも数えきれない。平らな胸に、何もない下肢。それなのに腰はくびれ、細い手足に目がいってしまう。細い肢体をしているが、決して貧弱なものではない。中性がもつ独特のラインを描いていて、似ているとすれば思春期を迎える前の少女のようなかんじだろうか。
未熟すぎる体であるのは、ロックオンとて知っている。そして、彼の体が決して成熟しないことも。男でも女でも、ましてインターセクシャルでもないのだ。
「ティエリア、あのさ・・・・」
ロックオンの言葉は、途中で途切れた。紅をぬったようにあかいティエリアの唇に塞がれて、それに応えようとすると、ティエリアはシャワーの湯をロックオンの顔にかける。
「さからないでくださいね」
「お前から煽ったんだろうが」
もう一度、キスをするようなしぐさを見せて、微笑する。
「おあずけ」
くすっという笑みの小さな音が、まるで小悪魔のようで。彼は、ロックオンの頭のタオルを手にとってから、水分をしぼって、それで髪をまとめてから浴室から出て行ってしまった。
ちなみに、ジャボテンダーさんは風呂に残されたままだ。
「あーくそ。あとで絶対なかしてやる」
一人残されたロックオンは、湯の中にまた沈んでぶくぶくと泡をたてる。
そんなことがあって、ロックオンが風呂からあがり、夜になってからの話なのだが。
「はぁ?僕が煽った?あなたの入ってた風呂に入ってシャワーを目の前で浴びて、淫靡にキスして微笑んだ?ばかですかあなたは。脳みそ沸騰しましたか?」
ティエリアにさんざんこきおろされて、ロックオンはジャボテンダーが揺れる室内(ジャボテンダーを室内で干している)で、あんぐりと口があいたまま閉じることができないでいた。
「バカなこと言わないでください。僕はそんなことしていません。シャワーは浴びましたけど、何もしてません。ふーんだ」
子供のようにすねて、そのままベッドを占領されて先に寝られてしまった。
「・・・・・・・はい、寝ぼけてたわけね」
がっくりと、肩を落とす。
ティエリアは昨日完徹で、今日の朝から夕方にかけて惰眠をむさぼり続けていた。彼は低血圧で、なかなか起きてくれない。
一度おきても、歯を磨いたまま寝たりする。そんなティエリアは、寝ぼけた覚醒しきらない状態のまま、ただシャワーを浴びにきたのだろう。自分がおこした行動なんて覚えているわけがない。
歯を磨いたまま寝ていた時だって、注意して完全に覚醒した後に、歯を磨いたまま寝ていたと教えると、「そんなことするはずがない」と一蹴する始末だ。
まぁ、そこもティエリアのかわいいところなのだけれど。
この人ではない、イノベイドの恋人は本当に変わっている。ロックオンは苦笑しつつ、ティエリアが風邪をひかないように毛布と布団をきちんとかぶせて、空いている空間に自分も横になって、眠るのであった。
「愛してるよ。おやすみ」
深い眠りに入ってしまったティエリアの額にキスをして、その紫紺の肩まである髪を手ですいてから、消灯を消すと、室内は静寂に包まれて、そのままトレミーは今日も宇宙を静かに漂うのだった。
ロックオンは、備え付けのバスルームの浴槽に湯をはって、そこに草津の湯の元をいれて、頭にタオルを乗せて上機嫌で歌っていた。
ティエリアと、同じ室内で生活しだして数か月。
もう、ちょっとやそっとのことでは動じなくなったロックオン。
それでもお風呂はたいてい別々だし、こうして一人でのんびり湯に浸かるのは気持ちよくてほろ酔い気分に似た心情になる。
小さい湯船にあひるなど浮かべて、他のマイスターが見たら「お前本当に24歳か?」とか甚だ疑問を浮かべそうな光景ではあったが、もともとこのあひるはティエリアのために買ったものだ。ティエリアはお気にめさなかったらしく。
「子供ではありません!」
と、ジャボテンダーでロックオンをしばいて、怒ってたそうな。
「ああ~~富士山の雪化粧~~~」
どこのかも分からない演歌をのりのりで歌っていたけれど、次の瞬間ロックオンは湯船の中に沈んでいた。がらっと浴槽の戸が開かれたかと思うと、まっぱのティエリアが入ってきて、いつものジャボテンダーをロックオンに向けて投げたのだ。
水分を吸って重くなったジャボテンダーの重量に、ロックオンは湯を飲む羽目になった。
あまりにも唐突すぎて、目が真ん丸になったロックオン。
「ティエリア?」
ティエリアは無言でシャワーを浴びだす。ロックオンなんてほんとに眼中にないってかんじで。
「おい、ティエリア?」
湯気で蒸気した真っ白な肌はほんのりピンク色に染まっていて、幼いティエリアの裸体を何度も見てきたというのに、どくんと心臓が高鳴った。
とうのティエリアは、シャンプーで頭を洗っている。
それを流して、体も洗い終わってから、堂々とロックオンの前に立って首をひねった。ちなみに、すっぱだかです、はい。
「なんですか?僕がシャワーを浴びるのに何か問題でも?」
「いや、恋人同士とはいえ、一応別々に風呂入るのが普通だし、なんていうかさ、せめてバスタオル巻いてくんねぇ?」
「どうして?風呂場では裸が普通なのでしょう?裸のどこがいけないのですか」
「いや、目の毒っていうかなんていうか、目のやり場に困るから」
ロックオンは視線を泳がせている。この幼い肢体を、時には彼が泣いて懇願するまで愛撫したことも数えきれない。平らな胸に、何もない下肢。それなのに腰はくびれ、細い手足に目がいってしまう。細い肢体をしているが、決して貧弱なものではない。中性がもつ独特のラインを描いていて、似ているとすれば思春期を迎える前の少女のようなかんじだろうか。
未熟すぎる体であるのは、ロックオンとて知っている。そして、彼の体が決して成熟しないことも。男でも女でも、ましてインターセクシャルでもないのだ。
「ティエリア、あのさ・・・・」
ロックオンの言葉は、途中で途切れた。紅をぬったようにあかいティエリアの唇に塞がれて、それに応えようとすると、ティエリアはシャワーの湯をロックオンの顔にかける。
「さからないでくださいね」
「お前から煽ったんだろうが」
もう一度、キスをするようなしぐさを見せて、微笑する。
「おあずけ」
くすっという笑みの小さな音が、まるで小悪魔のようで。彼は、ロックオンの頭のタオルを手にとってから、水分をしぼって、それで髪をまとめてから浴室から出て行ってしまった。
ちなみに、ジャボテンダーさんは風呂に残されたままだ。
「あーくそ。あとで絶対なかしてやる」
一人残されたロックオンは、湯の中にまた沈んでぶくぶくと泡をたてる。
そんなことがあって、ロックオンが風呂からあがり、夜になってからの話なのだが。
「はぁ?僕が煽った?あなたの入ってた風呂に入ってシャワーを目の前で浴びて、淫靡にキスして微笑んだ?ばかですかあなたは。脳みそ沸騰しましたか?」
ティエリアにさんざんこきおろされて、ロックオンはジャボテンダーが揺れる室内(ジャボテンダーを室内で干している)で、あんぐりと口があいたまま閉じることができないでいた。
「バカなこと言わないでください。僕はそんなことしていません。シャワーは浴びましたけど、何もしてません。ふーんだ」
子供のようにすねて、そのままベッドを占領されて先に寝られてしまった。
「・・・・・・・はい、寝ぼけてたわけね」
がっくりと、肩を落とす。
ティエリアは昨日完徹で、今日の朝から夕方にかけて惰眠をむさぼり続けていた。彼は低血圧で、なかなか起きてくれない。
一度おきても、歯を磨いたまま寝たりする。そんなティエリアは、寝ぼけた覚醒しきらない状態のまま、ただシャワーを浴びにきたのだろう。自分がおこした行動なんて覚えているわけがない。
歯を磨いたまま寝ていた時だって、注意して完全に覚醒した後に、歯を磨いたまま寝ていたと教えると、「そんなことするはずがない」と一蹴する始末だ。
まぁ、そこもティエリアのかわいいところなのだけれど。
この人ではない、イノベイドの恋人は本当に変わっている。ロックオンは苦笑しつつ、ティエリアが風邪をひかないように毛布と布団をきちんとかぶせて、空いている空間に自分も横になって、眠るのであった。
「愛してるよ。おやすみ」
深い眠りに入ってしまったティエリアの額にキスをして、その紫紺の肩まである髪を手ですいてから、消灯を消すと、室内は静寂に包まれて、そのままトレミーは今日も宇宙を静かに漂うのだった。
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